My Favorite 10:
Tanaka Type 44 Carbine Late Model
四四式騎(兵)銃 後期型 "Yonyon-shiki Ki(hei)ju"


 「私のお気に入り」コーナーは、これまでに紹介してきたモデルの中から特に気に入っている1挺を少し詳細に紹介しようというつもりで始めたページです。ジャンルごとにまとめて紹介したページではスペースの関係で紹介しきれなかった内容を写真と文字で解説していきます。
 その第10弾は、本ホームページの開設3周年を記念し、「タナカ四四式騎銃」をアップしました。旧日本軍ボルト・アクション・ライフルの中では唯一の折り畳み式くさび形銃剣(スパイク・バヨネット)を持つ異色モデルの登場です。 

  The 10th model of "My Favorites" corner is Tanaka Yonyon-shiki Kiju or Type 44 Carbine (zinc alloy).
  In 1905, the 38th year of the Meiji Emperor's period, the Japanese military produced its world-famous bolt action rifle Type 38 Rifle, or Sanhachi-shiki Shoju. It is said that it was one of the most beautifully made bolt action rifle in the world. However the Japanese military decided to make another type of rifle and started producing it in 1911, the 44th year of the Meiji period. That was the model being introduced here, Type 44 Carbine, or Yonyon-shiki Kiju.
  Type 44 Carbine is regarded to have been a variation of Type 38 Rifle or a shorter version of Type 38 Carbine, so it had almost the same firing mechanizm as the Type 38s. One major example is the size of the ammunition was 6.5mm. And most of the other main parts for firing were the same as those of Type 38. But it had one big difference that none of the other Japanese bolt action rifles had; it had a spike bayonet which could be folded at the bottom of it and could be hidden under the wooden handguard. This is also the most attractive point that could distinguish this model from the other ones. There was another difference from othes; the cleaning lod. Most of the other models had their cleaning lod in the wooden handguard under the barrel, but the cleaning lod of Type 44, divided into two parts, is placed in the bud stock because of the presence of the spike bayonet.
  The modelgun of Type 44 Carbine has been made only by Tanaka Works, who has also produced some Japanese bolt action rifles used before and in WWII. It was first produced in 1984, based on Tanaka's previous production, Type 99 Short Rifle. Although the real rifle was a variation of Type 38 Rifle, the modelgun was made as that of Type 99 Rifle. So the cartridge of this model was 7.7mm, that of Type 99 Rifle.
  The modelgun of Type 44 Carbine was made only for a short period and it is impossible now to get it as a new one, so it is now regarded as a SUPER RARE model, which causes its price to be one of the most expensive ones even if you want one secondhand.


☆概略☆ -Outline-

 実銃の四四式騎兵銃(タナカは「…騎銃」としているが、実銃を含めて「…騎兵銃」と呼ばれることの方が多い)は、三八式歩兵銃をベースに銃身と前床を短くしたもの(三八式銃身792o→四四式銃身480o)で、名前どおりに騎兵用に作られたものである。三八式にも騎兵銃が存在するが、それとは外観的にまったく異なる印象を与えるモデルである。同じ騎兵銃でも、三八式が43万丁余り生産されたのに対して、四四式は約10万挺しか生産されなかった希少なモデルである。四四式騎兵銃は、威容を高めるためにその作りには特別の注意が払われ、仕上げの良さが軍用銃としては別格と言われている初期の三八式歩兵銃をはるかに超える仕上げが施されており、木部・金属部共に”世界最高の品質”であるとされている。生産は明治44(1911)年から昭和16(1941)年まで30年間続けられたが、他の小銃類が年を追う毎に品質が落ちていってしまったのに対して、四四式は最後までその最高品質を保って生産された。なお、四四式の名前は三八式と同様に制式化された年号(明治44年)から来ている。
 さて、タナカのモデルガンは、すでに出されていた九九式短小銃をベースにして1984年に発売された。通常であれば三八式のバリエーションとして出されそうなものであるが、この時点では三八式は発売されていなかったからである。したがって、本来なら6.5o弾が付属するはずであるが、九九式と同じ7.7o弾カートリッジが流用されて使われている。なお、発売当初(200〜300挺生産)は55,000円であったが、後に再販(おそらく数十挺程度の限定生産)されたときは85,000円に値上がりしていた。そして、2009年には98,000円で再々販された。
 このモデルの最大の特徴である折りたたみ式銃剣は留め具部分を含めてとてもよくできている。実銃と同じようにロックをはずして起剣したり、収納したりというアクションが楽しめるのである。実銃の写真と見比べると、留め具部分の構造は後期型が採用されているようである。また、銃床(ストック)は他のモデル同様にタナカの真骨頂が発揮されている部分で、木質、仕上げともに申し分のないものとなっている。また、メカニズムもファイアリング・ピンがないことを除けば、ほぼ実銃どおりと言ってよく、ボルト・アクション独特のフィーリングを堪能することができる。
 なお、上記のとおりタナカによる日本語の正式名称は「四四式騎銃」であるが、雑誌や書籍では「騎兵銃」という言い方が多く、どちらの呼称が正しいのかわからない。また、英語の表記は "Type 44 Short Rifle" とあるが、実銃においては "Type 44" を "Model 44"、"Short Rifle" を "Carbine"(「騎兵銃」の意味)とすることが多い。本ページではその中間である "Type 44 Carbine"という呼称を採用している。さらに、当時の旧日本軍ボルト・アクション・ライフルを総称して "Arisaka"(三十年式を開発した東京砲兵工廠小石川小銃製造所提査の有坂成章大佐の名字)と呼ぶ習慣が特にアメリカであるが、三八式歩兵銃をはじめそれ以降の小銃の開発には有坂氏は関与しておらず、本銃の開発も三十五年式を設計した南部麒次郎が行っている。確かに開発者の分かれ目である三十年式と三十五年式では円筒内の構造にちがいがあり、後者にはすでに三八式のそれの片鱗が見えている。したがって、本ページでは Arisaka という英名はいっさい使用していない。

