顔が幼くて若作りのがりちゃんでしたが、がりちゃんの正確な歳はわかりません。
初めて獣医さんに行った時先生に「正確にはわからないけど中年・・・過ぎてるかな」といわれた子です。それから10年以上経っていますから、いくつだったのでしょう?
がりちゃんは高齢に多いとされている病気をいくつも経験しました。
克服したものもあれば、長いお付き合いだった病気もあります。
その都度一緒に暮らすわたしたちも、せつない思いをたくさんしてきました。
その時の様子や対処などを思い出しつつ記していきたいと思います。

歯周病について

歯周病は、「歯石」がたまりすぎておきたものでした。
初めは口が臭うという本人より周りが気付く症状でしたが、この時はまだ病院へ行こうとは思いませんでした。
次に表れた症状は「食欲がおちる」・・・というよりも「食べられない」といったほうがいいでしょうか。ゴハンに近づいても食べずに舌をペチャペチャしながら首を振る仕草を繰り返します。この時に病院につれて行きました。診断によると、歯石が歯茎に食い込み炎症をおこしている為、痛くてゴハンが食べられないのだということでした。
痛みじたいは鎮痛剤や消炎剤でおさまるが、原因である歯石を取り除かなければ何度も繰り返しますよ、とのこと。
その日はとりあえず消炎剤などの薬をいただき様子を見る事になりました。薬がきくとたちまち食欲は回復し元気になりました。しかし、先生のお話しどうり、期間をおいて何度も繰り返すのです。何度目かの時、先生と相談して、歯石除去をすることにしました。
猫の歯石除去は全身麻酔をかけて行う為、半日入院と事前の検査が必要でした。(病気持ちだと麻酔が危険な場合があるそうです)
老齢にさしかかっていたがりだったので、心配はありましたが、事前の検査で異常もなく、お願いすることにしました。
歯石の無くなったがりの歯は、白くきれいになっていました。
そのあと、また歯に歯石がつかないように歯のケアの仕方をおそわりました。
できるなら、子供用の歯ブラシで歯磨きをしてあげる。また、指にガーゼなどを巻きつけて歯をこするのでもいい。
何度かチャレンジしましたが、がりの抵抗にあい、長続きはしませんでした。
また、体質も歯石がたまりやすかったようで、何年か後の抜歯という処置になるのでした。そのことは次の「歯髄炎」のところで書きたいと思います。

歯髄炎について

ある時からがりは鼻や目が、鼻水や目やにとは違って見える分泌物で汚れるようになってきました。初めは風邪かな?と思っていましたが、風邪の症状はなく、目の回りや鼻を何度ふいてあげても汚れます。
診察の結果 "歯髄炎"ではないか、ということでした。
聞きなれない病名ですが、犬歯の先が少し欠けていて、そこから細菌が入り歯髄を通って鼻や目の炎症を引き起こしているというのです。
がりの犬歯をよく見ると、真中に黒い筋が入っているように見えました。それが炎症を起こしている歯髄なのだそうです。
処置としては、抜歯をするのがいいのだけれど、この時がりはすでに腎不全の初期でしたから、全身麻酔をかける事への不安がありました。その対策として、早めに入院させて、手術前に長時間点滴をする、術後も長時間点滴で様子をみる、という事を聞きました。
やはり迷います。猫はゴハンを丸呑みするから、歯は無くても大丈夫と聞いても、麻酔に対する不安は大きかったです。でも、年齢を考えると、この先手術の危険は大きくなっていくわけですから、腎不全ではあっても、食欲も体力もある今、手術を受けた方がいいのではという結論を出し、お願いすることにしました。

朝、病院へ連れて行き入院。午後の手術に向けすぐに点滴開始。
翌日夕方退院までずっと点滴。
がりの歯は歯髄がやられていたので、ボロボロでした。根っこだけはしっかりしていたそうです。手術後もゴハンをきちんと食べ、夜中覗きにきた先生の気配にも気付かずよく眠り、とても安定していました。一安心です。
歯のなくなったがりの口は赤ちゃんのようで、より幼くみえました。歯をなくしてからゴハンはペロペロなめるように食べるので、器を小さめの物に変え、食べやすいものをと工夫しました。ただひとつ、"草"を自分で食べられなくなった事。草を摘んで食べさせてあげる事以外不便はありませんでした。
ただ、やはりこれは"がりの場合"。そして"わたしたちの決断"です。
病気の子の全身麻酔はリスクが高いし、その子の病気の程度にも大きく関係してくるでしょう。選択肢はその子・その子で違うでしょう。
ひとつの体験談として参考にしてください。


