紳助プロジェクトPresents
第21回高校生クイズ
Written by 紳助(FZJ05033★nifty.ne.jp)

【登場人物】

桜井菜穂
本作品の主人公。平次と和葉の同級生で、3人で高校生クイズに参加する。
TWO−MIXの大ファンで、クリスマスチケットを3年連続予約失敗の過去を持つ。
       
服部平次
泣く子も黙る西の高校生探偵であり、大阪府警本部長の息子。
推理力・行動力共に折り紙つきながら、クイズはやや苦手のようだ。

遠山和葉
平次のいるところに必ず駆けつける、史上最強の「幼なじみ」。
これ以上の説明は不要なので、あえて省略。

服部静華
服部平次の母。平次と和葉の二人をくっつけようと画策する。

【イントロダクション:悪魔の契約】

場所は大阪府寝屋川市、時は2000年のある秋の日。
平次と和葉の同級生、桜井菜穂は平次の母から電話である頼みを受ける事となった。

「なあ菜穂ちゃん、高校生クイズに出てくれへん?」
「高校生クイズ?」
「いやね、今年の大晦日に高校生クイズがあるんやけどね。」
「それがどうかしたんですか?」
「うちの平次と和葉ちゃんと一緒に出てほしいんよ。」
「なんで、私と和葉と平次君なんですか?」

「ほら高校生クイズって、なんか皆で力を合わせてがんばるって感じせえへん?」
「おばさま、まさか・・・・。」
「そういうこと。クイズにかこつけて、あの二人を接近させてほしいのよ。」
「なるほど。けど、私クイズとか苦手ですよ。」
「勝ち負けはどうでもいいんよ。二人が接近してくれたらええの。成功報酬もつけるから。」

「成功報酬?」
「ええ。あんた、確かTWO−MIXの大ファンやんなぁ?」
「そうですけど・・・・。」
「クリスマスコンサートの最前列チケットを予約してあげるわ。」
「そんなのできるんですか?」
「もちろんやん。警察構内からの電話は一般電話よりも優先されるようになっとるからね。」
さすがは大阪府警本部長の妻、やることがすごい。

「それってズルくないですか?」どう考えても法律スレスレなやり方だ。
「欲しいん、欲しくないん?」
「・・・・・欲しいです。」
「じゃあ決まりやね。」
「お任せください、おばさま。」
・・・・・・こうして、魔の契約が成立したのである。

・・・・時は流れて10月9日。
大阪城公園にて、ついに熱きクイズバトルの幕は切って落とされたのである。



【近畿大会第1回戦:YES−NOクイズ】

<近畿予選当日・大阪市営モノレールにて>

「なあ和葉、なんで俺が来なあかんねん?」大声で尋ねる平次。
「ええやないの、クイズの一つや二つ。」同じく、大声で返す。
「そうそう。たまには息抜きせーへんとね。」菜穂も同調する。

ハァーッ・・・。平次はため息をついた。
やや涼しくなったとはいえ、何が悲しくてこんな人ごみに来なければならないのか。
実は、静華(平次の母)に入れ知恵された和葉に説得されたのである。

なんでこんなクイズに付き合わないかんねん・・・。
とっとと間違えて、帰ったろ。
平次は、やる気なしモード全開になっていた。

そんなこんなで会場最寄のモノレール千里中央駅に到着した平次たち。
もう駅の周辺はクイズに参加する高校生たちでいっぱいだ。
インターネットの情報によると、今年は3000チームが登録したらしい。
すでに駅から降りる前から熱気でむんむんしている。
秋口の朝10時だと言うのに、なぜこんなに暑いのか。

「なあ和葉、帰ろーや。」
「何だらしないこと言うとるのよ、行くで!!」
幼なじみの腕をぐいぐい引っ張る和葉。
なんとしてもクイズを勝ち抜かないと、平次とずっと一緒にはいられないのだ。

・・・・・そして30分後、ついに和葉たちはクイズ会場の万博記念公園に到着した。
毎年おなじみのライオンのマークに、テーマ曲「ハリウッド」のお出迎え。
正面には「YES」「NO」と書かれたゾーンが用意されている。
そして、福沢アナウンサーの登場する舞台が真正面にスタンバイされていた。
すでに舞台の前には、近畿2府3県からあつまった高校生が集結済み。
(和歌山は年度特別区のため、別日程で2チームが選ばれる。)

「うわぁー!!!!」あまりの迫力に驚く和葉。
「さあいよいよ戦場に到着やで!!」菜穂も気合が入る。
「・・・・・・・」平次、まだエンジンがかかっていない。無言である。

BOMB!!

その時、スピーカーからファンファーレがあがり、舞台上に火花が立ち上がった!!
「明るく楽しい生存競争、一度負けたらハイそれまでよ・・・・・・。
 クイズ夢先案内人、福沢明見参!!!!!」
ウオーッ!!!!!!!一気にボルテージの盛り上がる高校生達。
「皆さん、おはようございまーす!!」まずは、福沢アナのご挨拶。
「おはようございまーす!!!!!」元気一杯の声の波が舞台方向へ流れてゆく。

「いやいやいや、元気がいいねー。・・・・・それでは聞いてみよう。
 問答無用の高校生クイズ、みんな燃えているかーっ!!!」
「オーッ!!」
「その握りこぶしに偽りはないかーっ!!!」
「オーッ!!!」
「3人一組、チームワークに抜かりはないかーっ!!!」
「オーッ!!!!」
「何が何でも予選を突破するぞーっ!!!」
「オーッ!!!!!」
「燃えてゆけっ、ファイアー!!!!」
「ファイアーーーーーッ!!!!!!」
毎度おなじみのシュプレヒコール。これがあるから高校生クイズはやめられない。

「・・・・・・さて、それでは皆さんご注目の第一問を発表いたします。第1問はこれだっ!!!」


「・・・・・・焦らない方が良い結果になる、と言う意味の【急がば回れ】。
 これは近畿地方の水がめの琵琶湖の正しいわたり方を示した言葉である。YESかNOか?」


「ええーっ!!!!」高校生達に動揺の色が広がる。
「それでは参りましょう。制限時間は1分間。ヨーイ、スタート!!!」
すぐに会場は大騒ぎとなる。あるものは携帯電話を、あるものは百科事典を調べる。
あっという間に会場はどうするどうする大会と変貌した。
各府県代表10チームを決める戦いが今始まった。

「なあ、平次はどっちやと思う?」和葉が尋ねる。
「俺もわからへんわ。」やる気もなさそうに答える。
「平次君、しっかりしてよ!!!」背中をデンと押す菜穂。
こんな調子ではひっつくもヘッタクレもないではないか。

「そやなー・・・。まあ問題から推理するとYESかな?」平次が口を開いた。
「なんで?」和葉が尋ねる。
「だってよく考えてみろや。なんかこの問題、無理やりご当地問題にしてるやろ?」
「そーいやそーやね。琵琶湖ってのもなんかデッチアゲみたいやもんね。」菜穂も同意。
「けどそれやったら、答えはNOちゃうの?」
「そやから和葉、それがヒッカケやねんて。どーせ大量の人間を落とすつもりなんやろ。
 それにな、急がば回れの言葉が、これまでに1回も琵琶湖に関係なかった証拠とかあるか?」
「あっそうか・・・。」思わず納得。
「そういうこと。元々が琵琶湖と関係なかったとしても、どこかのおっさんが一度でも
 言い出した証拠があれば、答えはYESになるんや。」自信満々の平次。

それを見て安心する菜穂。(平次君、やる気あるみたいやな。)
そして、平次は一人ほくそえんでいた。実は平次自身はNOが正解と考えていたのだ。
だからこそYESに行って、いきなり間違えて自由になりたかったのだ。
・・・・そして、平次たちはYESに移動した。制限時間10秒前のことだった。

