京急エルガノンステップバス バリエーション

 京急のノンステップバスは1986年に試作された三菱エアロスターに始まるが、その後本格的な導入は10年以上も後のことになった。1990年台後半になると、量産向きのノンステップ車も登場し、都内路線を中心に導入が始まったが、本格的な投入というにはやはりこの車種の登場を待たねばならなかった。2001年にいすゞ路線バスのリニューアル「エルガ」が発売され、京急でも都内の大森営業所と羽田京急バス東京営業所に1台ずつエルガノンステップ車が登場した。これまでのノンステップ車は在来車種の改造名義といった性格が強く、ノンステップ化のための困難なデザイン変更の痕跡が随所に見られたが、この車種ではステップ数の異なるバリエーションがあるにもかかわらず、その展開にも耐えうるデザインが採用されており、これまでのノンステップ車にはないスタイリッシュなイメージとなったと言えるだろう。

 その後、年々エルガノンステップ車の増備が進められることになり、2002年には文庫駅西口発着を担当する能見台営業所、2003年には横須賀市内の久里浜営業所にも活躍の場を広げた。近年の都内配属車では全ての大型車両がこの形式で導入されている。続いて2005年には横須賀市中心部を担当する衣笠営業所へ、2006年には堀内営業所と鎌倉営業所にも初の大型ノンステップ車として活躍エリアを広げている。

 バスコレクションでは第7弾でこのエルガノンステップ車が登場した。第5弾からそう離れていないうちにノンステップ車が再び登場したのは意外でもあるが、このノンステップ車の一般化は京急以外の事業者でも顕著であり、活躍の幅がそれだけ広がっていることを裏付けているのかもしれない。

 製作にあたっては、実車の分類が困難でありながらも、楽しい作業となった。最初の2001年式の2台だけは従来の方向幕式で、それ以降は全てLED表示車。冷房機は2004年までの導入車とそれ以降で形状が異なり、模型は前半のスタイルのものがプロトタイプになっている。全長は大半が模型と同じもので、2004年に羽田京急バス担当の羽田空港ターミナル間循環バス専用車として専用塗装で登場した1両だけが、若干長い車両になっている。細部に関しても、京急バスの一般的な分類適用され、能見台以南の在籍車は整理券方式なので、前乗り均一料金方式の都内仕様車とは出入口の関係が逆になる。また後から導入された車両ほど、転属時を考慮しての汎用度を高めるためか出入口の標記類の掲出がシールによる貼り付けから、サボ差しのついた厳つい雰囲気になる一方、乗客に直接関わらない「低公害車標記」等は後から追加されるも年を追うごとに簡略、小型化される傾向があるようだ。

 バスコレの実際の加工のほうは非常に簡単で、第7弾のうち後方がステップ式のタイプになった臨港バスを活用した。加工という加工はそれほど多くなく、ガラスの標記類を綺麗に除去し、コンパウンドで仕上げる程度である。車体的にも仕様は完全に同一になっており加工箇所は皆無。塗装剥離後、車体塗装→バンパー塗装→デカール作業の順で車体は完成である。車体への標記が所属営業所や年式により大きく異なるので、その点は車両の個性の部分なので、実車写真を見ながら作業を進めることにした。

 2004年式までの車両はこの方法で量産が可能であったが、2004年式の最後に入った羽田京急バスのNH2459は契約輸送の羽田空港ターミナル間循環バスの専用デザインで投入され、他の車両と全長も異なっている。専用シャトルバスのため、車体に空港ターミナルの案内が掲示されており、これまでの京急のエルガとは雰囲気の異なる車両となった。日本語の他に中国語とハングル文字の標記も併記されており、バス製作で英語以外の外国語に触れ合うという面白い経験をした。

 2005年式からは、エルガノンステップバスがマイナーチェンジされており、ターボ付きエンジンが標準となり、これまでのいすゞ8気筒から日野エンジンの系統を思い起こすようなタイプに変更された。外観では屋上の冷房機の形状が大きく変わり、大型で車体デザインに合ったものになったようだ。ただ、バスコレの世界では2006年1月に発売された都営バス限定品でだけしか入手が出来ないモデルになっており、今後何らかの形で入手できることを願いたいモデルだ。雪の降る東京地方で並んで購入したモデルであったが、エルガバリエーションを増やすには欠かせない車両であるため、意を決して塗装剥離し、製作したのは言うまでもない。この貴重なモデルを活用して製作したのは2005年7月に横須賀市内中心部に路線固定で登場した衣笠営業所の車両で、地元路線初のノンステップ車だったので、完成してみると限定モデルを加工してしまったことなどすっかり忘れてしまう存在感だ。

