雨竜ダム建設工事

雨竜ダムはなぜ造られたのか。

  ダムは王子製紙の財力と技術によって造られました。王子は日本最初の製紙会社です。1910年から苫小牧工場での紙の生産を始め、業界トップの地位を手に入れました。苫小牧工場での紙の原料となる木材は、北海道の開拓が進むに連れて出てくる国有林にほとんどを頼っていました。

  ところが大正中期になってその確保が困難になりました。雨竜ダムが造られた場所はもとは北大の演習林で、木材関係者も驚くほどの原生林の密集地帯でした。ダム建設の最大の目的は、この原木を手に入れることだったようです。

  一方、王子は苫小牧工場開設に伴って、千歳川流域に次々と発電用ダムを造り、工場の電力を確保しました。そして、余った電力を札幌や小樽方面に販売していました。

  雨竜ダム建設の計画が王子に持ち込まれたのは、大正末のことです。この頃は、札幌などの人口増加とともに、家庭への電気の普及が進んで、電気の消費量が増えていました。北海道の発電を大会社に任せる政策が進められる中で、王子が電力会社としても生き残るために、より多くの発電量が必要でした。

  王子にとってダム建設は、原木と電力の二つとも手に入れようとするためであったと思われます。
  

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