「・・・それでは第一問の正解を発表しましょう。YESのみんな、自信はあるかー!!!」
「オーッ!!!」
「NOのみんな、本当にNOと言い切れるかー!!!」
「オーッ!!!」
「では起こせ、YESーNOコール!!!」
「YES,YES,YES!!!!」
「NO,NO,NO!!!!」会場中に雄たけびがこだまする。

「では行くぞ、正解は、正解は、これだーーーーっ!!!!!」
オーロラビジョンに注目する9000人。
この瞬間だけ、全員の時間が停止する。

そして、示された答えは・・・・・・・・・・・・・・・


「YES」(琵琶湖を渡るとき回っていけ、との戦国時代の手紙より)


「やったー!!!!!!!!!!」もうYES側は大喜び。抱き合って喜ぶ。
「やったやった、平次ありがとーっ!!!」抱き合って喜ぶ3人。
「・・・・・・しまった。」一人浮かぬ表情の平次であった。

さて、そんなこんなでいよいよ2問目に突入である。
参加者の数からすると、大阪内で突破10チームに入るには、あと5問ほど正解が必要だ。
「さあ、次も頑張るで、平次!!!」
「次こそは頑張るで・・・・・。」いつになったら自由の身になれることやら。

さて、ここからが服部平次最大の悲劇の始まりだった。
わざと間違えたつもりなのに、ことごとく正解したのである。

「自由の女神はかつて灯台だった」「YES」
「文化庁は通産省の管轄である」「NO」(本当は文部省)
「ハゲタカの成鳥は頭が寒いので、頭を隠して飛ぶ」「NO」(白い毛がビッシリ生えています)

・・・・そして、平次たちはついに5問目に突入した。
「さあ、大阪ブロックはほどよく人数が分かれたようです。現在11チームが生き残っています。」
福沢アナの声が響く。そろそろ勝負どきのようだ。

「問題。童謡【手のひらを太陽に】には、2文字の生き物は出てこない。YESかNOか?」
9チームがNO、平次たちを含む2チームがYESに走っていく。
「なあ、平次、ほんまにこれでええの?」
「ひょっとしたら、ヤバいかもしれへんなぁ。」苦笑する平次。
「そんなーっ!!!!」和葉の悲鳴が響く。

・・・・・・正解はやっぱり「NO」(”ボク”が冒頭に登場しています。)
さあ、これで大阪ブロック最後の生き残りを賭けての2チームの対決である。
かたや、改方学園服部チーム。対するは、西の雄PL学園西川チーム。勝つのはどちらか。

「問題。巨人軍の桑田投手の車のナンバーは【無四球】にかけて、6499である。さあ来い!!」
一斉に走り出す2チーム。どちらとも答えは「NO」。会場からブーイングが飛ぶ。
このままでは、決着がつかないではないか。見ていて面白くないのも当然であろう。

「さあ、両チーム同じ答えになりました。・・・・今なら変えてもいいですよ?」と福沢アナ。
6人の顔に動揺が走る。これは天使のいざないか、それとも・・・・・・。
と、その時、平次が和葉の腕をつかんだ。「和葉、行くぞ。」
「えっ、平次・・・・。」
「ええから来い!!それとも絶対にNOって証拠あるんか?」
「ないけど・・・。」
「じゃあ来い。俺が全国大会連れて行ってやる。」

「けど平次、本当は勝つつもり無いんやろ?」
「そ、そんなことあるかい!!」動揺する平次。
「ウソつかんといて。これくらい、わからんとでも思ってたん?」
「バレとったか・・・。」苦笑する平次。
「うん。けど、もうええよ負けても。なんか見るからに可哀想やったし。」
「そらおおきに。けど、今は違う。俺は本当に勝ちたいんや。おまえを勝たせたいんや。」
「ほんまに勝つつもりなんか?」
「俺を信じろ。」じっと和葉の目を見詰める。
「平次・・・・。」

「ハイハイ、お熱いこって。行くよー。」菜穂が先に移動する。それに続く二人。
「さあ、改方学園がYESに代えました。」福沢アナの音声と共に拍手が起こる。
「もし間違えとったらゴメンな。」先に謝る平次。
「構へんよ、平次。どうせ私もどっちかわからへんし。」
「ありがとう。こうなったら一蓮托生やな。」おもわず笑みの出る平次。

「・・・・それでは参りましょう。大阪ブロック代表を決める正解はこれだっ!!!」

「YES」

「やったーっ!!!!」今度こそ本当に喜びを分かち合う改方学園チーム。
「これにて、大阪ブロック突破全10チームがけってーい!!!!!!」
・・・・・これが、高校生クイズ史上例の無い快進撃の始まりだった。



【近畿大会第2回戦:お買い物しりとりクイズ】

<大手スーパー、イトーヨーハトー・千里中央店1F正面入り口>

「さあ、まずは各府県10チームの皆さんおめでとう。
 ここで行いますクイズは、お買い物しりとりクイズです。
 ただいまよりあるキーワードを発表しますので、そこからシリトリをしてください。
 各チーム3人がそれぞれリレーをしていきながら、シリトリを完成させます。

 10個以上シリトリが完成したら、勝ち抜けとなります。
 店内で扱っているものは何を使ってもOKです。レシートを持ち帰ってきた時点で次の人に交代となります。
 ・・・・ここを勝ち抜けるのは、各府県3チームです!!」

いきなり10チームから3チームである。高校生達が動揺する。
「では、まずは大阪から行きましょう。最初のキーワードはこれです!!!」

【レシート】

「では、【ト】からシリトリを続けてください。ヨーイ、スタート!!!」

合図と共に走り出す各チーム代表の10名。
改方学園服部チームは、菜穂がまず飛び出した。
「なあ、桜井の奴、何選んでくるかな?」菜穂の事をよく知らない平次。
「菜穂のことやから、シリトリしやすいもん選ぶんと違うかなー。食料品とか、水回りの品とか。」

・・・・2分が経過した頃、最初に淀川商業が帰ってきた。「とけい」だ。
「い」を目指して走り出す第2ランナー。

と、その時、菜穂が帰ってきた。なんと持ってきたものは「トレイ」!!!
「菜穂、ナーイスッ!!!!」これで、後は淀川商業のマネができるのだ。
淀川商業の後を追って、店内を駆け出す和葉。

この後は、改方学園ペースにレースが進んだ。

第2ランナー:和葉「糸」2F家財道具コーナーより
第3ランナー:平次「時計」2F家財道具コーナーより
第4ランナー:菜穂「インドカレー」1F100均一コーナーより
第5ランナー:和葉「レンゲ」2F家財道具コーナーより
第6ランナー:平次「ゲーム」2F家財道具コーナーより(マグネットの将棋ゲーム)
第7ランナー:菜穂「むしろ」3F奥の日曜大工コーナーより
第8ランナー:和葉「ロープ」3F奥の日曜大工コーナーより

見ればわかるように、同じコーナーを連続して使用している。
実は、ゲーム前にこんな作戦を立てていたのである。
「なあ、ええ作戦があるんやけど。」平次、何かを思いついた顔だ。
「なになに?」
「途中で誰かが新しいコーナーに行った時にな・・・・。」
「うんうん。」
「時間かかってええから、次の人が使えそうなものを覚えてこよう。」
時間と手間を短縮する、実に上手い作戦だった。

さて、9番目は平次の番である。
「ちょっと待て!!【プ】なんてないぞ!!!」平次が気づいたようだ。
「プリンは?」和葉、無責任丸出し。
「シリトリ終わるやないか!!!!!」
「ちょっと菜穂、なにかいいアイデアない?」
「あるわよ。」
「何?」

