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【2001年12月21日12時ジャスト・大阪府寝屋川市改方高校】 「えー、であるからして、諸君たちには是非とも 明日から始まる冬休みの間に、知恵と鍛錬と創意工夫の礎となる 基本的な知識を蓄えていただきたいわけで・・・」 冬の寒さがしんと染み込む高校の体育館に、校長の声が長々と響く。 そう、今日は待ちに待った終業式。 汗臭い運動会、ジュースを売りまくった文化祭、そして 泣く子も黙る期末テスト・・・・・。思えば長く苦しい道のりだった。 しかーーしぃ!!そんな日々とも今日でオサラバだ。 なんせ、明日からは「コタツでみかん」がやり放題の冬休みなのだから。 (あーっ、しかし何度も何度も同じ話ばかり繰り返しよって・・・。) 壇上でうざったいありがたい話を熱く語る校長に、一人の高校生がため息をそっとついた。 彼の名は服部平次。大阪では、いや全国区でもかなり名の知られた高校生探偵である。 ブルブルブルブル・・・・。平次のポケットで携帯が震える。 周囲に気づかれないようにそっと取り出し、液晶を見る。 「放課後に屋上で待つ。和葉」 平次は、2人分後ろ側に並んでいるクラスメートの方を振り返った。 彼女の名は遠山和葉。押しも押されぬ平次のパートナーである。 シッ。人差し指を口に寄せて校長のほうを見やる和葉。 ここでは触れないでおいてほしいのだろう。 放課後に屋上? あいつ、一体何のつもりや? 校長の話を聞き流しながら、平次はメールの真意を測りかねていた。 【2001年12月21日13時・平次たちの教室】 「では、これで2学期も終わりだ。くれぐれも事故には気をつけて。 特に服部、おまえはな。」担任の一言に教室中が笑い出す。 「きりーっつ!!」クラス委員長の声が響く。 「礼」「ありがとうございました。」 あー、終わった、終わった。 うざったい校長の話も無事終わり、辛い採点の通知簿も受け取って これで本当に、2学期の日程は全て終了。 クラスメートの顔も、みな一様にほころんでいる。 「なー、服部、明日心斎橋に遊びにいかへんか?」友人から声がかかる。 「おう、えーなぁ。帰りに梅田のOPAにでも寄ってこか?」平次、ノリ気。 「ああ、ビルの中にいきなり観覧車のあるアレやろ?行こうか。」 「で、ついでにワンダーエッグ(NAMCO主催のゲーセン)で遊びまくろうや。」 よっしゃぁ!!いい年した男たちががっちりと手を結び団結を図る。 どこからどう見ても、アホ5人衆の出来上がりである。 「あのーお楽しみのところ、悪いんやけど・・。」 和葉が男どもの集団に近づいてゆく。 「どーしたんや、和葉?」 「・・・話があるの。ちょっと来て。」 「そんなんここで言うたらええやないか。」 和葉、平次の声を無視して一人静かに歩き出す。 「お、おいおい・・・。」平次同様、クラスメートも動揺する。 (お願い、何も言わないでついてきて) そんな彼女の目は、なぜか少しうるんで見えた・・・。 【改方高校屋上】 首をひねりながら、約束の30分後に平次は屋上にたどり着いた。 屋上のベランダの隅には、手すりにもたれながら和葉が静かに微笑んでいる。 二人の30m後方には、二人が心配でやってきた(興味津々の)クラスメート28名。 屋上に、冬の冷たい風が時折通り抜けてゆく。 「おい和葉、なんやねん人をいきなり屋上まで連れてきおって。」 問いに答えもせず、手すりから手を離す和葉。背後のグラウンドを振り返る。 「・・・・・・・」振り返ってもうつむいたままの和葉。 「おい、言いたいことがあるなら早く言えよ。ええ加減寒いやないか。」 「・・・なあ平次、私ら、これからも一緒やんなぁ?」 「はぁ?」いきなりの問いに戸惑う平次。 「私らって、絶対にずっとずっと一緒やんなぁ?」声が震えている。 「おい、何の事やねん?」 「もしかしたら、もう・・・。」 「もう、何やねん?」 「平次と一緒におられへんかもしれへんの!!!」叫ぶように和葉が平次のほうを見た。 「お、おい、どないしたんや?」後方のクラスメートが心配そうにそっと覗く。 「なあ和葉、俺、何かしたんか?」 「してないよ。」まだ震えてる。 「じゃあ、なんでお前が俺の前でないてるん?それも屋上に呼び出して。」 「あのな平次、・・・私、札幌に行くことになってん。」 「ええっ!!!」 もう一度平次に背を向けて、屋上の手すりに腕をかける和葉。 「今、私も戸惑ってるの。まさか、いきなり札幌なんて考えてなかったし。 けど、決めたんや。札幌に行ったほうが良いって。だから・・・・・」 「お前、札幌に憧れあったんか?」長い付き合いだが札幌とは初耳だ。 「ないよ。けど、ほら、平次も聞いてるやろ?全国レベルの人事異動。」 「お前の親父さんが絡んでるアレか?」 「道警トップになるかもしれへんねんて。」 「そうやったんか・・・。」 「私もね、正直まだ迷ってる。家族はみんな北海道に行きたいって行ってるし。 けど、アタシには、アタシには・・・・・・。」もう声にならない。 「お前、ひょっとして・・。」お前まさか、俺のことを・・。 「けど、もう一緒にいられへんの・・。」やっとの声で声を絞り出す和葉。 必死に泣き声をこらえているのが、背中越しでもよくわかる。 しばらくして、彼女の震えは涙に変わっていった。 一粒、また一粒と雫がコンクリートの床に落ちてゆく。 なあ、和葉? 札幌にいくんか? 本当にいってしまうんか? 俺たち、ずっと小さい頃から一緒やったやないか。 手すりにもたれて泣きじゃくる和葉に、背後から暖かい感触が伝わってくる。 (平次・・?)平次の腕の中で、驚きの顔で振り返る。 そっとふりかえると、彼はただ優しく微笑んでいた。 「一回しか言わへんから、よく聞いとけよ。」 (・・うん)幼子のように、彼の腕にもたれて顔を見上げる。 そりゃ、お前がいきなり札幌行くって言うたら驚くよ。 けど、たとえ札幌やろうがどこやろうがそんなん関係ない。 俺は、お前のことを守る。最後まで守りぬいたる。 お前がもういいって言うまで、ずっとずっと一緒や。 いつまでも、ずっとずっと。 (ギュッ!!!!)平次は力いっぱい彼女を抱きしめた。 へい・・・じ・・・・?不安げに平次を見上げる。 「愛してるよ。」そういって、彼は20センチほど背を曲げてうつむいた。 (・・ダメッ!!) そっと胸に手をついて平次を突き放す。 (どうして?) (だって、今キスしたら・・)札幌にいけなくなっちゃいそうだから。 (そんなん、俺たちに関係ないやろ?)平次、強引に引き寄せる。 平次に抱き寄せられるのに合わせて、そっと背伸びをする和葉。 彼の胸板に両手をついて、少し彼にもたれながら・・・。 五歳の子供だって、何が行われているのか一目でわかる。 (おおおーー!!!)コッソリ見ていた同級生が色めきだつ。 しばらく時がたって、ようやく二人の体が少し離れた。 「このまま、時が止まればよかったのにね。」和葉が微笑む。 「まあな。このまま一緒に札幌についていきたいよ。」 「本当に?」 「ああ。今すぐにでも札幌に一緒に行きたいよ。」 (よっしゃ!!!!)和葉の表情が突然明るくなった。 「お、おい、どうしたんや。」何喜んどんねん、こいつ? 「今平次、”今すぐに札幌に行きたい”って言うたよね?」和葉、にんまり。 「それがどうしたんや?」 「その言葉、確かに聞いたからね。」ポケットから携帯を取り出す。 「おい、どこに電話しとんねん?」 「あ、もしもし、藤原ディレクター?・・・はい。 確かに平次は、”札幌に行きたい”って言いましたから。はい、お願いします。」 「おいおい、一体どういう事やねん。」 「連れてってあげるんよ、札幌に。」 「はあっ?」 ふと気づくと、ムキムキのマッチョマン30人と、ヒゲの親父が屋上に勢ぞろい。 