My Favorite 5: CAW Custom Glock 18


 「私のお気に入り」コーナーは、これまでに紹介してきたモデルの中から特に気に入っている1丁を少し詳細に紹介しようというつもりで始めたページです。ジャンルごとにまとめて紹介したページではスペースの関係で紹介しきれなかった内容を写真と文字で解説していきます。
 その第5弾は「クラフト・アップル カスタム グロックG18」です。おそらく二度と生産されないであろう超レアなモデルを紹介します! 

  The fifth model of "My Favorites" corner is Craft Apple Works' custom Glock 18 (HW/ABS).
  There had not been any Glock modelguns until the Tanaka Works started making the G17 model in 1995. Although Glock guns had already been very popular among toy gun fans in Japan since the 1980s, it was the time when air guns or gas guns became more popular than modelguns, and it made the toy gun makers reluctant to make Glock modelguns. But Tanaka decided to make the G17 as their second handgun modelgun. The Tanaka G17 became very popular among modelgun fans.
  Then Craft Apple Works (CAW), already known as a fine toy gun parts maker, released a G18 modelgun out of the Tanaka G17. CAW modeled up the late model of G18, which had magna ports on the slide and barrel, whereas Tanaka later modeled up the early model, which didn't have them but had a long barrel. The advertisement of CAW at that time says that they would make only sixty models of it. So the modelgun here is one of the rarest of the rare.
  This modelgun has almost the same mechanism as its real gun because the original Tanaka G17 did already. You may not be able to distinguish which from which just by looking at photos of them. See the photos at the fourth column below. And this model is regarded as one of the best modelguns that work very well. Accoding to the report in the 1995-10 issue of Arms Magazine, the CAW custom G18 works perfectly in terms of blowbacking with cap powder. The report also says that the G18 modelgun blowbacks more than twenty times per second! Wow!

☆概略☆ -Outline-  実銃のグロックが日本で有名になったのは、すでにトーイガンの勢力図がモデルガンからエアーガン(ガスガン)に変わりつつあった1980年代後半であった。したがって、どのメーカーもモデルガンとしてグロックを売り出すところはなく、長らくガスガン販売に抵抗していたMGCですら、グロックといえばガスガンのヒット作と自他共に認めるほどのバリエーション展開をしていたくらいであった。ところが、94年に驚くべきニュースが走った。マルシンとタナカがグロック17(G17)のモデルガン開発を発表したのである。結局、最初に発表されたマルシンのモデルは発売されなかったが、タナカのモデルはP226に続くハンドガン第2弾として95年に売り出された。
 タナカのG17は、スライドをHW、フレームをABSとして、リアルなメカと確実で迫力のある発火が楽しめるモデルガンであると評判になった。そして、そこに目をつけたのが、以前からパーツ・メーカー兼ショップとして名を馳せ、カスタム・モデルガン・メーカーとして名を上げたばかりのクラフト・アップル・ワークス(CAW)であった。CAWはタナカG17をベースにセミ/フル・オートの切り替えが可能なG18を限定カスタム・メイドで売り出したのである。CAWがモデル化したのは、同じG18でもスライド上部が大きく開けられ、バレルにも排気用ポートが開けられた新型の方であった(現在、実銃ではこのタイプはG18Cとなっている)。後にタナカ自身がモデル化したのはスライドはG17と同型でバレルが延長された初期型であったが、上方から見た時の迫力という点ではCAWのモデル化した新型の方がはるかに上である。
 ただ、CAWのG18は少量生産のカスタム・モデルとして発売されたので、当時の定価は36,000円。ベースとなったG17より18,000円、後にタナカより発売されたG18に比べても15,000円も高いものであった。当時のCAWの広告記事には「60挺限定」とあり、もし完全なる限定販売だったのだとすれば大変貴重なモデルである。本モデルはオークションにもほどんど出たことはなく、過去に1度出たときは定価を超える高値で落札されていた。そのようなモデルであるから、もう手に入れることは不可能であろうとあきらめていたところ、インターネット販売もしているあるショップの中古コーナーに出ていることを発見し、即刻購入予約をして手に入れたものである。購入価格は3万円弱。けっして安い買い物ではなかったが、おそらく2度と出ないであろうモデルをまったくの新品同様の状態で手にできたのはとてもラッキーであった。本品は、附属の登録カード(はがき)に「18−2」と手書きで書かれており、もしかしたら製造番号2番ということかもしれない(本体にシリアル・ナンバーが入っているということではない)。

