■女性の名誉を毀損しヤラセ番組を放映した日本テレビに対し、会社としての謝罪を要求します!
  「女性自身」&「日刊ゲンダイ」が紹介


       2004年1月8日 弁護士・椎名麻紗枝


 私(椎名)のホームページで紹介した日本テレビ(HTV、日テレ)による若い女性に対する名誉侵害放映事件に対し、日本テレビは、代理人の私に対し問題のあったことを認めながら、社としての責任ある謝罪を5年が経過するも、未だに謝罪していない。
 この間、日テレは視聴率不正操作買収事件、ヤラセ事件を立て続けに起こしたが、日テレ首脳部はお座なりの説明で逃げようとしている。問題を引き起こした原因が何だったのか、根源まで立ち入った掘り下げがなされていない。再発防止の上からも大問題である。
 電波という国民の公共財産を使用させてもらっているという謙虚さ、自覚、責任感が著しく欠如しているテレビ局だと痛感する。
 思えば、5年前の名誉毀損ヤラセ放映問題を、日テレが社としてキッチリ処置しておれば、その後の視聴率不正事件、各種ヤラセ事件はこれ程までに大きくならなかったのではないかと思うと残念至極である。
 日本テレビは問題を起こした場合、最初は知らん顔して徹底的に隠そうとする――極めて隠蔽体質が濃厚である。隠しきれなくなると、末端の制作担当者の責任にして逃げようとする――社としての責任、社長以下首脳部の責任をことごとく回避しようとする体質がある。この社上層部の社会的責任の自覚が欠如しているところに不正事件続出の大原因である。これは、放送免許の資格の有無にもかかわる問題である。再発防止のためには社としての公式謝罪をあくまで求めていきたい。本件問題を「女性自身」2004年1月20日号と「日刊ゲンダイ」2004/1/8付が掲載したが、正鵠を得ているので、以下紹介します。
 
◆「女性自身」2004年1月20日号
日本テレビが隠し続けた“やらせ番組”への「人権侵害勧告(東京弁護士会)

 被害者女性が告白
飯島愛の侮蔑発言で私の人生は狂った! オバサン!!
《視聴率買収問題、″幻のイセエビ≠ナっちあげ報道……不祥事が相次ぐ日本テレビだが、ひた隠しにする事件が。5年間苦しみ続けた被害者女性が語るその顛末は――》
 「『コンビニで働いている青年に、女子高生が愛を告白するという設定で、うちの店舗を使いたい』撮影前に聞いたのはそれだけです。ところが、撮影当日、いきなり飯島愛さんが来て。でもビックリしたのはオンエアを見たときです。なんと私が、その男性従業員にちょっかいを出し、女子高生の恋路を邪魔するイジワルなオバサンという敵(かたき)役として映し出されていたんです」
 と、M子さん(36)は唇を噛みしめた。
 日本テレビ系の『嗚呼!バラ色の珍生!!』の撮影が、M子さん一家が経営していたコンビニで行われたのは、99年1月のこと。事実とあまりに違う映像に、M子さんは即座に日本テレビに抗議したが、のらりくらりの返答で、すでに5年が経とうとしている。
 この『バラ色の珍生』とは、94年10月から01年3月まで放映された視聴者参加型のバラエティ番組で、視聴者からの珍奇な体験談を募り、再現VTRを交えながら紹介するというものだった。「35年間、お互いに顔も知らなかった姉妹がスタジオで会う」など、「対面コーナー」も人気になり、視聴率は一時20%を超えていた。
 日本テレビは、視聴率買収問題、″幻のイセエビでっちあげ報道≠ニ、昨年は不祥事が次々露見し、放送倫理が問われているさなか。M子さんもあらためて03年12月に、自らの体験した問題について日本テレビに質問状を送ったのだ。彼女のケースを詳述しよう。
 日本テレビの番組責任者から、M子さんの弟に電話が人ったのが、99年1月17日。翌日には、局からの撮影許可願も出され、撮影に協力することになった。
 「打ち合わせでは『青年が本当に働いているように見せたいので、営業時間中に撮影したい。カウンターに男性2人が立つのは絵的によくないので、レジには女性に立ってほしい』とのことで、私がレジに立つことになりました」
 つまり、男性従業員の青年も、局側が連れてきた人物で、M子さんの店で働いている人ではない。また撮影当日、M子さんは初めて青年と女子高生に会っている。
 「撮影準備は朝9時から始まりました。午後1時すぎになって初めて、飯島さんが来るということを聞かされました。
 撮影後に、従業員役の青年に聞いたところ、彼は別のコンビニでバイトしていた、ことがあったそうです。『撮影をお願いすると、最初はOKだったけれど、飯島さんが来るとわかると、騒ぎになって営業に支障をきたす恐れがあるからダメと、断られたんです』と、言っていました」
 そんな状況もあって、日本テレビは、M子さんの店でもギリギリまで飯島のことは伝えなかったのかもしれない。
 