「かかれっ!!!」ヒゲ親父の一言により、 平次は有無を言わさずライトバンに押し込められるのだった・・・・・。 【イントロダクション】 あなたは、「水曜どうでしょう」という番組をご存知だろうか? これは、北海道朝日放送(HTB)が 97〜99年、そして2001年にかけて 「ばかばかしい旅」を行う北海道ローカルの芸能人二人を 北海道ローカルで放送しつづけた旅番組である。 この番組は、旅番組らしからぬレポートぶりで (撮影はデジカメ1台、風景をめでず、料理も誉めず) 北海道全土において、深夜で視聴率15%超という大反響を呼んだ。 そして、この番組のトンデモ色を最もよく表しているのが 「東京→札幌サイコロの旅」である。 これは、自らの運命をサイコロにゆだねて 予算・時間無制限で日本中をさまようというもの。 この小説は、「もし平和の二人がこの企画に挑戦したら」という アホらしい構想を検証すべく描かれた物語である。 *登場人物紹介 ・服部平次 大阪を代表する、高校生探偵。改方学園2年生。事件当時17歳。 ・遠山和葉 服部平次の幼馴染。気の強さと行動力では天下一品。平次に片思い中。 北海道ローカルの旅番組に応募、平次をサイコロの旅に引きずり込む。 ・藤原ディレクター 札幌朝日放送(HTB)の看板番組、「水曜どうでしょう」のディレクター。 デジカメ一台携えて、平次たちのサイコロの旅に同行。太りぎみな謀略好き。 <第零の選択:改方高校発東京行き> 【12月21日・終業式放課後・関空行きのライトバンの中】 けだるくも甘美な冬休みがようやく訪れた終業式の夕方、 高校生探偵・服部平次はライトバンの中で仏頂面だった。 車内には、彼のほかに申し訳なさそうな和葉と なぜかデジタルカメラを構えたヒゲ親父。 「なあ、どういう事やねん、和葉?」 「話せば長いことなんやけど・・・。」 <水曜どうでしょう>・・・この番組が全ての始まりだった。 北海道ローカルで放送された、この深夜の人気旅番組が今度3周年を迎えたのだ。 そこで番組スタッフは”苦難を共にして愛情を確かめ合いたいカップル”を募集したのだ。 東京から札幌まで旅をしないかとけしかけて・・。 「・・・んで、和葉がそれに応募したわけ?」平次、眼がマジ。 「うん♪」危険を感じ、思わずブリッコ。 「うん、やないやろぉ!!」 「けどさ、せっかく始まっちゃったんだし、ね?」 ヒゲ親父が、デジタルビデオカメラを回しながら口を開く。 「口挟まんといてくれるか、おっちゃん?」 「こら平次、なんて口きいてるんよ。」 「大体なぁ、名も名乗らんと失礼やないか。あんた何者や?」 「私ですか?ディレクターの藤原です。」 「ディレクター?その割にはカメラ回してるやんか。」 「低予算・低姿勢・低カロリー。これがこの番組のモットーですから。」 「あっそう。」 「そういえば、遠山さん。彼にあのことは話したんでしょうね?」 「まだです。」 「早く言ってあげなさいよ。」 「おい和葉、何やねん?」 「実はね・・・・、ウソやったんや。札幌への引越し。」 「ウソ?」 「いやだからね、応募はしてみたものの、 平次が札幌に行きたいとは限らへんやん?」 「そらそうや。」 「でね、平次の気持ちを確かめるために・・」 「”札幌に行きたい”という台詞を言わせようとした。」 「大正解!!」平次はため息をついた。 二人の様子をじっと撮影しながら、藤原Dが口を開く。 「まあ、そういうわけでお二人には札幌まで旅をしていただきます。」 「ひょっとして、ヒッチハイクとやらすんですか?」 「いいえ、あなた方の運命を握るのは・・・これです。」 そういって、なにやらお菓子を取り出すD。 彼の手にあるのは、一粒のサイコロキャラメルだった。 「これより、東京→札幌サイコロの旅をしていただきます。」 この言葉が、はるかに果てしないゴールを目指す旅の始まりだった。 ここで、サイコロの旅のルールを説明しよう。 (1)まず、現在地で乗車可能な交通機関を時刻表からリストアップ。 (2)次に、そのうち6つを選んでサイコロの目に振り分ける。 (3)サイコロを振ったら、その交通機関に乗車。 (4)移動を終えたら、またすぐにサイコロを振り移動。 (5)ゴールの札幌につくまで、サイコロ移動を繰りかえす。 (6)制限時間はHTB(北海道朝日放送)玄関前のサンタが帰りだす25日日没。 ・・・つまり、ゴールするまでは常に移動を続けていく超過酷な企画なのだ。 帰してくれぇ・・・・。 ライトバンの中から、そして東京行きの飛行機の中から 平次君の叫びは響きつづけるのであった・・・。 <第一の選択:東京編> 【12月22日午前8時東京駅・サイコロの旅1日目】 なにやら高い建物を、ズームで画面いっぱいに移す。 そしてカメラを引くと、そこには平次と和葉。 「はい、皆様、おはようございまーす!!」和葉、元気いっぱい。 「サイコロの旅初日です。ただいま、東京、朝八時です。」平次もにこやか。 平次君、ごきげん。 「あれ、どうしたんですか服部君?すごく笑顔がまぶしいですよ。」と藤原D。 「そうですか?」口とは裏腹に満面の笑み。 そりゃそうだ。制限時間までにたどり着ければ 「今、自分が一番行きたい旅」に予算無制限で行かせてくれると聞けたのだから・・。 (平次とロマンチック街道♪)(工藤と温泉♪) それぞれの思惑を秘めながら、旅が始まろうとしているのであった。 「さて、それでは行き先候補を見てみましょうか。」藤原D、フリップを取り出す。 最初は縁起よく、神宮シリーズであります。 1が出たら・八百万の神頼み・出雲大社 2が出たら・天下を取るぞ・日光東照宮 3が出たら・気分は次郎長・伊勢神宮 4が出たら・明治建立だけと・平安神宮 5が出たら・カキ飯食べたい・厳島神社 6が出たら・01年野球の覇者・神宮球場 「なんなんですか、この「カキ」って!?神宮関係ないやんか。」 「いいじゃないですか、別に。」だって食べたかったんだもん。 じゃあ、サイコロでも振ってきましょうか。 「けど、どっちがふる?」Dが質問。 「ジャンケンで決めようか?」 「おお、かまへんで。」 (せーの、インジャン、ホイ!!) ・・・結果、平次が先に振ることになった。1回ごとの交代である。 「じゃあ、いくで和葉。」 「うん!!」 フジテレビの”ごきげんよう”サイコロのテーマに乗って、 二人で元気よく最初のサイコロを振るべく動き出した。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「それっ!!!」 記念すべき1回目、平次の目は・・・2。 2・天下を取るぞ・日光東照宮 JR環状線で上野へ移動して、水戸線で宇都宮へ北上する。 移動時間:1時間30分 移動距離:220km 最初の一歩を着実に北へ。順調な滑り出しである。 【東京から宇都宮へ移動中車内】 D「ねえねえ、一つ聞いていい?」 和「なんですか?」 D「二人ってさあ、幼なじみなんだって?」 平「ええそうですよ。それが何か?」 D「いやぁ、タダの幼なじみにしては・・・」 (ギクッ)和葉、ちょっと反応。 平「幼なじみにしては?」 D「いや、なんでもない。悪かったね。」 和葉の様子を見て、勝ちを確信したD。すぐに話題を変える。 旅の出だしからすでにドキドキの和葉であった。 <第二の選択:日光編> 【東照宮へ到着:9時30分】 「さあ、日光東照宮へ到着です。」 「なんかこう、朝もやの中の神宮を歩くのもええもんですね。」と、平次。 「早う、お参り済ませようよ!!」 さっさと平次の袖を引っ張る和葉。 やっぱり俺の目に狂いはなかったな、と藤原は満足げにうなづくのであった。 本殿にたどりつき、さっそくお参り。手を合わせて願い事。 (どうか、この旅で平次とずっといられて、仲良くなれますように・・。) (どうか、この旅がさっさと終わりますように・・。) いきなり食い違う二人の願い。