交通量の多い道路でも少ない道路でも、植えた街路樹はそれなりに機能してもらいたいものです。
空を覆う緑が清々しいケヤキの大木と、無残な切り方をされたトウカエデのこれでも街路樹。
街路樹は以外に多くの役割を果しています。
1、ヒートアイランドを防ぎ、地球温暖化を防ぐ為に。
真夏のアスファルトや石張り、タイル張りの道路ほど地上を温めるものはありません。
道路際の瓦屋根、ビルのガラス、コンクリート壁面を高熱から守り、地球温暖化を防止します。
街路樹の陰は、葉の蒸散作用で冷やされています。
ヨシズの陰や日傘の陰は単なる陰で、木陰とは全く違う陰でであることを認識してください。
特に市街地の街路樹は、木陰ができるように育ててほしい。

神戸市 ベーマンさん提供 (イチョウ) 富山市(ケヤキ)
太陽が真上に来ても車歩道の半分は陰。 近年住宅側の枝が強めに切られるようになった。
2、煩雑な景色を遮断し、ドライバーの目線を誘導する為に。
都市に限らず、派手な建築物の色や形、広告看板などはドライバーの注意力を散漫にさせ、目を疲れさせます。
緑豊かな並木は煩雑な景色を統一しながら目線を誘導してくれ、特にカーブの認識を助けてくれます。
またあたり一面真っ白の吹雪の道で、道路を認識できるのは街路樹のお陰です。

東京町田市 千秋さん提供(樹種不明)) 富山市 街路樹の無い通りは殺風景。
3、雨や陽射しを遮り、快適な歩行を助ける為に。
大きな街路樹は多少の雨や雪を受け止めてくれ、風を和らげ日射や熱射から歩行者を守ります。
木の葉の偉大なエアコン機能のお陰です。
”快適”さは大きな価値を持っています。現代投資した街路樹は、後世も大きな財産です。

東京 京都
4、交差点での動体認識を助け、出会い頭事故を防ぐ為に。
何一つ視界を遮るものの無い見通しの良い交差点でも、出会い頭の事故が起きています。
人の視界は広いが、形状や物体の速度を認識できるのは中心視の狭い範囲にすぎない。
それ以外の周辺視野では、動いている車が背後の背景と共に大きさだけが大きくなり、直前で動体として認識される。
相手側道路にある間隔で街路樹があれば、ボディと街路樹の幹が交差し、動く物体であることが認識できる。
また、比較する物が無い田園地帯の道路などでは、一定間隔に植えられた街路樹が自身のスピード感を認識させてくれる。

高松市 村川さん提供 金沢市
5、車の騒音と建築物などへの反射音を吸収する為に。
車の騒音は建築物などに当り反響しながら持続するが、街路樹があれば空気の振動はそこで吸収され、騒音は一気に小さくなる。
騒音が人体に及ぼす影響はいろんな意味で大きい。
街路樹は騒音を和らげ、ビルの谷間の環境を少しでも快適にと植えられている。

高岡市 駅前の騒音は独特です。 東京町田市駅前 騒音が想像つきます。(千秋さん撮影)
6、樹木のロート機能で、地下に雨水を誘導する為に。
例えばケヤキなどは、葉に溜まった雨が枝を伝わり幹を流れて根元に集まる仕組みになっています。
大きな雨の時は太い幹を、川のように水が伝い流れています。
地表面が少ない都市の地下水を供給し、充分に水分を蓄えた土からは再び根から葉へと吸い上げられ、エアコン機能を発揮する。
また、一時的に雨を蓄える機能は、側溝の洪水を防止しています。

東京原宿
電飾ラインで雨水が集められます。
庭木や街路樹の剪定をしたことのある人なら経験済みだが、作業の後の衣服や体の汚れは明らかに排気ガスや、タイヤ磨耗の塵です。
木の葉は粉塵を吸着し、拡散を防いでいます。