☆スタイル☆ -Style-  実銃のグロックは、G17に始まってすでにたくさんのバリエーションがあるが、どれも見ればすぐにそれがグロックであるとわかる特徴的なスタイルをもっている。すなわち、ハンマーの見えないまったくの長方形をしたスライド、最初のモデルが登場した時に話題になったプラスチック然としたフレーム、平面的なグリップ、角形トリガー・ガード、セイフティーがあるため二重になっているトリガーなど、どのモデルにも共通するスタイルをもっている。ちがいを見つけるとすれば、スライドやフレームの大きさがちがうというくらいで、ほとんどが相似形モデルと言っていいであろう。もちろん、セミ・オートのみのモデルとセミ/フル・オート切り替えのできるモデルとでは、スライド左側後部のセレクター・レバーの有無にちがいがある。
 実銃のG18は、当初はG17をベースにして、フル・オート射撃に対応できるようにバレルを伸ばし、そのバレルの先端にコンペンセイターを兼ねたポートを開けたモデルであった。しかし、その後、バレルの長さはG17と同じとしつつもそこにガスを逃がすマグナ・ポートを開け、それをスムーズに排気させるためにスライド前方上部を大きく開けたスタイルへとフル・モデル・チェンジした。
 CAWがモデル・アップしたのはそのスライド開口モデルで、その迫力あるスタイルが見事に表現されている。スライドを見ると、大きく開けられたスライド前方の開口部も微妙なカーブまで丁寧に作り込んであるし、軽量化のためにほんの少しだけへこまされた後方上部の部分もきちんと再現されている。もちろん、G18最大の特徴であるセミ/フル切り替えのセレクター・レバーもきちんとついているのは言うまでもない。なお、スライドの色はタナカG17が灰色であるのに対して、G18はそれよりもずっと濃い灰色で、マット・ブラックに近い仕上げになっている。バレルはマグナ・ポートが単に4つ開けられているわけではなく、実銃どおりに大小2つずつ大きさのちがう穴が正確に表現されている。発売同時の各誌によると、CAWは単にタナカのG17を利用してこれらを削って作ったわけではなく、スライドとバレルは新規に金型を興して作ったそうである。メーカーとして名乗りを上げたばかりのCAWの意気込みを感じるエピソードである。
 左の写真では、タナカG17との比較を交えてG18のスタイル上の特徴がわかるようにしてある。上記のとおりスライド上部のちがいは明白であるが、後面にも若干のちがいがあることがわかるだろうか。G18ではエジェクター後部のレールがフル・オート・シアーのスペースをかせぐために細くされているが、スライド・カバー・プレートはG17のものをそのまま使っているので、ややスカスカな感じになっている。また、セレクター・レバー後部の部品(プランジャー?)を逃がすために後面左側に丸い穴が開けられている。さらに、フロント・マスクは基本的に同じと考えられているが、よく見るとレコイル・スプリング・ガイド先端の形状が若干異なっている。

(アームズ・マガジン誌より)

☆刻印☆ -Carved Seals-  刻印はスライドやフレームに入っている。
 まず、銃の顔とも言えるスライド左側であるが、メーカー名(GLOCK)ロゴ、モデル・ナンバー(18)、製作国名(AUSTRIA)、口径表示(9×19)がスライド左側に実銃通りに入れられている。これはモデル・ナンバーを除けばタナカのG17とまったく同じである。これらはいずれもしっかりと彫られているので写真に撮ってもはっきりと認識できる。
 次に、スライド右側であるが、タナカのG17にはあるエジェクション・ポート下の刻印がない。この「TA349」という刻印は他の部分にも入っているが、もちろん”TA”とは「ナカ」のことではなく、実銃の型式記号である。
 また、タナカのG17にはあるチェンバー部分右側の口径表示がない。アームズ・マガジン誌で紹介されているモデルにはチェンバー上部前端に小さく「9×19」の口径表示があるが、本モデルにはそれが入っていない。これは試作モデルと量産モデルのちがいということなのであろうか。実銃がどうなっているかの資料がないので真偽のほどはわからないが、単に省略されただけだとしたら惜しい点と言えよう。
 本モデルはタナカG17をベースにしている関係で、フレーム部にはいっさい手が加えられていない(メカのちがいは「メカニズム」参照)。したがって、トリガー・ガード前方下に小さく入れられているモデル・ナンバーは17のままとなっており、フレーム前方下部の金属部品もタナカG17の刻印のままである。また、ここでは取り上げていないが、マガジン本体の後面下部とマガジン・ベース上、左側グリップ下部のメーカー・ロゴも実銃どおりに入れられている。なお、写真には撮っていないがフレーム右側グリップ上部にある製造表示は「MFG.TANAKA WORKS」、右側グリップ下には「SPG−199403」と入っており、これもG17と同じである。