果たして神様はどっちを叶えるのやら。 「おみくじでも引いてきませんか?」藤原D、すっかり観光気分。 「はーいっ!!」高校生二人も同様に観光気分。 「よっしゃ、全員同時に開けようや。」 「オッケー。」せーのっ!! 藤原・・・旅行運、よろし。 和葉・・・旅行運、よろし。 平次・・・方位、南よろし。 南に行ってどうするよ。 さて、気分を改めサイコロを振りましょう。 行き先はこうなりました。 1・更に北に行くか・青森 2・近場をゆっくりと・福島 3・スタートに戻る・東京 4・ハーバーシティー・横浜 5・せっかくだから温泉へ・熱海 6・水平線でも眺めよう・高知 「ええっ、ハーバー言うたら神戸でしょ?」 「いやいや、やっぱり和歌山マリーナシティやで。」 さすが、大阪出身二人組。マリーナシティなんで普通は出てこないぞ。 「じゃあ、早速振っていきましょう。」次は和葉が振る番だ。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「いけっ!!!」・・・5。 5・せっかくだから温泉へ・熱海 一旦東京へ戻り、東海道新幹線で熱海へ。 移動時間:1時間45分 移動距離:270km スタートを過ぎて、更に南へ。 「うーん、ちょっと良くないなぁ」和葉、不満そう。 「まあええ、次でなんとかしよう。」と、平次。 【日光から熱海へ移動中】 和「あのー、ディレクター?」 D「どうしました?」 和「温泉、入るんですよね?」 平「嫌なんか温泉。まさか風邪引いてるとか?」 和「ちゃうちゃう。だって撮影されるの恥ずかしいやん。」 D「ああ、そういうことですね、大丈夫ですよ。」 平「じゃあ、男湯だけ写しますか?」 D「いいえ。混浴ですから。」 こんよくぅ!? <第三の選択:熱海編> 【熱海の温泉に到着:11時47分】 熱海の観光サービスに頼んで、昼でも入れる温泉に到着。 「さあ、視聴者の皆さん。お色気タイムであります。」D、嬉しそう。 対して、平次は渋い顔。和葉の裸体をTVに晒したくはないのだ。 すでに男湯側ではスタンバイはOK。 和葉もすでに湯船に入っているそうだ。 さあ、全国の男性視聴者のために、いざお風呂ターイム!! デジタルカメラ(防水型)で風呂に突撃するD。 ・・・・しかし。「あああっ!!!」 曇った 「しまった、曇るの忘れてた。」D、バカ丸出し。 かくして、「お色気シーン」は湯煙の向こうに消えたのであった。 「お色気シーンがぁ・・・、視聴率がぁ・・。」D、まだガッカリ。 「元気出してよ。」なぜか和葉が慰める。 「心配せんでも、世の男どもの視線はくぎづけやって。」 微妙に湯煙の向こうに隠れるのに、世の男どもはそそられるんだから。 だから、元気を出してサイコロ行きましょう。 1回ずつ振ったので、再度平次の番です。 1・独眼流の故郷・仙台 2・越後の竜に会いたい・新潟 3・甲斐の虎の本拠地・甲府 4・うつけもののふるさと・名古屋 5・いざ上陸・新幹線グリーン車で京都 6・三本の矢の教え・厳島 「”6”三本の矢の教え・厳島神社ぁ!?」 「おいおい。あんた、そこまでしてカキが食いたいのか?」 「これも仕事ですから。」 「ナニ、わけのわからんこといってんだよ、あんたは。」平次、苦笑。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「いけっ!!!」 3・甲府の虎の本拠地・甲府 新幹線で富士駅を経由して、身延線で北上して甲府へ。 移動時間:2時間35分 移動距離:170km 依然、中部を迷走中。いつになったら抜け出せるのか? 【甲府へ移動中】 ガタンゴトン、ガタンゴトン・・・。 周期的な柔らかな音を立てて、甲府行身延線の車両は進んでゆく。 一駅一駅経るたびに、木々が増え電柱の間隔も広がってゆく。 (そういや、こうしてじっと風景を眺めるのなんて何年ぶりだろう) 平次は、少し空席の目立つ車両の中で木の手すりにもたれ夢ごこちだった。 横を見れば、相変わらず静かな寝息を立てる幼なじみの姿。 いったい俺は、いつまでこの笑顔を見ることができるのだろう。 物心ついた頃からずっとそばにいて、気が付いたらそれが当たり前になってて・・。 「ううん・・・。」 「おう、和葉。目がさめたか?」 「うん。・・・私、寝てたんだ。」 「盛大ないびきたてながらな。」 「うそ。」 「冗談や。」 「もうっ!!!」ふくれて窓の外を見つめる和葉。やっぱり和葉はいつもかわいい。 (和葉ありがとう、楽しい旅に連れてきてくれて。) <第四の選択:甲府> 【12月22日14時25分:甲府に到着】 ”ようこそ甲府へ”縦書きのゴシック体の看板が二人をお出迎え。 「よーこそっ、甲府へーー!!」二人して、元気いっぱい。 「いやー、気持ちよかったですねぇ、身延線。」和葉、肌がつやつや。 「温泉入って、電車で揺られて。」そりゃ、昼寝の一つもしたくなるわな。 「では、元気が入ったところで早速行きましょう。」 体力のあるうちに、思い切って移動しましょう。 1・シックな雰囲気を味わおう・軽井沢一泊 2・富山のホタルイカ・石川県七尾 3・ちょっと北へ・高速バスで長野 4・名物「赤福」でも食べましょう・伊勢 5・ふくとロマンの町・下関 6・椰子と巨人軍の街・宮崎 (よしっ、任せといて。)和葉が腕まくり。そろそろ宿を決めましょう。 「4は堪忍してくれよ。」 「どうしたん、平次?」 「虫歯なんや・・・・・。」半泣きの表情である。 筆者注:”赤福”とは伊勢名物のお菓子です。 1cmほどの柔らかい羽二重餅の上に、更に1センチほどこしあんの層が乗っています。 食べるときはヘラですくって食べます。 「シケた顔せえへんの!!」ヒジで小突く。 とはいえ情けない顔見せるんは、それだけ私に心許してる証拠なんやけどね。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「4以外で頼むでっ!!」和葉がサイコロを投げる。 ・・・3。 3・ちょっと北へ・高速バスで長野 JR竜王駅へ移動して、篠ノ井線ぞいに路線バスで移動。 移動時間:50分 移動距離:90km やや北上したが、もうすぐ夜更けだ。次の一手で明日の展開が決まる。 和「あのー、D。質問なんやけど。」 D「はいはい。」 和「私ら乗るのって、普通の路線バスでしょ?」 D「そうですよ。」 和「なんで、”高速”バスなん?」 D「乗ればわかります。」不敵に笑うディレクター。 ま、まさか・・・。 和葉は、風も吹かないのに寒気を感じていた。 <第五の選択:長野> バスで長野に移動中 曲がりくねる山道のがけっぷちを小型バスが爆走する。 平「どうぅえーー!!揺れるーー!!」 和「平次、平次、右、右!!」 平「うげーー、窓からガケ下が見えるーー!!」 D「だから言ったでしょ?高速って。」 平「速すぎるわ!」 和「しかも、なんなんよ。あの申し訳程度のガードレールは。」 冷静にパンフレットを開くディレクター。 D「このバスの車幅は3m半。ガードレールの間隔は8mだそうです。」 和「楽勝で2台通り抜けられるやん!!」 平「というか、明らかに道よりバスのほうが幅取ってるぞ?」 和「さっきから後ろのほうから、カスッカスッって変な音しない?」 D「そういえば、やけに後輪のほうがブルブル震えてますよね。」 平「えっ、マジ?これってひょっとして・・・・脱線?」 後輪がヤケに元気よくから回りしてるぞ? 30分後、到着。 D「いやー、ひどかった。」 和「やっぱり、バスを降りるとほっとするね。」 D「なんともスリリングなバスでしたね。」 和「というか、道なき道を無理やり走ってたよね。」 平「山の中を無理やり暴走しとったもんなぁ、 道路作る予算とかなかったのかねぇ?」 和「それ言えてる。