3 鋸南町の水仙
 久里浜から東京湾フェリーで渡った所が「浜金谷」ですが、そこから少し行くと「保田」という駅があり、駅前から連なっている道案内の幟をたどっていくと鋸南町の「水仙ロード」にたどり着きます。

「鋸南町」は名のとおり鋸山の南斜面にあたるので北風が遮られ、そこで水仙を栽培する農家が昔から多く、ここの水仙は江戸時代から有名で船で江戸に出荷され江戸の正月を飾る花として商家や武家屋敷に呼び売りされとても人気があったそうです。

片道3km、往復で約6kmのハイキングロードは道の両側に日本水仙が群生し、水仙独特の気品ある香りが一面に漂っていました。

花の丈は50cmを優に超す程伸びているのに風で倒れていないのは、やはり鋸山が風を遮ってくれているためでしょう。

正月の松が明けるとすぐに始まる『水仙まつり』は1月一杯で終了した筈でした。しかし今年は例年よりも寒い日が続いたせいか、2月8日に訪れた時も丁度見頃が続いており、水仙まつりの幟が未だ立てられたままになっていました。

スイセンはギリシャ神話で水面に映る自分に恋して投身したナルキソスの化身と伝えられ、"Narcissus"という英名もそこからきているそうです。改めて近くでよく見ると、清楚で気品のある花姿に自己陶酔したギリシャ神話の若者のイメージと重なるような気がしました。

 斜面を横切って作られた道ですから片側は低くなっています。ここは果樹園ですがそこにも一面にスイセンが植えられていました。

たわわに大きく実った『ハッサク』の木が目を惹きました。すっかり熟しているのにどうして採らないのかな、と不思議です。道端にあるこの樹は鑑賞用で、最後まで実を残しておくのでしょうか。モッタイナイ!

花畑で栽培されているスイセンは均一に植えているので壁紙風の写真が撮れました。

斜面の向こうまで見渡す限りのスイセンの群生に圧倒される場所です。道から下に降りて記念写真を撮っている人が居ました。

梅と水仙、丁度正月の花が競い合っているようでした。それにしてもここまで咲き乱れているスイセンは珍しいように思います。

このような情景がずっと続くハイキングロードですから、愚犬もいつまでも足取りが軽やかです。

道端で自家製の大根の漬け物を売っている老女が居ました。1パック100円。いかにも素朴で、観光客の足を止めていました。試食したらユズの香りが口の中に広がりました。

道端のお地蔵様に供えられているのは水仙。スイセンを愛し、スイセンを誇りとする村人達の気持がよく表されているように思い、思わず私も合掌。