G18

G17

☆メカニズム☆ -Mechanism-  本モデルのメカニズムは、基本的にタナカG17のそれをそのまま利用し、必要な部分だけに改良を加えたものとなっている。タナカG17は、実弾が発射できないということを除いてほぼ実銃どおりのメカニズムをもっているとすでに評判になっていたものであるだけに、本モデルのメカニズムもかなりのレベルのものとなっている。
 スライドをそのまま眺めると、G17との比較でセミ/フル・オート切り替えのセレクター・レバーが目に入る。写真@のようにレバーを上の○1つに合わせるとセミ・オート、写真Aのように下の○2つに合わせるとフル・オートになる。CAWはこの部品をスチール削り出しで作ったそうであり、とても固くてしっかりした部品だ。スライド内側のブリーチにはセレクターの動きに合わせて凹凸の状態が変わるフル・オート・シアーがあり(写真BC)、フレーム内のトリガー・バー後端を押し下げるようになっている。
 ベースとなったタナカG17のブリーチ構造は、このモデルガンのすばらしさを感じる部分の1つである。ブリーチ内にあるストライカー方式のファイアリング・ピンの構造は実物とそっくりであるし(写真BC)、ブリーチ前方にはオートマチック・ファイアリング・ピン・セイフティー(円形のポッチ部分)が実物と区別がつかないくらいしっかりと再現されている(写真D)。また、エキストラクターの構造や動きも実物どおりである。
 バレルは全体的に実物にとてもよく似た形をしており、ショート・リコイルの動きも擬似的に再現されている。スライドの開閉はバレル下にあるスプリングで行われており、そのスプリングはガバメントなどと同じようにスライド先端下部とチェンバー下部を結ぶレコイル・スプリング・ガイドで支えられている(写真E)。しかし、なんといってもこのモデルのバレルの最大の特徴は、前方上部に開けられた大小4つのマグナ・ポートであろう(写真F)。ここはスライドの開口部と合わせてマシン・ピストルであることを主張している最大の部分だ。これはスプリングフィールドV10と同じような発想で設定された部分である。4つの穴はバレルの長さに対してやや間隔を広めにとって開けられているので、一番根元の穴はチェンバー部のすぐ前方になる。これらの穴はバレル・インサートがよく見えるくらいしっかりと開けられているので(一番根元の穴はなんとデトネーターの上に開いている!)、発火時のここからの音と排気(火炎?)は相当のものが予想される。実際、アームズ・マガジン誌のテストでは暗闇ならはっきりと火炎が見えたそうである(「発火性能」参照)。そして、その火炎を 逃がすスライドの開口部も見事である(写真G)。
 チェンバーはSIGなどと同じくアウターが角形をしており、エジェクション・ポートから見える部分はとても頑強かつ戦闘的である(写真H)。中を覗くとデトネーターが見え、いやがおうにも発火モデルであることを感じる部分である。ただ、フィード・ランプの部分の肉厚がやや薄いので、装弾時にカートの先端がぶつかって破損することが心配である。なお、写真Hでバレルの根元付近に見えるネジのようなものは、デトネーターを固定するイモネジである。
 フレーム内を見てみると、これまたすばらしいできである。基本的にタナカG17のメカを流用しているので、トリガーの動きをシアーに伝えるまでの一連のメカが実物と区別がつけられないくらい正確に再現されている(写真IJ)。もちろん、フル・オート化にあたって一部が変更されており、フル・オート・シアーの動きを受ける部分であるトリガー・バー後端の形状が少しちがう(写真J)。
 トリガーの動きは独特である。初期状態ではトリガーは引き切られた状態になっていて動かすことができない(写真K)。スライドを引いてストライカーをハーフ・コックの状態にして初めてトリガーは前方に移動して引くことができるようになる(写真L)。これは一般のオートマチック・ピストルでは、トリガー・スプリングがトリガーを前方部に戻す方向に働くように設定されているのに対して、グロックのシステムでは逆方向に動くようになっているためである。トリガーを引くとストライカーを一端フル・コック状態にしようとするのでスライドも少し後方に動くののが認められる。また、トリガーに並ぶように付けられているマニュアル・セイフティーも独特である。セイフティーに指をかけないかぎりトリガーを引けないようにするためのメカである。ただ、トリガーに指をかけるという状態まで発射準備をしてしまえばこのセイフティーも握ってしまうので、どこまで安全装置としての働きがあるのかは疑問である。
 マガジンはG17と共通である。内側は薄い金属製でできており、その外側にプラスチックのカバーがかかっているという構造である(写真M)。このコンパクトなボディーの銃に9×19というNATO正式口径弾を17発も装弾できるダブル・カラム・マガジンは大変よくできたものと言え、タナカもそれをあますところなく再現した。CAWでは特にこれには手を加えていない。ところで、グロックの最初のモデルが「17」というのは、装弾数が17発であるということを名前に出したかったからであろうか?マガジンを改めて見ていてそんなことを考えたのだが、はたして真偽のほどはいかに・・・。 
@
A
B
C
D

