社長は徳、副社長は賢。人の組み合わせというのは、微妙なものだと思う。
たとえば、会社の場合、非常に優秀な二人の経営者が社長と副社長になっても、相性が悪いとうまくいかないものである。
総じて、どの会社でも、社長が積極的で、副社長は女房役といったところが多いが、原則としては最高首脳者はおだやかで、次席がバリバリやる方が望ましいようだ。
つまり経営者の組み合わせとしては、社長はお人柄で、副社長は実行力に富む、といったあり方が安定感があるように思う。
「松下はどのような会社ですか?」という問に対し、
松下電器は人を作る会社です。あわせて家電を作っています。
「ところで、あなたには尊敬できる部下が何人いますか」
「いや、お恥ずかしいかぎりですが、1人もおりません」
「それでは、あなたは本当の経営者にはなれませんな。
人というものには、誰でも、どこかはいいところがあるものです」
そういわれて考えてみると、口は下手だが熱い倉庫の中で、一所懸命仕事をしていてくれる人、チャランポランのようでも、お得意様に可愛がられる人、算盤のうまい女子社員などなど、部下の一人ひとりが、みな自分を助けてくれている人たちだと、輝ける存在に思えてきた。
その後、目が開かれた思いで部下に接する責任者の態度の変化を、部下の人たちも感じてか、生き生きと働いてくれるようになったという。
「それは、「部下が自分より偉く見える」ということである。
どの人も自分より学問がある、才能があるように立派に感じられる。
むろん、自分は社長の立場にあったから、ときには部下を厳しく叱ることもあったが、それは職責上のことで、内心ではいつも「この人は自分より偉いな」と思っていた。
そんな気持で人を使い、部下に接してきたことが、世間の人々から多少とも経営が上手といわれるようになった原因ではないかと思う」。
「商品は長い間手塩にかけた、わが娘のようなものである。
だから、商品を買ってもらうということは、自分の娘を嫁にやるようなものであり、そのお得意先は、かわいい娘の嫁ぎ先ということになる。
そういう気持ちで商売に取り組めば、お店は必ず繁盛する」
「日ごろから道行く人は、全部がお客様であり、われわれがつくった商品を買って頂いている。
お互いに顔見知りでないので、道ですれ違っても挨拶はしないが、知っていたら「毎度ありがとうございます」と頭を下げなければならない。
そういう人ばかりである」
(PHP研究所刊行 「感動の経営ちょっといい話」より)