膀胱炎について

トイレに何度も行くけれど、尿は出ない。それは膀胱炎だからでした。
残尿感があるので、何度も何度もトイレに行く。でも出ない。
ひどい時には血が混ざりピンクの尿でした。
膀胱炎の症状は、病院で薬をいただいて、飲ませれば、比較的早く治まりました。
しかし、年齢が進み、動くのがおっくうになったり、寒い冬などは特に、猫もトイレを我慢するようで、膀胱炎の治りも悪くなりました。
よくなったと思い、薬を減らし、直ったかな?と思うと出血。
今度はピンクなんてかわいい色ではなく、ボタボタと垂れる出血です。
超音波検査で膀胱をみてもらうと、炎症をおこしている膀胱壁が、直るために"かさぶた"になっている所がある。その"かさぶた"がはがれて出血しているとみられました。
この時は膀胱炎が完治するまでかなりの時間がかかりました。
その後、冬が来るたびに、あの大変だった膀胱炎を思い出し、トイレに行こうと一度立ち上がって"廊下寒いからやーめた"とばかりに戻ってくるがりを急き立て、トイレに同伴するのが私の役目となったのです。

間接炎について

がりが歩く時(特に歩き始め)後ろ足がカクカクしているように見えました。
間接の滑りが悪く、ひっかかりができてしまう為関節炎をおこしていたのです。
やはりこれも年齢によるものでした。
炎症は治まっても、間接のすべりの悪さは年齢によるもの。
がりにとって薬はストレスなので、ひどい炎症以外は薬を使わなくしました。
あとの項目にある"痙攣発作"が初めて起きた時は、関節炎がひどくなったのかと思ったのでした。

晩年のがりは、カクカクというより、ちょっとよたよたでした。


腎不全について

腎不全の発見
がりが慢性腎不全とわかったのは、食欲不振がきっかけでした。比較的食欲の安定した子でしたから、食欲が無い=具合が悪い(歯周病の時も)と考えて、病院へ連れて行きました。体重が少し落ちているので、始め「猫白血病の疑いか?」と思われ、血液検査となったのです。病院の待合室には「猫白血病」についてのポスターが貼ってあり、そこには「発病した子の何%は助からない」みたいな書き方(ちょっとオーバー?)がしてあって、検査結果を待つ間、泣きそうでした。結果を知らせてくれた先生が「猫白血病ではありませんでした。腎不全です。」と言った時、無知だった私は「あぁ〜よかった」と言ってしまったのです。「よくありませんよ。大変な病気ですよ」と、先生が資料を見せてくれながら説明をしてくれました。腎臓の機能はこれ以上回復しない事、食事はきまったものを、きまった量あげること。食欲が落ちると腎不全はすぐに悪化するので、食べなくなったり飲まなくなったりしたら連れて来る…。
話しを聞いているうちに事の大変さが実感されてきました。
今思えばこの時は「療法食」を指示されただけで、クレメジンなどはなかったのでまだ初期だったのかと思いかえしています。
この頃はまだ歯があって、カリカリが好きだったので、療法食もカリカリを選びました。病院で試供品としていただいた缶は全滅、みむきもせず。カリカリはなんとか食べてくれたので一安心。ここからがりと腎不全とのお付き合いが始まったのです。


