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〜かざうたげんそう〜
今日は霧のお話です。
以前わたしの住んでいたところでは、冬になるとよく霧が発生しました。どのくらいを濃霧と呼ぶのかよく知りませんが、かなり濃い霧です。夕暮れ時に霧がでると、もう、嬉しくなってしまいます。なんて散歩日和なのかしら、と。
あたり一面が深く、それでいてどことなく透明感のある青一色に染められて、いつも見ている風景が異世界のように見えてくるのです。見知らぬ場所に迷い込んだかのような、不思議な気分。侵しがたいような、それでいてどうしても足を踏み入れずにはいられないような雰囲気。神秘的というか、幻想的というか……。樹木が青闇のなかで街灯の光にうかびあがりだす。ふだんなら煩わしいはずの建物でさえ霧のなかに白くぼんやりとうかび、幻想的な雰囲気をかもしだします。
生命あるものと、なきものとがみごとに調和する不思議なこの光景。こうして、ときおり霧は人間界と自然界とを違和も感じさせずに結びつけるのです。霧って本当に不思議な存在ですね。わたしにとっては霧はとてもファンタジィなのです。空気と同じくらいに。
いま住んでいるところではあまり霧に出会えません。ちょっと寂しい……。
余談ですが以前、宵ごろに窓の外が霧で白く霞んでいて、さっそく散歩にでかけました。そのときの光景がまた、なんだか妙にすてきだったのです。霧がでているせいか、空には薄墨のかかったような、まあるい月がでていました。多少、霧雨が降っていたのですが、夜空を仰ぐと星も見えたりして、なんとも不思議な夜でした。お天気霧の夜にまた散歩したいな。
みなさんもすてきな時間を見つけたら、ぜひ教えてくださいね。
水瓶の森でお待ちしています。
1995.11「水森通信2 秋の号」より