第70話
日本の国蝶

みくにだより2011年7月号より転載

先日、幼稚園にお邪魔したら、
オオムラサキの蛹がちょうど羽化をしていて、美しい姿を見ることができました。
なんでも毎年この時期になると、蛹を幼稚園に届けてくださる方がいらっしゃり、
子供たちは貴重な姿を見ることができるそうです。

 さて、このオオムラサキという蝶、日本の国蝶だというのをご存知でしょうか。
国鳥や国花を決めている国は多くありますが、
国の蝶を決めている国はとても珍しいと思います。
私の知っている限りでは、マレーシアのアカエリトリバネアゲハくらいでしょうか。
ただ、国の蝶といっても法律で定められているわけではなく、
1957年に日本昆虫学会で決められたのだそうです。


オオムラサキ♂(東日本型)

 国蝶に選定する基準は、
きれいなことはもちろん、
日本を代表し、普通に見られる種であること。
オオムラサキの他に、
アゲハチョウやアサギマダラ、ギフチョウ等が候補に挙げられたといいます。
それにしてもオオムラサキが、普通に見られる蝶であったとは、
今ではちょっと信じられませんね。
調べてみると、たしかに柏市内でも豊四季で1978年の記録がありますから、
1957年頃はそれほど珍しい蝶ではなかったのでしょう。
では、どうしていなくなってしまったのでしょうか。

 オオムラサキがみられるのは雑木林です。
カブトムシやクワガタと同様に成虫は樹液を食べものにしています。
そして幼虫は、エノキの葉を食べます。
蝶はだいたい食べる植物が決まっていて、
オオムラサキの場合はエノキしか食べません。
現在の柏市には、エノキがはえ、
樹液を出す木がたくさんある雑木林はもうほとんどありません。
また、雑木林があっても下草を刈ったり、
大きくなりすぎた木を切ったりする管理をやらなくなりました。
そうなると樹液を出す木が少なくなり、オオムラサキは生きていけません。

 では、エノキはどうでしょう。
じつはエノキは公園にけっこうあります。
しかし、ここで探してもオオムラサキの幼虫が見つかることはほとんどありません。
なぜならば、幼虫は幹の根元に落ちた葉の裏で越冬するので、
落ち葉掃きをされちゃう公園では生きていけないのです。
これでは柏市内でオオムラサキが見られないのは無理はありません。
こんな美しい蝶が見られないのは、なんとも残念です。

 さて、ここでちょっと雑学。
オオムラサキの特徴に、脚が4本であるというのがあります。
オオムラサキが所属するタテハチョウ科は、前脚が小さくなっていて、
きちんと見えるのは中脚と後脚の4本なのです。
今度、幼稚園でオオムラサキを見たら、脚の数を確かめてみてください。


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2011.7.1

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