療法食の開始
今まで好きな物を好きなだけ食べていたがりは、きまったカリカリをきまった量だけ食べる生活になりました。
がりは本当にかわいそうですが、がりの病気をつきつけられた私は必死でした。
はじめは新しい味のカリカリを喜んで食べていたがりも、しばらくすると飽きてきたようで食が進みません。お皿をくんくんしてから"ふん"て感じで去っていきます。今までだと違うカリカリや缶にして味の変化でなんとかなっていた事も、「療法食を食べさせなくては」ならないのでできません。
私の食事管理にがりの寿命がかかってる!みたいな、変な責任感でガチガチでした。
きまぐれに食べてくれないがりの食事に、本当に悩みました。
病院の先生に「腎不全の子は、本当に食事で悩むんだよ。でも、そんなにきっちり考えないで。療法食を食べてくれるのが1番いいけど、絶食はもっと大変な事だよ。がりちゃんにもストレスにならないような事を考えてあげて。なにしろこれからずっとの事なんだから。」と言われ、どうすればいいのか、あらためて考えました。
そして決めた方法は、「基本は療法食。でもたまには好きな物もいいんじゃない?」方式。療法食に飽きて食べなくなったら、かつおぶしトッピング作戦。
もっと食欲のない時は好きなマグロを焼いてあげました。これで食べれば食欲が無いのではなくて、飽きていた証拠。2日後にはまた療法食に戻せます。夕食にがりの好物がある日は、療法食を減らしてちょっとお裾分け。今までみたいに欲しいだけあげる訳にはいかないけど、一緒の物が食べられてがりもちょっと満足げ。
歯髄炎で、全ての歯を失ってからあまりカリカリは食べなくなり、始めに全滅した缶の療法食を再び試さなくてはならなくなりました。
ここで頼みの綱だったのは、かつおぶし。k/dの缶詰少々にかつおぶしをまぜまぜ+トッピング少々。→トッピングでは上だけ食べちゃう。はじめはかなりかつおぶしを多めに使い、味に慣れるのを待ちました。大のかつおぶし好きのがりならではの作戦でした。しばらくk/dは食べていたのですが、飽きて全く食べなくなり、今度はロープロテインダイエットの缶です。こちらの方は1日1缶なので(k/dは1日半缶)、毎日開けたてが食べられるのでがりには好評でした。
がりに好評だったロープロテインダイエットが缶からパウチに変った時、また食べなくなったらどうしよう、と心配しましたが、思っていたより抵抗少なくパウチのゴハンに変えられました。特に改良されて、小さくトロミがついてからはよく食べてくれました。私もがりの食事について、かなり悩んだ事もありましたが、他の猫さんのことをHPで読むと、がりはまだスムーズにいった方なのかな、と思っています。

皮下輸液
ずっと「基本は療法食。でもたまには好きな物もいいんじゃない?」方式を続けていましたが、年齢が進むにつれ、食欲がさらにムラになってきました。好きな物さえ食べなくなると病院へ連れて行って「皮下輸液」の注射です。背中の皮をひっぱって、脱水症状の見分け方もおそわりました。
がりは病院が大嫌いで、通院用のバスケットを見た時から、自宅に戻るまで泣き続けます。それも青江美奈ばりのハスキーボイスで、大声で。病院のドアを開けると同時に看護婦さんの手が、がりのカルテに伸びているというくらい有名でした。
頻繁に注射に通うようになって来た時、先生から皮下輸液を自宅でやったらどうかと提案がありました。がりにとって最大のストレスは「通院」ではないか。自宅で皮下輸液が出来れば、そのストレスから少しでも開放されるのではないか、ということでした。
はたしてがりは私たちに注射させるだろうか???ともあれ先生から方法を教えていただき、自宅での注射を試したのです。
マゴつく私たちとは対象に、がりはリラックス。大好きな主人の膝でゴロゴロ言ってあまえています。その状態で、主人が針を刺し、私がポンプを押す。がりはずっと主人の膝でなでてもらってゴロゴロ…。抑える事も無く、あばれる事も無く、がりのストレスは激減です。