 その後、2006年になってからの投入車として興味深いのは鎌倉営業所に投入された3台と大森営業所のお台場路線の首都高速道路走行専用車で、前者は鎌倉市内初の大型ノンステップ車となり、後者は全長の長いタイプとなったのが大きな特徴となっている。ただ、両タイプとも2005年式同様に都営バス限定品を犠牲にしなくてはならず、今後意を決して製作をしなくてはならない点が悔やまれる。冷房機だけをキャストでコピーできたとしても、このモデルでは車体そのものも改良が施され、実車により近いイメージになっていることを考えると何らかの形で再び市場に出てくることを願わずにはいられない製品である。
 


エルガノンステップ車のうちの2001年導入の2台だけで見る事ができる方向幕の車両。羽田と大森に一台ずつの配置で、羽田の車両は系統によってはカラー方向幕が採用されているため、非常に華やかな印象だ。

 羽田車は経由地によって色分けをしているのが特徴で、青方向幕となる蒲41系統 蒲田駅〜萩中経由〜羽田空港線で製作をしてみた。そのほかに黄色い幕や緑の幕も存在し、バリエーションが楽しみたいが、羽田で方向幕車はこのNH2154の1台のみ。

能見台の2003年式エルガノンステップ車。このスタイルの車両は比較的早くからノンステップ車を導入している大森、羽田、能見台、久里浜の各営業所管内で活躍している。バスコレのプロトタイプと同一なので最も簡単に製作が出来るタイプだ。

能見台の車両は整理券方式のため中乗りの車両となるが、乗車側の標記が多くなるため都内の車両とは雰囲気が異なる。都内の車では緑色のバスカード標記が前輪の上付近になるが、能見台車は中ドア脇のガラスになるのが特徴的。

2005年式のエルガノンステップバスは冷房機の形状が変更になり、雰囲気が変わった。新たに衣笠営業所にも配置され、横須賀市中心部での活躍も見られる。その後、2005年式以降の京急の車両はすべてこのスタイルとなり、現在も増備されている。

最新モデルながらも都バス限定セットで発売されただけでその後動きがないのが残念であるが、意を決して製作した甲斐のある衣笠のノンステップ車。用意に入手できるモデルであれば、もう少しバリエーションを増やしたいところであるが・・・・。



京急のエルガの中では珍しいモデルのCNG車。これは2005年式の2台で大森営業所に二台配置され、大森50系統で使用されている。京急のノンステップ車の中では唯一のフルフラットタイプで、冷房機はスペースの関係からか従来のタイプになっている。模型では東武バスに搭載のCNGタンクを使用し、フルフラットのモデルに取り付ければ、都営バス限定セットを使用しなくても製作が可能。


エルガの中でも目立つ存在のCNG車は模型にしても存在感がある。CNGタンクには3方向に専用デザインのロゴが配置されており、この3色のグリーンの再現が非常に困難であった。

京急のエルガノンステップ車の中で唯一の専用塗装車で、羽田空港ターミナル間無料連絡バスで使用されているNH2459。車体の標記類が3ヶ国語で標記されており、専用車らしい外観になっている。車体も若干長めで、車内は前方のフラット部分はスーツケースなどの大型荷物の積載スペースになっている。

標記のハングルや中国語を並べるのがこのデザインを製作する際のポイントで、これまでにないデカール作りになった。白いボディーの京急バスなので、他の車両との違いが歴然としており、羽田空港や営業所のシーンではひときわ目立つ存在だ。

上の専用デザインのバスの他にも一般車を使用して代用することもあり、ターミナル間循環バス用のサインシートを掲出して走る京急の一般塗装車を見ることができる。シールなどを製作すれば、羽田車を簡単に変身させることができそうだ。LEDデザインは専用車と共通のようだ。

まだまだ増備される本形式だけに、これからも注目していきたい題材だ。模型素材としてもなんらかの進展があることを願い、今後のバリエーション製作を楽しみたいところである。

2007年2月記

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