はじめに

子供の頃、親に連れられて百貨店に行くと必ず立ち寄ったのが屋上だった。100円硬貨を10円に両替して遊んだ。スマートボール、ジャンボパチンコ(縦長のパチンコ台)、アレンジボール、ピンボール、手でハンドルを回してボールを打つバッティングゲーム、窪みに書かれた数字ボタンを押してシュートするバスケゲーム、ハンドルに直結した車の模型を操作するドライブゲーム、お金を入れると神主さんの人形が動いておみくじを引いてくれるゲーム(?)、後にブレイクしたUFOキャッチャーの原型みたいなお菓子をシャベルですくうゲーム、そして今なお形を変えずに生き永らえているエアホッケー・・・。ハイスコアだと「ボンタン飴」が景品として出てきたりした。コインゲームのコーナーには、大リーグの映像を流して次のバッターの成績を当てるものや、コイン落とし、定番のスロットマシン。まだ大規模なゲームセンターもなければ、ブロック崩しもインベーダーゲームもない頃だった。お腹が空いたら屋台の焼きそば。もっと小さい頃はきっとキャラクターものの遊具にも乗ったんだろう。その頃の日曜日は、結構な数の子供たちが屋上に集っていて賑やかだった。

そんな懐かしい思い出が詰まった大阪高島屋の屋上に、子供を遊ばせるという名目で25年ぶりくらいに上がってみた。

いくらなんでも様変わりしているだろうという諦めに似た気持ちで階段を上がると・・・。おお!なんと原風景がそのまま残っているではないか! 閑散としていてコインゲームのコーナーはなくなり、おまけに相当にくたびれていて本当にやる気のなさを感じさせる老朽ぶりだが、あえて手を加えても儲けにはならないと踏んだのか、昔のままのレイアウトでそれは実存した。

いちおう電気自動車 両側にゲームコーナー キャラクターも古い 人影はまばら ミニ観覧車

携帯電話のカメラではわかりづらいが、ここの屋上はL字型の構造で、L字の先っぽの一方には電気自動車、もう片方にはミニ観覧車がある。階段でのアップダウンが多いのは設備機器を避けているためだろう。高い建物がなかった当時は見晴らしのよかったミニ観覧車も、今ではサウスタワーホテルに軽く見下ろされる始末である。電気自動車のタイヤは台車のキャスターみたいなやつで、大人が乗ってホントに大丈夫なのか心配になる。

とにかくこの大阪高島屋の屋上の見事なまでの造形美が私の心の琴線に触れ、日記以外著しく低迷しているわがホームページ更新計画をひらめいた。

題して「屋上の風景(TOP OF JAPAN)」!

よーわからん英語の副題はさておき、数多ある都会の百貨店(東京人はデパートと普通呼びますな)のエレベーターに乗り込み、デパ地下や途中階の催事場には目もくれず、ただRのボタンを連打して21世紀に残された最後のフロンティア(それは大深度地下だと言わないで!)である屋上を目指すのである。上がってから何をするかは問題ではない。とりあえず上がることが大事なのである。

そんなわけでまずは世界一の歓楽街である歌舞伎町を後背地に持つ新宿から。

新宿には、西口に京王、小田急。東口に伊勢丹、三越。そして南口に高島屋。日本一の激戦区である。当然のことながら、屋上の整備にも力を入れているに違いないという考えは正しくもあり間違いでもある。要するに、やる気のある百貨店とまるでない百貨店があるからだ。

やる気のある代表は伊勢丹。なにしろ創業者小菅丹治氏の銅像が見守っているというのに無様な姿は見せられないではないか。

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広大な敷地 遊具がひっそりと 創業者の銅像 神社もある国旗もある

敷地は広大でベンチの数も豊富。閉鎖されていたが、なにやらイベントスペースもあるらしい。人工芝が美しく敷かれた中にポツンと子供用遊具が1セットだけというのは寂しいけれど、これはこれで構造美を感じる配置である。コインゲームなどは一切ないが童心に戻れないと嘆く必要はない。ここには金魚すくいもスーパーボールすくいもあってまるで縁日のようなのだ。ただし平日だったせいか、係員がついているわけでもなくやる気があるのかないのかよくわからん感じではあった。魚だけではなくここは昆虫も売っている。カブトムシやクワガタはまあいいだろう。こんなものは今日びどこでも売ってる。驚愕すべきは、ミズカマキリ、更にはヤゴが売られていたことだ。こんなもん買う奴いるのか、ホントに? ヤゴってトンボの幼虫でっせ。こんなの見せられたら、都会の子供は夜な夜なバロムワンに出てくるヤゴゲルゲの子守唄を聞かされてうなされないか心配だ。

次は京王百貨店。ここは大阪高島屋に比較的近い、昔ながらのオーソドックスな作りである。

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高層ビルの谷間 飲食コーナー 裸足になりたくなる 植物も遊具も

乗り物も充実しているし、売店や飲食スペースもある。植木の展示即売もやってるし、人工芝も目にやさしい。伊勢丹のように洗練されてはいないが、極めて庶民的でそこそこに賑わっていた。係員も目立つ程度には配置されており、真面目に屋上の王道を守るぞという気概のようなものを感じる。子連れなら、伊勢丹よりこちらだろう。

さて次は京王と隣接した小田急である。ここは本館と小田急ハルクというテナントばっかり入ったアネックスがあるけれど、ハルクの屋上はゴルフスクールになっているようで今回は探検しなかった。しかし、今どき百貨店の屋上でゴルフなんてやるのかなあ。

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大きな看板 洒落たカフェ カフェの広告 敷地は狭い 屋上からの風景

で、本館の屋上。ここは厳密な意味での屋上ではなく14階立ての9階の一角にあるテラスのようなもの。だから視界が悪くてうなぎの寝床のようで窮屈でもある。それでも小田急はここを見捨てていないようで、つい最近洒落たカフェなんかをオープンさせている。狭いながらも楽しい屋上を目指してほしいものだ。

さて問題の三越の番である。はっきり言ってまるでやる気がない。敷地が狭いので工夫のしようもないのかもしれないが、夢を売る百貨店の屋上がこれではみっともないぞ。

場末の屋上 ゴルフクリニック? 地下4階はレストラン

入口には盆栽や植木が展示してあるが、どれも何だかさえない感じでもちろんやる気も感じられない。そのくせ妙にアットホームそうなゴルフクリニックが併設されていて不思議な感じだ。私が探検したときも、3人くらいのお客さんがレッスンプロらしい人の指導を受けていたが、たとえ私がゴルフを習いたいと思ってもこの門をくぐる勇気はない。言うなれば、「喫茶&カラオケ 樹帝夢」という看板の店にカラオケをやりに飛び込みで入ったりしないというのと同じようなもの。屋上はしょぼいがエレベーターの表示はB6 まである。いったい何がこの地底にあるのか?

南口の高島屋は未踏破であるが、とりあえず新宿編を終えて次回は銀座へ向かう!