本仮屋ユイカさんは現在[2005.8]まで、主な作
品としては、
「世界の中心で、愛をさけぶ」(ドラマ)と、
「スウィングガール
ズ」(映画)の2本の作品に出演されています。これらの作品について、解説して生きたい
と思います。なお、「3年組金八先生」シリーズにも出演したということですが、私は見ていませんのでここでは触れません。
「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004,ドラマ)
「世界の中心で、愛をさけぶ」(2004)
は、片山恭一の小説(2002)を基にしたドラマであり、既に公開されていた映画版(2004.5)のヒットを受けて、2004年の夏の
クールにTBS系で放映されています。
小説版は、松本朔太郎(通称サク)と、廣瀬亜紀(通称アキ)の間に繰り広げられる物語であり、中学生時代に2人が同級生として出会ってから、付き合い始め
て、高校?年にアキが白血病でこの世を去るまでが描かれています。サクは、図書館に勤める母と暮らし、悠々自適な生活を送る祖父を持つ知的な中学生として
登場します。前半は、二人の出会いからはじまり、サクの祖父が昔愛した人の骨に関する話、近くの孤島での一泊の話などがさわやかに描かれています。こ
れに対して、後半はアキが白血病となるところから始まり、進行していく病状の中で深まっていく二人の愛が描かれています。
これに対して
映画版では、高校生時代のサク(森山未來)と、
アキ(長澤まさみ)の他に、17年後のサク(大沢たかお)と、その恋人の律子(柴咲コウ)を登場させています。大人になったサクは医師となっています
が、高校生時代に出会い死んでいったアキのことを引きずっているように描かれています。このサクが高校時代のアキとの思い出を振り返る形で話は進んで行き
ま
す。そして、律子とアキとの関係性が話の綾のように扱われています。なお、小説版においてはサクは優秀な生徒とされていますが、映画版、そして、これに続
くてドラマ版では、それほどは優秀でない生徒として描かれています。
さて、最後に本仮屋ユイカさんが出演された
ドラマ版です
が、ここでも、高校生時代のサク(山田孝之)とアキ(綾瀬はるか)の他に、17年後のサク(緒方直人)を登場させ、彼に高校時代のアキのことを回想させる
ようにして、ドラマは進んでいきます。映画版と同じように、アキの死を引きずっているサクですが、サクのそばには彼を見守っている大学時代からの友人であ
る小林
明希(桜井幸子)とその息子がいます。ドラマ版では、サクとアキの周辺も詳細に描かれており、二人の友人として大木龍之介(田中幸太朗)と、上田智世(本
仮屋
ユイカ)などを登場させています。本仮屋ユイカさんが演じる智世は、龍太郎に思いを寄せる役として描かれています。智世は控えめな役でしたが、本仮屋さん
の演技力には少なからずの人が注目し、「ファイト」において彼女がヒロインの役を得ることになる大きなきっかけになったとされています。
なお、ドラマの最終回には登場人物のその後が描かれいるのですが、智世は結婚しており、その娘の名前は亜紀になっていました。
「スウィングガールズ」(映画,2004)
「スウィングガールズ」は、山形の田舎町の女子高校生が、
落ちこぼ
れの友子(上野樹里)を中心として、ふとしたきっかけからジャズのビッグバンドを作ることになり、
冬に開催される演奏会を目指して奮闘する姿を、半年に
渡って描いた映画です。
映画の番宣などでは、楽器の素人であった出演者たちが実際に楽器を練習し、
最終的に映画の中で演奏することまでを描いたという点に重点をおいていましたが、
実際は、3人の女子高生がジャズを通じて成長して行くのを描いた映画だと捉えるのが
適切であると思います。映画のあらすじについては、
主演の上野樹里さんが出演した
「てるてる家族」についての私のホームページの
一部分として、既に記述してありますから、
ここでは、3人の女子高校生、
鈴木友子(上野樹里)、
関口香織(本
仮屋ユイカ)、
斉藤良江(貫地谷かほり)の成長という観点で記述します。
- 鈴木友子(上野樹里) [テナーサックス]
- 基本的に勝手な奴です。何をやっても長続きがせ
ず、落ちこぼれでです。
さらに、自分よがりであり、協調性もなく、よく言えばわが道を行くタイプです。
そんな友子がジャズを通じて変わっていく姿をこの映画では描いています。
しかし、そのきっかけはあまり褒められたものではありません。
演奏ができなくなった吹奏楽部のかわりに野球部の応援の
演奏するメンバーを募集していた際に、夏休みの補習をサボるために参加したのがきっかけです。
しかも、吹奏楽部が演奏しできなくなったこと自体が、友子や良江を含めた補習組が原因であったことを
