自律神経失調症についての一症例
2005年7月10日 新医協関西集会
尼崎鍼灸センター 田中千里
■症例 N.J 昭和42年5月生まれ 女性 主婦
■初診 平成12年5月1日(33歳)
■紹介者 母親(五十肩にて当院に通院中に)
■主訴 肩こり、めまい、のぼせ、目の疲れ、フラツキ
■病歴 17歳 自律神経失調症といわれる
平成11年12月 喘息 あとは特になし
■問診表から アルコール飲まない・たばこ吸わない 手足の冷え、肩こり、汗が出やすい、めまい立ちくらみ
目が疲れやすい、動悸、のぼせ、疲れやすい
■個 人 歴
主人との二人暮し。新婚時(平成7年)伊丹市、平成13年に転居し現在は尼崎市在住。初診時は伊丹市から通院。主人とは幼なじみで恋愛結婚。尼崎育ち。特に大きな病気、事故はない。17歳の時に自律神経失調症といわれ現在に至る。原因らしきものは思い当たることはなく、来院の2〜3年前ごろから症状がきつくなり母親の勧めで来院する。鍼灸の経験はない。自律神経失調症については大阪のクリニックにて治療中である。動悸、めまい、ふらつきが強くて一人で買い物にも行けず、寝たりおきたりの生活。
主人との関係、主人の両親、自分の両親との関係問題なし。初診時は結婚5年目。現在も治療を継続いる。(38歳)
■初診時の訴え
動悸・肩こり・めまい・ふらつき・のぼせ・目の疲れ
17歳から自律神経失調症といわれている。病院にいきながら過ごしてきたが、この2〜3年症状が特にきつくなり、ふらつきがひどくしんどいのと不安で一人で買い物にも行けない状態で、寝たりおきたりの生活である。
生理は不順。(始まったときから不順) 初潮15歳
■所 見
食欲(食べれば食べれる) 睡眠(薬を飲んで寝ている) 便通(2日に1回) 尿(正常)
身長147cm 体重43kg
小柄で可愛い感じ。手足が小さい。化粧はせず、飾り気もないが、嫌な印象はない。聞かれたことにははっきりと答える。
手足の冷え・手足の発汗(+)・腹部お血(+)
腹部の冷え・下腹部に力がない。
脈差診:脾虚・腎虚 脈状診:緊・数
■治 療
脈、腹部、舌を診ながら身体の全体調整をし、置鍼と半米粒のお灸。その日の状態により多少治療は変わるものの、脾と腎を助けながらその時の訴えに対応、週1回のペースで治療をすすめる。
@12.5.1 治療後少しからだが軽くなった感じがする。
B12.5.10 寝つきが悪くて、寝起きが悪い。目の疲れ、肩こりは治療後は少し楽になるがまたおこる。少し便秘気味。大きな変化はない。
D12.5.27 生理が始まったが、生理痛がなくて驚いたとのこと。肩こり、頭痛、目の疲れ、頭痛は少しましであるが続いている。
F12.6.10 まあまあの調子。肩こり(+)・動悸
I12.7.8 そういえばめまいフラフラがなくなった。生理も少しずつ順調。身体が楽になった。最近薬を使っているが眠れる。時々胃痛あり。
L12.7.29 めまいなし。買い物も一人で行けるようになった。
P12.9.9 頭頂部痛、肩こり、鼻づまり
S12.10.14 足の冷え、のぼせ、生理中、生理前のしんどい感じもなくなった。
25 12.12.2 一週間調子よく過ごせた。不安な感じもない。最近元気そうだと言われる。
35 13.5.5 引っ越し。引っ越し業者に頼んだがいろいろ大変だった。今までの自分では考えられないが、何とか終わった。やれたのが嬉しい。疲れた。
36 13.5.12 肩こり、冷え、下痢、疲れやすい
40 13.6.23 やっと調子を取り戻した。肩こり、鼻づまり
74 14.12.23 主人のお父さんが入院。店を手伝いだした。化粧をしている。
75 14.12.29 調子はよい。忙しい中にも気が張っていて何となく調子よい。
77 15.4.5 肩こり。左足小指がしびれ時々あり。腰は痛くない。
81 15.10.11 鼻づまり(アレルギー)、腰痛、肩こり
92 17.5.7 風邪気味、鼻づまり、喉のイガイガ、肩こり、頸が痛い。症状的に治療に時間がかかること、週一回の治療で根気よく通っていただくよう話し治療を行う。平成12年は週一回。平成13年は月2〜3回程度、平成14年は2回程度、15・16年は月1回程度、平成17年は2〜3ヶ月に1回の治療で現在も通院中である。
■経過および考察
最初のころの「自律神経失調症」と言われていた生活に支障が出るような症状は治療をはじめて2〜3ヶ月後にはほぼ改善。一人での買い物や、日常生活等は支障なくできるようになり、クリニックから出ていた安定剤も飲まなくても眠れるようになった。生理も不順だったものが1〜2ヶ月とぶということはなくなり、10日ぐらい遅れることはあってもほぼ順調になる。それに伴い全身の改善をみている。現在は、主人の両親の経営する化粧品屋を手伝っている。2年前頃から少しずつ太りだし小柄なポチャッとした感じである。生理不順を治さないといけないと言う最初の話を守りきちんと治療に通い、「普通に生活がしたい」との最初の希望が達成した今も、こんどは予防として通院している。
原因としては女性ホルモンのバランスのくるいを疑い、生理周期をチェックしながら治療を進めた。西洋医学的には諸症状から自律神経失調症という病名がつき治療していたのだが本人の中には生理との関連付けての思いはなく、症状が辛いので楽になるのであれば…という本人の思いと、長くかかるからとにかく治療を継続してほしいという施術者の思いの中で治療する。15歳で生理が始まったものの子宮の成長としては未成熟であり、30歳を過ぎたところで色々な症状を出したように思われる。現在は子供はいないまでも夫婦仲はよく、主人の両親ともいい状況で付き合っていっている。このように生理はあるが子宮、卵巣の成熟をみていないとか、冷えやストレス等により生理に影響の出ている女性たちはとても多く、このような症状に鍼灸がよくきくということをできるだけたくさんの人に知ってもらいたい。