・・・・・5分後、平次は店内の喫茶店コーナーに移動していた。
「す、すいません・・・・。」平次、顔が真っ赤である。
「何になさいますか?」
「プ・・・・、プ・・・・・・・・」
「はい?」
「プリンアラモード・・・・・・・」

泣く子も黙る西の名探偵のプリンアラモード。
店内に設けられたオーロラビジョン周辺から爆笑が起こる。
この様子を見てカメラマンも喫茶店にご丁寧なことに3台も直行する。
これはもう、テレビで写ってしまう事は覚悟する必要があるだろう。

「もう、こんなクイズ嫌やーっ!!!!!」結局5分で食べきった平次。わざわざ領収書を作ってもらって猛ダッシュ。
慌ててアンカーの菜穂の下に走ってゆく。
待ち構えたように「ドラッグ」向かって走り出す菜穂。

・・・・・そして平次の大奮闘(?)の甲斐あって、見事にトップ抜けしたのである。



【近畿大会決勝戦:スリーアウトクイズ】

<よみうりテレビ・本社スタジオ>

そんなこんなで決勝に進出した各府県3チームを本社スタジオで福沢アナが出迎える。
「いやいやいや、ご苦労様でした。今のご気分は?」インタビューが始まる。

「自然体で着実にポイントを稼ぎたいです。」とは天満高校堀川チーム。
「どんなクイズであっても、絶対に優勝します。」これは枚方高校長門チーム。
「と、とにかく、東京に行きたいです。」平次、アガりまくっている。
(もう、しっかりしてよ!!!)ひじで軽く小突く和葉。

フッと軽く笑う福沢アナ。なかなかユニークな個性の持ち主がいたものだ。
「それでは、決勝を始めましょう。ただいまより、スリーアウトクイズを行います。
 今から3択クイズを連続で出題します。それぞれ、チームの中の1名が順番に答えてください。

 ・・・・それぞれのチームの解答席に、赤、緑、青のハチマキがありますね?
 まずはそれを着けてみてください」

(どうする?)とお互い目を見交わす改方学園チーム。
結果、赤は和葉、緑は平次、青が菜穂となった。福沢アナの説明が続く。

「第1問は赤、第2問は緑、第3問は青のハチマキの人が答えてください。
 以降、第4問は赤、第5問は緑と続いてゆきます。チームメイトとの相談は認めません。

 3問連続で不正解の出たチームが失格となります。最後まで残れば優勝です。
 優勝チームが決まるまで、エンドレスで3択問題を出題します。では参りましょう!!」

「第1問。生麦、生米、生卵。1個あたりのカロリーが高いのは?」
まずは和葉の番だ。冷静に家庭科の授業で習った内容を思い出す。
(えーと、確か1個あたりで考えれば・・・・)

「では、各チームの答えを伺いましょう。天満高校!!!」
「生卵。」
「続いて、枚方高校!!」
「生卵。」
「改方学園!!」
「生卵!!」

「・・・・・各チームの答えが出揃いました。それでは判定です!!
 オーロラビジョン、オープン!!!!」

【1問連続不正解】なし
【2問連続不正解】なし

ホォーッ・・・。ため息とも吐息ともとれぬ微妙な呼吸が流れる。
まずは全チーム正解、好調な滑り出しだ。

「では、次の問題に参りましょう。緑のハチマキの人が答えます。」平次の番だ。
 第2問。赤、青、白。星条旗で【自由】を示すのは?」

「天満高校!!!」
「白」
「続いて、枚方高校!!」
「赤」
「改方学園!!」
「白!」これは自信があった。平次、大きな声で解答。

「オーロラビジョン、オープン!!!」
【1問連続不正解】枚方高校
【2問連続不正解】なし

「第3問。ゴリラ、チンパンジー、オランウータンの中で
【這う人】の意味を持っているのは?」

(ええっ!?)菜穂は思わず混乱した。
確か「森の人」はオランウータンやけど・・・・・。

「天満高校!!!」
「オランウータン。」
「続いて、枚方高校!!」
「ゴリラ。」
「改方学園!!」
「チンパンジー。」3種3様の答えが飛ぶ。

「オーロラビジョン、オープン!!!」
【1問連続不正解】天満高校、改方学園
【2問連続不正解】なし

「第4問。大黒摩季の【夏が来る】。
 最後に残されるのは、女王様、お嬢様、王女様のどれ?」

「天満高校!!!」
「お嬢様。」
「続いて、枚方高校!!」
「お嬢様。」
「改方学園!!」和葉、自信を持って答える。大黒摩季は嫌いじゃないのだ。
「女王様!!」

「オーロラビジョン、オープン!!!」
【1問連続不正解】枚方高校
【2問連続不正解】天満高校
ついに、天満高校に逆リーチがかかった!!

「第5問。長谷川公彦という本名を持つタレントは、明石家さんま、島田紳助、太平サブローの内、誰?」
「天満高校!!!」
「島田紳助。」
「続いて、枚方高校!!」
「明石家さんま。」
「改方学園!!」
「島田紳助。」確か、大阪ローカルの番組で聞いた覚えがあったんやけど・・・。

「オーロラビジョン、オープン!!!」
【1問連続不正解】なし
【2問連続不正解】枚方高校
天満高校、いい粘りを見せて3連敗をブロック。入れ替わりに枚方高校が逆リーチとなる。

「第6問。真弓明信、田尾安志、掛布雅之。阪神タイガースの【恐怖の先頭打者】は?」
(でえぇっ!!!!)なぜに菜穂の担当の問題は難問奇問ぞろいなのだろうか。

「天満高校!!!」
「田尾。」
「続いて、枚方高校!!」
「掛布。」
「改方学園!!」
「掛布!!」もうヤケになっている菜穂。

「では、オーロラビジョン、オープン!!!」
【1問連続不正解】天満高校、改方学園
【2問連続不正解】なし
【3問連続不正解】枚方高校
時代が古い問題が災いして、ついに1チームが脱落した。いよいよ3巡目に突入である。

「第7問。問題。ショーイチ、チューイチ、コーイチ。宇多田ヒカルが考案したキャラクターはどれ?」
「天満高校!!!」
「ショーイチ。」
「改方学園!!」うーん、ショーイチはおじさん臭いし、チューイチはなぁ・・・。
「コーイチ。」まあ、無難だと思うところを抑えておく。

「オーロラビジョン、オープン!!!」
【1問連続不正解】なし
【2問連続不正解】天満高校、改方学園
なんと、両チーム不正解。次に答える平次に大きなプレッシャーがかかる。

「第8問。ハミガキ、マンガ、カラオケ。この中で【NO17】という登録商標が実在するのは?」
「天満高校!!!」
「カラオケ。」
「改方学園!!」
「ハミガキ。」ポーカーフェイスで答える平次。両者の答えがここで割れた!!

