今や国民病とも言われるアレルギー性鼻炎・・・花粉の時期ばかりでなく、年がら年中くしゃみ・鼻水・鼻づまりといった症状でお悩みの方はとても多くいらっしゃいます。症状を抑えるにはお薬を飲み続けなければならない、でも一年中飲み続けるのは体によくない気がする・・・そんな皆さん、ほんのちょっとの勇気をふりしぼって、鼻粘膜の処置を受けてみませんか?
  当院院長は、金沢大学院助手として勤務していた平成11年からアレルギー性鼻炎に対する「鼻粘膜焼灼(しょうしゃく)術」を数多く行っており、富山労災病院に籍を置いていた平成14年には北日本新聞にも取り上げられました。
  これは鼻粘膜に数分間電気を通すだけで、アレルギーの症状を抑えられるものです。改善程度は人によってまちまちですが、内服に頼らずアレルギーの症状をコントロールすることも可能になります。
それでは、これから少し詳しく、お話してまいります。
1 鼻の構造
 鼻の中は単なる空洞ではありません。たくさんの凸凹したでっぱりの部分があります。
 この突起物を「鼻甲介」と言います。これは体温で暖められている上に鼻みずで湿っており、鼻から入る空気の加温・加湿の役割を果たしています。
図は右の鼻の中です。向かって右側が鼻の左右を隔てる鼻中隔、左の大きなでっぱりが鼻甲介。
残りのすき間は空気の通り道です。
正常な鼻甲介はこのくらいの大きさです。
2 アレルギーの鼻
  鼻甲介はアレルギー物質を感知する場でもあります。
 原因物質(スギ・ハウスダストなど)が入ってくるとそれを感知した鼻甲介は膨れ上がり、入り口をふさごうとします。これが鼻づまりです。そして同時に大量の鼻みずをつくり洗い出そうとし、さらにくしゃみ発作を引き起こして原因物質を吹き飛ばそうとします。
  つまり鼻は良いことをしているつもりなのですが、からだ全体としてみればくしゃみ・鼻みず・鼻づまりといったつらい症状をもたらされている、ということになります。
  図は典型的なアレルギーの鼻の中です。
鼻甲介は膨れ上がり、鼻の通り道がなくなって鼻みずがたくさん作られているのがお分かりいただけるでしょう。
3 鼻粘膜焼灼術とは
  鼻粘膜焼灼はその鼻甲介粘膜を高周波電流を用いて焼灼するものです。鼻甲介そのものを縮小させるため、特に鼻づまりには劇的な効果が期待できます。しかし、鼻みずは鼻甲介以外からも作られるため、またくしゃみ発作を起こす部分も鼻の中の全体のため、鼻づまりほどの改善効果は期待できませんが、それでもかなりの効果があります。
  他医による有効率は以下のとおりです。
1ヶ月目 3ヶ月目 1年目
 鼻づまり 95% 98% 75%
 鼻みず 61% 78% 60%
 くしゃみ 59% 60% 75%
4 手術のやり方と副作用など
  まず鼻粘膜を十分に麻酔します。麻酔といっても麻酔液を染みこませた10cmほどのガーゼを数枚鼻の中に入れるだけです。注射は一切しません。このまま1時間おまちいただくと、鼻内は完全に無痛状態になります。あとは焼灼のための器械を2〜3分鼻粘膜に当てるだけです。終わりましたら直ぐにお帰りいただける「日帰り手術」です。
医師は内視鏡を見ながら操作します。
左の図は焼灼をしている状態です。
青白く光っているのが電気の流れです。
  副作用は特に大きなものは報告されていませんが、術当日の鼻出血・術後約3日間の粘膜膨張・2週間ほどのかさぶたの形成があります。
左の図は術後3日目の鼻の中です。
たくさんのかさぶたが付いています。特に、粘膜は完全に腫れあがり、3日間は鼻呼吸が完全に出来なくなる為、両側一度に行うのはあまりお勧めできません。2週間ほど間をあけての片側づつの施行をお勧めします。
もちろん口呼吸で我慢いただけるなら一度で済ませることも可能です。
左の図は術後2週間目の鼻の中です。
鼻内は完成して、鼻の通り道ができているのがお分かりいただけるでしょう。この状態になるまではかさぶたの処理が必要ですので数回の通院をしていただきます。
その後も何かの障害がないか、粘膜の再生の程度がどれくらいか等、診察させていただきますので、定期的な通院をお願いします。
5 最後に
  粘膜焼灼はアレルギーを「治す」ものではありあません。一時的に症状を抑えるのみと考えてください。ただその「一時」の長さが人によってまちまちなのです。早い時には数ヶ月で元に戻ってしまう方もおられますが、もう何年にもわたって症状がなくなり、日々を快適に過ごしておられる方もたくさんおれます。
  術後の効果は人さまざまですが、効果が落ちたあと繰り返して施行することも可能ですので、お気軽にご相談下さい。
当院のアルゴンプラズマ凝固装置です。
電気を照射する電極の先端から噴射されるアルゴンガスを媒体として電気が流れ患部を焼灼します。これにより、スプレー状に電気が照射されるので、患部に均一で広い範囲の焼灼が可能となりました。
従来の焼灼(炭酸ガスレーザー・電気凝固装置など)よりも、患者さんの負担を減らせます。