Neon color effect: non-connected type ネオンカラー効果(特に、非連結型のネオンカラーについて) 暫定版 (Sept. 27, 2005) このページを開いて、宗宮さんどうしちゃったんすか? という方もいらっしゃるでしょうけど、とりあえず、下図Fig. 1のA とB (van Tuijl, 1975)とC (van Tuijl & Leeuwenberg ELJ, 1979) を見てください。
A. Tuijl 's type B. Ehrensrein's type C. non-connected type Fig. 1. Examples of neon color displays 注意: Fig 1を印刷すると図形の周囲に色ドットが印刷されてしまう恐れがあります。以下のすべての図も同様の可能性があります。もちろん原図にはこの色ドットはありません。作図→掲載→印刷の過程の技術的問題と思います。改善努力中です。乞ご容赦。 まず、Fig. 1のA。図形の中の水色のダイヤ形のあたりを、「なにげな〜く」見て下さい。どうですか? この水色のダイヤ形の周囲に、あたかも水色が薄くにじんでいるかのように見えるはずです。次は、お隣のB。エーレンシュタイン (Ehrensrein) 型です( Tuijl博士の紹介した図とは一件かなり異なりますが、その基本構造は同じです)。水色のクロスの周囲を、「なにげな〜く」見ると、水色のクロスを中心にして円板状に、あたかも水色が薄くにじんでいるかのように見えるはずです。
最後はCです。13個の水色の正方形でできた菱形のあたりにぼんやりと、やはり、あたかも水色が薄くにじんでいるかのように見えるはずです。
これらの現象がvan Tuijl博士によって紹介されたNeon color effect という色の錯視です( Neon color spreadingと言う呼び方もあります。日本語は、ネオンカラーとか、ネオンカラー効果です)。なぜ錯視、つまり錯覚かというと、あたかも水色が薄くにじんでいる (拡散している) と感じられる部分には水色はなくて白だからです。
この現象が錯覚であることは、「なにげな〜く」ではなく、「じぃー」と目を凝らしてA, B, Cの水色の線のあたりを注視するとわかるはずですが、なかなか納得できない人もいそうなので、水色のラインからできているダイヤ形、クロス形、正方形を、取り出してみることにしましょう。なお、これらの図形はターゲット図形などと呼ばれます。
Fig. 2. The target segments of the neon color displays illustrated in Fig. 1 どうですか? それぞれの水色のターゲット図形のまわりにはNeon color effectは見えないはずです。
ついでに、それぞれの水色のターゲット図形を取り出した残りの部分も見てみましょう。
Fig. 3. The inducers of the neon color displays illustrated in Fig. 1 どうですか? 各ターゲット図形を抜いた図形は何色に見えますか?
あたりまえと言えばあたりまえですけど、水色はまったく感じられないはずです。なにしろ、白い背景と黒い線図形しかないのですから。なお、これらの図形、つまりターゲット図形を取り出した残りの部分は誘導図形とか、インデューサーと呼ばれています。
さて、ここで、また、質問があります。さっきまで、ターゲット図形があった場所 (ターゲット図形を抜いたために空白になった誘導図形中の部分) は、まわりの白に比べて、なんかこう質的な違いがありませんか?
誘導尋問してしまうと、少し白っぽく見えませんか?
