
若き日の栗原一郎さんが描いた婦人像を二点三十年くらい前に近所のH画廊で買い需めたことを彼は知っていて,初対面早々打ち解けた雰囲気で撮影を終わった。
近作の裸婦素描が十数点壁にかけられていた.洒落た筆緻で好ましいものばかりだった。
昔、なぜ敢えて着衣の婦人像二点を選んだかというと、当時の裸婦の肌の描写に釈然としないものが感じられたからであった。
池田二十世紀美術館で催された栗原一郎の世界展の図録を通覧するとかって不満を覚えた裸婦作品が魅力的な頽廃美を備えてきたことを知って嬉しかった。
若さを漲らせている五十代の画家栗原一郎さんの前途が楽しみである。
秋山庄太郎
(1996年月刊美術四月号より)
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新作二点(2001年)