拓雄(平岡佑太)察知されたということが、参加を了承した要因の一つでもありました。
しかしながら、しぶしぶ始めたアルトサックスの練習ででしたが、一旦始めてみる
と、かおりや、良江との対抗心もあり、段々と興味を持つようになり、真面目に取り組むようになります。
やがて、皮肉なことに吹奏楽部が早々と復帰したことにより、彼女たちは応援の演奏をしなくてよくなります。
しかし、既にジャズを演奏するの魅力を知ってしまった友子は、ほっとするのではなく、むなしさを感じてしまいます。
演奏はしたい気持ちはあるのですが、楽器を持っていない友子にはどうしょうもありません。楽器屋のショーウンドー飾られているサックスを見るのですが、と
ても彼女が買える値段ではありません。
しかし、友子の身勝手な性格が効を奏して、強行突破によりこれを解決してしまうことになります。
なんと、友子は家にあったパソコンのマックを質に入れてお金を作り出して、中古の楽器を手に入れるのです。
川原で、ようやく手に入れた楽器をぎこちなくを吹く友子は、同じくキーボードを
弾いていた拓雄と出会い、お互いのジャズに対する想いを理解しあいます。
元のメンバーを声をかけて、次の日に召集をかけると、なんと以前の全てのメンバーが集まったのです。
互いの気持ちを確認しあったメンバーは、ビッグバンドを作るために動き出します。
途中でメンバーが5人になってした時期もありましたが、紆余曲折を経て、
彼女らは地域の高校生の演奏会である「東北学生音楽祭」で演奏をすることになります。演奏会当日がやって来て、
バンドのメンバーは会場へ向かう電車の中にいました。外には雪が降りしきっています。
電車の中で、はしゃぎまくるメンバーでしたが、その中で絶望的な顔色をして
いる友子がいました。実は友子はあることをメンバーに伝えなくてはならなかったのですが、
それをいままでは伝えることができなかったのです。雪で電車が止まった際に、意を決してそのことを拓雄に伝える
友子、拓雄ならばとうにか収めてくれるかもしれないというほのかな期待を込めて伝えたのでした。
しかし、結果は、予想通りであり、メンバーは激しく落ち込みます。
しかし、そんな窮地にいる友子を、あるメンバーが救うことになります。
もっとも期待していなかった奴、つまり、あの香織でした。そして、友子は初めて友
達のありがたさを知ることになります(詳細については、香織についての記述を参照。)
その結果、気持ちを取り戻すことができたメンバーに朗報が届きます。
最終的に、演奏会にぎりぎりに間に合ったメンバーは、あの香織の機転のおかげで、
観客の予想を裏切るような素晴ら
しい演奏をすることになります。やがて、最後に、主なメンバーのソロのパートがやってきます。
もちろん、最後のソロは友子であり、みごとな演奏をすることになります。 おそらく、仲間のありがたさと、努力を続けることの大切さを感じなが
ら....。
- 関口香織(本仮屋ユイカ)[トロンボーン]
- 気が弱く、人前では自分の意見を主張ができない女の子でした。
しかし、楽器に興味を持ったことが彼女を変えていきます。
元々楽器に興味が合った香織は、拓雄が吹奏
楽部の代わりに演奏するメンバーを募集したのに応えて、リコーダーを持参して説明会に参加します。
始めは、メンバーの中では軽く見られていた香織ですが、何故か、
1番最初に楽器を扱えるようになっていきます。香織は、吹奏楽器に向いていたのかもしれませんが、メンバーの中で一番やる気があったことが大きな要因だっ
たのかもしれません。始めは、あまり乗り気でなかった他のメンバーも、
あの香織ができたと思うと、発奮せざるをえません。
そして、他のメンバーも楽器に真面目に取り組むうちに、ジャズへの興味
を持ち始め、着実に上達していきます。
しかし、吹奏楽部が復帰することになり、彼らに楽器を返さなくてはならなくなります。
最後までそれを渋る香織、良江と友子に促されてトロンボーンを返す香織でありましたが、
香織の中で確実に変わりつつあるものがありました。
吹奏楽部の追加メンバーを募集する説明会が開催され、それに香織は出席します。そして、
そこに友子が様子を見にやってきます。何故か、バツが悪い思いをする二人でした。
ただ、お互いのジャズに対する想いはわかりあったようです。
やがて、元のメンバーを集めてビッグバンドを再開しようと友子が呼びかけると、集まったメンバーの中には、
もちろん香織の姿もありました。 一時期、メンバーが5人に減ってしまった時にでも、その中に香織の姿はありました。香織の場合は、
友子のように意欲が表に現れるタイプではないために、香織のジャズに対する想いは他の人にはほとんど分かってもらえません。しかし、内面に向かう彼女の