走ってる道もこれがまたガケっぷちやもんね。」 D「のぞいたら下が見えるんだよ、マジで。もうカーブのたびにひやひやしちゃって。」 平「そこらへんのジェットコースターといい勝負や、あれ。」 和「それ以上やわ、多分。」 平「もう職人芸やね、あの運転は。命がいくつあっても足りへんわ。」 さっさと、次の街に脱出しましょう。 そろそろチェックインの時間も近いので、宿を意識したコース取りになりました。 1・企画を終えてビール飲もう・札幌直行便 2・いやいや米焼酎をたしなもう・秋田 3・温泉入って雪見酒・金沢一泊 4・荒海眺めて一気飲み・佐渡島 5・スルメ片手にコップ酒・深夜バス京都行 6・夜景を眺めてカクテル・神戸三宮 「うわー、「5」って絶対悪酔いしそう・・・。」和葉の顔がゆがむ。 「4から6はマズイわな。何とかして避けよう。」 「けど、6は結構魅力やで?」 だって、平次と一緒に大人っぽい雰囲気なのが、全国放送されるんやで? 「そやなぁ。じゃあ、1か2。最悪でも6で行こう。」 時間から言っても、今日はこれが振り収め。 最後は平次君が締めます。なんとかして、札幌に近づこう。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「それっ・・!!」 コロコロコロ・・・・・・。5。 「はっはっはっは!!!」ディレクターの笑い声だけが長野駅に響き渡った。 5・スルメ片手にコップ酒・深夜バス京都行 京福電鉄バスで長野駅から日本海沿いに移動。 移動時間:9時間40分 移動距離:430km いきなり深夜バスの洗礼を受ける羽目になった。 さて、深夜バスに乗り込んだ二人は・・・・・。 「ちょっと、なんなんよ。この座席の狭さは。」和葉、ご立腹。 一人当たり、座席幅は手すりを入れて70センチ。 振り返れないし、寝返りもうてない。 開始5分ですでに背中が痛い。 10分たてば、太ももがしびれてくる。 座席が狭すぎて、脚の根元の血管が圧迫されているのだ。 仕方ないから、ハイ。足上げて、次下げてー。もっかい上げてー。下げましてー。 ギッコンバッタン。平次たちは5分周期で背もたれと連動して動きまくっていた。 <第六の選択:京都編> 【2001年12月23日6時30分・ツアー2日目・JR京都駅】 朝もや立ち込める京都駅アップから、二人へ画面が移りゆく。 「はい、2日目です。」どうした平次、クマができてるぞ。 「時間は7時30分・・・。」和葉まで時間を間違える始末だ。 「いやー、ひどかったですね深夜バス。」 「まいった、まいった。」なんせ一睡もできなかったんだもん。 「寝るとか言う前に、いかに体の血液を循環させるかだったもんね。」 「そうそう。座席狭いから、体のどこかで血液が流れなくなって、シビれんだよな。」 もう、たった一夜でみんなボロボロです。 体を座席に縛り付けられて、精神的に参ってます。 「じゃ、とりあえず体力温存で近場でも行きますか?」 「是非お願いします。」 そんなわけで、2日目最初のサイコロはこうなりました。 1・電車VS人をやろう・JR飯田 2・仏閣でも見ましょう・東大寺 3・渦潮と競艇の街・岡山県児島 4・伊丹空港経由で博多 5・気温7度だけと常夏の街・沖縄徳之島 6・なぜか家庭訪問・大阪寝屋川 「えーっ!!朝っぱらから「1」やるのーっ!!!」 「どないしたん、平次?」 「これすっごいきついんや。ただでさえ少ないスタミナ、浪費しまくるで。」 実は、回り道を走る鈍足列車VS直進道路を走る人間の対決なのである。 「”6”も違う意味で避けないとね。」 「そやな、俺らの人生が変なとこで狂いそうやもんな。」 あの母親たちをブラウン管に登場させるのは、なんとしても避けよう。 「とりあえず、2か3やね。」 「そやな、乗る時間短いので行こう。」まだおしりが痛いんです。 体の痛みと迫り来る眠気をかけて、和葉が振ります。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ ・・・・4。 「おいおい、やべーぞこれ。」 4・伊丹空港経由で博多 移動時間:2時間50分 移動距離:370km ついに九州上陸。スタートの東京へ戻れるのはいつの日か? <第七の選択:博多編> 【午前11時30分・JR博多駅前】 和「はいっ、ついに九州上陸であります。」 平「なかなか、きれいな町並みですねー。」 D「駅自体も石畳がきれいでいいよね。」駅前のスペースもタップリあります。 さあ、さっそく振っていきましょう。 D「ああそうだ、ここでスペシャルカードを使いますね。」 スペシャルカード? 平「何やねん、それ?」 D「途中で何箇所か、あらかじめ行き先を書いたカードを使うんです。」 和「たとえば?」 D「そのうちの一枚がこんな感じになります。」 今回のサイコロは、これで行き先を決めます。 【テーマパークカード】 1・温まりそう・ほっとゆだ(青森県北上線) 2・楽しそう・東京ディズニーランド 3・美味しそう・フルーツパーク(天竜浜名湖) 4・眺め良さそう・ハウステンボス 5・元気でそう・スペースワールド 6・気持ちよさそう・宮崎シーガイア 平「これってさあ、単にDが行きたいだけでしょ?」 D「あ、わかった?」いい男がペロっと舌を出す。 平「本当っに私利私欲に満ちた番組やな、これ。」 和「お茶の間の皆さん、ディレクターの怨念が伝わってますかー?」 D「遊びたいんですよー、たまには。」 平「しかし、こりゃぁやりすぎやディレクター。」 和「・・・けど、これって結構リスキーなカードやよね。」 平「どして?」 和「だって、北陸一個、関東一個、中部一個で、残り全部九州やで?」 平「ホンマや。こんなカード出さんといてくれや。」 D「いいじゃないですか。九州で使う分にはリスクが少ないんですよ?」 平「るっせーよ!!!」 珍しく、4〜6が出ても結構魅力的な感じだ。 「ここでフルーツパークなんか出たら、逆に哀しいよね。」 下手に札幌に近づくだけがいいとは限らないのです。 テーマパークの行き先を決めるべく、お祭り男平次君のサイコロは・・。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ ・・・・4。 和「よっしゃあ!!」大喜びである。さあ、遊ぶぞっ。 4・眺めよさそう・ハウステンボス 移動時間:2時間20分 移動距離:170km 一旦鳥栖まで移動して、そのまま長崎へ。 三人して特急ハウステンボス号に移動。 「かーーっこいい!!!」平次少年、おおはしゃぎ。 内装は一貫して、クリーム色とシックな赤で統一。 まさに、オランダへの夢の超特急なのである。 和葉は早速、友人から託されたお土産リストをめくっていた。 <第八の選択:ハウステンボス編> 【2時間ほどして、ハウステンボス入り口に到着】 平「さあ、いよいよハウステンボスです。」 D「特急ハウステンボス号に乗車して2時間。ハウステンボス駅に到着です。」 和「やっぱり、有名な観光地は人が多くていいよね。」 平「そうそう。人気無いとこばっかり歩いてると心まですさむもんなぁ。」 和「ようやく、旅行らしい旅行になってきましたね。」 D「昨日の夜にむなしく深夜バスに乗っていたのがウソみたいだね。」大笑い。 D「さあ、サイコロを振っていきましょう。」 平「ここが勝負どころやな。」 和「やっぱり、下手に移動するよりも・・。」ここで遊びたいです。 D「でね、一つ作戦を立てました。」 平「作戦?」 D「これまでの皆さんのサイコロを見ていると・・」 なぜか5か6が多い。 というわけで・・・。 今回は趣向を変えて、いつもと逆に南から順に書いてみました。 「おいおい、大丈夫なのか?」振ってみればわかります。 