ニューヨーク停電に見るアメリカ電力網の脆弱さ(その1)

上の写真は、the National Ocean & Atmospheric Administration (NOAA)という研究機関が撮影した、8月14日のニューヨーク停電時の衛星写真です。白い部分は電気が灯っているところです。何か、右上だけぽっかりと真っ暗な部分がありますよね。これがニューヨークを中心として1500万人が停電の被害にあった地域を表しています。 衛星から見ても分かるっていうんですからその規模の大きさが想像できます。
この停電、まだ正式には原因が何だったのか発表されていません。いろんなメディアや専門家の間で憶測が飛び交っていますが、もしかするといくら頑張っても原因は解明できないかも知れません。 その理由については後で説明します。

このあと、「最も信憑性のあるシナリオ」について説明しようと思うのですが、それを理解するために少し予備知識が必要になります。我々一般人は知らない電力供給網の特性です。
特性1:発電された電気は貯めておくことが出来ない。
特性2:石炭や原子力を動力とする発電所は簡単に起動・停止が出来ない。
特性3:この瞬間、どれだけの電気が必要とされているか、発電所は知らない。
特性4:網の目のように張り巡らされた送電線を、電気がどのように流れているのか、誰も知らない。
特性5:電気は電圧が高い方から低い方へ流れる。
特性6:送電線で急激な電圧の変化が生じると、危険防止のために近隣の発電所はストップする。
特性7:電気は光の速さ(秒速37万キロメートル)で移動する。
で、今のところ、「最も信憑性のある」シナリオは次のような感じです(分かりやすいように少し割愛しています)。
1.クリーブランド(Cleveland:オハイオ州)のとある発電所がトラブルによって運転停止。
2.クリーブランドの電気が足りなくなった(電圧が下がった)ため、オハイオ州南部の発電所から電気が急激に流れ込む(特性5)。
3.急激な電圧の変化によりオハイオ州南部の発電所が運転停止(特性6)。
4.オハイオ州の電力供給が全滅したため、デトロイト方面から電気が流れ込もうとする(特性5)。
5.デトロイトの発電所がビックリして運転停止(特性6)。
6.デトロイトにはトロント方面から、オハイオ州にはペンシルバニア州から電気が流れ込もうとする(特性5)。
7.で、やっぱりトロントとペンシルバニア州の発電所がビックリして運転停止(特性6)。
8.ほぼ全滅状態の五大湖沿岸地域に向けて、ニューヨークから電気が流れ込もうとする(特性5)。
9.ニューヨーク発電所ストップキタ━━━( ゚∀゚ )━(∀゚ )━(゚ )━( )━( ゚)━( ゚∀)━( ゚∀゚ )━━━!!!!
といった感じです。「最も信憑性のあるシナリオ」という言い方しか出来ないのは、特性7に示したように、電気は光の速さで移動するため、1〜9の出来事が一瞬にして起こったように見えるためです。つまり、今回の騒ぎでストップした発電所の記録を見ても、「全部いっぺんに止まっちゃった(゚∀゚)ノ」ということしか分からないんです。