「温泉に行きたい!」とは以前から思っていたが、仕事の都合やらなんやらで、なかなか実行に移すことができないでいた。このままだと、ズルズルいってしまうと思い、「絶対に行くぞ!」と決めた日が11月2日、3日だった。

のんびりが目的なのに、小市民のせいかどうせ行くのならといろいろ欲張ってしまう。まず、温泉は山梨の「石和温泉」に決定。ここに絶対に行きたいと思ったわけではないが、一人で泊まれて食事は部屋食、温泉も露天風呂あり、そして何より空きがあるところと調べた結果、石和温泉の「ホテル石風」に行くことになった。しかし、いつものことだが、一人で温泉に行こうとすると本当に選択肢が少なくて困ってしまう。最近JTBが一人旅用のパンフレットを出したりしているが、件数も少ないし平日のみしかない。今後、もう少し受け入れてくれる旅館が増えるといいのだが。

さて、泊まりは石和温泉と決めたところで、じゃあどうせならその日は昇仙峡の紅葉を見ながらブラブラしてから、温泉につかろうと決めた。そして、翌日は以前から観たいと思っていた劇団四季のミュージカル「オペラ座の怪人」が静岡でやっているので、ついでに見てこようと決めたのだった。


●昇仙峡へ

まだ、暗いうちに家を出て甲府に向かう。8時半過ぎに甲府に着いて、とりあえず昇仙峡行きのバスの時刻を確認。バス停で時刻を見ていると、タクシーの運ちゃんが寄ってきて、「4人の乗合ならバスより安いよ」と言われるが、他人と狭いタクシーに4人も詰め込まれるなんて嫌なので即座に断る。バスが来るまでまだ時間があったので、駅前で朝マック(久しぶりだ)。

バスは9:15分に10数人を乗せて出発。紅葉の季節だから平日でももっと混んでるかと思ったが、そうでもないようだ。それともみんな車で行くのかな。バスは市内を抜けた後、駅から30分強で昇仙峡の入り口の天神森に到着。ここからメインの「仙娥滝(せんがたき)」までは約4キロ。普段運動してない身体にはちょっときつそうだが頑張って歩こう。

昇仙峡1
長潭橋より

まず、渓谷の入り口にあるのが長潭橋(ながとろばし)。そこから昇仙峡に入っていくわけだが、道は遊歩道という感じではなくて、左側に渓谷を眺めながら車道を上っていく。車道ということで、時折車も通るので多少緊張感を持って歩かなければならない。渓谷も川の側を歩くわけではなく上から見下ろす感じ。それでも、ひんやりした空気が心地いい。期待していた紅葉はイマイチという感じだ。まだ、ちょっと早いのかもしれない。
途中、渓谷のいくつかの岩には「トーフ岩」「猿岩」などと名前が付けられている。なるほど!と思うものもあれば、???と首を傾げたくなるものも。

昇仙峡2
石門

全体の半分を過ぎると車道とは別に渓谷沿いに遊歩道が始まる。この車道の区間は馬車で来ることも可能(天神森に何台か止まっていた)だが、車も通るので危ない&渋滞はないのだろうか。歩いてる間、馬車を見ることはなかったが、休日になればそれなりに利用する人もいるのかもしれない。
遊歩道の入り口にはお土産屋が何件か立ち並んでいるが、ほとんど誰も見向きもしない(これも平日だから?)。途中、岩でできたトンネルの「石門」を通るが、よく見ると岩がくりぬかれているわけではなくて、頭上の岩と側面の岩の間には隙間があって、頭上の岩を支えてるわけではない。この不安定さにちょっとドキッとする。


昇仙峡3 昇仙峡4
紅葉はイマイチだった

その先の橋を渡り今度は渓谷を右手に見ながら歩く。そして、歩き始めから約1時間で一番の見所である「仙娥滝」に到着。高さ30mということであまり大きな滝ではないが、ちょうど虹がかかっていてきれいだった。周りがもっと紅葉していたらと思うとちょっと残念。仙娥滝から階段を上ると遊歩道は終わり。川の流れも渓谷とはまるで別人のように穏やかになる。

昇仙峡5 昇仙峡6
仙娥滝(せんがたき) 覚円峰(かくえんぼう)』

滝から10分ほど歩くと昇仙峡ロープウエイがあり、山頂のパノラマ台まで約5分。通常は20分毎だが、この日は5分おきに動いていたが、中学生の遠足?と一緒になり満員。揺れるたびに黄色い歓声が起こり、うるさいなぁと思っているうちに山頂に到着。かすんでたこともあり山頂からの見晴らしはイマイチだった。