<参考資料>
 実銃及びモデルガンに関する情報は下記の書籍、雑誌、ホームページを参考にした。また、一部それらに掲載されている写真を転用させていただいた(その部分は※@〜Dの番号で示す)。

【実銃】
 @「日本の軍用銃と装具」(須川薫雄著、国書刊行会、1995年)
 A月刊アームズマガジン誌 2004年11月号
 B「25番」『武器庫』(http://taka25th.cathand.com/newpage29.htm)
【モデルガン】
 C月刊Gun誌 1984年11月号
 D月刊コンバット・マガジン誌 1985年2月号
 
  なお、さっそくではあるが、左の写真は@より拝借した実銃における上帯の形状比較である(左:後期型、右:前期型)。

☆スタイル☆ -Style-

※拡大写真有り
 四四式の最大の外観的特徴は、断面が三角形の折りたたみ式銃剣を装備していることであり、このスタイルは他の旧日本軍ライフルにはまったく見られないものである。しかも、これは世界初のデザインでもあり、後にソ連で開発されたSKSカービンにも採用されたことが有名である。この外観的演出は、携行のし易さという本来の目的のほかに、行進などのデモンストレーション効果の発揮という目的もあったと言われている。
 この銃剣は、通常は前床下の溝にはまる形で収められているが、留め具のボタンを押してロックを解除し、下方向に180度回転させるようにして起剣する。実銃の持つメカニカルな形状が見事に再現されており、この部分を実際に操作したときだけでなく、単に見ているだけでも惚れ惚れしてしまう箇所である。ただ、モデルガンはこの部分の耐久性がやや弱いと言われているので、操作は慎重に行う必要がある。また、銃剣の形は他の一般的な銃剣のような”刀型”ではなく、断面が三角形の”くさび形”であり、それ故に英語では spike bayonet (スパイク・バヨネット)と呼ばれている。その銃剣は折り曲げられた状態では銃身を覆うストック下部の凹みにうまく収まるようになっており、モデルガンでも見事にそれが実現されている。起剣した際に上側になる部分には溝がついているが、これは血流しのためのものだそうである。
 他のライフルと外観上異なる小さな点としては、他のモデルでは銃身先端下に見られるさく杖(クリーニング・ロッド)が見られないことである。これはこの折りたたみ式銃剣があるためで、さく杖は床尾部分(バット・ストック)に二分割して収納されるようになっている。収納の仕方はストック後部右側の扇型の金具をドライバーなどで90度回すとバットの一部に窓が開き、そこにさく杖を入れるという方法をとる。ただし、モデルガンではそのメカニズムはコスト上の問題からか再現されておらず、扇形金具もモールドである。
 他の金属製部品もその部分によって材質が鉄製であったり亜鉛合金製であったりするが、実銃の形状を見事にとらえて製作されている。
 木製品、つまり銃床(ストック)についてはほとんど言うことがないくらいよくできている。特に後部は実銃と同様に木目の異なった木を合わせる方法で作られており、それだけで感心してしまうほどである(ただし、合わせ目がややずれていたり、経年変化で隙間が空いてしまうことはある)。形状は日本製らしい細やかな気遣いのある複雑な仕上げまで復元されており、木目の素晴らしさ、仕上げの塗装の美しさも言うことがない。あえて難点を探すとすれば、他のタナカ製ライフルにもあることであるが、金属部品との合わせラインがずれていることがあり、組み上げてからの仕上げは行われていないようである。