「・・・・・・本当にそれでいいですね?」念を押す司会者。
無言でうなづく解答者二人。どうやら変える意思はないようだ。
どうやら、これで勝負が決まったらしい。勝ったのは平次か、それとも・・・???
もはや経過をじっと見守るしかない和葉。そっと祈ってみるのが精一杯である。
スタジオに静寂と緊張の鼓動が訪れる。

勝ったのは平次の「ハミガキ」か?それとも、天満の「カラオケ」か?
この1問の正解が両者の運命を決める。
「オーロラビジョン、オープン!!!」
【1問連続不正解】なし
【2問連続不正解】なし
【3問連続不正解】天満高校

「大阪代表は、改方学園服部チームにけってーい!!!!!!!!」

もう、何があったかなんて覚えていなかった。
ただただ頭を真っ白にして、平次に駆け寄る和葉と菜穂。
3人でとにかく抱き合って喜びを分かち合う。ただそれだけだった。
そして、平次は「連れて行ってやる」という約束を果たせてホッとしたのである。

・・・・・ここに、大阪府代表は改方学園服部チームに決まったのだった。

※各問題の正解は以下の通りです。
「白」「ゴリラ」「女王様」「島田紳助」「真弓明信」「チューイチ」「ハミガキ」

「NO17」は株式会社ライオンが登録しました。
(「LION」を上下逆にすると「NO17」になるでしょ?)(^^;)



【全国大会第1回戦:発車まで1時間チョットよクイズ】

<東京・ハイアットホテル>

さあ、いよいよやってきました全国大会。
今日はちょうど、近畿大会が放送されてから1週間後。
番組を見たクラスメートから一杯の餞別をもらっての上京である。

平次と和葉を引っ付けて、チケットの欲しい桜井菜穂。
とにかく平次と一緒に長くいたい遠山和葉。
そして、やる気があるのかないのか、チームリーダー服部平次。
大阪府代表、改方学園服部チーム、ここに東京上陸である。

「いよいよ来てもーたなー。」ため息混じりの平次。
「どんなクイズがあるんやろーねー♪」平次と一緒で嬉しい和葉。
「とにかくテレビに映っときたいねー。」これは菜穂である。
活躍して、平次と和葉の喜ぶ姿がテレビに映れば、それだけアピール効果があがると言うものだ。
菜穂の心の中には、もうTWO−MIXのチケットしか写っていなかった。

「・・・あ、ここみたいやね。」和葉が地図を確認する。
「よっしゃ、乗り込むで!!!」菜穂も気合充分だ。
「・・・・・・・・・・・」無言でついてくる平次。
ここから、怒涛の全国大会が始まるのである。

<さて、各都道府県の代表たちが大ホールに集結して・・・・・・>

現在、時間は18時27分。集合時間の3分前である。
もはや、高校生150人の熱気で会場は充分に暖まっている。
後は福沢アナの登場を待つばかりだ。
東京、北海道、そして年度特別区の和歌山から各2チームの計50チーム。
この中から、栄光のチャンピオンが選ばれるのである。

と、ふっとホールの全照明が消えた。
「ウェルカーム、東京!!!!!!!」福沢アナの声が響き渡る。
と、同時に正面舞台上に激しくスモークがたかれる。そこには当然福沢アナ。
歓声で出迎える高校生150人。やっぱりこの人がいないと始まらない。

「さて、お待たせいたしました。今年の高校生クイズはいつもと趣向が違います。」
少々どよめきが起こる。
「今年の高校生クイズのテーマは・・・・・・これだっ!!!!」
舞台億の幕が落とされる。と、そこにはっ!!!!

「えええええっ!!!!」思わず悲鳴が上がる。
そこには、とにかく巨大な砂時計が用意されていたのだ。

「今年は、ご存知の通り20世紀最後の年です。この砂時計は20世紀の残り時間を表しています。
 そこで今年は20世紀、そして21世紀を象徴することになる場所を巡ってクイズを行います。
 題して、クイズタイムトラベルです!!!!
 それでは、今年の各チェックポイントの一部をご紹介します。今年はここに行きます!!」

画面に映し出されたのは、なんとジョージルーカス監督!!(スターウォーズ)
会場が大騒ぎとなったのは必定の理と言えるだろう。
「どうやらお気に召したようですね。それでは、全国大会第1回戦を行います。
 最初のクイズは・・・・・これだっ!!!!」

オーロラビジョンに、西行きの特急列車が映し出される。
「今からクイズを行って、勝ち抜けたチームのみがクイズの旅に出発できます。
 ではみなさん、早押し機の方へ移動してください!!!!」

<全国第1回戦会場に移動して・・・・・・・・>

「ここで行いますクイズは【発車まで1時間チョットよクイズ】です。
 今から早押しクイズを全チームに出題します。ランプが点灯したら代表一人が答えてください。
 チーム内での相談は認めます。正解した人から順にホームに移動してください。
 チーム3人全員が勝ち抜けたら、そのチームは特急に乗ることが出来ます。

 このクイズは、21時ジャストの時点で読み上げた問題を最後とします。
 今が19時50分・・・・・、後1時間と少しですね。頑張ってください。では参ります!!」
50チームに一気に緊張感がほとばしる。

「問題。キーボードを見ないで文字を入力することを・・・」
「ブラインドタッチ!!!」奈良代表、天王寺学園いきなり正解。

「問題。ドライシェリーとドライベルモットを1カップずつ。
 混ぜて出来る、植物の名をとったカクテルは何?」
「バンブー。」沖縄尚学、正解。

息つくひまもなく、問題は続く。
「問題。3人でじゃんけんをしたときにアイコになる確率は?」
ポーン。改方学園のランプが光った。「大阪、改方学園!!!」
なにやら耳打ちする平次。和葉が答える。「3分の1!!」まずは、和葉が勝ち抜け。

<そして、30分ほどが経過して・・・・・・・・>

「さあ、ついに後一人で勝ちぬけのチームが出てきました。
 兵庫代表柏原高校、このまま抜けられるか?では参りましょう。
 問題。マクドナルドから販売される、オリンピック限定のハンバーガー オリンピックマックの定価は?」ポーン。
「沖縄尚学高校!!」「240円。」「正解っ!!」これで2チームがリーチ状態。

「問題。冒険家コルテスが南米から地中海へ持ち帰ってきた、【愛のりんご】という・・・」
ポーン。「トマト!!!」今度は鹿児島商業が一人勝ち抜ける。
そのころ、待合室の和葉は嫌な予感に包まれていた。
事もあろうに、平次がお守りを和葉に預けたままだったのだ。
「ヤバいなあ・・・・。何か嫌なことでもなければええけど・・・・・。」
・・・・・・・・数分後、和葉の予感は見事に的中することとなる。
そろそろペースをつかみ出した他のチームが、一気に勝負に来たのである。

ポーン。「鹿児島商業!!」「ラ・アベンテューラ。」これで、3チーム目のリーチ。
ポーン。「柏原高校!!!」「映画館!!」これで、柏原高校勝ちぬけ。
ポーン。「鹿児島商業!!」「スクランブル!!!」なんと、鹿児島商業、怒涛の勝ち抜け。
ポーン。「愛媛南高校!!」「情に竿させば流される!!!」
ポーン。「長崎工業!!!」「人民の人民による人民のための政治。」
ポーン。「札幌南高校!!」「モンテ・クリスト伯!!」
ポーン。「沖縄尚学高校!」「恋はスリル・ショック・サスペンス!!!」これで3チーム勝ち抜け。

解答権の効果音と、次々と起こる正解の音が和葉の耳を突き抜けていく。
気が付けば、なんとクイズ開始から数えて100問を超えていた。

<更に40分経過・・・>
あと制限時間まで25分。和葉はすっかり消耗していた。
解答権がこないのだ。アレほどボタンを押しているのに、解答権がこないのだ。
知ってる問題に限って、他のチームがダメでもともとと適当に押して、タイムオーバー。
そうかと思えば、誰もが答えを知らない問題が出て、時間が無駄になったり・・。
とにかく解答権が来ないと話にならない。早く勝ち抜けなければ・・・!!!