1・ついに出た最南端・鹿児島 2・ついでに温泉・湯布院 3・少し戻ろう・新幹線ひかりで岡山 4・原点に戻ろう・ひかり自由席で東京 5・遊ぼうよ・ハウステンボスで半日 6・泊まろうよ・ハウステンボスて一泊 平次を目配せをする和葉。もちろん狙いは「6」。 お土産リストもあることだし、がんばりましょう。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ ・・・1。 全員が言葉を失った。 「かーずーはー・・。」平次がっくり。 1・ついにでた最南端・鹿児島 移動時間:3時間40分 移動距離:270km 特急ハウステンボス号で鳥栖まで戻り、一路鹿児島へ。。 平「ほれみぃ。変な書き方したから、1で鹿児島やんか。 ちゃんと北から順に書いてたら、今ごろハウステンボス一泊やったのに!!」 D「じゃあ行きましょうか?」 和「えっ、行くって?」 D「今何分?」 平「(13時)45分。」 D「49分なんだよ。」 平「何が?」 D「出発が。」 和「ウソッ!!」 D「ほら,ホームに見えてるだろ?あれに乗って帰るよ。」 和「ええっ、だって今来たばっかり・・。」 D「さあ行きましょうか。」 平「おいおい、ウソやろ!?」 本当。 【ハウステンボスを目の前にして撤収開始】 D「さあ、急ぐよ!!」 平「おいおい、本当に帰るの?」 D「言い訳はいいから、さあ行った行った!!」 和「なまじ見えてるだけにダメージ大きいよね。」 平「何番ホームに行くんや?」 D「2番ホームです。我々が降りてきたホームです。」 和「ああ、あの赤い列車。・・・・あれ?」 平「おい、あの列車、俺たち乗ってきたやつちゃうか?」 D「そうですよ。」 和「じゃあ、博多から乗ってきた電車でそのままUターンなの?」 D「しかも、ハウステンボスの入り口に触っただけでね。」 平「荷物降ろす意味あらへんやないか!!!」 特急ハウステンボス号〔同じ車両〕に移動。 D「はいっ。というわけで我々は今、乗ってきたばかりの車両にまた乗ってます。」 和「ハウステンボス、滞在10分。」 平「たったの10分。」 もはや、人道的とはいえない旅になっております。 和「バカみたいにすぐサイコロ振らなきゃよかったね。」 D「到着してすぐ振ったがために、我々はこの列車に間に合ってしまいました。」 平「あーあ、もっと見たかったなぁ、ハウステンボス・・・・・。」 <第九の選択:鹿児島編> 「さあやってきてしまいました、鹿児島です。」 「今回の旅の最南端でございます。」 「しかし、こうして実際に来て見るといい所ですね。」 「そうですね、観光で寄ってみるには、ね。」 「しかし、サイコロの旅としては・・・・。」 「これほど展開に詰まる場所もございません。」 だって南行きしか飛行機ないんだもん。 鉄道で北に行こうとしたら、乗車時間がすごく長いんだもん。 「どのルートをひいても、座席でお尻が痛くなりそうですね。」 その通り。 とっとと北に脱出しましょう。 だって、制限時間があと二日しかないんだから。 そろそろ夕焼けも近い時間になってきました。 明日以降のアクセスも考えて、こんなルートになりました。 1・北陸のフェリー基地・敦賀 2・城とテーマパークを満喫・姫路 3・四国南海フェリーで和歌山 4・関空経由で島根 5・豊後水道をフェリーで・宇和島 6・もっと南へ・路線バス3時間で佐多岬へ 和「えーっ、城とテーマパークで姫路!?」姫路なんか、何十回も行ってるよ? 平「城と遊園地やったら、倉敷にしといてくれよ。」 根っからの大阪人、大ブーイング。 もう、6だけは避けよう。 平次君、頼むぞ。せめて本州にはたどりつこう。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ ・・・3。 3・四国南海フェリーで和歌山 移動時間:2時間20分 移動距離:320km とりあえず本州に脱出。ところが・・・。 D「やっちゃいましたねぇ・・。」 和「どうしたの、ディレクター?」 D「これねぇ、結構きついんですよ。」 平「なんで?運賃も安いし、近畿に帰れるんやで?」 D「この航路ね、車両輸送が目的に設置されてるんですよ。」 ということは、スペースの大半は車に占領されるわけだ。 和「まさか・・・座る場所がないとか?」 D「それ以上です。休憩設備が全くないんです。」 平「じゃあ、どこで時間を過ごせばいいわけ?」 D「デッキの上です。」 平「デッキ・・。ええんやない?海の風情が感じられて。」 和「ねえ?」 D「先に言っときますけど・・・。」 和「何?」 D「今、高知県付近で局地的な豪雨が発生しているんです。」 平「じゃあ、ズブ濡れになれってこと?」 D「もしくは、蒸し暑い格納室でガマンです。」 和「うーそーだぁ・・・・。」 土砂降り。 <第十の選択:和歌山編> 土砂降りをくぐりぬけて、ようやく和歌山へ到着。 しかし、思わぬトラブルが発生・・・・。 「今、観光協会とかを調べてみたんですが・・・・。」 「どうだった?」 「目ぼしいホテルは全滅です。」 「マジッ!!」 「なんとか、和歌山マリーナシティで一部屋見つかりましたが。」 「それいや。寝るところまで一緒はいや。」 「ですよねぇ。諦めますか。」 「諦めましょう。」 「もともと和歌山って観光のホテル少ないんですよ。」 「やっぱり飛び入りじゃあ無理?」 「そこで・・。」 「そこで?」 「タクシーの運ちゃんに頼んで、ホテルに案内してもらいます。」 「さあっすが、気が効いてるやんか!!」 30分後到着。 「あのさー。どういうこと?」 「ホテルですよ。」 「いやだからさ、なんで俺たちがここに泊まるわけ?」 「なんとも鮮やかな色使いですね。」 「毒々しいって言わない、こういうの?」 「まあ最近はカップルズホテルって言うらしいですね。」 「言い方を変えたところで、目の前の事実は変わらんでしょうが!!」 そう、ここはラブホテル密集地帯。見渡す限り、山の中。 「だって、あんたたちが一部屋はイヤだって言うから。」 「だからって、ここを選ぶことはないでしょうが!!」 「ここなら現時点で二部屋は確保できるんですよ。」 「そういう問題じゃあないでしょう。」 「じゃあ、とりあえず部屋割りどうします?」 「そりゃあ、順当な流れで行けば・・・・。」 「私はイヤやで!!平次と一晩過ごすの。」 「じゃあ私と一緒にしますか?」 「なんでお前ら(和葉とディレクター)が同室やねん!!」 「じゃあ、和葉さんはどうすればいいと思います?」 「そら、男同士で同室でしょう。」 「おいおい、ここラブホやぞ?」 「関係ないやん。それとも身に覚えでもあるん?」 「あるわけないやろ!!!!」 「まあまあまあまあ。」 「じゃかましいわ、ディレクター。元々はあんたのせいなんやで。」 「そうよ、どないオトシマエつけるんよ?」 「そういう時のために、これがあるんじゃないですかぁ。」 サイコロ登場。 さあ、二日目の宿を決めましょう。運命の女神は誰に微笑むのか? 1・服部君の親戚の家に一泊 2・全員ホテル同室 3・Dだけホテル別室 4・平次だけホテル別室。 5・和葉だけホテル別室 6・仕方ないので車中一泊。 「・・・・・・・」運命のサイコロを握り、無言の和葉。 ここで出すとすれば、そりゃもちろん3がいい。 けどそれは、全国に私たちのことがバレるということ。少し恥ずかしい。 だからといって、車中は嫌。4なんてもってのほか。 平次がチラリとこっちを見る。やはり和葉のことが気になるのだろう。 D「さあ、和葉ちゃん、振ってください。」ついに運命のときが来た。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「それっ!!!」和葉は力いっぱいサイコロを投げた。 三人でサイコロを追いかける。 ・・・5。 「うおおおおおーー!!」 平次の雄叫びが紀州の杉林にこだました。 