特に、真ん中の図形、つまり、エーレンシュタイン図形は、水色のクロスを抜いた部分が、やけに白っぽく見えるはずです。この部分は、主観的輪郭 (subjective counter) とか、錯視輪郭 (illusory counter)とか呼ばれています。この錯覚はとても有名。いわば錯視の王様です。
ここで、少し、Neon color effectについてまとめておきましょう。
Neon color effectは、誘導図形の主観的輪郭内にターゲット図形を埋め込んだ時に、主観的輪郭内にターゲット図形の色があたかも拡散したかのように見える色の錯視である、ということになります。
ここで、つぎのような疑問が浮かんだ方もいるはずです。
「誘導図形の隙間に図形を埋め込むとネオンカラーが発生するって言うんなら、どんな風に埋め込んでもネオンカラーが発生するの?」
うーむ。
「はいそうなんですよ」と言いたいところなんですけど、実は、「はいそうです」とは言えないんですよね。
Fig. 4を見てください。一番左端です。エーレンシュタイン図形の欠けている部分をぴったりと補う形でターゲット図形が埋め込んであるやつです。Fig. 1のBにも示しましたけど、ネオンカラーをハッキリと知覚できるはずです。では、その隣はどうでしょうか? 一番右端ではどうでしょうか? 僕の場合は、一番右端ではもうネオンカラーは見えなくなります。
つまり、どんなふうに埋め込んでもOKとは言えないということです。言い換えると、ネオンカラー発生にとって、ターゲット図形の線と誘導図形の線が連結していることはとても大事なことである、ということになります。
Sohmiya & Sohmiya, 1998 Fig. 4. Differences of magnitude of neon color effect ここで、「線が連結してさえすれば、必ず見えるんですよ」と言い切れれば、これにて一件落着なのですが、現実はなかなか厳しくて、そうとは言えないんでんすよね。次のFig. 5を見て下さい。
Sohmiya & Sohmiya, 1998 van Tuijl, 1979 Sohmiya & Sohmiya, 1998 Fig. 5. Non neon color displays ネオンカラー見えます?
見えないですよね、線は連結しているのになぜ見えないのですか?って。
ごもっとも・・・。
このお話は、かなりたいへんなんですよねぇ(^ ^;)
その上、ここで、Fig. 1のCのことを思い出すと、話はさらにややこしくなります。なにしろ、Fig. 1のAとBでは、誘導図形とターゲット図形の線が連結してるのに、Cでは、ターゲット図形の線と誘導図形の線が連結していません。
当たり前と言えば当たり前。だからこそ、非連結型のとぼくも命名したわけですし。それなのに、「ネオンカラー」見えちゃうんですから。つまり、非連結型は、線がつながってなくても「ネオンカラー」は発生するというわけです。
うーん。うーん。ますます、わけわかんなくなってきましたよね。最初は、ネオンカラーが発生するためには、(1)ターゲット図形の線と誘導図形の線が連結がポイントだったのに、いやいや、(2) ターゲット図形の線と誘導図形の線が連結しててもダメなときはあるんですよ、になってしまって、ここにいたっては、(3)ターゲット図形の線と誘導図形の線が連結してなくても出る時は出るんですよ、なんですから・・・・。
この問題を解くカギの一つは、インデューサーの錯視輪郭の態様にあります (Sohmiya & Sohmiya, 1998)。Fig. 6にFig. 5の錯視輪郭の図を示しました。Fig. 3の錯視輪郭と比較してみて下さい。
Fig. 6. The inducers of the displays illustrated in Fig. 5 閑話休題。
Fig. 1のCの紹介にあたって、ぼくが、非連結型のネオンカラーとは表記せずに、わざわざ非連結型の「ネオンカラー」とネオンカラーにカッコをつけました。これには理由があります。
通常、ネオンカラー図形と言うと、ほとんどの知覚研究者はエーレンシュタイン型やTuijl 型のような連結型のネオンカラー図形を思いうかべます。実際、連結型のネオンカラーについての論文は山のように見つかりますけど、非接触型の「ネオンカラー」の報告はほとんど見つかりません。なんとなく、ネオンカラー図形=連結型という暗黙の了解があるような気がします。それで、もし、ここで、非連結型のネオンカラーと表記してしまうと、「そもそもそれはネオンカラー現象といえるのか?」というクレームが発生するように思ったわけです。それで、非連結型の「ネオンカラー」としてあります。
2001年頃、ぼくは、連結型のネオンカラーだけではなく、この非連結型の「ネオンカラー」ともかなりのとっくみあいをしました。あれからもう4年。で、そろそろ、その成果を報告しようかな、という気になったわけです。