ジャズに対する想
いは強く、そして深い所まで至っていました。
メンバーの5人のジャズの演奏の進歩が停滞していた時に、
それを打ち破るキッカケを与えたのは、深い考察を持っていた香織でした。
ある日、5人が街を歩いている時、横断歩道を渡っていた香織はあることに気がつき、
途中で立ち止まってしまいます。横断報道を渡りきり友子たちの所に来た香織は不思議な言葉を投げかけます。
横断歩道に流れる音楽を指して、「これってジャズ」とつぶやくのです。香織を軽く見ている友子たちは、最初は、また香織かぁと始めは相手にしませんでした
が、
やがて、音楽に造詣が深い拓雄は、香織の言いたかった意味に気がつきます。そして、今まで自分たちに欠けてかけてい
たものを補うヒントがそこにあることに思い当たったのです。香織の意図を理解したメンバーは、
街中を歩き、流れてくる音にジャズを感じようとします、この日を境にして、
5人のジャズの演奏は格段と上手くなっていきます。スーパーマーケットの前で演奏している彼女たちを見た残りのメンバーもその演奏を聴いて驚きます。そし
て、彼女たちがバンドに戻ってきたことにより、ビッグバンドがまた再開します。
冬になり、「東北学生音楽祭」の会場に向かう電車の中で窮地に陥った友子を救ったのも香織でした。実は、
演奏会で演奏ができないことを知り落胆するメンバーでしたが、その中で、突然、香織がトロー
ボーンを吹き始めたのでした。初めは香織の意図を測りかねたメンバーでしたが、
その意図を理解した良江がそれに続きます。そして、友子を除いた残りのメンバーがこれに加わります。演奏会で演奏するこは自分たちの目標であったことは確
かでしたが、
自分たちがジャズをやっていたのはジャズが好きだったからであることに気がついたのです。
彼女たちの心の中からは、友子の失敗を責める気持ちなどもうなくなっていました。
やがて、拓雄に促されて演奏に加わる友子。仲間のありがたさを始めて実感することになりました。
雪で止まってしまった電車の中で、突然始まった演奏に困惑する車掌でしたが、彼女たちの姿と、その演奏を楽しむお客を姿を見て、黙認することにしま
す。そして、そんな彼女たちのもとに、演奏会で演奏ができるようになったという吉報がやってきます。雪の中を演奏会の会場へ急いで向かうメンバー、演奏会
にぎりぎりで間に合います。しかし、雪まみれのままであることも気がつかずに舞台に立った彼女たちの心の準備は、ほとんど出来ていませんでした。そして、
これを救ったのがまたもや、"あの香織”だったのでした。
冷静な香織は、突然舞台に立ったメンバーの心の準備ができていないことを察知し、このままでは、演奏が失敗する可能性が高いであろうことを予感しまし
た。皆を止めようとする香織でしたが友子に押し留められてしまいます。やがて、ドラムの直美の合図により演奏を始めようとするメンバーを香織は決死の覚悟
で「ちょっと待って」と留めます。始めは、香織の意図をいぶかしんだメンバーでしたが、音叉を叩き、チューニングを始める香織を見て彼女の意図に気がつき
ます。そして、自らもチューニングをし始め、彼女らの気持ちもチューニングされていくのでした。やがて、彼女らの「ムーンライトセレナーデ」の演奏が始ま
ると、女子高校生のジャズのビッグバンドだからという興味本位で聴いていた観客も、素晴らしい演奏に魅了されていきます。そして、ホールから退場し、帰ろ
うとしていた観客も帰ってきます。やがて、いくつかの曲が演奏された後に、香織のソロのパートがやってきます。トローボーンを懸命に、しかし、楽しげに吹
く彼女の姿からは、引っ込み思案で、言いたいことも言えなかった彼女の姿は想像もつかないようになっていました。
- 斉藤良江(貫地谷かほり)[トランペット]
- 良江は女の子の価値は外面的な かわいさ
だと思っていました。十分にかわいい良江なのですが、補習の際にさえ、自分をかわいく見せるための努力を怠っていません。しかし、内面的な充実感による美
しさにより、外面も美しくなるということについては思いも至っていません。そのため、ひたすら自分をかわいく見せることのみに努めています。
良江が、吹奏楽部の代わりに野球の応援をするためのメンバーに加わったのも、補修をサボりたいという意図があったことも確かですが、野球部にお気に入
りの先輩がいることが理由の一因でもありました。しかし、実際に楽器の練習を始めてみると、友子への対抗心もあり段々と真剣に取り組み始めます。もちろ
ん、憧れの先輩に期待していると言われたことがさらにやる気を出した要因でもありますが、ジャズへの好きになっていたからから頑張ることができたのです。