「ご、ごめん・・。」 「視聴率的に、一番美味しくない展開になってしまいました。(笑)」 「るっせーよ!!!」 5・和葉だけホテル別室。 宿泊料金:7000円×2=14000円 男二人でラブホテル、確定。 しくしくしくしく・・・・。 その夜、平次は壁一枚向こうにいるかの人を思い出し、涙に暮れていた。 <第十一の選択:宿泊後の和歌山> 【12月24日08時25分:JR和歌山市駅前】 大きくJR和歌山駅を映し出すカメラ。 そしてそのまま、画面を引いて平次と和葉を映し出す。 平「はい、なぜかラブホテルに泊まってしまって、 えーと・・・・・。今日って何日目だっけ?」 D「3日目、3日目!!」あわててDがカンペを出す。 和「おとといの夜が深夜バスで、次はラブホテル・・。」 平「この旅が始まって丸二日が経ちましたが・・。」 未だに心の休まるときはありません。 和「おまけに私は、体の節々が痛いです。」 平「え、和葉もか?」 和「平次も痛いん?」 平「おお、床で寝かされたんや。ジャンケンで負けて。」 さすがに男二人でダブルベッドは使えないもんね。 D「ところで、どうして遠山さんまで体が痛いわけ?」 和「私も床で寝たんです。」こんな所まで息がぴったり。 平「なんでや?お前、一人で泊ったんちゃうんか?」 和「だって寝れなかったんだもん、あのベッド。」 平「何を贅沢言うとんねん。結構ふかふかで寝やすかったやろ?」 和「・・・だってスイッチの切り方わからなかったんだもん。」 スイッチ? 平「スイッチって天井の照明の?」 和「違う。」 D「じゃあ、ステレオのBGM?」 和「違う。」 平「じゃあ、他に何があんねん?」 和「・・・・回転ベッド。」 平「なーるほど。」そりゃ、寝れないわ。 D「ただでさえ疲れてる所に回転ベッドか・・。」 和「ちょっと乗り物酔いしちゃって・・・。」 どうやら、元気なのはD一人のようです。 さあ、いよいよ旅も後半戦。タイムリミットは明日の23時。 がんばっていきましょう。行き先はこうなりました。 1・八百万の神頼み・出雲大社 2・駆け上がれ!!金毘羅大社 3・気分は次郎長・伊勢神宮 4・明治建立だけど・「平安」神宮 5・かきめし食べたい・厳島神社 6・01年野球の覇者・神宮球場 和「またカキ飯ーっ!?」 D「これも仕事ですから。」 平「しまいに怒るよ、投げるよ、首ヒネちゃうよ?」 なぜに東京弁なんだ、平次君。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「それっ!!!」平次君、6回目のサイコロ。 ・・・2。 2・駆け上がれ!!金毘羅大社 岡山まで新幹線で移動して、瀬戸大橋経由で徳島へ。 移動時間:1時間40分 移動距離:110Km なけなしのスタミナが更に削られる。 平「うわー、これしんどいぞー。」 和「確か階段があるんですよね。」 D「800段。」 平「せっかく、昨日の飯田線をまぬがれたのにー・・。」 <第十二の選択:金毘羅神社> 岡山駅からマリンライナーで四国へ 和「さあ、瀬戸大橋を渡りまして、いよいよ四国に突入です。」 平「これで、本州・四国・九州を制覇です。」 D「後は、北海道と沖縄だけだな。」 和「もうディレクター、不吉なこといわないでよー。」 実際、口に出したところに行っちゃうんだから。このメンバーはさぁ。 金毘羅に到着 D「さあ、かの有名な階段に到着です。」 和「ねえ、D登るのやめようよ。」本当に辛いんだよぉ。眠いんだよぉ。 D「だけど、やっぱり番組的には登っておかないとね。」 平「オ、オニだ・・・。」 D「ああ、そうだ。上の神社に面白いものがあるんです。」 平「何?」 D「恋占いをする岩です。二つの岩が10mほど離れていて、 目をつぶって、片方からもう片方へ歩いてみるんです。 まっすぐゴールの岩にたどり着けたら恋が叶うようですよ。」 平「ケッ、そんなアホみたいな子供だましに誰がのるねん、 なあ和葉・・・・っておい!!」 和葉ちゃん、猛ダッシュ。 【12月24日11時15分:金毘羅本宮前】 D「さあ、本宮前に到着です。ここまでの階段850段。」 平「まともに眠れていない身には、やっぱり辛すぎです。」 D「そして、相方の和葉ちゃんはといえば・・・・。」 平「まだ、岩の間を走り回っています。」 あの情熱を違う形で平次に向けられたら、どれほど違うことか・・。 平「おい和葉、そろそろサイコロ振るぞ。」 和「嫌や、もうちょっとでうまくいきそうやから。」 平「ええからこい!!」目隠し中の和葉を無理やり引っ張る。 和「ちょ、ちょっと・・。」左手をぎゅっと握られエスコート。少し顔が赤い。 D(どうやら、恋の神様は和葉ちゃんに味方したみたいだな。) さあ、本宮前のお店でみたらし団子を食べて、体力も回復。 気合を入れて、サイコロを振っていきましょう。 さあ、いよいよ旅も後半戦。タイムリミットは明日の23時。 がんばっていきましょう。行き先はこうなりました。 1・徳島発直行便・千歳 2・奮発しよう・高松空港発名古屋 3・淡路島経由でユニバーサルスタジオ 4・安上がりな鈍行で・JR新神戸 5・ファイナルアンサー?・香川県「みの」駅 6・いっそ南の果てへ・石垣島 D「もう、とっとと1出しましょう。」帰りたいのよ。 平「けど、3もなかなか。」捨てがたいねぇ。 和「5の、みのって?」香川県の西側です。瀬戸内の海がきれいだよ。 ではいきましょう。通算12回目、和葉ちゃん6回目のサイコロです。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「それっ!!!」和葉、なぜか階段の下の方に投げる。 「アホッ!!!」3人で慌てて追いかける。 万有引力の法則にしたがって、サイコロは落ちる落ちる。 100段ほど下ったところで、ようやく止まる。 サイコロの目は・・・・・・1!(ゴール直行便) 「やったー!!!!」抱き合う平次と和葉。 思えば長い道のりだった。 悪夢の深夜バスに、地獄のラブホテル一泊。 仏滅に次ぐ仏滅な生活とも今日でいよいよオサラバだ。 「これで帰れるーーっ!!」シャワーも浴びれるよぉ。 石段の上で飛び跳ねる和葉。と、その時・・。 (グラッ)和葉、バランスを崩す。 「危ない!!」平次、慌てて和葉の体を支える。 (コツッ・・・)足になんだか軽い感触? 「あ、ありがとう。」はしゃぎすぎちゃった。 「礼なんていらないよ。」なんかかっこいいぞ、平次君。 と、何かに気が付いたディレクター。 D「あのさぁ、今、サイコロ蹴らなかった?」 平「え、俺?」 D「うん。今、遠山さんを支えたときに。」 はるか下には、転がりつづけるサイコロ。「追えー!!」 「おーい、なんかサイコロ落ちてきたぞー。」下の茶店から声が飛ぶ。 D「あ、すみませーん。何の目が出てますか?」 店「6です。」 なんですとぉ!? <第十二の選択の延長戦:まだ金毘羅神社> ・・・・・・・・。 三人は茶店の前でまだ固まっていた。 サイコロの目は6。(いっそ南の果てへ・石垣島) D「よりによってなぁ・・。」頭を抱える。 平「けどなぁ。」出ちゃったものは仕方がないよね。 和「こういう場合、どうするわけ?」 2回振った場合なんて考えているわけがない。 D「やっぱ、最後の6が優先でしょ。」 平「けど、最初に1が出たやろ?」 ・・・・・どうしよう、うーん。三人で頭を付き合わせる。 和「いっそのこと、延長戦にしようか?」 てなわけで、13回目のサイコロは以下のようになりました。 (金毘羅大社・サドンデス編) 1・徳島発直行便・千歳 2・もう1回振りなおし 3・もう1回振りなおし 4・もう1回振りなおし 5・もう1回振りなおし 6・いっそ南の果てへ・石垣島 順番から言えば、振るのは平次君。 ゴールかそれとも地獄の南国か、7回目の登板は責任重大である。 