そして、消耗しているのは解答席の二人も同様だった。
せっかく早めに和葉をいかせたのに、その後他のチームに追い越されていたのである。
時間から考えても、そろそろ菜穂を行かせないと、勝ち目はない。

「問題。人気ゲーム、ファイナルファンタジー9。ヒロインの名前は?」
ポーン。改方学園のランプがついた!!!「ガーネット!!」ようやく菜穂が抜けた!!
待合室で合流する和葉と菜穂。思わず抱き合って喜ぶ。
「遅いよー菜穂!!」
「ゴメンゴメン。なかなかランプがつかなくて・・・。」
「これで後は平次だけやね。」
「うん。彼、頭いいから、きっと大丈夫だよ。ねっ?」
「そうだね・・・・。」オーロラビジョンを眺める二人。残るは平次一人である。

クイズ開始からすでに1時間以上、ボタンを押した回数は優に200回以上。
すでに平次の腕は限界に達していた。一撃で決めるしか、勝機はない。
他の高校の体力を見極めて、自信のある問題意外は捨てるしかないのだ。
すでに20チームが勝ち抜け、リーチは15チーム。もう潮時かもしれない。

「問題。北海道富良野市の名産品で、香りの良いことで知られる花が紫の植物は?」
ポーン。平次のランプがついた!!
「平次、行けーーっ!!!!」人目も構わず叫ぶ和葉。

「改方学園、答えは!!!」
「ベランダッ!!!!」

・・・・・・・ブーッ!!!不正解のブザーが鳴った。
待合室で思わず崩れるチームメイトが2名。
「誰がボケろと言うたんやーっ!!!!」(正解はラベンダー)爆笑に包まれる待合室。

<そして、更に20分が経過して・・・>

「ここでちょうど、200問目です。では時計を見てみましょう!!」
【20時57分33秒】・・・・。無情に時を刻むデジタル時計。
「さてここで、3分ほど休憩を入れましょう。」
「えーっ!!!」待合室から悲鳴が飛ぶ。
「冗談ですよ、冗談。」してやったりの表情の福沢アナ。

「では問題。イギリスの正式名称は?」
(よっしゃ!!)平次はボタンを連打した。
ポーン。「宮崎!!!」「グレートブリテン、及び・・・・・」先が出てこない!!

「ダブルチャンス!!!さあ、ボタンを押せ!!」
ダダダダダダダダ!!!!!すざまじい勢いでボタンを連打!!
ポーン。「山梨英和!」「及び、北部、北部・・・・・・。」残り半分が出ない!!

「トリプルチャーンスゥ!!!!」ダダダダダダダダ!!!
ポーン。「大阪、改方学園!!」平次のランプがついた!!
「グレートブリテン、及び北部アイルランド連合王国!!!」

・・・・・・・・ピンポン、ピンポン!!!!!
ついに、長い間待ち焦がれた合格のチャイムが鳴り響いた!!!
「大阪代表、改方学園勝ち抜けーっ!!!!!!」

待合室へ走り出す平次。そしてそれを出迎える和葉と菜穂。三人で抱き合う。
感極まって泣き出す和葉。テレビカメラもそれをしっかりと捉える。

・・・・・・・かくして大阪代表改方高校服部チームは、20時58分47秒に勝ち抜けを決めた。
(全国大会第1回戦勝ち抜けチーム、全24チーム中第24位)



【全国大会第2回戦:線路は続くよどこまでもクイズ】

<東京品川駅10番線ホーム:一夜明けた午前10時>

「皆様、おはようございまーすっ!!!!」福沢アナの声が響く。
「おはようございまーすっ!!!」元気な声が返ってくる。
あの激戦を勝ち抜いてから一夜、みんなすっかり回復したようだ。

「それでは、運命のクイズトレイン入線!!!」
プアーッ・・・。汽笛を鳴らしてクイズトレインがやってきた。
心からの拍手で出迎える24チーム72名。
「さあ、乗ってくださーい!!!!」

心浮き足立つ中、乗り込む高校生達。
それぞれ定められた座席に移動する。
ふと見ると、チームの座席に「右」「左」と書かれたボードが置いてある・・・・・・????

「あー、あー、聞こえますか?福沢です。」電車のスピーカーから声がする。

「只今より、全国大会第二回戦、【線路は続くよどこまでもクイズ】を行います。」
「エーッ、ここでもクイズ!?」寝耳に水の、青天の霹靂。

「今から、次の目的地に着くまでの各駅で2択問題を出題します。
 合計3問不正解でこの列車を降りていただきます。

 合格するチーム数は決まっておりません。問題数もお教えできません。
 とにかく、駅を全部通過するまで問答無用でクイズを行います。
 では、よきクイズの旅をお楽しみくださいませ・・・。」

「ちょ、ちょっと待てや!!」さすがに平次も慌てる。
「あ、そうそう。一つだけヒントを差し上げましょう。
無事に名古屋までたどり着けたら、プレゼントを用意しておりますのでお楽しみに♪」
「プレゼント・・・・・??」和葉が首をかしげる。
「では、まもなく第1問を発表します!!!」
クイズトレインは、西に向かって出発した。最初の問題は横浜へ向かう途中で出題された。

【東京→横浜】「第1問。自由の女神がたいまつを持つのは右、左?」「右」を選ぶ寝屋川チーム。
正解は「右」。ほとんどのチームが正解したようだ。
ここから、クイズトレインはスピードアップ。クイズの間隔も短くなってくる。

【横浜→小田原】「第2問。【3時の方向】とは、右、左、どっち?」
さすがにこれは、全員一致で「右」。

【小田原→三島】 「第3問。1画目は横棒から書くのは、右、左?」
「これ、左でええやんなあ?」平次が駄目押しを兼ねて和葉に尋ねる。
「うん。どっちとも縦棒、横棒が交互に来るように書くはずやから。」
・・・結局「左」のボードを掲げることにした。

【三島→清水】「第4問。ホームラン王、王貞治の利き腕は?」
「和葉知ってる?」菜穂が尋ねる。
「知ってるわけないやん!!!」
「俺もそこまではしらんなぁ。」相談の結果、答えは「右」。

【清水駅停車3分前】 ピーンポーン、パーンポーン♪清水駅手前で車内放送が入った。
走り始めて既に1時間が経過。ついに恐れていた瞬間がやってきたのだ。
問答無用のクイズ列車、その最初の生贄は誰だ!?

「残念ながら、3問不正解のチームが出ました・・・・・・・・。ここで脱落するチームを発表いたします。名前を呼ばれたチームは降りてください。
 まずは1チーム目・・・・・・・・。山形代表、入来高校!!!」
あらかじめ2両目にスタンバイしていたカメラマンが、脱落メンバーをアップで写す。

「そして2チーム目・・・・・・・。」
カメラマンが和葉たちのいる4両目にスタンバイを始めた!!!!
「ひょっとして、私らが落ちるの?」
「いや、それはないやろ。間違えてても1個ぐらいやろうし。」

「岡山代表、岡山天城(あまぎ)高校!!!!」
クイズの旅の終焉を知らせるカメラのアップが、和葉たちの横をすり抜ける。
(アブナァーッ・・・・・)ホッと息をつく平次たち。

「・・・・以上2チームです!!!!」「よっしゃーー!!!」大喜びの車内。
抱き合うチームあり、ガッツポーズをとるチームあり、それぞれの形で喜びを表す。そしてスゴスゴと降りてゆく6人の高校生。
しかし、喜びに浸ってばかりもいられないのが高校生クイズ。すぐに次の問題が発表される。

【清水→浜松】 「第5問。プロ野球ORIXのヘルメット。赤い波が描かれたのは右耳、左耳?」

なんとなく見たことが有るような無いような問題が出てきた。
改方学園、3人で頭を合わせてつたない記憶の糸を手繰り寄せる。
「うーん、ヘルメットは左かなぁ?」と平次。
「なんで?」和葉が尋ねる。
「これ見てみて。」平次は、ノートの間から下敷きを取り出した。

