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アポロン・アルテミス・その他 編 |
このページでは、アポロン・アルテミスと、それに関連した星座(オリオン座など)を紹介していきます。
アポロン(ロ・英:アポロ、太陽)
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アポロンはゼウスとタイタン族の一人レトの間に、アルテミス(月の女神)との双生児として生まれました。後にはアポロン=太陽神というイメージが定着しますが、本来のアポロンは音楽と弓矢と予言の神で、ギリシアで最も名高いデルポイの神託の主でもあります。 左のギリシアの切手では竪琴を奏でる青年として描かれています。
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古代ギリシアでは、ヘルメスが亀の甲羅と牛の角で初めて琴を作り、それにアポロンが音楽をつけて、オルフェウスに渡されたと信じられました。
オルフェウスの妻エウリュディケーは蛇にかまれて死んでしまいましたが、諦めきれないオルフェウスは冥界へ行き、琴の音でハデスとその妻ペルセフォネを感動させました。 そこで、エウリュディケーを連れ帰ることを許されましたが、ただ、太陽を見るまでは後ろを振り返ってはならない、という条件がついていました。 しかしオルフェウスは不安の余り、振り返ってエウリュディケーを見てしまい、妻は再び冥界に戻されてしまいました。
オルフェウスはトラキア(現在のブルガリアを中心とした地域)の女たちに八つ裂きにして殺されてしまいましたが、彼の琴は誰も弾きこなせなかったので、星座に挙げられました。 左上のスウェーデンの切手は、グルックのオペラ『オルフェウス』の一場面(背景は多分、三途の川)、右上のアメリカの切手では、なぜか女性が琴を弾いています。
からす座(1)、へびつかい座、へび座
テッサリア(現在のギリシア東北部)に住むコロニスという娘に恋したアポロンは、彼女の元に通うようになり、連絡係としてカラスを使っていました。 当時のカラスは白い色の鳥でしたが、このカラスはコロニスが人間の若者と親しくしているのを告げ口したので、アポロンは怒ってコロニスを殺してしまいました。 しかし早まったことをしたと後悔したアポロンは、カラスに八つ当たりして黒い鳥に変えました(からず座;下の切手は、ソ連の金星探査機ベネラ8号打ち上げ記念のハンガリーの切手。探査機の右方のからす座の下から時計回りに、うみへび座の尻尾、ケンタウルス座、おおかみ座、さそり座、てんびん座、おとめ座)。
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コロニスは死んだ時、既にアポロンの子を身ごもっていたので、アポロンはその子を取り出してアスクレピオスと名づけ、賢者キロン(ケンタウルス座)に育てさせました。 アスクレピオスは名医として知られ、ついに死者をも生き返らせたので、冥界の王ハデスの抗議によってゼウスが雷撃で倒し、星座にされました。
左下のギリシアの切手では、1匹の蛇が巻きついた杖を持ったアスクレピオスに、患者とその家族が近づいています。 この杖はアスクレピオスの棒と呼ばれて、医学のシンボルとされ、下中央の国連切手のようにWHO(世界保健機関)のシンボルマークにもなっています。 しかし中世以降、ヘルメスの持ち物だったカドゥケス(ヘルメスを参照)と混同されて、右下に挙げたオーストラリアのフライング・ドクター(医者が飛行機に乗って、へき地の往診をする)の切手でも、医者の象徴として翼の生えたカドゥケスが描かれています。
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からす座(2)、コップ座、うみへび座
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からす座については、上で紹介したのとは別の言い伝えもあります。