再び、ロープウエイで降りてきて、甲府に向かうためにバス乗り場まで歩くが、運悪くバスは行ったばかり。約1時間の暇をつぶすために、「影絵美術館」に入ってみる。ここは「藤城清治」「山下清」の作品を中心に童話の世界のような感じで、照明を落とした館内で見る影絵はとてもきれいだった。また、日本の旅情といった感じの貼絵も展示してあり、何となくほほえましい気分になった。

●武田神社

武田神社
武田神社

甲府まで戻り、まだ時間があったので、「武田神社」へ行ってみる。ここは甲府駅からバスで約15分のところにあり、名前の通り武田信玄を御祭神として祀ってある神社だ。ここも平日だったせいか人はまばら。境内には「宝物館」もあったが、入らぬまま戻ってきた。


●石和温泉

15時近くなったので、今日の宿泊先である石和温泉に向かうことにする。甲府から石和温泉までは2駅で約10分くらい。駅前にはサティとかもあり、温泉街という感じではない。駅前から延びる1本道を中心として、左右に旅館がぽつぽつと並んでいる。宿泊する「ホテル石風」までは歩いて約10分。

旅館は3階建ての中規模旅館といった感じ。案内された部屋は3階の10畳間で一人には十分な広さ。部屋は古そうだが掃除は行き届いている。窓からは日本庭園風の中庭が見え、池には鯉だけじゃなく白鳥や黒鳥までいたのには驚き。一息ついたところで早速温泉へ。大浴場は男女とも1階にあり、露天風呂も併設されている。風呂は大浴場、露天風呂とも結構広くて気持ちがいい。時間が早いせいか、途中からは貸切状態で最高の気分。
食事は食べきれないほどの量があったが、内容は定番的。今まで泊まったところは食事のときビールの用意くらいしてくれたが、ここは食事を並べただけで引き上げてしまい、ちょっと寂しい気分で冷蔵庫からビールを取り出す。そういえば、部屋に案内してくれるときに荷物も持ってくれなかったし、ちょっとサービスが事務的かな。
食事後は重い身体を引きずりながら、また貸切状態の風呂を堪能。やっぱり涼しくなってくると露天風呂は最高だ。翌朝も温泉に浸かった後朝食。昨晩と同様に量は結構あり、名物の「ほうとう」は味噌汁の代わりということで登場。

ホテル石風1 ホテル石風2
ホテル石風の庭

●「オペラ座の怪人」静岡公演

もう1泊してのんびりしたい気分になるが、今日は「オペラ座の怪人」を観に静岡まで行かなければならない。石和温泉から甲府に出て、そこから直通の特急で静岡まで約2時間。静岡には昼前に到着。朝から雲行きは怪しかったが、静岡に着いたらすっかり雨になっていた。そこからは面倒なのでタクシーで会場の「静岡市民文化会館」へ。電話で予約したチケットを引き換えて早速中へ。やはりミュージカルということで女性が多い。
「オペラ座の怪人」はニューヨークで観て感激して、ぜひ日本でも観てみたいと思っていた。残念ながら東京公演は見逃してしまったので、ついでとはいえ静岡まで来た。チケットを予約したのが公演の3日前だったため、3階の最後列かサイドシート(舞台が一部見えない)しかないと言われ、サイドシートを予約したのだが、これがなんと前から3列目という幸運さ。これなら出演者の表情もよく見えそうだ。そして、13時ちょっと過ぎにいよいよ公演が始まった。

内容は思っていたよりかなり良かった。ミュージカルといいながらオペラのようなあの声域を日本人が歌えるのかなと思っていたが、それも見事に歌いこなしていたし、舞台仕掛けも忠実に再現していた。何よりも英語ではわからなかった細かい内容や歌詞がわかったことで余計引き込まれた感じがする。会場全体の満足度もかなり高かったようで、終わったときの拍手がずっと鳴り止まなかった。ひとつ言わせてもらえば、劇団四季の俳優さんには悪いけど、やっぱり外人さんのほうがかっこいいというところだろうか。

温泉に入ってのんびりするつもりが結構忙しい旅になってしまったが、「自然」と「芸術」+「温泉」を堪能して概ね満足の1泊2日の旅でした。