砺波市 射水市
車の衝突などで倒され傷ついた街路樹は以外いに多い。
ガードレールの傷は永遠に残るが、樹木は多少の傷を自らで治す能力がある。
衝突の相手が街路樹であった為に大事に到らなかった例も多いことだろう。
雪国の冬は車がスリップし易く、街路樹の被害は相当な数になる。
歩行者や沿道の住宅にとって多機能の”車止め”になっている。

金沢市 富山市
万が一の場合ですから、街路樹に期待しないで下さい。街路樹に衝突して命を落とす場合もあります。
直射日光の眩しさを和らげ、安全な視野を確保します。
ビルのガラスや、対向車のフロントガラスの反射も減り、目を細めることなく安全な運転ができます。
光の具合で信号も見えにくい場合がありますが、右下の富山市の場合は心配ありません。

東京 富山市
充分な機能を果す街路樹は事故も減らしています。爽やかな環境はドライバーの心理にも良い影響を及ぼしています。
10、火災の際の放射熱を吸収し、延焼を食止める為に。
その昔、京都東本願寺は前の銀杏並木で大火が止まり、類焼から免れたそうです。
イチョウやサンゴジュ等は特に燃えにくい樹木として有名です。
阪神大震災の時も街路樹や公園の樹木で、類焼を免れた例があります。
倒れた家の壁が街路樹に支えられ、その隙間のお陰で助かった人、上から大きな物が落ちたけど街路樹に直撃を免れた人もいます。
東京 射水市 住宅街の中央を通る幹線道路は災害緩衝地帯。
周囲の景観を無視した原色のペイント建築物や、品格を疑う大きな看板等も生活者のストレスとなっています。
統一され整然と並んだ街路樹は、そうした乱雑な色彩をある程度緩和し、訪れる人と住む人々の心を落ち着かせる。
こうした景観が、公共心を育むと考える。

魚津、砺波ほか長野県でも見かけた。 町田駅前(千秋さん提供)
良識を疑う色彩のショッピンセンター。最悪の色をわざと組み合わせて、人心をパニックに陥れる・・・
大都市の店舗はグレー調のペイント、田舎を馬鹿にしたペイントに抗議したいが、街路樹でもあれば。
大きな街路樹で隠したい代表的な不快な建造物。
美しい建築と美しい街路樹は街中の癒し空間です。 美しい街はより美しく

大阪市(ベーマンさん提供) 町田市(千秋さん提供)
春は花見に、秋は紅葉狩りに、さらに玄関にも床の間や仏壇の中までも花を活ける。
人は緑を求め、緑と一緒に生活する習性がある。緑は安らぎを与える色として知られている。
私達は特に意識はしていないが、渋滞や騒音から来るストレスを解消してくれているのだろう。

東京 満開のサクラ 南砺市 アメリカフウの紅葉
街路樹の美しい街はその景観が観光資源となります。
庭171号の街路樹は泣いているパート6で紹介されまし
なぜ街路樹はあるのか。
街路樹の運不運
『田舎の広い公園で伸び伸び育つ仲間が羨ましい』と街路樹は言うだろう。
暑い夏の照り返しに葉を焼かれながらも必死で蒸散活動を続け、枝葉は排気ガスに汚され、根元は油混じりの汚れた水を掛けられ、時には正面から車にぶつけられることもある。夜は街灯やネオンに照らされて熟睡することもできず、やれ電線の邪魔だ、標識が見えない、信号が見難い、虫が付くなどと言われ剪定という言い方で、息もできないほど枝葉を一気に伐採される。
それでも必死に葉を繁らせようとするが、新たな肥料も与えてもらえない。
秋になれば次々落ちる葉が嫌われ「今掃いたのに」と、下からにらみつけられる。
植えられた植栽桝の場所が隣どおしでも、一つずれれば街路樹の運命は天と地の差がでる。
使命と恩恵
出来上がった路盤を再び掘り返してまで植える街路樹は、多くの使命を持っていたはずなのに、人はそれらの役割も充分に認識できず、その恩恵も受けないまま不幸なことに敵対視する人さえいる。
地球上の生き物はとにかく子孫を残し、繁栄することを第一の目標にしているから、人間を使って堂々と並木を作るしたたかな植物、との捉え方もできる。
では人も街路樹に本来の役割を果たさせ、植えた見返りを充分に受けるべきではないか。
私は集計できないが、日本全国の街路樹の維持管理費を聞けば、きっと腰を抜かす人も多いはずだ。
管理費以上の受益感を持てるように私達が努力しなければならない。