まず最初に、ターゲット図形と誘導図形の色の組合せを変えると錯視の色 (正確には色相) はどうなるのか、をとりあげます。なんで、このテーマなのかというと:
(1) このテーマは、ぼくがネオンカラー現象で最初に格闘した問題なので思い入れ大。
(2) ネオンカラー現象で、「ほとんどのターゲット図形と誘導図形の色の組合せで、ネオンカラーの色はターゲット図形の色に一致するけれど、たまに、ターゲット図形の色と違う色が見えることがある」っていうのは、魅力的。
この(2)を最初に指摘したのはTuijl博士なんですけれど、「その理由は良くわかっていない」ということでしたので、それを知った当時のぼくは、かぜんやる気になりました。(その後、自分の仮説をなかなか雑誌にのせてもらえなくて大変な目にあいましたけど・・・ )
とりあえず、Fig. 7を見て下さい。
van Tuijl, 1975 Bressan, 1997 Sohmiya, 2004 Fig. 7. Complementary color inductions 左から順番に、ターゲット図形は、黒、赤、緑なので、普通なら、ネオンの色も黒、赤、緑となっても良いはずなのに、見ての通り、3つとも黄色っぽく見えてしまいますよね。(この錯視量は微妙なので見えない人がいるかもしれませんし、何色かについては個人差もあるようです。)
なぜネオンカラーの色はターゲット図形と異なった色になるのでせうか?
今のとこ、この説明は二つあります。一つ目は、Bressan 博士(1995/2003)による補色の誘導に基づいた説明です。そして、もう一つは、意識下の有彩色透明視に基づいたぼく(2004/2005) の説明です (MI仮説と言います)。
説明の詳細については、ぼくの論文や本HPのレジュメを読んでいただくことにして、今日は、長いことPCのハードディスクに眠っていたぼくの色の錯視作品 (非連結型の「ネオンカラー」としておきます) を紹介します。
Sohmoya, 2001 Fig. 8. New examples of color illusion どうですか? ターゲット図形の色でもなく、かつ、誘導図の色でもない色が、ターゲット図形の周囲に誘導されませんか?
波線の色錯視で、マゼンタ色の波線の間の赤の波線のまわりはどうですか? 黒い3本の波線の横の白い背景は白ですか、それとも色がついていますか?
波線の色錯視については、さらに5例紹介します。真ん中の波線 (ターゲット図形) から色が拡散しているように見えるはずです。
Sohmoya, S., 2001 Fig. 9. New examples of non-connected type of "neon color effect" ぽくのMI仮説では、拡散する色の予測は、上から順番に以下のようです。かなり当たっていると思いませんか!!
Table 1 Predictions for the illusory color in the illusory area based on the multiple interpretation hypothesis Target segment Inducer Prediction of illusory color Green Blue Yellow/Green Green Cyan Yellow/Green Green Magenta Green Red Magenta Yellow/Red Black Blue Yellow/Black Note: Yellow/Green; yellow rather than gteen. さて、最後に、波線の色錯視について、Red (R), Green (G), Blue (B), Cyan (C), Magenta (M), Yellow (Y), White (W), and Black (K)の組合せとその予測を、以下のFig. 10に示すことにします。
Fig. 10で、例えば、2MVSCというのは、ターゲット図形がシアンでインデューサーがマゼンタの組合せということです。波線の下にcyanとありますけど、これはこの組合せでは、錯視の色の予測はシアンであると言うことです。
Sohmoya, 2001 Fig. 10. 64 combinations of target segments and inducers 続く 2005.9.18記
2005.9.27改訂点
Table 1のPrediction of illusory colorで、ターゲットが赤、インデューサーがマゼンタの予測を間違って記載していました。正しい予測は、黄/赤です。訂正しました。
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