したがって、吹奏楽部のメンバーが復帰して、球場で演奏をしなくてよくなったときに感じたむなしさは、友子と香織と同じでした。それでも、やはり試合のこ
とが気になる良江は野球場に行くのですが、代打として出場した先輩に彼女がいることが分かってしまいます。しかも、彼が打ったファールフライが目に当たっ
て、腫れてしまいます。かわいさを至上とする良江にとっては大打撃です。
やがて、高校の廊下で出会う良江と友子。二人とも、また一緒にジャズをやりたいと思ったようなのですが、微妙な対抗心があったために、どちらも自分か
らは言い出せませんでした。
しかし、元のメンバーを集めてビッグバンドを再開しようと友子が呼びかけると良江も参加することになります。5人のメンバーになってしまった時も、良江は
これとともにあり、練習に真剣に取り組みます。おそらく、良江の人生において、恋愛に関係しないことにおいてこれほど取り組んだことはなかったと思われま
す。しかし、良江には悩みがありました。トランペットで高音が上手く出なかったのです。本来ならば、顧問が指導してくれるのでしょうが、実は彼はジャズの
演奏は素人であり、これにアドバイスをすることはできなかったのです。川原で、楽器の練習をする良江、突然に現れたネズミに驚いたときに何故か高音が上手
く出ました。これをきっかけにして彼女は何かを掴んだようでした。
やがて、演奏会の当日がやってきます。立ち往生した電車の中で窮地に陥った友子を救うためにトロンボーンを吹き始めた香織の意図をいち早く理解し、そ
れに続いたのは良江でした。良江には、何気ない賢さがあるようです。やがて、演奏会場に着き、香織の機転により各々が楽器のチューニングを始めると、良江
はトランペットに自分で作ったネズミのお守りをつけて微笑みます。あれ以来、ネズミは彼女の守り神となっているのでした。やがて、良江のソロのパートが
やってきます。良江は、見事に演奏しますが、ネズミのお守りのお陰だけだったのではないと思います。ジャズを通じて、外見だけではなく内面もきれいになっ
てきた良江への神様の御加護もあったのだと思います。
さて、このドラマの主役は友子なのですがあまり"かわいげ"があるようには描かれていません。落ちこぼれですし、家族のパソコンを質に入れてしまった
りするなど、あまりほめられたものではありません。このドラマでは、友子は、あくまでもビックバンドの推進力として描かれており、この文章を読むまでは友
子の成長物語でもあった事に気がつかなかった人もあったのではないかと思います。彼女の女の子としてのかわいらしさが明確な形で表現されたのは、雪合戦の
時の拓雄とのシーンだけであったと思います。雪に倒れてしまった無防備な友子に、拓雄が雪玉を投げることを一瞬ためらってしまうのシーンです。
友子を演じている上野樹里さんは、監督から「アイドルを目指すのか、女優を目指すのか?」と尋ねられて女優を目指すと答えたとそうです。そんな彼女は、ア
イドルならば決してやらないシーンをこの映画ではいくつかこなしています。襲ってくる猪から逃れるシーンで鼻水をたらすシーンもそうですが、他にも、変な
顔の演技をたくさんさせられています。
それに較べて、美味しい役は香織でした。引っ込み思案の女の子がジャズを通じて成長するという姿は、非常に好ましいものに思えます。特に、お子さんを
持たれている年代の方にとっては好感が持てる役であったと思われます。ただ、それも上野さんのアイドルを捨てた演技があったこそ、より際立ったよい役柄に
なったのではないかと思います。香織に眼鏡をかけさせるというのは監督のアイディアであり香織役の本仮屋ユイカさんは最初は乗り気でなく、監督に「絶対受
けるから」と説得されて受け入れたと聞いています。この監督の直感は見事に当たり、映画が公開された当時は、メガネっ子好きのネットワークの住人たちの間
では、「関口ヲタ」という言葉がよく使われました。公開直後、本仮屋さんが朝ドラのヒロインに抜擢された時には、多くの関口ヲタが喜んだのではないかと思
います。なお、関口香織の中の人である本仮屋ユイカさんは、関口香織とは全く反対で、マシンガンのようによくしゃべり、話すことは明晰であると聞いていま
す。
さて、最後に、良江についてですが、強い印象を与える友子や香織に較べて、インパクトがあった役ではありませんでした。ある意味でどこにでもいがちな、
男の子に興味がある少し派手目な女子高生だと思います。ただ、良江までがインパクトがある役柄であったのならば、このドラマははじょうしていた可能性もあ
りますので、このドラマの中ではある意味で重要な役であったと思います。私は、良江を演じた貫地谷かほりさんはよい演技をしていたと思いますし、業界で評
価を受けたことは、その後の彼女の活躍を見ても見て取れると思います。