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では、その他の部分を先端から後部まで順を追って細かく見ていくことにする。

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 銃本体の先端部分にある大きな金属部分は上帯と呼ばれる。この部分が四四式の最も特徴的な部分であり、主に銃剣を保持するために取り付けられている部品である。上帯の先端には銃身をカバーする筒状の部分があり、その下に起剣した際に銃剣を支えるフックがある。また、下部には折り畳み式銃剣の回転部分がある。そして、その回転軸の右側には銃を立て掛ける際に便利なU字型フックが取り付けられている。上帯は左右共に2つのネジで木被(木製ハンド・ガード)に止められているが、この部分の大きさで前期型か後期型かの区別がつく。前期型は2つのネジ間が15ミリと小さく、後期型は50oと大きく離れているのである。この部分でモデルガンが後期型を元にしていることがわかる。
 銃身(バレル)は上帯とは別体になっているだけでなく、浮いたようになっている。これは銃剣を使ったときに銃身が曲がってしまうのを防ぐためである。腔綫(ライフリング)は、三八式も初期型が6條であったが、中期型から4條になったのと同様に、四四式も初期型は6條であったが後期型では4條になった。モデルガンは後期型であるが、その4條の腔綫は残念ながら再現されていない。なお、実銃は銃身内部がなんとクローム・メッキされているので、銃口から見える部分も銀色に光っているが、さすがにモデルガンではそこまでは再現されていない。 

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 照星(フロント・サイト)は先端が尖った三角形のものが載っている。また、それが載る照星座(サイトの台)には、照星を守るためガードが両側に立ち上がっている。三八式の式モデルにはこのガードがなかったが、四四式では初期モデルから付いていた。この台座は一見すると上帯上部に取り付けられているように見えるが、実際には上帯とは離されて銃身上に取り付けられており、銃剣使用時の狂いを防ぐ構造になっている。もちろん、モデルガンでもこれらはしっかりと再現されている。

ロック解除ボタン(収剣時)

ロック解除ボタン(起剣時)
 いよいよ本銃最大の特徴部分である、可動式銃剣の根元部分の構造であるが、銃剣の収納時は、上帯後方下部にあるフックに根元の内側にある部分がロックされるようになっている。その状態で左側にある丸い(円柱状)ボタンを押すとロックが解除される仕組みになっている。そして、銃剣を180度回転させて前方に向けると再び上帯前方下部のフックにロックされるようになっている。もちろん、銃剣を収納する際は再びそのボタンを押せばロックが解除できる。
 モデルガンでもこの機構は完璧に再現されているが、残念ながら四四式の金属部品中では最も強度が低い部品の1つと言われており、乱暴に扱うと根元のロック部分が破損してしまうそうである。

下帯(右側)

下帯(左側)・負革止
 本体先端より三分の一くらいの場所には下帯(ロア・バンド)がある。これは木被(木製銃身カバー)を前床(木製ストック前方部)に縛り付ける部品である。ソラマメ型のこの部品は、前方からはめ込むと写真の場所で止まるようになっている。そして、右側にはそれをロックする細長い金属部品があり、それによって前方に抜けてしまわないように留められている。また、左側には負革止(スウィベル)が付いている。この部品は歩兵銃では下部に付いているが、騎兵銃では左側にあって銃を背負いやすいようになっている。
 なお、モデルガンのこの部品は本モデル中で最も耐久性が低い部品と言われており、新品でも長期保存で自然に割れてしまうということが起こっている。本品も例外ではなく、割れてしまっていたので瞬間接着剤で補修したが、撮影の作業中にさらに別の部分が割れてしまい、再度補修するはめになった。