神々が儀式を行おうとした時、アポロンはカラスにコップを持たせて神聖な泉の水をくみに行かせました。 しかし、カラスは泉のそばにイチジクの木があるのを見て、実が熟すまで待ちました。 数日後、熟したイチジクの実を食べ終えた後で、お使いのことを思い出したカラスは、コップに入れた水の他に、蛇をくわえてアポロンの所に戻り、この蛇が邪魔をしたから遅れたのだと言い訳をしました。 しかし、全てを見通したアポロンは、罰としてカラスをそれまでの純白から黒い色に変え、神に対して嘘を言った時の見せしめとして、蛇(うみへび座)とコップ(コップ座)と共に星座にしました。
コップ座は、英語ではクレーターCraterで、火山の噴火口や月などにあるクレーターもお椀型をしていることから、同じ単語で呼ばれます。 このクレーターの語源になっているギリシア語のクラテールは、古代ギリシアでワインと水を混ぜるときに使われた陶器のことです(古代ギリシアでは、ワインを水で割らずに飲むのは、大酒飲みのすることとされていた)。 クラテールは、ここに挙げたイタリアの切手のような形をしていて、根元に耳状についた取っ手をつかんで持ち上げます。 クラテールの高さは50cmくらいありますので、アポロンの使いのカラスはよっぽど力持ちだったのでしょう。
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アルテミス(ロ:ディアナ、英:ダイアナ、月)
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アポロンと共に生まれたアルテミスは、純潔を守る狩猟の女神で、右の切手のように弓を持ち鹿を従えた姿で描かれます。 このアルテミスが月に結び付けられるようになったのは、双子の片割れのアポロが太陽神になったのに付き合ったためです。
おおぐま座、こぐま座、うしかい座
ニンフのカリストは、狩の女神アルテミスに従って、男を寄せ付けずに山野を馳せて狩猟を続けていました。 ある日のことカリストに目をつけたのが例によってゼウスで、アルテミスの姿に変身して近づき、油断したところを襲いました。
その9ヵ月後、アルテミスは水浴びをして、ニンフ達にも勧めたので、とうとうカリストのお腹が大きくなっているのが分かってしまいました。 カリストは男の子アルカスを生みましたが、アルテミスの怒りは増すばかりで、ついにカリストを熊に変えてしまいました。 アルカスは成長して少年となりましたが、ある日、森の中で熊さんに出会いました。 それが母親だと気づかないアルカスは槍を投げて仕留めようとしましたが、その瞬間、ゼウスが両者を天上に連れ去り、おおぐま座とこぐま座にしました。 しかし、ゼウスの浮気を許せないヘラによって、海の中で休むことを許されず、常に北の空で回り続けることになりました。
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左上はルーベンスの絵(サントメ・プリンシペの切手)で、右方では他のニンフがカリストのお腹を隠そうとしていますが、左のアルテミスは既に気づいて、驚きのあまり両手を差し伸べています。 上中央は、フェロー諸島(イギリスの北にあるデンマーク領の島々)の切手で、北斗七星(おおぐま座の尻尾)から北極星(こぐま座の先端)を見つける点線も引かれています。 右上は、1959年にアラスカがアメリカの49番目の州に昇格した時の切手です。 北極星の下を通過する北斗七星が描かれていますが、このモチーフはアラスカの州旗と同じものです。
左のニウエの切手では、中央上におおぐま座、その左上に、りゅう座を挟んでこぐま座がありますが、こぐま座はハレー彗星に接近したソ連の探査機ヴェガの絵と重なってしまっています。
この切手で、おおぐま座の左下に見えているうしかい座(その右のりょうけん座を連れています)の由来ははっきりしませんが、こちらがアルカスの姿だとする説もあります。 うしかい座の1等星アルクトゥールスは熊の番人の意味で、英語で北極を表すアークティック arctic も、「(星座の)熊(の方向)」が語源です。 うしかい座の左は逆さになっているのはヘルクレス座、りょうけん座の右下はしし座で、その上のワシとゼウスは星座ではありません(このゼウスについては、エリダヌス座のところで紹介しました)
