準備 数え60歳を迎えるにあたり、還暦前に人生前半に区切りをつけて、後半の人生60年?をどう生きるかを考えたくなりました。それで、自分を見つめなおす為に、お遍路に出る事を計画しました。 20歳の時に、成人への旅立ち記念として、東海道53次徒歩旅行を実行して以来の事です。 その時は560Kmを10日間で歩きました。8月の暑い季節でしたが、毎日50Km以上歩きました。 テントを持たない野宿でしたので、疲れたら田んぼの畦や、草むら等に寝転がり、起きたら歩くの毎日でした。 腕時計を持っていなかったので時間が分かりません。朝3時から歩いて、夜9時まで歩いたことも有りました。夜8時か9時かは忘れましたが、どこからともなく聞こえてくるラジオの歌声「ワーオ、ワーオ、心の底からワーオ」。 当時人気のあったNHKラジオドラマ「青年の樹」の主題歌です。途端でホームシックにかられ、無性に家に帰りたくなったのを覚えています。 その頃の体力は、今はもう望めません。殆ど運動をしていない毎日です。体重も当時より12Kgも増えています。でも、どうしても歩きたいのです。最近、心臓も期外収縮がひどくなり、1日に10数回息苦しくなるほどの動悸がします。山中で息苦しくなったらどうしよう。 数年前から始めた気功のお陰で、徐々に発作が少なくなってきてはいますが不安です。 糖尿病も今は正常ですが、お遍路に出て悪化しないだろうか。色々な思いが浮かんできました。これは潜在意識が、失敗した時の言い訳を考えているのでしょう。 それで、余計なことは一切考えずに、ただ、出かけることのみを考える事にして出発の準備をしました。 日程は5月6日よりスタートして、6月10日の誕生日に結願するよう計画しました。 体力作りは4月に入ってから開始し、最初は毎朝5kmのウォーキングから始めました。たったの5Kmですが、家に帰るとクラクラとめまいがしたり、喉が乾いたり、空腹感が襲ってきました。これで本当に歩けるのだろうか、とても心配でした。 2週目からは10Kmを2時間で歩きました。3週目は15Km.。4週目には毎日20Km歩けるようになり、何とか体力に自信を持てるようになりました。 情報収集 へんろみち保存強力会編「四国遍路ひとり歩き同行二人」を購入し準備をしました。別冊の遍路地図は内容は詳しいが、分かり難く、特に現在位置がつかみ難いようです。 今歩いているコースと国道などとの位置関係がはっきりしません。それで、国道を離れた地域や山間部では、国土地理院の5万分の1の地図を用意しました。出会ったお遍路の殆どは「同行二人」の地図を携帯していましたが、これだけしか持たない人はかなり道に迷われたようです。 現地では、「遍路マーク」の道標がありますが、これに頼りきって地図を見ないと肝腎なところでマークが途絶えてしまい、道に迷う事があります。 都市部では勝手に張り紙をすることには難しい面があるようですが、辺りをよく見れば、どこかに貼ってあるはずです。 人というものは癖があります。物を見るにも癖があります。せっかく貼ってあるマークを見落とす人もいれば、簡単に見つける人もいます。 見つけられない場合を想定して、マークは自分の現在位置と照らし合わせて参考にすべきでしょう。地図上で確認できない時は、マークだけに頼らず地元の人のアドバイスに従う事も大切でしょう。 お寺で経本を見ないでお経を唱えている人がいました。 読経とは、読んで字のごとく、経本を読むことです。お寺の住職も毎日の読経では必ず経本を開いています。 団体では先達やガイドの鈴の音に合わせて唱えているようですが、唱えるのではなく、経本を腹の底から力強くゆっくり読み上げましょう。 お経を読むと、その響きが脳に振動を与え、脳を活性化させます。自分の脈拍に合わせてゆっくり読んだほうが、脳も活性化し、リラックスします。リズムをつけて早口に唱えても脳に響きません。 お経を読むというのは、自分の心を鎮め、精神を安定させ、脳を生き生きさせる為のものです。 そう考えると、お経を読むということは、自分の健康のためにも大切な行為です。おろそかには出来ないと思います。 団体の場合は、バスの中でコンビニの昼食弁当を摂るほどスケジュールが過密です。お経も読み上げるのではなく、ガイドや先達のリズムに合わせて速めに切り上げる必要があるのでしょう。味気ないと思いますし、これでは自分の脳も活性化されないと思うのですが、いかがなものでしょうか。 装備 靴は、マメが出来ない事で評判のナイキの「エコウォーカー」を購入しましたが、トレーニング段階で足首をいためてしまい、エアーシューズに切り替えました。(但し、途中で靴底が磨り減ったため、2足目は防水性に優れた、このエコウォーカーを履きました)。 サイズは通常より2センチ大きいものが良いそうですが、大きすぎると思い1,5センチ大きいのを購入しました。後でこれで悩む事になりました。雨にあうと足はふやけ、疲れでむくんできます。あと5ミリ大きければこんなに苦しまないですんだかもしれないと後悔しました。 靴は思いきって2センチ大きめのを購入したほうがいいでしょう。 衣類はYシャツを除いて、全て乾きが速くて汗を蒸散させる化繊のものにしました。着替えは1組だけにして、毎日洗濯をして着用しました。 