※表尺目盛写真有り
 表尺(リア・サイト)は、タンジェント・タイプ(可倒式・可動式)のものが付いている。星門(サイト)の形は伏せた状態でも立てた状態でもV型ノッチであり、三八式後期型や九九式のような環穴(ビープ)型ではない。標的距離は、倒した状態では300mまでで、そのまま立てると400mとなり、可動部分は500m〜2,000mが100m単位で調整できるようになっている。三八式の2,400mというのも非現実的であるが、四四式の2,000mというのもどの程度の現実性があったのであろうか。
 モデルガンのサイトは、実銃のそれが可動部分を含めて余すところなく再現されており、立てたり倒したり、距離を動かしたりというアクションが楽しめる。

前床凹み(左側)

前床凹み(右側)
 前床(ストック前部)には両サイドに長楕円形の凹みがある。右利きの射手なら左手がごく自然に持っていける位置にあり、また、その部分に手を添えて銃を支えると、絶妙のバランスで銃を構えることができる。どこを持ったらいいのかわからない米軍のM1やM14と比較すると雲泥の差である。
 左側の尾筒と接するラインは直線であるが、右側のそれにはちょうどエジェクション・ポート最前部のところに切り欠きが1カ所ある。これは遊底覆を動かしたときに出る泥やゴミをかき出すためのものだそうである。
 モデルガンもこれらの部分が忠実に再現されている。

※拡大写真有り


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 尾筒(レシーバー)は、三八式のそれとほぼ同形状のものとなっている。三八式の尾筒はそれ以前の村田銃(十三年式〜三十五年式)から大きく変わったが、以降は最後の二式までほとんど変化しなかったと言っていいであろう。
 尾筒は大きく分けて3つの機能を持っている。第1は前方の薬室(チェンバー)部分、第2は中間にある給弾・排莢のために大きくえぐられた部分(エジェクション・ポート)、そして第3は後方にある遊底槓桿(ボルト・ハンドル)をロックするガイド穴である。これに、左側後部には遊底止(ボルト・ストップ)が付く。


 遊底(ボルト)の形状は、基本的に他のモデルと同じである。おそらく細かく見ればちがいがあるのであろうが、そこまではわからない。遊底槓桿(ボルト・ハンドル)は、水平に伸びるまっすぐなもので、その先に楕円状の握りが付いている。
 安全子(セイフティー)の形状は、三八式中期型のものと同じ小さな出っ張りのあるもので、後に出た三八式後期型や九九式のもののような凹型とは一線を画すものとなっている。また、後面には安全子を回しやすくするためのギザギザの削り込みがある(出っぱりの部分を右に45度回すと安全装置がかかる)。
 モデルガンでは、これらの部分もすべて実銃に忠実に再現されている。


 用心鉄(トリガー・ガード)の形状は、特に他のモデルのそれと異なるような特徴はない。これは引金(トリガー)にも言えることである。用心鉄内側前部に見えるギザギザのついた部品は弾倉底板止(マガジン・ロック)で、これを押すと弾倉底板がはずれ、中の板バネとマガジン・フォロアーが抜き出せるようになっている。機構的には若干違うが、モーゼルK98kなどにもあるメカニズムである。
 モデルガンでもこれらは忠実に再現されており、しかも材質が鉄製である。しかし、逆にこの部分を素手で触った後は必ず手あかを落としてオイルを塗っておかないとサビがでてしまうことになる。

※拡大写真有り



 銃把(ストックの握り部分)から床尾(バット・ストック)に至る部分は、日本のボルト・アクション・ライフルの木部が世界最高品質であるということの例として引き出される部分でもある。中でも、木材を有効に使うために考え出された、異なる木目の木材を合わせて成型した合わせ銃床は、その最大の特徴を表す部分でもある。モデルガンでもそれが見事に再現されており、美しい木目の木材が使われて、丁寧なウレタン塗装が施されるなど、木工屋であったタナカの真骨頂が発揮されている部分である。
 床尾板(バット・プレート)は実銃ではさく杖(クリーニング・ロッド)を収納する部分も兼ねている。しかし、モデルガンでは残念ながらその機構が省略されてしまってる。、したがって、実銃にある開閉扉(スリット)がなくのっぺりとした普通の板状のものになっている。また、さく杖収納扉が省略されていることから、実銃では床尾右側最後端上方にある扇型の可動式開閉スイッチが、モデルガンではモールドになってしまっている。コストの関係で見送られたのだとは思うが、他の部分がほとんど実銃を充実にコピーしているだけに、唯一残念な部分である。
 なお、右下の写真(Aより)は実銃のものであるが、モデルガンにはないさく杖挿入口が床尾板に開いているのがわかる。