和「がんばれ、平次!!」 D「頼むぞ、平次君!!」ここで出してくれ。帰らせてちょうだい。 平「任しとけって。」 和「2から5でまだ振りなおせるからね、落ち着いて。」 いざ、勝負!! ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「とおっ!」・・・・・・6。 「ぬぅおーーっ!!!!」ディレクターの遠吠えが響く。 6・いっそ南の果てへ・石垣島 陸路で広島まで移動して、石垣島直行便に搭乗。 移動時間:3時間40分 移動距離:427Km 最高のチャンスをつぶし、ついに沖縄上陸。 和「あたたーー・・・。」顔をしかめて、うづくまる。 平「さあ、行こうか!!」ヤケクソ気味。 和「もうねー、あんたねー、さっきまですごく格好良かったのに・・。」 平「仕方ないやろ、出てしまったんやし。」 和「平次なんて、もうっ最低!!!」 <第十三の選択:石垣島> 【12月24日14時38分:石垣空港】 平「というわけで、石垣空港に到着です。」 和「広島から、8人乗り飛行機に乗せられて2時間弱。」 D「これまでの旅の道のりを台無しにする2時間でありました。」 平「本当なら、今ごろはねぇ・・・。」 和「雪景色、小樽のワインとガラス工芸。」 D「で、最後に雪祭りだったのにね。」苦笑。 平「じゃあ早速振りましょうか。」 和「とっとと、本州に帰りましょう。はい平次。」サイコロを渡す。 平「なんで俺なんだよ。」 和「元々はあんたのせいなんよ、オトシマエつけて。」 さあ、ついに石垣でのサイコロです。 行き先はこうなりました。 1・一気に新幹線ルートに復帰・萩 2・これなら次の移動も楽・徳島 3・せめて特急には乗ろう・高知 4・フェリーでゆっくり行こう・宮崎 5・沖縄地獄その1・那覇(Gameover) 6・沖縄地獄その2・西表島(Gameover) 平「西表島っ!?」おいおい、どこに行かせるんだよ。 和「こんなの、札幌に帰れるわけないでしょ?」 D「5と6は絶対に出さないでね。」帰れなくなるんです。 帰れない? 平「どういうこと、帰れないって?」 D「今乗ってきたセスナ機があるでしょ?8人乗りの。」 あれが、沖縄脱出の唯一の手段なんです。 和「アレに乗れなかったら?」 D「沖縄県内を周遊するフェリーで夜まで引き回し。」 しかも、明日の昼まで沖縄脱出のチャンスはない。 平「じゃあ、5か6が出たら・・。」 D「その場でGameoverです。」札幌に帰れませんからね。 平「うげー、責任重大だあ。」 平「ハアーー。」ため息をつく平次。 こんな緊張は久しぶりだ。サイコロを握り締めて、念を送る。 和「私も手伝ってあげる♪」平次の上から更に手を重ねる。 平(お、おい・・。)少しあったかい。 D「ほお、ラブラブですね。」 平「別にっ!」オカンムリ。 さあ、和葉ちゃんの愛情ももらって、いざ!! ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「とおっ!」・・・・・・1。 1・一気に新幹線ルートに復帰・萩 乗ってきたセスナ機で再度広島へUターン。 そのまま山口線と山陰本線で萩へ。 移動時間:2時間30分 移動距離:257Km 平「イエィッ!」子供のようにVサイン。 和「平次って、ときどき格好いいよね。」率直な感想であった。 さあ、喜び勇んで広島行きです。 D「これほど、南国行き飛行機を嫌がる旅も珍しいよね。」大爆笑。 <第十四の選択:萩> 【12月24日17時18分:JR萩駅前】 夕焼け近い萩の町に三人組が上陸。 和「結構、いい町ですね。」 平「適度に坂道があって、建物の風情とマッチしとるよな。」 D「やはり旅と言うからには、こういうところを行きたいですよね。」 さて、そろそろ3日目の日程も残りわずかです。 明日が締め切りなんだし、思い切って移動しちゃいましょう。 D「ここでまた、スペシャルカードを使います。」 【明治維新カード】 1・徳川御三家の一つ・水戸 2・文明開化の出発点・横浜 3・商魂と食の街・堺 4・薫り高い文化の町・倉敷 5・当時の最先端技術都市・佐賀 6・西郷どんの町・鹿児島 平「また九州?」 D「うん。」 和「うん、じゃないでしょうが。」 書いたら行っちゃうかもしれないんだよ? せっかく石垣島の緊張から解放されたんだからね。考えようよ、少しは。 和「じゃあ、ふりまーす。」 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ ・・・・・4。 4・薫り高い文化の町・倉敷 美祢線で山陽本線に移動して、新幹線で倉敷へ。 移動時間:1時間30分 移動距離:116Km 「倉敷だーい♪」和葉ちゃん、ご満悦。 だって、駅のすぐ前がチボリ公園なんだもん。 夕暮れの後で行くと、イルミネーションがすごくロマンチックなんだもん。 <第十五の選択:倉敷> 【12月24日19時28分:JR倉敷駅前】 南国地獄を通り抜け、気が付いてみればチボリ公園の前です。 もう辺りは真っ暗です。 和「さあ、さっさと振りましょう!!」 D「これだけテーマパークが目の前にあればねぇ?」 平「もちろん、選択肢を用意してあるわけで。」 1・泊まろうよ・倉敷一泊 2・泊まろうよ・倉敷一泊 3・深夜バスマスカット号・東京 4・ひかり最終便で相生(兵庫県西部) 5・オレンジエクスプレスで四国へ・松山 6・トンネルくぐって九州へ・門司 目の前にはチボリ公園。 色とりどりのイルミネーションが時と共に虹色に移り行く。 入り口ゲートそばには、秒針のごとく輝く観覧車。 そして、鮮やかなオレンジ色に彩られた西洋風の城。 (しかも、少し静かな雰囲気の木立の中で 街道ぞいに穏やかなランプが並んでいたりするんやから。) 平次君を口説き落とすには、絶好のシチュエーションなのであります。 夜にまぎれて、平次君の腕にしがみついたりできるんです。 D「ぜひ倉敷一泊をお願いします。」仕事仲間に美観地区のお土産を買いたいです。 平「そりゃあもちろん。」昨日はラブホで寝れなかったんだもん。 和「じゃあ、いきますよ。」こっちも友達に土産を買わないと。 1日目に続き、3日目も平次君のサイコロで締めます。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「それ!」・・・・・・3 「さっ行こうか!!」平次君、早速荷物を持って移動。 もう明るく振舞わないと、やってられませんよ、こんな旅。 3・深夜バスマスカット号・東京 倉敷から長旅のバス決定。以上。三日目の夜も移動は続く。 移動時間:10時間30分 移動距離:857Km 「・・・・・・」無言でバスに乗る三人。 倉敷のイルミネーションが三人を呼んでいるのにぃ・・・。 倉敷インターチェンジから、山陽高速道路へ。 バスに揺られまくって、8時間が経過。 【12月25日05時15分:富士パーキングエリア】 気温3度。北風がひゅるりー、ひゅるりーららー。 和「倉敷からバスに乗って8時間。静岡県の富士PA到着です。」 平「やっぱり冬の夜は冷えるね。」バスの中まで寒いんだもん。 D「もうさあ、車内でじっとしてると辛いよね?」 平「何でもいいから体動かさないとヤバイです。」 和「ていうかねぇ、これって本当に休日費やしてまでやる旅なの?」 D「昨日のラブホから27時間、バスも入れたら48時間以上不眠不休です。」 平「で、唯一ゆったりできるのが深夜バスってどういうことなの!?」 もう体の節々が痛いです。どこかで湯を浴びて横になれないとヤバいです。 和「いいですか、視聴者の皆さん。この旅は絶対にやっちゃダメ。」 平「フラフラになりますよ?」 D「ていうか、どんどん人間だめになっちゃいますよね。」 平「大体さあ、旅ってのは見たこともない景色に”よく触れて” ”よく食べて””よく眠る”から楽しいんですよ?」 