2 入谷の朝顔市
 蜀山人の狂歌の一節「恐れ入谷の鬼子母神」で知られる入谷の鬼子母神は台東区入谷の真源寺に祭られています。
 この周辺で毎年7月の6・7・8の3日間、下町の初夏の風物詩 朝顔市が催されるというので、久しぶりにカメラを引っさげて行ってきました。
寺の境内と寺院前の言問通りに100以上の露天が見事な朝顔の鉢を並べ、威勢の良い掛け声が飛び交っていました。        (7月8日記)
asagao01  最寄り駅であるJR山手線の「鶯谷」駅南口から言問通りに通じる商店街の敷石には、このように朝顔をデザインした敷石が使われていました。なかなか洒落ていて「朝顔の入谷」を印象付けています。
asagao02  この期間中、言問通りは交通規制が敷かれ、沿道にはこのように露天が連なり、所狭しと朝顔の鉢が並んでいました。朝7時半頃でしたが、もうこのように客が大勢訪れていて写真を撮るのも苦労しました。
 一鉢2000円が標準のようですが、「団十郎」のような人気種や変り種は更に高い値段が付けられていました。
客の目を引くように目立つ鉢を前に出す、なかなか準備周到です。
 この若い夫婦に店を任されているのでしょうか、なかなか息の合った商売をやっていました。
 見ていると直感的にパッと決めて買う客と、逆に目移りしてなかなか決められない客の両方が居るようです。
このオバサンも何度も選び直していました。
 老練な植木職人を感じさせる風格に、客もじっくり説明に聞き入っています。今買えば1ヶ月は花が次々と咲くそうですから、考えようによっては廉いかもしれません。
 手にしている朝顔のような感じの売り子が居ました。
 好感がするのか、黙って立っているだけで客の方から次々と話しかけられていました。
 こちらは見るからに粋なお姐さん。
チャキチャキの江戸っ子という感じで、
男性客との息の合った掛合い漫才みたいなやり取りに、周りの人たちも楽しんでいました。
 客も自然と足を止める華やかな売り子が居る店の隣では、あまり愛想がよく無さそうながオジサンが浮いた感じで一人ポツンとしており、好対照でした。
 入谷の朝顔まつりの中心は、鬼子母神で知られるこの真源寺です。
鬼子母神はインド仏教の女神の一人で、性質凶暴で子供を奪い取っては食べてしまう悪神でしたが、釈迦によって改心させられて子育ての善神に変わったそうです。
 朝顔市にやってきた客が次々と参拝に訪れ、賑わっていました。
 鬼子母神で知られていますがもともとは日蓮宗の寺で、このお堂には日蓮上人の像と鬼子母神像が並んで祭られています。
 江戸初期に開基された古い寺院ですが、ここに朝顔市が催されるようになったのは明治に入ってからだそうです。
 狭い境内にスペース一杯に朝顔の鉢が並べられ、それが次々と売られています。
asagao13  浴衣を着て、朝顔を片手に携帯に見入る若い女性、下町の初夏を感じさせます。
 後に見える石碑には、「入谷から 出る朝顔の 車かな」
という朝顔市を詠んだ正岡子規の俳句が刻まれていました。
asagao14  典型的な朝顔の花、朝顔市は夜遅くまでやっていますが、朝のうちに行かないとこのような姿はみられませんよね。
 中心と縁に白が入った朝顔もとてもきれいです。
 このような百花繚乱(ちょっと大げさ?)の鉢が並んでいると、目移りしてなかなか決められない気持ちが判ります。
 選りすぐってやっと決めた1鉢を提げて家路に急ぐ中年の男性、帰ってこの鉢を家族に見せながら今日の様子を話して聞かせるのでしょうね。
後姿にささやかな幸せが感じられました。
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