☆刻印☆ -Markings-
 旧日本軍ボルト・アクション・ライフル全体に共通するものとして、尾筒(レシーバー)前方上部の薬室上に菊の紋章と銃の形式名が刻まれているということがある。
 モデルガンは、他のタナカ製品と同様に、本モデルでも菊の紋章と形式名(四四式)がレシーバー前方上部に実銃通りに入れられている。この菊の花びらは実銃では16枚で、初期の九九式モデルガンでは意識的に15枚にされていたが、四四式では実銃どおりの16枚にされている。
 また、実銃では尾筒左側中央上部にシリアル・ナンバーが入れられており、それを見ると製造所と製造時期がわかるようになっているが、モデルガンにはそれらはいっさい入れられていない。代わりにモデルガンの製造番号らしきシリアル・ナンバーは入れられているが、やはりこの部分には元になった実銃の刻印を再現してもらいたかった。
 なお、レシーバー後方上部にはタナカのトレードマークとモデルガン安全協会の認証であるsmgマークが入れられている。

☆メカニズム☆ -Mechanism-

※拡大写真有り

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 三八式あたりからの旧日本軍ボルト・アクション・ライフルが「世界一の品質である」と言われるのは、何もこれまでに述べてきた仕上げの面からだけのことではない。実は、それ以上に重要なのが、軍用銃としての性能なのである。そして、軍用銃としてもっとも大切な性能は、「壊れにくい」ことと「メンテナンスしやすい」ことである。その点で言っても日本のボルト・アクション・ライフルは”世界一”であると言われている。
 そのような評価を受ける一番の要因は、部品点数の少なさである。同じく世界中の軍用銃に影響を与えたとされているモーゼルK98kに比較してもかなり少なく、かなり単純な作りになっている。そしてそれは、物資に乏しかった日本にとっては生産性の面でも大きなメリットがあったことであり、おそらく開発段階で軍部から要請のあったのであろう。
 さて、単純なメカニズムの代表と思われるのが遊底(ボルト)である。その遊底は、槓桿(ハンドル)を使って90度上に回すと後退できるが、その時点で遊底止(ボルト・ストップ)を引くと、いとも簡単に後方へ抜ける。そして、安全子(セイフティー)を押し込んで90度右に回すとそれがはずれ、中から撃莖(ブリーチ)と撃莖ばねを引き出すことができる。たったこれだけの操作で分解でき、工具は一切必要としない。。モデルガンでもそれは忠実に再現されているが、さすがに実銃では撃莖と一体となっている撃針(ガイアリング・ピン)は別体となっており、しかもセンターをたたかないように幅広のものになっている。また、抽筒子(エキストラクター)はかなり長いものがついているが、この部品は遊底が回転しても常に同じ位置にあるように遊底表面上を回転するようになっている。細長くて薄い割に相当の力がかかる部品なので、モデルガンではこの部品はステンレス製である。
 なお、左上の写真は安全子が作動した状態である。これを手で押し込みながら出っ張りの部分を左へ45度回すと安全装置が解除される。また、写真の状態から右へ45度回すと、遊底を円筒に入れた状態のままで安全子を抜き取ることができるようになっている。

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 次に、撃発を可能とする機関部と銃床の分離であるが、さすがにこれには工具が必要である。しかし、何も難しいことはなく、銃床下から見える、それらしいネジをすべてはずすだけである。
 撃発は、引金を引くと、逆鈎(シアー、左写真中央部の出っ張り)が下がり、撃莖(ブリーチ)後部に出っ張っている撃発段(ロッキング・ラグ)が解放され、撃莖ばねの力で撃莖が前進してカートリッジの底をたたくという仕組みで起こる。モデルガンでもこのメカニズムは忠実に再現されているが、金属モデルに対する安全上の規制から、撃針は薬莢底部の中心をたたかないようになっている。

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 次に、実包(カートリッジ)の装填であるが、着脱式弾倉が付いているわけではないので、遊底を後退させた状態で、上から押し込む形で装填する必要がある。
 通常は、5発分の実包が挿弾子(カートリッジ・クリップ)に付けられた状態で支給されるので、それを円筒開口部後端にあるくぼみに合わせてはめ込み、上から実包を手で押して一気に押し込むようにする。すると、実包は弾受(マガジン・フォロアー)の形に沿って右に3発、左に2発が交互に分かれるようになっており、装填された後は弾倉底板に支えられた弾倉ばねの弾力で1弾ずつ上に上がるようになっている。

