なにがギャグな行動か?
5:ギャグの持つ強さ
 「シリアス」というのには「常識」という、一言で多大な意味を持つ条件がある。世界は違っても、そこにはちゃんと(合理的かどうかは別にして)万物の法則がある。クトゥルフなどの世界観は常識外れのように見えるかもしれないが、それも「クトゥルフ」という世界観の中では常識なのである。
 ところが「ギャグ」というのには「面白い事」というのしか条件がない。万物の法則が存在しないのだ。

 例を挙げてみよう。
 目の前に大きな岩が転がっている。これをどかすにはどんな技能が使用できるだろう? シリアスの常識から考えると、その技能は『怪力』であったり『削岩』であったり、またはドワーフの能力で土木関係のものがあったり、サイバーパンクなら爆破するなどがあったりする。それらはすべて説明されなくても、その世界においては「〜〜〜という理由によってそれができる」というのがある。
 ところがギャグはそうではない。この岩をどかすのに『鼻息』で吹き飛ばしたり、『デコピン』で破壊したりできるのだ。そこに万物の法則は存在しない。面白いから可能なのだ(もちろんそれなりに判定成功は難しいが)
 確かに風で岩は吹き飛ばせるし、衝撃をあたえれば岩は崩れる。だが、そんな技能の使い方をシリアスでは許すだろうか? 許してはくれまい。

 ギャグというのは強力なのだ。

 特にU−RPGではルールがギャグを考えられて作られているので、その傾向が強い。前述の小柴のやっていた行動なんてギャグだから許される行為であって、シリアスな話だったら絶対になりたたないだろう。


6:強さを押さえてみる
 ところが実際にギャグプレイをしてみると、その事を分かってない人が多い。ギャグの強力なところで利益を求めすぎて、本来のギャグがおろそかになっているのだ。ギャグはあくまでも「面白いもの」が先にある。「強力なもの」は副産物である。

 強力な技能ってのは、使い方次第で良くも悪くもなるのは分かってもらえるだろう。しかし、ほとんどのギャグ的技能というのは強力になりえる。では、どうやったら強力な面を前にださず、ギャグな面が前にだせるのか? 俺は以下のように考えている。

 プレイヤー自身がギャグの強力な部分をセーブするしかない。

 しかし慣れていない人がこれをやるのは難しい。TRPGをやっていると、最初の頃はどうしても「目立ちたい」と思うのが常である。せっかく目立てる技能を持っているだから、使ってしまうのはしょうがない。
 では一体、どうしたらいいだろう?


7:墓穴のススメ
 表題は趣味丸出しですいません(笑)。

 さて、ギャグの強力な部分を封じるにはどうしたらいいだろう?
 そこで俺がすすめるのが「墓穴を掘ること」だ。
 何故、強力ギャグの強力なところを封じる為に墓穴を掘るのが有効か?
 それは、「墓穴という消極的な行動が、性質上シナリオをすすめる役に立たない」からだ。

 強力なのはあくまでも自分以外の何かに働きかける時に生まれる概念であって、自分にだけ影響のある行動に強力かどうかというのはない。こうする事によって強い部分をなくし、ギャグの部分だけを生かそうというのが墓穴をほる狙いだ。
 墓穴には必要な技能なんてない。「自分をおとしめる何か」に向かって飛び込めばいいだけである(それなりのタイミングが重要であるが)。
 ところがこの簡単かつ美味しいシチュエーションに、ギャグに慣れてない人は飛び込めない。キャラクターやプレイヤー自身のプライドが、「カッコ悪いのは嫌だ」とそれを妨げるのだ。
 このプライドというのが、ギャグプレイには非常に邪魔になる事が多い。何故なら、落とすところで落とせないとギャグは成り立ちにくいからである。

 単純な例で漫才やコントなどを考えてみよう。
 漫才などには「ボケ」と「ツッコミ」がある。無論、「ボケ」が墓穴を掘る方、「ツッコミ」は墓穴を掘らない方である。では、実際のコメディアンのグループなどでお客さんをより笑わすのはどちらだろう?
 それは墓穴を掘る「ボケ」の方である。ボケるから笑いが始まり、ボケるからツッコミが入ってさらに笑いがでる。極端な話、ツッコミだけの漫才は面白くないが、ボケだけの漫才は面白い(これは人の意見が分かれるかもしれないが、俺はそう思う)。

 「ギャグ=墓穴を掘る」という方程式は極端であるが、墓穴を掘れないようではギャグを使いこなす事はできないことは確かである。やったことが無い人は、一度墓穴を掘ることを勧める。


8:正しいツッコミ
 さてさて。ボケの話をしたらツッコミの話もしなければならないだろう。

 ツッコミとは「ボケを引き立てるもの」であるのだが、広い意味で言えば「人の揚げ足をとる」という行為でもある。このツッコミの2つの要素の内、後者しか使ってない人をたまに見る。どういう事かというと「ボケを引き立たせないで沈ませるだけ」という使い方だ。例をあげれば「そんなわけないじゃん」とあしらったりすることだろうか。
 ボケをやってる方はそんなこと分かっているのに、それを全く理解していない。それ以前に「そんなわけない」からこそギャグは面白いということも理解していないのかもしれない。

 ギャグというのは不条理であることが多い。特に俺がU−RPGなんかでやっているメチャクチャなギャグというのはそうだ。だからそういう事を考えてギャグをやっている場合、「おかしい所」なんてたくさんある。だがそれは、面白いことにはあたりまえであって、揚げ足をとるところではない。ギャグはそれをされると何もできなくなってしまう。

 しかし相手のギャグの色を落とさずにつっこむのはかなり高難易緯度の技術であると思うし、俺自身もあまりツッコミがうまいと思わないので説明のしようがない。そこで誰かがボケたなら、一緒にボケることを勧める。それが出来ない人は、ただ笑っていれくれればいい。そして、機をみてシナリオを元に戻すことをしてみよう。
 と、こう書くと「じゃあ、出来ない奴は何もできないじゃないか」と言われてしまうが、それは当然の事である。人には向き不向きがあるので、出来るところと出来ないところは存在するのだ。俺も推理系のシナリオは苦手であるので、そういうシナリオの時は脇役に徹することにしている。出来ない分野で主役をとろうとするのは間違いだ。それは分かって欲しい。

 そしてこれは経験上感じたことなのだが、ギャグが面白くて場を支配している人にたいして妬み心で突っ込んでくる人がいる。おそらく他人が目立っていることが面白くないんだろうが、そういう人はギャグプレイがどうのと言う前に人として成長したまえ。ツッコミでは主役になれない。


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