万景台の金日成の生家へ。高台にあるこの地で生まれたとされているが、中国だかロシアで生まれたという説もある。革命の指導者が国外で生まれたとあっては国民の士気に影響があるのでここで生まれたことにしている、というのであるが実際のところはわからない。展示されているものは昔の朝鮮の典型的な貧農家庭らしいが、復元されているため作り物っぽくて今ひとつ存在感がない。あたりは公園のようになっており、ループコースターを備えた遊園地が下のほうのトイレ付近から見えた。これは予習のため事前に友人から借りたビデオでも紹介されていたものだと思われる。昨日一緒に飲んだ女性陣2人はここにも入園したらしいが、おばさん連れが見計らったように一緒に入園していった光景は異様であったという。普通、遊園地におばさん二人で連れ立っては来ない、と思う。
その後、またまた遊園地のようなところへ行き、だだっ広い広場の観覧席から時代劇のような演芸(ミュージカルのようなもの)を観る。着飾ったサクラの人民が大勢座っていた。軽業のような演技や伝統的な遊び(ブランコ、シーソーなど)が見られた。特にシーソーはなんでこんなに高く飛べるのかと思うくらいの高い跳躍の連続。馬を使った時代劇も面白かったが、1時間以上に渡ったのはちょっと疲れるし、雨模様なので寒かった。どこからともなく現れた似顔絵師のおじさんに4人とも描いてもらう。なかなか上手だ。使っている鉛筆は中国製だった(注:似顔絵師に書いてもらった私の肖像が見当たりません。笑えるので見つかったら載せます)。そのあと公園のそばで昼食。公園では大の大人がボールを的に当てるゲームを一生懸命やっていた。食事はオープンテラスだがとにかく寒い。途中からは大粒の雨も降ってきた。味のない冷麺を食べる。以前に行った人の話では食べ切れないほどのご馳走三昧のはずだったのに、なんたることか!
この日のために焼肉断ちをしてきた我々の立場はどうなるのか。園内ではこんな雨だというのにモノレールに乗っている大の大人がいる。ここまで演技しなくてもよいと思うが。
昼食後雨の中、万寿台(マンスデ)へ。ここには北朝鮮の映像で必ず登場する金日成のとてつもなくでかい銅像(片手を前方上方30度くらいに上げている)がそびえたつ。先遣部隊である女性陣2人はここで、金日成のポーズを真似て写真を撮った観光客が不敬罪とみなされフィルムを抜かれるという事件を目撃しており、我々としては同じようなことをする阿呆な奴が現れることを期待してドキドキしていたのだが、雨のせいで片手が傘でふさがっており誰もやらなかったのはとても残念であった。抗日戦争と朝鮮戦争の烈士を奉っているメモリアルを訪ねる。立派な彫像が何段にもわたり小高い丘に安置されている。下の段のほうが時代の古い人物。何人かをダイジェスト的に説明してくれるが、なにぶん雨が激しくフードだけでは辛い。最上段にはもちろん金日成。荘重な音楽が流れ頭を垂れるように指示される。在日の人たちは献花している。そういえば、高麗航空の機内にもお花のにおいがしていた。このあたりで生花販売すればきっと儲かるだろう。なお、ここは「約束の地」であり、ツアー客がすべて訪れなければならない義務を背負った場所である。雨は一層激しく、早くバスに戻りたい。「辛いお約束になりましたね」と中外旅行社(朝鮮総連系の旅行会社)のBさんが申し訳なさそうに言った。
凱旋門へ。パリのものより10メートル高いというが、よくもまあこんなものを造ったものだと呆れる。なんでも積み上げた大理石の数は金日成の生きた日数の数であるらしい。全体像をカメラに納めたかったが、あまりに被写体が大きくてかなり遠くまで行かないと無理なので諦める。門の上へも昇れるらしいが許可されない。元来高所恐怖症なのだがこういう初めてのところでは高いところに登りたくなるクチなので残念。ここはマスゲームの行われる陸上競技場のすぐそばなのだが、小高い丘に同じ服を着た人間がぞろぞろ歩いているのが遠目にも見える。マスゲームを演じる子供たちなのだろうか?
時間が余ったということでチュチェ思想塔へ向かう。大同湖畔の一等地にあるチュチェ思想(主体思想)塔は、これまたなんでこんなもんを造ったのだろうと思うくらいの立派なもの。夜になると最上部の炎のところが電飾で点灯する仕組み。ここは上までエレベーターで昇った。地上170メートルで頂上までは4分くらいかかる。市内が一望できるくらいの高さだがあいにくの雨模様のため霞んでしまっている。ある一角は表通りはすべて巨大なビルに囲まれているものの、内側には低くて粗末な建物が密集していた。観光客の目に触れないように設計にしてあるかのようだ。隊列を組んで行進している子供たちの姿も見える。ツアー参加者の中に明らかに北朝鮮シンパと思われる者が何人かいたが、そのうちのひとりは案内員に対し「ピョンヤンはゴミが落ちていなくて清潔な都市だ」と言っていた。確かにこれはそのとおりなのだが、マンションには洗濯物が干されていないし飲食店や小売店もみかけない。なんというか、人が生活する場という活気や猥雑な雰囲気がまるでないという意味において清潔な都市なのである。
![]() 君は首領様の巨大さがわかるか? このポーズを真似て撮影してはならない。 |
![]() これなら誰にも 叱られない。 |
![]() 地上170mの主体思想塔 |
![]() 食事は粗末だ。 ご馳走といえるものはついに一度も供されなかった。 写真はアヒルか何かの肉。 |
![]() 演芸を「見物」する北朝鮮人民。一様に着飾っており、 とても座席と思えないような場所にも座っていた。 |
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![]() 凱旋門はでかいけど風格がない |
![]() 主体思想塔から下界を見ると学生が集団下校していた |
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