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 着脱式弾倉でない本銃のような場合、全弾を撃ち尽くす前に残った実包を素早く取り出したい場合は、弾倉底板を開いて弾倉内を空にするという方法を採るのが一般的である。
 方法は至極簡単であり、用心鉄(トリガー・ガード)前方にある弾倉底板止(マガジン・ロック)を前方に押すとロックがはずれ、弾倉底板、弾倉ばね、弾受が簡単にとりはずせる。モデルガンでもこのメカニズムは忠実に再現されている。
 なお、本銃では弾倉底板は上記の操作で本体から完全に分離してしまうが、後に生産された九九式では弾倉底板の前方部が本体につながったままぶらさがるように変更された。

☆パッケージ・付属品☆ -Package & Accessaries-
 箱は、写真からもわかるとおり専用のものとなっている。
 上蓋の印刷文字のレイアウトは、他のタナカ製旧日本軍ボルト・アクション・ライフルの初期生産品のそれと共通のもので(再販時は大きな毛筆体による日本語名のみになった)、左側に日本語の正式名称が□囲みで示され、右側上に英語の銃名、右側下に英語のメーカー名が並んでいる。
 段ボールは重たい本体を支えるのに十分な厚手のものが用いられている。多少手荒に扱ったくらいで破けてしまうようなものではないが、絶版品だけに大切に扱いたいものである。また、下箱の内側には本体を支える発泡スチロール片が何カ所か固定されている(はずであるが、本品のものははがれて紛失してしまった)。
 なお、収納する際には遊底をどのような角度にしても槓桿(ボルト・ハンドル)が邪魔になるので、遊底は本体から抜き取らなければならい。



※上記箱入り状態の拡大写真有り

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 取り扱い説明書は、A4サイズの両面印刷二つ折りで(箱に収めるためにさらに二つ折りにされている)、計4ページ構成になっている。自分が所有するモデルには中古購入時に取説が付属していなかったので、写真は九九式短小銃のものになっているが、四四式の取説も内容はすべて同じもので、表紙のタイトルが、「九九式・二式・四四式共通取扱法」となっているだけであった。
 内容は以下のとおりである。
・1ページ(表紙)…タイトル、全体写真(九九式短小銃)、主要諸元、小史、操作の説明
・2ページ(内側右)…弾薬の説明と部品表(部品価格表)
・3ページ(内側左)…部品図
・4ページ(裏表紙)…操作の説明(1ページの続き)、分解の説明
 すべての部品を分解するための細かい説明はないが、全体構成やフィールド・ストリッピング程度の方法を理解するには十分なものである。
 この他、本モデルにはダミー・カートリッジ仕様の部品価格表が入っていた(写真は省略)。 

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 カートリッジは、実弾にかなり近い形状の2ピース構造の発火式ものである。ただし、弾頭と薬莢の部分が分離するCPタイプのものではなく、外側は1ピースとなっており、内側にファイヤリング・ピンに押されて前進する太いインナーが入っている。外側の先端が実弾並みに細くなっているので、発火炎が抜ける穴も先端側のインナーもかなり小さいものになっている。
 なお、本来なら三八式と同じ6.5o弾であるはずだが、九九式短小銃のものをそのまま流用しているために、7.7o弾となっているところがおしい。リアル派は6.5o実弾カートリッジを用意したいところである。 

☆オプション☆ -Optional Accessaries-

三八式歩兵銃用スリング
(Gun誌1991年7月号タナカ広告)

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九九式短小銃用遊底覆
(Gun誌1985年7月号)

※拡大写真有り
 オプションは、革製の背負皮(スリング)と鉄製の遊底覆(ボルトのダスト・カバー)が売られていた。価格は初版時はそれぞれ3,000円と3,500円であったが、再販時は両方とも4,500円になっていた。遊底覆は本体と同じくらい(それ以上?)希少で、現在は15,000〜20,000円くらいで取り引きされている。
 なお、遊底覆は実銃用のものもつけることができたが、サイズがまちまちであったので、必ずしもジャスト・フィットするというわけではなかった。また、KTWが出しているガスガンの三八式用遊底覆は若干きつ目で、そのままでは付けられないそうである(KTW本社に確認済み)。
 左の写真はいずれもタナカ製の他のモデル用のものであるが、基本的にはどのモデルにも共通して使えるものである。


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