和「不眠不休で動いても、ちっとも楽しくないです。ドナドナの羊じゃないんだから。」 D「これって、絶対にレジャーじゃないよね。」 平「もうすでに仕事です!!」 和「刑罰ですよ、もう。”旅の刑”です。」 D「・・・・とりあえず、バス戻る?」 寒いよーん、ひもじいよーん。 哀れ三人組は結局眠れぬまま夜を越した。 <第十六の選択:東京> 【12月25日08時30分:JR東京駅前】 朝もやの立ち込める東京へ、三人組到着。 平「もう嫌、この旅。」 和「がんばろう、今日で終わりだから。」そう、今日の日没がリミットです。 D「すっかり、皆さんお疲れですね。」 平「だって仕方ないでしょう?あの深夜バス、空気が悪すぎるんだもん。」 和「何がひどいって、もう空気・ニオイ・湿気、全部最悪!!」 平「ボランティアでバルサンしてファブリーズしたい気分やんな。」 D「なんだか窒息しそうだったもんね。」 平「締め切った空間ってなんだかイヤやろ?空気がじっとりしてて。」 和「最後、めちゃめちゃキツかったもんね。 なんで、バスの窓って、全部はめ殺しなんだろ?」 平「寒くて風邪ひいてもいいから、窓全開にしてやろうかと思ったよ。」 和「新鮮な酸素ほしかったもん、空気じゃなくて酸素だよ、サンソ!!」 D「この声が全国のバス協会に響けば良いんですけどね。」苦笑。 とっとと出発しましょう。もうじっとしてるのが辛いもん。 ツアー最後の一日、気合入れていきましょう。行き先はこうなりました。 1・もう終わろうよ・直行便札幌 2・北へ行こう・花巻 3・少し北へ行こう・越後湯沢 4・一度地元に帰ろう・大阪 5・せっかくだから逆戻り・倉敷 6・ついでに倍戻ろう・鳥取 さあ、和葉ちゃんの番です。 そろそろゴールのことも視野に入れましょう。 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「それ!」・・・・・・2 2・北へ行こう・花巻 新幹線で移動。今のうちに寝ておこう。 移動時間:2時間50分 移動距離:417Km <第十七の選択:岩手県花巻> 【12月25日12時11分:JR花巻駅前】 D「さて、今回の旅の最北端・花巻です。」 和「初めて、北海道に手の届くところへきました。」 平「もう、ここまで来ればゴールしたも同然でしょう。」 D「そうですね。じゃあ、一気にゴールしますか?」 和「しちゃいましょう。」 平「もうチマチマした事抜きで、バシッとゴールしようよ。」 D「じゃあ、二択という事で。」 二択? ずばり、次の行き先はこれだ!! 1・津軽海峡を抜けてゴール!! 2・津軽海峡を抜けてゴール!! 3・津軽海峡を抜けてゴール!! 4・福島空港発・高知行き 5・福島空港発・高知行き 6・福島空港発・高知行き 平「・・・・・・」あまりの内容に勇気を出せない。 和「ずいぶん極端やねぇ。」 平「何をお前、他人事みたいに。」 D「男らしく、最後を決めてください。」 平「和葉、覚悟はいいな?」 和「いこう!!」 あと150km先のゴール目指して、いざ!!! ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「それ!」・・・・・・4 「やっぱり、やりおったー。」和葉、泣く。 「平次君、金毘羅のときといい、今回といい、本当にダメ人間だねえ。」 4・福島空港発・高知行き 2回連続でゴールのチャンスをつぶす。 移動時間:4時間50分 移動距離:417Km <第十八の選択:高知はりまや橋> 【12月25日15時31分:高知はりまや橋】 幻のゴールを逃し、やってきました高知県。 和「4日目です。もうしゃべる元気もありません。」 平「時間も残りわずかです。」タイムリミットの夕暮れも近い。 D「予算も残りわずかです。」こんな長い旅になるなんて思ってなかったよ。 さあ、のんびりしてる時間はありません。 ここらで一発、アレをやりましょう。 【テーマパークカード】 1・温まりそう・ほっとゆだ(北上線) 2・楽しそう・東京ディズニーランド 3・美味しそう・フルーツパーク(天竜浜名湖) 4・自慢できそう・日本へそ公園 5・元気でそう・スペースワールド 6・気持ちよさそう・宮崎シーガイア 和「できるだけ北のほうがいいよね。」 D「行ったところで、どうせ遊ばないですもんね。」 平「もうなんでもいいや、さっさと振ろう!!」 ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「それ!」・・・・・・また4 4・自慢できそう・日本へそ公園 瀬戸大橋を渡って、岡山から兵庫県尼崎まで移動。 尼崎からは阪急三田線で北上。 移動時間:2時間00分 移動距離:163Km 平「いい加減、夕暮れも近いね。」もう4時回ってるもんね。 和「多分、次で最後だよね。」 D「80時間ずっと乗りっぱなしでしたが、次で最後です。」 平「もうとにかく、最後は大勝負に出ましょう。」 和「なんでもいいから、札幌に行こう!!」 <第十九(最後)の選択:兵庫県三田市日本へそ公園> 【12月25日17時45分:日本へそ公園】 北風吹きすさぶ夕暮れの中、公園に立った三人ぼっち。 和「はい、今回の旅の最後のサイコロ地点です。」もう日没寸前です。 平「ここまで長かったですねぇ。」 D「私ももう疲れました。まさか2時間番組のロケで 4日も付き合うとは思ってなかったです。」VTR30本以上もヤマ積みです。 和「もうチマチマ言わずに振りましょう。」 平「振りましょう。」 D「では、最後のサイコロボードです。」 【ラストチャンスカード】 1・岡山発直行便・札幌 2・岡山発直行便・札幌 3・岡山発直行便・札幌 4・岡山発直行便・札幌 5・家に帰りましょう・大阪寝屋川(Gameover) 6・いっそ南の果てへ・石垣島(Gameover) 平「うわーぁ、また石垣だあ・・。」(石垣島の皆さん、すみません。) 和「ここまで来たら、ゴールしよう。」青森までは行ってたんだから。 D「じゃあ、ラストを飾るのは・・・・・。」 和「またもや、こいつです。」 平「任せとけ!!」その自身満々の態度が怖いんだってば。 (すー、はー、すー、はー。)サイコロ前に呼吸を整える平次。 D「今まで本当にお疲れ様でした。」 和「本当に長い長い道のりでした。」 平「じゃあ行きますよ。」 和「そおーれ!!!」二人で一緒にジャンプ。 二人の運命をかけて、人気のないへそ公園で最後の勝負!! ♪何が出るかな 何が出るかな ♪それはサイコロまかせよ 「うおぉりゃー!!!!!!」思いっきり真上に投げた。 ゆっくりと放物線の弧を描き、そしてそのままぴたりと落下。 ・・・・・・・・・・・・・・・・5!!!! 「どぉうえーーーーーー!!!!!」三人、同時に崩れ落ちる。 5・家に帰りましょう・大阪寝屋川(Gameover) 鈍行でJR大阪へ戻り、環状線経由で京阪電車寝屋川駅へ。 移動時間:1時間10分 移動距離:83Km 長い旅が終わった。そして、平次は逃げた。 平「おつかれさまでしたーー!!!」猛ダッシュ。 和「待てーー!!」 5分後逮捕して、寝屋川へ移動 平「温泉、俺と工藤の温泉旅行・・・・。」しくしくしくしく。 和「男がビイビイ泣くな!!!」ポカッ。平次をしばく。 東京→日光→熱海→甲府→長野→ 京都→博多→長崎→鹿児島→和歌山→ 金毘羅→石垣島→萩→倉敷→ 東京→花巻→高知→加古川→寝屋川・・・。 これが今回の旅でたどった彼らの道のりである。 二度の深夜バスにラブホテル。 来る日も来る日も移動の毎日。 移動距離しめて2000km。移動経費10万以上。 ここで、この旅を通じて彼らが学んだ教訓を残して この作品を終えることにしよう。 「やっぱり、家が一番!!!!」 |