「何これ!?これってカンポの下敷き?」
「そうや、おかんが郵便局の簡易保険で粗品でもらってきたんや。」
下敷きには、左利きのイチローが一塁に走り出す姿が映っていた。
この写真から見ることが出来るのは、ヘルメットの右耳側・・・。

「あっ、赤い波が無い!!!」
「そういうこっちゃ。」思わずニッコリの平次。
「よかった、チームメイトが大阪人で・・・・。」菜穂、思わず実感。
近畿地方の郵便局でしか、こんな粗品はもらえないだろう。
こんなわけで、改方学園の答えは「左」となった。

こうしている間にも、徐々に失格のチームが現れ始める。
青森、山形、新潟、強豪神奈川工業・・・・・・・。
車内の様々な思い出や空間が、次々と車内から消えてゆく・・・・・。

【浜松→名古屋】 「第6問。甲子園球場の浜風。バッターから見てどっちに吹く?」
「あかん、もう絶対わからん。」野球が苦手な和葉、もうお手上げ。
「こんなん、野球バカしかわからへんわ。」菜穂も白旗を揚げた。
「左、かな?」平次、またもや推理を働かす。
「なんでよ?」

「今年の夏の甲子園の決勝でな、智弁和歌山がホームラン撃たれそうになったんや。」
「それがどないしたんよ?」結論の見えない菜穂、少しいらだつ。
「そしたら、ライト方向に飛んでったボールが風に戻されてアウトになったんや。
 右方向への風やったら、そのままホームランになったはずやろ?」
「ふーん、そんなもんかなぁ・・・・・。」
とりあえずは「左」としておく。
そんなこんなで電車は名古屋に到着し、クイズの前半戦が終了した。

【ハーフタイム:名古屋駅3番ホーム】

 クイズが終了し、名古屋駅のプラットフォームが近づく。
 「なあ平次、もしかしたらここでも失格者が出るんかなぁ?」
 「そやなぁ。ひょっとしたら停車してすぐに、アナウンスでもかかるかもしれんなぁ。」

 キキーッ。名古屋駅構内に入り、列車がゆっくりとスピードを落としていく。
 ・・・・そして、クイズ列車は何のアナウンスも残すことなく、停車したのであった。

 「・・・・・アナウンス、かからへんよね?」
 「そやな。もしかしたら、ここでは失格者がないのかもな。」
 「後半戦は、1時間後にスタートします。どうぞおくつろぎください。」車内放送が流れる。

 どうやら、ここでは失格者発表はないようだ。釈然とはしないが、まずは安心してよさそうだ。
 車内にほっとした雰囲気が流れる。まずは、配られた弁当で腹ごしらえをする。

 「今日のお弁当は、昔なつかし”日の丸弁当”であります。皆さん、残さず食べてくださいね♪」
 えーっ!?今時、日の丸弁当!!福沢アナのアナウンスに、思わず車内から悲鳴が上がる。

 「まったく、どういうつもりなんよ?こんなところをケチってもしゃーないやん。」和葉が膨れる。
 「ホンマや、ホンマ。なあ、平次・・・・・君?」
 ふと横を見ると、満足そうに弁当をがっつく平次の姿がそこにあった・・・・・。

 「んあ?」早くも空になった平次の弁当箱、その底に何か紙切れが入っている。
 「何やろコレ?」和葉が手際よく紙を取り出し、内容を読んでみる・・・。

Present for You!!!!

長きクイズロードを戦う選手の皆さん、まずは前半戦お疲れ様。
諸君の奮闘に経緯を表し、ここでプレゼントを差し上げることにします。

名古屋駅までたどり着いたチーム、すなわち第六問終了時点で
不正解が3問以下の全チームに一問分の間違いを帳消しにさせていただきます。
では、後半戦、がんばってくださいね。

                                         福沢より

 「・・・・どういうこと、コレ?」和葉、意味がよくつかめない。
 「・・つまりやなぁ。」平次が頭をかきつつ説明を始める。

 「前半戦で出題された問題は、全部で6つ。
  そのうち、失格の判定に使われたのは、5問目までやったんや。」
 つまり、5問中で2勝3敗が確定すれば途中下車となるわけだ。

 「じゃあ、6問目は?」
 「3勝2敗のチームが6問目をはずせば、都合3勝3敗。
  通常のルールなら一発退場や。けど、名古屋駅ではなぜかしらんけど退場はなし。」
 「多分、駅が混雑するから、退場者を出したくなかったんと違う?」菜穂も口を挟んでくる。

 「じゃあ、まさか、今3勝3敗になってるチームがおるって事!?」
 「ああ、だからこそ、福沢アナはここで一問オマケっていうけったいなことをしてきたんや。
  一問オマケしておけば、3勝2敗になって下車させなくて済むしな。」

 「それって、屁理屈ちゃうの?」
 「確かにそうやな。けど、それをありがたい思いで受け取ってるチームもあるはずやで。
  例えば、俺らの隣、とかな。」
 「ウチらの?」
 「隣?」女子二人が1列後ろの席を覗き込む。
 そこで二人は、ある地域の代表チームの異常な雰囲気を目にするのであった・・・・。

その頃、平次はもう一度、自分達の答えを確認してみた。
「右」「右」「左」「右」「左」「左」・・・・・・・。
同じ車両に乗り合わせたライバル達と情報を交換したところ、1問不正解らしい。
周囲の状況から比べても、まあなかなかに健闘していたようだ。
と、その時、和葉は隣の席の異様な雰囲気に目が釘付けになっていた。
兵庫県代表、柏原高校である。どうやら車内唯一の3問不正解のようだ。

さすがに元気のない柏原高校。男性1名、女性2名の混成チームだ。
「なあ、元気出しいや。」声をかける和葉。
「・・・ありがとう。」少し笑みを取り戻す女の子。
「わざわざごめんね。」柏原高校の男の子がお礼を言う。
「だって、やろうと思えば全員合格できるんやろ?がんばろうや。」
「・・・・ありがとう。」

そで振り合うも他生の縁。こんなことから友好を深めるのもクイズの楽しみである。
いよいよ、名古屋を越えると後半戦である。
後半戦は途中での降車は行わず、最終地で合格チームを一気に発表するようだ。
食事もとったし、休憩も出来た。気力体力フル回転で後半戦スタートッ!!!

【名古屋→岐阜】 「第7問。新幹線で大阪から上京する際、富士山が見えるのは?」
【岐阜→大垣】 「第8問。店頭のソフトクリームの模型。巻き方はどちら回り?」
【大垣→彦根】 「第9問。朝顔のつる。回る向きは?」
【彦根→守山】 「第10問。江戸時代、武士同士がすれ違う際はどちら側通行?」
【守山→大津】 「第11問。右大臣と左大臣。偉いのはどっち?」
【大津→京都】 「第12問。正しき道に反すること、右道、左道どっち?」

電車は琵琶湖の東側をかすめるようにして、大阪方面へ走ってゆく。
近畿予選第一問の琵琶湖をこうして眺めるとは、皮肉なものだ。

とにかく、全力で答え続ける大阪寝屋川、そして兵庫の柏原チーム。
結局平次たちの答えは「右、右、右、左、左、左」となった。
なんとも安直極まりない答えだが、本当に大丈夫なのだろうか?