たいていの宿には洗濯機があり、洗剤も置いてあります。有料の場合は100円、乾燥機が200円〜300円程度です。ビジネスホテルでも洗濯機を置いてあるところもあります。手洗いの場合はバスタオルで吸いとれば翌朝までには乾きます。 白衣の代わりに白の麻のYシャツを着用しました。麻は紫外線を通すので、長袖でも日焼けしてしまいました。日焼けを防ぐには、薄いポリエステル混紡がいいようです。 金剛杖は使用しませんでした。道路の殆どは舗装された平坦地ですので、歩くのに邪魔になります。杖の中心を持って横にして持ち歩いたり、リュックにくくりつけている姿をよく見かけました。山道以外は不用でしょう。 杖はお大師様の分身であるとか、死んだ場合の卒塔婆代わりだという人もいますが、文献を調べてもそのような風習は見つかりませんでした。昔は山また山の険しい遍路道だったことと、山にはマムシやイノシシが出没するので、武器として重宝していたようです。ですから、背丈ほどの長い杖を使用していたようです。 今は、歩き遍路には不用で、むしろバスツアー遍路の持ち物になっている感じがします。長さも短くなってバスの乗降に支障にならないようになっています。とは言っても、殆どのお遍路は金剛杖を携帯しているようですが。 もし、昔のような服装にすべきだというのでしたら、履物は、わらじにすべきでしょう。 今では、僧侶でも遍路では靴を履き、酒も飲みます。托鉢僧はぞうりを履いているようですが。 時代は変わりました。靴だけは別だと言って高級なものを推奨しておきながら、正装云々は商売上の考えではないでしょうか。 文献を調べてみましたら、四国遍路がポピュラーになったのは、宗派にこだわらないで巡礼できること、服装も自由で、誰でも行ける事が大きな理由の一つに挙げられているようです。 現に、歩き遍路のかなりの人はスポーツウエアーを着用しています。上は白衣を着用しても、ズボンは色物のトレーニング用が多く見られました。 靴は、スニーカー、登山靴、エアーシューズ、地下足袋など様々です。出来れば、防水の効いたゴアテックスのエアーシューズで、靴底が磨り減らないものがあれば最高と思うのですが、探しても見つかりませんでした。 普通のエアーシューズは底がすぐに磨り減るので途中で買い換えないと山道で滑りやすくなります。私は45番札所で交換しました。 水筒 どこにも自販機がありますが、私は300mlペットボトルを用意しました。お寺でその都度補給します。 山道、次の寺までが長い日は500mlのボトルにします。荷物になる人は山道以外では持参不用でしょう。 現金 3〜4万円程度。後は郵便局のカードを持参。遍路道にはどこにも郵便局があり、カードで気軽に下ろせます。 お賽銭用に10円玉を、お寺の数の2倍用意。お賽銭は10円が相場です。お寺によってはお賽銭両替機があります。100円玉を10円玉に両替する機械です。本堂、太子堂に計20円必要です。 昼食 遍路の初め頃は、喫茶店や食道で昼食を摂っていましたが、街中を過ぎると食堂が少なくなります。数日後には、おにぎり、アンパンに切り替えました。 お寺や、休憩中に、あるいは歩きながら少しづつ食べたほうが、エネルギーが持続しますし、昼食に時間がとられなくてすみます。 アンパンは80〜100円のを3個あれば十分。11時、12時、13時に1個ずつ食べると夕方まで元気にシャリバテ(エネルギー切れ)しないで歩けます。 途中で出会った女性はおにぎり1個、アンパン1個でした。お遍路を終わる頃には体重が10kg落ちたそうです。私はアンパン3個で、体重58kgをキープ。体重も、ウエストもぜんぜん落ちませんでした。 コンビニがない所もありますのでカロリーメイトを1箱非常食に用意します。1箱で400カロリーあります。 私は、何日間か、カロリーメイト1箱で歩き通しました。 何もしないで暇な時は結構おなかが空くものですが、歩き続ける事に慣れるとお腹が空かなくなります。 仕事でも、暇だと空腹を感じるが、忙しいと昼食抜きでも空腹を感じないのと同じです。 アンパンは6月頃でも10日間は持ちます。私は焼山寺を越えた鍋岩で10日間も賞味期限が切れたアンパンを買ってしまった事がありましたが大丈夫でした。山中での小売店には賞味期限切れが多いので注意しましょう。 着用: トレーニングパンツ。万歩計付ベルト。パンツ。靴下。麻Yシャツ。半袖Tシャツ。 ハンカチ。 時計。帽子。 着替え衣類: 麻Yシャツ。靴下。タオル。ゴルフズボン。半袖Tシャツ。パンツ。 持ち物: 雨具上下。納経帳。納札。地図。手帳。シャーボ。カメラ。携帯と充電器。 ミニライト。 ICレコーダー。 輪袈裟。郵便局キャッシュカード。免許証。ウエストポーチ。ザックカバー。経本。 雑物 : 歯磨きセット。500mlペットボトル。コンパス。電池。電気カミソリ。登山用折りたたみ 杖。 保険証コピー。ロールペーパー。ビニ袋(地図ケース代わり、衣類保護など用途広 い)。 薬類 : プロポリス。.八味丸。ビタミン・ミネラル剤。クエン酸。はさみ。針糸。鎮痙剤。胃薬。鎮痛剤。 筋弛緩剤。毛抜き。カットバン。輪ゴム。ステロイド軟膏。テーピングテープ。爪きり。 以上で、ペットボトルに水を500cc入れても、総重量4Kgで収まります 次へ |