 「私は完全な悪役。女子高生の恋を邪魔する存在でした」

 「撮影が始まると、女子高生がジュースを手にしてレジに来たので、あまり見ても悪いと思い、目を伏せてレジを打ちました。彼女と飯島さんが代わる代わる何か買うので、そのたびにレジを打ちました」』 その間、店外からと、カメラマンがバッグの中に仕掛けた隠しカメラで、M子さんの映像が撮られていた。
 その後、M子さんは飯島に「おねえさん、ちょっと来て」と、店のワインセラーに連れていかれ『出てこないで』と、一言われたという。実はそのとき、店では女子高生からの店員へのアプローチが始まっていた。
 そして、オンエア当日。M子さんは仕事の合間に休憩室のテレビで冒頭の5分だけを確認して呆然とした。
 「目にしたのは、飯島さんと女子高生が『オバチャンの視線がコワイ…』と、騒いでいる場面。″オバチャン″というのが私のことだとわかってショックを受けました」
 放映直後、番組責任者から入った電話に、
 「独身の私に、“オバサン”はひどい」
 と訴えると、責任者はこう言った。
 「このぐらいで怒るようなら、あと2〜3ヵ所、怒る場面があると思います」
 録画しておいた番組のビデオをすべて見たとき、M子さんは全身総毛立ったという。
 再現VTRと称して、男性従業員にちよっかいを出し、女子高生にイジワルをする女優の演技が入り、そのあとにコンビニでのM子さんの映像が入ったのだ。しかも、
 《もしかして不倫り!?》
 《彼はいたがオバサンもいた!!》
 などのテロップで強調されていた。
 「私は完全に悪役でした。隠し撮りした私の顔が映し出され、飯島愛さんや女子高生に『オバサン』を連発され、イヤな顔をされ、女子高生の恋路を邪魔する存在として編集・放送されていたんです」
 当時32歳で、独身のM子さんが“不倫”などありえないが、視聴者には、そんなことはもちろんわからない。
放送翌日、町内ではすっかり噂になっていました。放送を見たお客さんや通行人にからかわれ、いたたまれない気持ちでした。男性店員と不倫などと放送されてからは、お客さんの視線が厳しくなり、店員の指導もしにくくて、情けなく、悔しかったですね」
 もちろん日本テレビ側に抗議したが、なぜ、M子さんが怒っているのかさえわからないという対応だった。
 「責任者は『流れちやったんだから、しょうがないじやないですか』『世間の人はすぐに忘れますよ』『今どきの高校生にとって20歳を過ぎたら皆 ″オバサン″です』などと、まったく呑気なものでした」
 放送に詳しいジャーナリスト・坂本衛氏はこう語る。
 「この番組の問題点は“やらせ”撮影に協力する人への“約束違反”、そして協カ者に対する“人権侵害”です。視聴率至上主義の彼らは、安上がりな素人を使って刺激的で面白いものを作ろうとし、時にでっちあげる。M子さんの問題は、氷山の一角です」
 悩んだ末にM子さんは椎名麻紗枝弁護士に相談した。弁護士はテレビ局としての謝罪などを求めたが、局側からは「謝罪は担当プロデューサーからしかできない」という返答が……。
  椎名弁護士はこう語る。
 「そもそも交渉段階からして、一市民に対する悪質な編し討ちであり、放送に関しては重大な人権侵害を侵しています。
 この問題がこのまま闇に葬られてはあんまりです」
 椎名弁護士の申し立てにより03年3月、東京弁護士会人権擁護委員会から日本テレビに、M子さんに対する人権侵害を認める『勧告』が出た。しかし、その後も進展はなし。
 「この5年近くのやりとりの間に、制作に携わった人の誰からも『悪かった』という言葉はいっさいありません。半日、店を貸した協力者に多大な迷惑をかけたのに、謝ることもできない人たちって、人
間としておかしいんじやないでしょうか?」(M子さん)
 結局、コンビニは閉店したという。
 この問題に対して、本誌が日本テレビに取材を申し込んだところ、広報からは以下の回答書が届いただけだった。
 「申し立ての女性との間では双方代理人を立て、話し合いの途中ですので、コメントは控えさせていただきます」
 そして、椎名弁護士には、
 「『勧告』は真摯に受けとめております。謝罪の意志はあります」
 という文書が12月になって届いた。放送から5年、人生を狂わされたM子さんへの謝罪はいまだ行われていない。