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オリオンは巨人族の一人ともされますが、一般にはポセイドンの子といわれる狩人の神で、二匹の犬(おおいぬ座とこいぬ座)を引き連れ、うさぎ(うさぎ座)を追っています。 上の切手のうち左はアメリカ、中央は日本(東京天文台100年記念)、右はトリスタン・ダ・クーニャの切手です。 トリスタン・ダ・クーニャは南大西洋にある絶海の孤島で、南半球からはオリオン座は逆立ちして見えるので、この切手でも逆さに描かれています。
左下はギルバート諸島の切手のおおいぬ座、右下はピトケアン諸島(軍艦バウンティ号の反乱者がたどりついた南太平洋の島)のこいぬ座です。
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オリオンは狩の女神アルテミスと一緒に狩をして歩いていましたが、彼は地上のあらゆる野獣を全て射止めてみせると大言したため、アルテミスによって殺されてしまいました。 一般にはオリオンはアルテミスが送ったサソリ(さそり座)によって殺され、今でもオリオンはさそり座が上る頃になると西の地平線に隠れるのだ、とされます。
しかし、古い伝承ではアルテミスに射られて殺されたことになっています。 確かにアルテミスは自分が弓の名手なのに、わざわざサソリを使うのも変です。 そこで、サソリが出てくる話は、バビロニアからさそり座を含めた黄道12星座が輸入された後で、オリオン座とさそり座が天の正反対にあることから思いついた話ではないかと考えられます。
下中央のノートルダム聖堂のステンドグラス(アジマンの切手)では、なざか人面さそりになっています。 また、右下はギルバート諸島のさそり座ですが、星の配列がちょっと変です。
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やぎ座、うお座(1)
オリンポスの神々はある時突然、怪物テュポンに襲われました。 テュポンは大地ガイアから生まれ、百の蛇の形の頭と、蛇の下半身をもつ巨人で、髪の毛は星に触れるほどでした。 台風の語源も、このテュポンとされます。 あわてたオリンポスの神々は、ゼウスとアテナを除いてエジプトに逃げてアポロンはカラス、アルテミスは猫というように色々な姿に変身し、これらの動物は神の姿として崇められるようになりました。 そして、牧神パンは下半身が魚、上半身が羊の姿になってナイル川に飛び込み、アフロディテとその息子のエロスは魚になりました(あるいは、2匹の魚の上に乗ったともいいます)。 結局、ゼウスが雷撃でテュポンを倒し、逃げた神々の姿を面白がって星座にしました。
右のギリシアの切手は、テュポンに向けて、ゼウスが雷撃を放とうとしているところです。
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この神話はもとは、エジプトの動物の姿をした神々とギリシアの神々を結びつけるために作られたようです。 やぎ座はバビロニアのスフルマシュと呼ばれる山羊−魚が起源で、うお座も他の黄道12星座と同じくバビロニア起源ですので、星座の形に合わせてパンとアフロディテを変身させたと思われます。 左上のノートルダム聖堂の星座絵(アジマンの切手)では、やぎ座は普通の山羊になっています。
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うお座(2)、みなみのうお座
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シリアの地母神アタルガティス(ギリシアではデルケトと呼ばれました)はある晩、湖に落ちてしまいましたが、大きな魚が助けてくれました。 そこで、アタルガティスは金と銀で魚の像を作り、その湖では魚を取らないように命じて、さらに、その子供の2匹の魚(うお座)と一緒に天に挙げられて、みなみのうお座になりました。
別の話では、アタルガティスはあるシリアの青年と恋に落ちましたが、やがて人間の男と関係を持ったことを恥じて湖に身を投げたことになっています。 アタルガティスの娘は成長して、アッシリアの伝説の女王セミラミスとなり、世界の七不思議の一つとして知られるバビロンの空中庭園を造らせたと伝えられます。
右上のニウエの切手では、左上にみなみのうお座が描かれ、その右に、みずがめ座、やぎ座、いて座と続いています。 みなみのうお座の下の馬車から落ちるファエトンは星座ではありませんが、これについてはエリダヌス座のところで紹介しました。