・・・・こうして、京都駅でついに12回目のクイズが終了した。
自分達もさることながら、柏原高校のことが心配になる和葉。
彼らは上手く潜りぬけたのだろうか?不安が募る。

「皆様、まことにお疲れ様でした。まもなく大阪駅に到着です。
 自分の名前のプレートがあるチームが合格です。
 プレートがあれば降りてください。」いっせいに視線が外に注がれる。

北から順に、北海道、秋田、福島・・・・・・長野、静岡・・・・・・
福井、三重、京都、大阪!!「あ、あったあった!!」喜ぶ菜穂。

そして・・・・・・・兵庫!!!!!!
「やったーーっ!!!!!」手を取り合って大喜びの大阪・兵庫計6名。
ピンチの後にチャンスあり、和葉のそばに幸運あり。
見事なまでの粘りで、兵庫県が最下位ながら勝ち抜けたのである。

【線路は続くよどこまでもクイズ結果】

全通過チーム数・・・24チーム中、18チーム
大阪改方学園、全12問中、2問不正解、7位タイ
兵庫柏原高校、全12問中、3問不正解、15位タイ

※ちなみに平次たちの間違えたのは以下の二つでした。
「王貞治は左利きである」「ソフトクリームの模型は左巻き」
さて、皆さんは途中下車することなしに大阪に到着できましたか?



【全国大会準々決勝:イマジネーションクイズ】

<大阪駅に14時に到着した勝者たち。関西新空港方向へ移動する途中で・・・>

「さあ着きました。この車窓から見えるアレが次のクイズの舞台です。」と福沢アナ。
関東以東からきた挑戦者達から歓声が上がる。

「なんやアレか・・・・・。」平次は思わず苦笑した。
そこは、ユニバーサルスタジオ大阪だったのだ。
あんなもの、はっきり言って自分の庭のようなものだ。

※「ユニバーサルスタジオ大阪」は2001年5月に実際にオープンしますが
この作品内では2000年の時点で完成していることにしています。(笑)

東京ドーム20個分の敷地に、本家ユニバーサルスタジオ以上の技術。
更に大阪人好みの派手派手な装飾・・・・。
東京からきた人にとっては、色々な意味で衝撃的な場所であった。

「左手前方をご覧あれ。皆さんにはアレに乗っていただきます!!」
大喜びする女性陣、そして愕然とする男性陣・・・・。
そこには、日本一のジェットコースターがあったのだ。

そんなこんなで、いよいよクイズの開始である。
ルールは至って簡単である。まずは、全体に対する早押し問題を出題。
順に正解した5チームがジェットコースターに乗り込む。
コース上には、複数のヒントが書いてあるので、そこからあるキーワードを導けば勝ち抜けとなる。
ここで勝ちぬけられるのは、18チーム中、わずか5チーム(!)
更に、敗者復活はなし!!ちゃらちゃらした雰囲気が飛んだのは言うまでもない。

「では問題。無駄なことのたとえ。坊主に何?」
ポーン。「改方学園!!」「花かんざし!!!」和葉、いきなりの正解。
「おい、どうしたんや和葉?」
「私、あれだけ乗ったことがなかったんよ。絶対乗りたかってん。」
「・・・・・・・・」頭を抱える平次と菜穂。

さて、そんなこんなで5チームが決定。コースターが動き出す。
「なあ和葉、何で俺らが最前列なんや?」
「ええやん、細かいとは気にせんといて。」和葉が微笑む。
実は、菜穂の入れ知恵だったのだ。
最前列といえば、必ずテレビに映るポジション。
ここで、和葉たちの仲むつまじい状況をPRしておきたかったのだ。

ガッコン、ガッコン、ガッコン・・・・・。コースター、徐々に上昇。
「おい、これってまさか、おい・・・・あぁーーーーーー!!!」服部平次落下。
数分後、平次は見るも哀れな格好で帰ってきた。

「で、キーワード見えたんか?」平次が青色吐息で尋ねる。
「一応、二つは見えたかな?」菜穂が答える。
「私は一つだけ。」と、和葉。
「私は、丸い形をした2000円札と、馬に乗った大橋巨泉。」
「私は、お金だけやわ。」

「ふーん、お金に、大橋巨泉・・・・・・。」
「どう平次、何か思いついた?」
「いや、情報がなさ過ぎる。もう1回乗らないと・・・・・。」
「私に任せとき!!!」和葉、自信満々。
結局、コースター第1陣は誰も勝ち抜けずに終了した。

早速、2順目の早押しクイズに突入する。
ポーン。「改方学園!!」「仏の顔も3度なでると腹を立てる!!」
遠山和葉、すかさずの正解。平次、2回目のコースターである。
「だから、なんで俺が乗るんや・・・・・アアアアアア!!!」落下。

「な、何か、見えた??」平次、ケイレン。
「【ホイヘンス】って見えたわ。」菜穂が答える。
「何やろそれ、物の名前かな?」和葉、ピンとこない。
「ああ、わかったーー!!!」平次、思わずにっこり。
「よっしゃ、答えのゲートに行こう!!!!」

解答ゲートに向かう改方学園。ここで決めればトップ抜けだ。
「さあ、改方学園の答えは!!!」サラサラとフリップに答えを記してゆく。
答えを発表する平次。そして判定は・・・・・・・・・

「正解!!勝ち抜けけってーーーいっ!!!!!!!」思わずガッツポーズ。
「なあ、どうしてわかったん?」菜穂が尋ねる。
「簡単や。丸い奴は、形が円になってるやろ?額面の2000円と足して2001円や。
 ホイヘンスっちゅうのは、物理学者の名前や。宇宙にエーテルとか言う物質があるとか言うてたけど
 アインシュタインに否定されたんや。馬の大橋巨泉でダービーやろ?。」
「じゃあ、つまり・・・・・。」
「2001円、宇宙、ダービー、つまり2001年宇宙の旅ちゅうわけや。」

「なーんや、アホらしっ。」あきれる和葉。
「そう言うなや。そもそもユニバーサルスタジオって聞いた時点で気づかへん方が悪いわ。」
「あっ、そう言うことやったん?」
「ああ、この映画は20世紀で一番多くの映画館で上映された映画なんや。
 福沢アナが21世紀に残す場所を巡るって言ってたやろ?」
「なるほどねえ・・・・・・。」感心しきりの二人。

まあ、そんなこんなで準決勝行きが決まったのである。



【全国大会準決勝:サイレントクイズ】

<さて、大阪で一泊してクイズツアー3日目。新大阪空港に移動。>

「皆様、おはようございます!!!」福沢アナの声が空港ロビーに響く。
「おはようございます!!!」5チーム15人の声が返ってくる。

「さて、ただ今より準決勝を行います!!ここを勝ち抜けたチームがいよいよ、
 20世紀を語るにふさわしい決勝の地を踏むことが出来ます。
 では、始めましょう。全員ヘッドホンをつけて!!!」

福沢アナの声ともに、戦闘体制に入る15人の高校生。
この中から決勝に進出できるのは、2チーム6名のみ。
クイズが終わった後に待っているのは、天国かそれとも地獄か!?