上:G17 下:G18
E
F
G
H
I
J
K
M
L

☆発火性能☆ -Firing Performance-  発火性能はベースとなったタナカG17がすこぶる調子のよいモデルであるので、本モデルも調子がよいことが想像される。自分自身ではもったいなくて発火したことはなく、パーツ(特にオリジナルのスライドとバレル)の破損が心配なので今後も発火するつもりはない。
 そこで、発売された当時のアームズ・マガジン誌95年11月号のレポートを読んでみると、想像したとおりの絶好調モデルであることがわかる。レポートにはその理由は書いてないが、タナカG17の性能をレポートしている318i氏のホームページを参考に想像してみると、その最大の理由はスライドがHW製であるということであろう。後に発売されたタナカG18はスライドがABS製となったために重量不足からフル・オート時にジャムが連発するという問題点があったが、本モデルはスライドがHWなので、G17がそのままフル・オートになっただけの絶好調モデルとなったようである。その回転速度は目にも留まらない速さであり、1秒間で20発近くブローバックするそうである。また、新たに金属製となったカートリッジも発火性能の安定の貢献しているようである。初期のプラスチック製は発火性能そのものは良かったが、カート自体の重量が小さかったためにスライドを押し下げるキック力がやや弱いという欠点があった。そこで、新たに外側を真鍮製とすることでこれらの欠点を改善することをねらったわけであるが、そのねらいは成功したようだ。
 そのカートリッジはタナカ独自のもので、「パラ・カート」と呼ばれている。初期のG17に附属していたものは7ピース構成で、プラスチック製の部分と真鍮製の部分があった。内径5oの真鍮製インナー・チューブと上下2つのインナー・ピースによる密閉性は大変良く、閉鎖系カートリッジの中では最大のブローバック力を発揮するものであった(もっとも、むしろキック力が強すぎて、バレルやスライドの破損の原因とも考えられていた)。ただし、半使い捨てという設定による経済性の問題と、7ピースという部品点数の多さによる火薬装填の煩雑さという問題があり、ユーザーにはあまり評判がよくなかった。そこで、タナカは前者の方針はあきらめ、オール真鍮製とすることで部品点数を1つ減らすとともに耐久性のあるものとした。そして、この真鍮製カートリッジは、後に発売されるすべてのオートマチック・ハンドガンにも採用された。
 なお、左の発火シーンの写真2枚はアームズ・マガジン誌95年11月号からお借りしたものである(出展を明らかにしたので無断借用お許しください)。上の写真は特殊撮影によるものだが、銃口のみならずマグナ・ポートからも火炎が吹き出しているのが見事にとらえられている。

(↑↓:アームズ・マガジン誌より)

☆パッケージ・付属品☆ -Package & Accessories-  附属する外箱はCAWオリジナルのものである。名前とシルエットを単色刷で入れただけのシンプルなもので好感がもてる。ただ、数字のフォントが野球のユニフォームの背番号みたいで、ヨーロッパの拳銃であるという雰囲気を作り切れていないのが惜しい。実銃のロゴを参考にしてもらいたかった。下箱はタナカのG17のスチロールをそのまま使っており、本体がスッポリ、ストン!とはまり込むようになっている。
 取り扱い説明書はタナカのG17のものがそのまま入っており、同じくタナカ製のモデルガン・マナー指導書、パラ・カート取り扱い書もついている。そこに、追加で本品がカスタム・モデルであることを説明する小さな紙と登録はがき(いずれもクラフト・アップル製)が入っている。
 カートリッジは金属製のパラ・カートが5発附属しており、後に発売されたタナカ製G18と同じである。このカートはP226と共通のものであるが、2004年に再販されたP226(HW)には使えないそうである(部品構成はまったく同じなので、おそらくインナー・ピースの長さがちがうのであろう)。
 その他の付属品はキャップ火薬を装填するためのプラスチック製ローダーとデトネーターをはずすための金属製ロッドである。 


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