これがケヤキの姿かと言いたくなるが、一度強剪定をすると次も同様に切らざるを得なくなり、結果的に経費がかさみ、効果の薄い街路樹。
枝を切るなら、必ずa-bで

この切り方はハッキリ言って犯罪です。できるだけ早く皮が包めるように切らないと、腐りが木の芯部にまで進みます。
本来なら300年でも生きられるケヤキの寿命を極端に縮めています。街路樹以外もこの切り方が剪定の基礎です。
必要性を説く熱意
高い経費を使って街路樹を植え、赤字の自治体会計から維持管理費を捻出している訳を、一般市民にもっと理解してもらう努力をしなければならない。
造園関係者までもが『切ってしまえ』と口走るのは真に情けなく、こちらがその程度だと周辺の住民も、造園業者の儲けた後始末をなぜ町内に押し付けるのか?とまで言わせることとなる。
街路樹の重要性は直接管理する造園関係者が、住民と役所の双方へ訴えなければ、現実には誰もできる者はいないと思う。
先に述べた12の役割を納得して頂ければ、おのずと管理の程度も解るし、特に緑化の仕事に携わる者ならば技術的にも対応が可能なはずだ。
更に熱意を持って周囲の人々を説得し続ければ、街路樹の存在が文化として定着するだろう。
街路樹の立場。
街路樹が立っている1平方米ほどの枠を見て「木って強いんだな〜」感心する人「狭くて可哀想」と言うは多い、しかし「もう少し何とかしてやれないのか?」と口に出して言う人は希である。
山砂にわずかの土壌改良剤が混ざった1立米余りの部屋で、街路樹と呼ばれるケヤキやアメリカフウやハナミズキ等はその一生を送らねばならない。
3m前後の成長盛りに移植された木々は、そのうち周囲の縁石を必死で持ち上げて、砕石に混ざった僅かの目潰しの山砂を頼りに、歩道のアスファルトを自力で持ち上げて生きて行かなければならない。

歩道の縁石とアスファルトを上手に持ち上げた表面的には美しい例、しかし付近にマンホールがあり地中の様子が心配です
上の状況が極端な場所で舗装の修理に併せて、植栽桝を3倍に広げた箇所が7〜8箇所あります。(南砺市アメリカフウ)

剪定前 右から2本目が左の木。街路樹は統一の美も要求されます。
そうしてでも成長のできる木々はまだ幸運なほうで、初期の熱風や潅水不足や移植時の荒療治がたたって枯れたり、又枯れないまでも本来の成長ができないまま周囲とバランスの取れない街路樹も多い。
それよりもっと悲しいのは、『落ち葉は誰が掃除するのだ』と言う周辺住民の罵声と、『元から切れないなら、極力小さくしてくれ』と横暴な訴えを起こす、例えば町内会長であったりする。
こうなると街路樹の立場は無いに等しいが、今こそ私達直接管理に携わる者がこうした窮状から抜け出す努力をしなければならない。
伐採同然の街路樹はそれ自身も悲惨だが、私達が役割を知らず恩恵も感じずでは、人の方がより悲惨と言わざるを得ない。
役所の責任だと罵っても事態は変らない。狭い歩道の端で頑張っている街路樹を救ってやるのは今は私達の熱意意外に無い。


