空港にはいきなり金日成の肖像が飾られたロビーが見える。イミグレーションはすんなり。荷物は開けられたものの(「お笑い北朝鮮」を持っていたら没収かもしれない)それほど詳しくは調べられない。同行者がにやにやしてたら「何が可笑しいか!」と公安に叱られた。空港からホテルまでのバスはのどかな田舎道から一転して高層ビルの立ち並ぶ都心へと進む。右側通行だ。ニュースステーションの小宮悦子がリポートしていたように人民はみんな背広を着ていて可笑しい。自転車はピカピカ。いたるところに金日成の絵やスローガンが掲げられている。車はほとんど通っていない。建設が滞っているという柳京ホテルの三角形の建物は他の高層ビル群の中でもひときわ目立つ存在だ。道路は片側3〜4車線くらいの広さだが、対向車はほとんど通らない。通行規制をしているのか、それとも元々車の数が少ないのか。我々の宿泊する普通江(ポトンガン)ホテルの周りはのどかな公園地帯。ボートに乗る人や魚釣りをする人がたくさんいるがどうも不自然。みんな背広を着ている。普通そういう遊びをするのにそんな格好するだろうか?
チェックインした部屋は521号室。ドアを開けるとリビングになっておりトイレを手前に寝室と繋がっている。なかなか豪華な部屋で温水も常に出ていた。トイレはよくありがちだが、流すと水が止まらなくなることがあり、タンクの蓋を開けて応急処置をする必要がある(このことが後々事件を起こす原因となる)。夕方5時頃の到着で1時間ほど夕食までは時間がある。ロビーでのミーティングでは「水は飲めるのか?」「国際電話のかけ方は?」とかつまらない質問が相次ぎ、時間を取られる。参加者の一人である老人(我々は原健三郎と呼んでいたと思う)は訪朝2回目で、前回は金剛山登山中に骨折して入院したという武勇伝を披露していた。今回の旅行中にもめごとを起こさないでほしいと心の中で願ったが、実際に大変な事件を起こしたのはこの人ではなかった。夕方まで近くを散策。不思議なことに普通江で釣りをする人々はエサをつけていない。魚篭(びく)のようなものも持っていない。もちろん背広姿だ。ボート遊びの人も男同士ばかりでしかも川幅は広いのに船着場周辺でぷかぷか浮いているだけ。当然密集しているものだから、そこここで衝突している。散歩中にすれ違う人々は皆無表情で胸には金日成バッヂがついている。
楽しみにしていた食事はバイキング形式だがろくなものはなくてガッカリした。食事後、「高麗ホテルへ行ってみたい」と、以前の私の上司に似ている金さんという案内員に相談すると、「イベントの関係でタクシーが出払っていてつかまらない。地下鉄などで行くことは安全が保証できないので認められない」旨の返答。要するに自由行動は禁止なのだろう。軟禁されたようで不完全燃焼のまま部屋でビールを飲む。10時頃、別日程で来ている同行者の友人2名を部屋に迎える。大学時代の友人らしいが、この人たちが非常に強烈な個性の持ち主で(でなければ女2人で普通こんなツアーに参加しない)、弁舌爽やか立て板に水といった感じ。この席で聞いたことは、
1.自由行動はほとんど認められない
2.金日成バッヂは売り物ではないし街に金日成の顔が入った品物は切手くらいしかない
3.釣り人も含め街の人々は皆動員された人で、親子連れや孫連れも本物の家族とは限らない
4.食事は粗末
5.スケジュールはハード
6.マスゲームはもんのすごい
などなど。さんざん盛り上がった末、記念撮影をしてから寝た。
![]() 普通江で背広姿でボート遊び。彼は楽しいのか? |
![]() 右上の赤く囲んだ部分が柳京ホテルの先端 |
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![]() 人々はみんな着飾っていた |
![]() 至るところに遠近法を無視した絵が |
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