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おひつじ座
ボイオティア(ギリシア北東部)の王アタマースは、ニンフとの間にプリクソスとヘレーという兄妹をもうけました。 しかし、この兄妹は継母がやって来てから邪魔者あつかいされるようになり、継母にそそのかされた王によってゼウスに犠牲にささげられようとしました。 その寸前、実母のニンフはヘルメス神からもらった金色の羊を送り、二人を乗せて飛んでいかせました。 右のギリシアの切手はこの場面を描いたものです。 天馬ペガサスはよく見ますが、この切手のように翼を生やしている羊は新鮮です。
ところが、妹のヘレーははるか下に海が広がっているのを見て、めまいを起こして手を離してしまい、海に墜落してしまいました。 そこはちょうどヨーロッパとアジアの間の海峡で、それ以来ヘレスポントス海峡と呼ばれるようになり、今に至っています。 一方、兄のプリクソスは無事に黒海の奥のコルキス国に着いて、そこの王の娘と結婚しました。
この金羊毛の羊は天に挙げられ、おひつじ座になりました。そして、その皮は森の奥深くの木の枝に掛けられ、竜が眠ることなく番をしていました(続きは次のアルゴ座の所で…)。
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アルゴ座(とも座、りゅうこつ座、ほ座、らしんばん座)
テッサリアの国イオルコスでは王子イアソンが成長するまでという約束で、叔父のペリアースが政治をしていました。 しかしイアソンが成人した後も王様でいたかったペリアースは、イアソンがコルキスの金羊毛を取ってこない限り王位は譲らない、と難題を押し付けました。 これはペリアースと羊に乗ったプルクソスが親戚だったためです。
そこでイアソンはヘラクレスやディオスクーロイ(ふたご座)、オルフェウスを始めとする50人を超える英雄たちを集め、アルゴ号に乗って黒海の奥にあるコルキスへと漕ぎ出しました。 左下のギリシアの切手は、船に乗り込む英雄たちとアテナ(造船もつかさどっていたので)、そしてアルゴ号の船尾が見えます。
しかし、やっとの思いでコルキスに着いても、金羊毛は大きな竜に守られていて近づけません。 ところが、イアソンに一目ぼれしてしたコルキスの王女メディアが、魔法の薬で竜を眠らせて、ついに金羊毛を奪うことに成功しました。 右上の切手では、左から竜に薬を与えるメディア、木に巻きついた竜、枝に掛った金羊毛に手を延ばすイアソンです。
現在アルゴ座は、とも(船尾)、りゅうこつ(竜骨:船底の背骨にあたる骨組み)、ほ(帆)、らしんばんの4星座に解体されています。
かみのけ座
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かみのけ座は、古くはアリアドネの髪の毛と呼ばれていましたが、現在はかみのけ座の学名「ベレニケの髪の毛」 Coma Berenices が示すように、ベレニケのものとされます。ベレニケは実在した人物で、紀元前3世紀のエジプトの王妃ベレニケ2世のことです。 ベレニケは、夫のプトレマイオス3世がシリアに遠征に行くときに、戦いに勝ったら自分の髪の毛を神殿に捧げることを誓いました。 夫が勝利をおさめて凱旋したときに、ベレニケは誓いどおり髪の毛を神殿に捧げましたが、次の日には髪の毛は消えていました。 王は怒りましたが、天文学者のコノンが夜空を指して、髪の毛は天に昇って星座になったのですと言ったので、丸く収まりました。
右の画像は、紀元前2世紀のフェニキアの都市マラトス(現在のレバノン)のコインで、ベレニケ2世とされる女性の肖像が刻まれていますが、自慢の髪の毛はベールを被っているので、見えません。
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主要参考文献
呉茂一 『ギリシア神話』 新潮社
山田卓 『星座博物館』シリーズ 地人書館
Condos "Star Myths" Phanes Press
2006年8月20日バージョン1.0
2007年5月6日バージョン1.1
2007年8月18日バージョン1.2
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