ここで行われるクイズは「サイレントクイズ。」
TBS系列のクイズ番組ではおなじみの手法である。
要は、ヘッドホンをつけて他人の声が聞こえない中でクイズをするのだ。

出題される問題は全10問。制限時間は各問6秒。言い直しは認められない。3人全員の正解率で勝負が決まる。
一人だけでは勝てない、二人でも勝てない。真のチームワークが試される形式だ。

「20世紀の日本を振り返る全10問を出題します。では参ります、問題!!!」

「20世紀最大の発明、インターネット。もととなるネットワークを作ったアメリカの官庁は?」
「1972年に発生したオイルショック、当時の日本の首相は?」
「1994年ワールドカップアジア予選で、最後に対戦した国はどこ?」
「20世紀に登場した家電の三種の神器【3C】。車、テレビともう一つは?」
「1970年に日本で初めて打ち出された人工衛星の名前は?」
「1920年、ウイルソンの提言により発足した団体は?」
「青函トンネルが開通したのは1983年、では開業は何年?」
「民営化された3公社といえば、日本国有鉄道、電電公社と何?」
「前の10000円札は聖徳太子、では前の1000円札は?」
「1949年に制定されたドッジラインのドル為替は1ドル360円。
 では、1971年のスミソニアン協定以降のドル為替は1ドル何円?」

「・・・・・・以上で終了です!!」ドッと力の抜ける挑戦者達。
「平次、わかった?」
「あかん。最後の問題間違えたかもしれへん。」自信なさげな表情。
「ええっ、それ以外わかったん!?」菜穂が驚きの声をあげる。
「ああ、大体な。」目を丸くする二人。

「では、トップを発表いたします。・・・・・・・・金沢大学付属高校!!!」
思わずガッツポーズの3人。正解率は80%。見事なチームワークの結果だった。
早速インタビューを始める福沢アナ。思わずため息の出る平次。

「続いて第2位の発表です・・・・。3位とは、わずか1問の差でした。
 第2位は・・・・・・・・・・。」
じっと挑戦者を見つめる福沢アナ。あるものは祈り、あるものは真っ向から福沢を見る。
それぞれのスタンスで、じっと運命の瞬間を待つ高校生達。

「第2位は・・・・・・・大阪改方学園!!!!!」
「よっしゃーー!!!!!」声も出ないほどに喜びにあふれる3人。
「いやー、よくがんばったねー。正解率が73.3%。女性二人がよくがんばりました。」
「えっ、女性二人が・・・・???」腑に落ちない和葉。
「そうですよ。遠山さんが8問、桜井さんが9問、服部君が5問ですから。」

「ヘッ・・・・?」今度は平次が目を丸くした。
「フーーーーン。」女性二人から、強烈な視線が突き刺さってくる。
「格好悪うー・・」平次、とことんヘコむ。

まあ、そんなこんなで決勝行きが確定したわけである。

ちなみに、クイズの正解は以下の通りです。
「国防省」(ペンタゴン)
「吉田栄作」
「イラク」
「クーラー」
「おおすみ」
「国際連盟」(国際連合は不可)
「1988年」
「専売公社」
「伊藤博文」
「308円」



【全国大会決勝:サドンデスクイズ】

ついに、そして長い旅の果てに決勝にたどり着いた2チーム6名。
その見渡す先には、ただただスケールの大きな海があった。
「ホンマに来てしもたんや・・・・・・・・。」改めて、現状を把握。

ここは決勝の地、沖縄。
20世紀の日本を語る上で最も外せない県であり、唯一のアメリカ領の経験のある場所。
ここで、20世紀最後のチャンピオンが決定するのである。

荷物を置いて、これまでどおりに解答席につく高校生達。
最初にこの解答席に触れてから、たったの3日・・・・。
あっという間の3日間だった。そして、めまぐるしい3日間だった。
50チームいたはずの高校生が、1チーム、2チームと消えてゆく・・・・・。

そんな勝負には当たり前の光景が、とにかく辛かった3日間だった。
あるときは待合室で励ましあったり、あるときは大阪で大騒ぎしたり・・・・・。
あのときの仲間は、もうここにはいない。
いるのは、全国10000チームから選ばれたわずか2チームのみである。

「では始めましょう。第21回高校生クイズ、決勝!!!!!」
クレーンカメラが、金沢付属、改方学園の面々をなめるように写してゆく。
高校生クイズの最後を締めくくるのは「サドンデスクイズ」である。
純粋にクイズの実力のみで勝負がつく形式として定評がある。

ルールを簡単に説明しよう。PK合戦のクイズ版、と考えればいいだろう。
じゃんけんによって、先攻後攻を決めた後に、順番にYES−NOクイズを出題。
それぞれ5回ずつクイズを行ってゆき、合計の多い方が優勝である。
もちろん、同点の場合はサドンデス突入である。

じゃんけんの結果、先攻は金沢大学付属高校。後攻が改方学園となった。
「問題。スペインの闘牛士は、戦いのルールが法律で規定されている。YESかNOか?」
「YES!!!」まずは、金沢大学無難に正解。これで1−0。

続いては、後攻改方学園の番である。
「現在伝わる将棋は、遣隋使によってもたらされた大将棋、中将棋、小将棋の中で
大将棋が変化したものである。」「NO!!」平次、すかさず正解。これで1−1。

ここからは、さすがに決勝に残った者同士。チョットやそっとでは間違えない。
その後、両者とも3問ずつ正解を重ねて、ついに5回の裏表の攻防・・・。

「問題。アンネフランクの【アンネの日記】。記された場所はアムステルダムである。」
「YES!!!!」金沢付属、またもや正解。これで5−4。
もう平次たちは後がない。当てて当てまくるしかない。

「問題。名探偵シャーロックホームズの住所として有名なベーカー街221B。
現在ここは、商社が立っている。YESかNOか?」
「なあ、どうする和葉?」
「わからへん、平次は?」
「俺が知ってるわけないやろ。」
「情けないなあ、それでも名探偵?」
「俺が興味あるのはエラリークイーンだけや!!!」

「さあ、大阪代表改方学園、答えは!!!」
「どうする?」
「とりあえず、お互いの意見を確かめようや。・・・・YESと思う人?」
すっと3人の手が上がる。
「・・・後で文句はなしやからな。」
「OK、別に構へんよ。」
「私も。」
「よっしゃ決まりやな。じゃあ・・・・・せーのっ!!!」
「YES!!!!!!」
「判定は!!!」

・・・・・・・・・・ブーッ!!!!!!!(正解は銀行。)
第21回高校生クイズ最後の、そして20世紀最後の不正解のブザーが鳴った。
それは、どんなクイズでも負けることのなかった平次たちの敗北を示していた。

「勝負ありました!!金沢大学教育学部付属高校、優勝ーーー!!!!」
色とりどりのライトとファンファーレがチャンピオンを祝福する。

インタビューを始める福沢アナの声を横で聞きながら、ほっと一息つく平次。
「やられたなぁ・・・・。」
「まあ、ここまで来れたんやし、十分ちゃう?」立ち直りの早い和葉。
「そやね♪」充分に目的を果たした菜穂、もう満足しきりである。

「・・・・それでは、優勝チームへの賞品の贈呈です。」
世界一周旅行、研修費用3000ドル、そして真紅の優勝旗が手渡される。
「まー、ホンマ言うたら、勝ちたかったかな?」本音を漏らす和葉。

その時、菜穂の携帯が鳴った。「はい、もしもし?」
「今どこ?」静華の声だ。
「クイズの決勝です。・・・負けちゃいましたけど。」
「どうもご苦労様、本当にありがとう。TVで見とったよ。」優しい声がする。
「ありがとうございます。・・・・ところで成功報酬のほうは?」
「えっ?まだ一仕事のこってるやんか。」
「何のことですか?」
「聞いてない?準優勝したチームにはね・・・・・」

「それでは、準優勝チームへの賞品の贈呈です。
 大阪代表改方学園には、準優勝旗と、副賞のアメリカ旅行が送られます。」
「ええええええっ!?」福沢アナの声に驚く3人。
「そーいうわけやから、もうちょっと二人のお守りよろしくね♪」静華の声がする。

「それでは、両チームには今から出発してもらいましょう!!
 行ってらっしゃーい!!!」
「そんなぁーーーーー!!!!!」

・・・・・こうして、両チームは沖縄の地を旅立っていった。
その後、ロスを歩く3人の姿が目撃されたそうだが、それはまた別のお話である。

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