15 航空機騒音証明プログラム

 

  昭和四十八年四月一日、ソニーは電卓製造部門から撤退する旨、新聞紙上で発表した。ソニーのマイクロ・コンピユータSOBAX ICC-2700の機種が発表されたのが46年4月で、電卓と同じ製造ラインにあったのがマイクロ・コンピユータであったため、後継機種を製造しないことになった。

 46年7月よりソニーの電卓マイクロ・コンピユータの販売部門、ソニーシステムセールス鰍フ特約店になっていたが、ソニーのマイクロ・コンピユータの製造打ち切で、ソニーのマイクロ・コンピユータのプログラム開発をビジネスとした[ソニー・マイクロコンピユータ・プログラム・作成、指定店]の申請し承認された。

 ソニーマイクロコンピユータは3千台程度発売されと思われ、私は5台程度所有し、ソフトウエア付きマイコンの貸出を行っていたので、機種の評判が落ち貸出機が返品されるとかなりの打撃を受けるため、機械のアフターサービスの重要性を理解していた。

 ユーザーでソフト開発に金を払わないところはソニーで引き受け、金を支払うところは私に紹介された。ソニーが直接販売したところで、主に官庁関係は私が在庫品の納品できるようなった。

株式会社組織でない従業員1名の業者としての私が官庁関係に機械を納入することは困難であるが、ソニー指定のプログラム作成店という資格はプラスであった。次のような会社からソフトの依頼を受け、プログラムを作成、納入を行った。

 運輸省交通公害研究所、帝都高速交通営団、国立栄養研究所、東北大学医学部、神戸女子薬科大学、(財)日本予防医学協会、野村證券梶B山一證券投資信託梶A潟gヨタカローラー和歌山、潟jチイ、吉田工業梶A徳山機械梶A大東工業梶A太平住宅梶A日本ランヂック鰍ィよび潟pーソナル・リース鰍ナあった。ソニーのソフトカタログにない統計処理や事務商業関係のプログラム開発が多かった。

 この中でもっとも難しいプログラムであったのは運輸省よりの航空機騒音証明プログラムであった。各国政府間で構成されている国際民間航空機構 ICAO で決定された航空機騒音を測定するための説明は英文6頁にわたり計算式と説明が行われていた。これは汎用コンピユータを使用し、米国航空機メーカーロッキードが開発したものであった。

 

SON

 

音響メーカーが運輸省に機械を納入し、ソフトをソニーに依頼し、私がこれを引き受けることとなった。日本で製造した航空機を輸出するとき航空機騒音証明が必要で、これには航空法を改定する必要があり、その前提となるソフトである旨、専門官より説明され、これは大変な業績となるということで激励された。

 納入されたソニーマイクロ・コンピユータは、本体とプリンターで66万6千円、これに記憶補助装置が2台(1台が16万8千円)、計、100万2千円。この機種と騒音解析装置と接続してのシステムである。空港で航空機の騒音をテープコーダーで録音し、これをマイクロ・コンピユータと連動した騒音解析装置により、測定した騒音を、9ステップの処理順序により、有効感覚騒音レベルEPNL値をプリントするわけである。 

 上記の(1)、(2)・・・(6)の説明が英文で行われ、これに基いてソニー機種のプログラム言語により、この計算式を解くわけであるが、3ヶ月程度、プログラム作成にかかった。

 私は昭和16年4月より20年9月まで4年半、航空局航空機乗員養成所整備学科に学んだことがあり、終戦の時は明野陸軍航空隊基地で戦闘機[飛燕]の改装整備をしたことがあり、これは大変難しいプログラムであったが、これも航空機整備関係の仕事であると考え、前向きで対処した。

 ソフトウエア開発の個人企業において仕事を依頼されるとき、見積書と経歴書が必要である。経歴書をみて私がソフト開発が可能かどうか、先方は判断されるわけである。[航空と海上との輸送方式の研究]により、米国航空機メーカー、航空会社との取引関係は官庁よりのソフト開発受託を可能にした。 ソフトの納品を行ったが、その後、トラブルもなくソフトは順調に作動した。

 

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