投薬
しばらくすると療法食に加えてお薬「クレメジン」も始まりました。活性炭状のクレメジンという薬は、内服して尿毒症物質をこの薬に吸着させて便とともに排泄させる役割をしてくれます。この薬はジャリジャリしていて口当たりがとても悪いし、水などには溶けず(溶かしてはいけない)、スポイトで飲ませようとしてもスポイトに残ってしまいます。長い付き合いになるこの薬をなんとかストレス少なく飲ませることができるか?また課題でした。
はじめに試したのは"かつおぶし"。細かくしたかつおぶし少々にクレメジンを混ぜる。この時食べきるように、かつおぶしはあくまでも少量、そして空腹をねらう。この方法ははじめの頃は有効でしたが、ある時からかつおぶしを全く食べなくなってしまい、また次の方法を考えました。
次は"餌まぜ法"。つめほどのゴハンにクレメジンを混ぜる。これも食べきるようにホントに少し。そしてやはり空腹をねらう。でもこれは長続きしませんでした。食欲にムラがあるため、食べない時は徹底して食べない。
う〜ん、何かいい方法はないかなあぁ…と、たどりついたのが"マヨネーズ"。
もともとがりはマヨネーズが好きだったので、試しにやってみたもの。
指のつめくらいのマヨネーズに混ぜる。するとペロペロきれいに舐めた!思わず"やった〜"と心で叫んでいました。
それからがりのクレメジンは"マヨ・タイム"と呼ばれるようになり、定着しました。

今、思う事
思い返してみると、腎不全とわかってから、がりはずいぶん長い間がんばっていた事にあらためて気付かされます。
制限された食事も、薬も、注射も…がりにとってつらい事いっぱいだったよね。
たくさんの猫さんたちが、腎不全を患っていると聞きます。中には腎不全と診断されてから亡くなるまで短期間だった猫さんもいます。
それぞれの猫さんの年齢、症状によることですが、がりは何年もがんばりました。
腎不全と戦っている猫さんたち、そして同居人の方たちに、心から声援を送りたいです。
※後日出てきた検査表からがりが腎不全と診断された日がわかりました。98年10月7日です。がりはあしかけ5年、腎不全と戦っていたのです。がりのがんばりはすごかったねと写真に話し掛けました。

痙攣発作について

ある夜、寝ようとがりと3人ベットの上でした。
いつものようにがりは毛づくろいしていました。そのがりがパタンと横に倒れたのです。見ると手は耳の所で固まった状態。目はしっかりしてびっくりした顔。そっとなで、「がり、がり」と声をかけます。立たせようとしても立てません。意識はあるようです。
慌てた私は、以前に見つけておいた24時間診療の動物病院に電話をかけました。
そこの先生に症状を説明しているうちに、硬直はとけてきました。「症状が改善されたなら緊急を要する事はないでしょう。明日の朝かかりつけの病院に行けばいいと思います。ただまた今夜中に同じような事が起きたら電話してください。」と言っていただきました。そこの病院は遠いので、ふだん行っていないのですが、夜中に具合の悪くなったがりを前にした私たちに「そのための緊急電話なんですから」と対応していただき、本当に心強かったです。
翌日、がりは何もなかったように普通に歩いています。朝一で行った病院でも症状は表れません。以前からの関節炎はかなりひどくなっているからそのせいか。でも神経の可能性が捨てきれないので、今度同じような状態になった時、@どちらがわにゴロンとするか、A目の大きさは左右で違わないか、動きがおかしくないか、B姿勢がどちらかに傾いていないか、をよく見ておくよう先生に言われました。
その後、関節炎の症状はあっても、"固まって倒れる"ような症状は表れませんでした。それが1年以上たって、表れるようになってきたのです。
心電図に異常はなく、考えられるのは神経系か脳か。専門的に調べるには大学病院へ行き、麻酔をかけてMRIなどの検査をしなくてはならないそうです。
そこまでは、と思い、症状のひどい時用に薬をもらいました。(てんかんの薬)
それまでがりは、自由に家の中を歩きまわっていたのですが、私たちが就寝中などにこの発作が起きたり、階段の途中で起きたりしたら大変だということで、就寝中と外出中に限り2階から降りられないようバリケードが設置されました。ステンレスのタオル干しに押し入れ用すのこをしばりつけて作った簡単なものですが、廊下の幅にぴったりだし、私たちの出入りには簡単に動かせるし便利でした。始めの頃はバリケードの前に座り"出たいポーズ"をしていたがりも、慣れてくると、バリケードがあるとひき返してくるようになりました。
その後も時々固まってしまう症状は表れましたが、その時は、びっくりしているので安心させてあげる、そっとなでて声をかけてあげる、無理に起こしたりゆすったりしない、と先生におしえていただいた事をしていました。
てんかんの薬はがりには合わないのか効きすぎるのか、フラフラになるのであまり使いませんでした。