◆「日刊ゲンダイ」2004/1/8付
他局からも小バカにされ始めた日本テレビは本当に立ち直れるのか
 新たなスキャンダルに加え年末特番の視聴率が軒並み低調

不祥事を連発している日本テレビが年が改まっても集中砲火を浴び続けている。勢いのある時には抑え込むことができたスキャンダルが、弱体化したことで一気に噴き出しているのだ。
 まずは視聴率での大失態。大みそかは紅白歌合戟に民放3局が格闘技番組をぶつけたが、1局カヤの外だったのが日テレだった。
 大健闘のTBSのK−1が19・7%、フジテレビのPRIDEが17・5%だったのに対して、対戦カードで直前までモメた日テレの猪木祭は5・1%と惨敗。これを筆頭に、年末持番の日テレの視聴率はズ
タズタ。そこで、5日放送のワイドショー「とくダネ!」(フジ)が「視聴率ランキングに異変です。日テレの番組が年末のランキングのベスト10でゼロ本でした」とオチョクったのだ。他局から小バカにされるほど屈辱的なことはない。
 あの視聴率買収事件以降、芸能マスコミを中心に日テレの不祥事を暴き立てている。新たに報じられた醜聞は、一つは5年前に放送された「嗚呼/バラ色の珍生々」。この番組ではコンビニで出会った若い男女の恋愛を取り上げたのだが、これがヤラセで、人権侵害もあったと非難されている。
 もう一つは11年前に放送された北朝鮮の拉致問題番組。娘を拉致された家族に取材協力を受けながら、その家族には取材で得た事実を隠蔽していたというのだ。
 ヨレヨレの日テレにムチを打つかのように東京国税局が動き出したという情報もある。
 「一連のスキャンダルで不透明な金の流れが次々に明らかになり、当局が強い関心を示しているのです。プロデューサーの制作費のキックバックや局のいいかげんな管理体制を問題視しているようです」(事情通)
 ここにきて日テレのブランドイメージもズタズタだ。阪神の前チーフ打撃コーチの田淵幸一の長男は、フジと日テレの再来年4月の入社試験で内定をもらったが、日テレを蹴ってフジを選んだ。
 日テレは今年は視聴率4冠王の座から滑り落ちる可能性も大きい。この危機的状態から本当に立ち直れるのか。