![]() 第69話 陸に棲む貝 みくにだより2011年6月号より転載 今年は春があったんだか、なかったんだかよくわからない感じでしたが、 季節は確実に過ぎてゆき、いよいよ梅雨入りしそうな気配がします。 人間にとってはうっとうしくてあまり歓迎したくない気候ですが、 中には梅雨を心待ちをしている生きものもいます。 その代表がカタツムリでしょう。 では、そのカタツムリはいったい何の仲間かおわかりになりますか? ヒントは殻です。 正解はサザエなどと同じ巻き貝の仲間。 貝といえば海の生物というのが常識であるように、 カタツムリも元々は海の動物です。 海にいた巻き貝のある種が上陸して陸上に棲み始めたのがカタツムリです。 そのため「陸生巻貝」とも呼ばれます。 貝の仲間ですから乾燥は苦手なので雨のこの季節が大好きなのです。 ![]() ところでカタツムリは、 デンデンムシとも呼ばれ童謡に唄われるほど親しまれていますが、 同じように梅雨になると出てくるナメクジは 、どうも忌み嫌われているようです。 殻がないだけでどうしてこうも嫌われるのか。 やっていることは大して変わらないのですが、 やはりあのヌメッとした体が災いしているようです。 そこで問題。カタツムリとナメクジはどちらが進化している動物でしょうか。 「そりゃあ、カタツムリだよ。だってナメクジには殻もないし単純な体つきをしているじゃないか」。 たしかに一見そう見えますね。 ところが進化しているのはナメクジの方なんです。 カタツムリのあるもののうち殻をなくす方向に進化したのがナメクジ。 ですから今でもコウラナメクジは進化の途中のような小さな殻があります。 では、なぜ殻をなくす必要があったのでしょうか。 殻は乾燥から身を守るのに大切な役割を持ちますが、 殻を作るには、材料の炭酸カルシウムが必要です。 炭酸カルシウムは石灰岩を食べて補充するので、 石灰岩が無い場所では大きくなれないのです。 殻さえなければこの束縛から逃れ、もっと自由に暮らす場所を選べる。 そんな進化の方向に進んだのがナメクジなのです。 ただ、殻を無くしたから乾燥する場所には棲めない。 あっちをたてればこっちがたたず。 なかなかうまくいかないものです。 そういえばナメクジでとても面白い話を聞いたことがあります。 嘘か誠か裏はとれていませんが、 フランスには犬の糞に擬態したナメクジがいるそうです。 犬の糞そっくりなので人に踏まれないで生き延びることができる。 そんな生き方をしているナメクジがいるというのです。 どのくらいそっくりか見てみたいのですが、 未だ写真すらお目にかかったことがありません。 そうそう最後にビールでナメクジ退治をする方法ですが、 ビールではナメクジは死なないのでご注意を。 おびきよせるだけなので、飲み逃げされないように気をつけてください。 おもしろエッセー目次へ シバラボトップへ 2011.6.1 Copyright 2011 (C) Shibalabo (Y.Shibata) All light reserved. 文章及び画像の著作権は作者にあります。 無断転載などを禁止します。 |