NO.300  超法規的措置に動かない高野連の存在意義
..........................................................................................................................................................................................
Aug.21.2006

 第88回全国高等学校野球選手権大会決勝戦は駒苫・田中、早実・斎藤の両校エースが互いに一歩も譲らぬ「超投手戦」を演じ、試合は1−1のまま、規定のスケジュールを終了。今では語り草となっている太田幸司擁する三沢高(青森)対松山商(愛媛)戦以来、37年ぶり史上2度目の決勝再試合となった。球史に残る名勝負の続きを見れる喜びもあるものの、それ以上に「両校優勝」という超法規的措置が高野連は迅速にとれないのかという疑問が頭をもたげてならない。

 3連投となる決勝戦で15イニングスを投破した斎藤は178球、3回途中から満を持してマウンドに上がった田中の球数も165球に及んだ。医学的見地で考えれば、両投手の再試合での登板にドクターストップをかけるべきなのは一目瞭然だ。特に無尽蔵なスタミナとタフネスを誇る斎藤は2回戦からのここ5試合を一人で投げ切っている。それでも傍目には常軌を逸しているようにさえ映る状況でも、両エースが再試合でも登板を志願するのは想像に難くない。アドレナリンが分泌され、ランナーズハイ的な覚醒の境地に達しているであろう両投手は、
肉体疲労の自覚症状をそれほどには感じてないのではないかとも推察できるからだ。見方を変えれば、身体が動く限り、投げ続けるという悲壮なる決意が、彼らを突き動かし、最上のパフォーマンスを引き出されたとも言えよう。

 両投手とも試合後「もう1試合できるのは嬉しい」というコメントを残した。それはメンタリティとフィジカルの釣り合いが究極の一致を見るトランス状態にある彼らの偽らざる本心とも察する。真夏の灼熱の炎天下、周りが心配する苦しみなど露知らず、心から勝負を楽しんで投げていたに違いない。だからこそ危険と隣り合わせにあるとも言える訳だ。楽天のコンディショニングディレクターを務め、国内におけるトレーニング理論の第一人者でもある立花竜司氏は「選手の心理的限界は肉体的限界の70%が一般的」と語る。その理屈を借りると、特にPL時代の桑田(巨人)を彷彿とさせる斎藤は心理的限界が肉体的限界のリミッターに限りなく迫った状態、ポーカーフェイスの奥底に潜んだ投手の本能に動かれている面が大きく感じられる。投球スタイルもキャラクターも違えど、そこに黒木知宏(鴎)の姿が重なってしまうのだ。


 監督はエース投手の指導者であると同時に、部員全員の指導者でもあり、また教育者でもある。プロスペクトの将来に考えを及ばせつつ、部員全員の将来も大切に気を配ってやるのが職分だ。将来を大切にするとは、教え子たちに悔いを残させないということだ。酷使される選手に勝利至上主義の犠牲者という被害者意識も、将来の打算もないはずだ。そこに存在するのは、ただ仲間たちと今しかできない最高の思い出を作りたいという18歳の純情だろう。その気概を前にして、監督は選手の純真な意志を制することができるだろうか。それでもストップをかけるのが指導者の役目という良識派の意見は、紛れもなく正論だ。だけどそれは利害の存在しない第三者の無責任な戯言でしかないとも思う。監督、選手全員の共通した願いはベストメンバーで試合に臨むことにあるはず。試合にかける選手の思いを知るボクサーのトレーナーは、自分の選手の勝算が絶望的となっても、ギリギリまでタオルは投げ入れられないものであり、可能性が残された限りは最善の策を模索する性向を持っている。その背景にあるのは勝敗云々以上に、愛弟子に悔いを残させたくないという親心だ。そしてボクサー自身も概して師事するトレーナーにタオルを投げ入れられることを嫌う。この心理は高校野球の監督と球児の関係にも置き換えられよう。

 ならば唯一、前途ある若者の将来を守るために毅然とストップをかけられるのは公正中立な立場にある高野連しかないはずだ。後世に語り継がれるであろう決勝戦は、規定イニング内で雌雄決しなかったのではなく、完全に力関係が互角であるが故、ガップリ四つを組み合う展開になった末、15回引き分けという結果に帰着したのだと俺は感じた。在り来たりな言葉を用いれば、この戦いに敗者を存在させる理由が見当たらないし、同数の実力絶対値を有する者同士にあえて白黒をハッキリさせる必要があるのだろうか?優劣をつけることを嫌い、出場者全員を一緒にゴールインさせるどっかの小学校の徒競走とは訳が違う。

 再度ボクシングに
例えれば、世界王座決定戦で死力を尽くして12ラウンドを戦い抜いた後、ドローという判定が下った選手に対して、翌日の再戦を義務付けるのに近いことを高野連は課しているに等しい。再試合ならば、せめて中1日或いは2日のインターバルを設け、ベストメンバーで戦える環境を与え、選手を守ってやるのが高野連の果たす役割なのではないのか。もちろん現実問題として、それが難しいのは百も承知だ。だからこそ今後は決勝戦に限り、引き分けとなった場合は、両校優勝というレギレーションを明文化すべきであり、今回のケースにおいても、超法規的措置を検討すべきではなかったか。高校野球を教育の一環という偉そうな大義名分、否詭弁を掲げながら、球児の健全なる身体を守るという動きが一切見られなかったことに、個人的には遺憾の意を覚える。

NO.299  FREEBIRD
..........................................................................................................................................................................................
Jul.25.2006
 部員の起こした不祥事の責任をとり、茨城ゴールデンゴールズの解散を明言した欽ちゃんだったが、舌の根も乾かぬ内に前言を翻し、一転して球団存続する方向となった。衝動的に映る心変わりには少なからず抵抗を覚えるけど、解散の是非は他者にお任せして、ここでは騒動の雑感を綴って行きたい。

 今回、欽ちゃん球団は好むと好まざるとに関わらず、パブリックな存在、俗に言う市民球団に跳ね上がった。しかし俺が思うに、欽ちゃん球団が鮮明な独自色を描くことができたのは、「良い意味で」欽ちゃんの私物だったからだろう。欽ちゃん責任編集のワンマン球団だから、独断専行の好き勝手な演出ができたし、容認された。

 個人の所有物ではなくなる市民球団化すれば、特定の人間の暴走は阻止できる。反面、多くの人間が口を挟めば、いろいろなしがらみが生じ始める。実際に今回も欽ちゃんの一存で球団を畳むことができなくなってしまった。忘れてならないのは、これまで欽ちゃん球団が本領を発揮してきた舞台とは、登録しているアマチュアの野球連盟管轄下にある公式戦ではなく、興行を意のままにデコレーションできるオープン戦だったということだ。欽ちゃん球団の自由奔放さは、制約や束縛がないという前提が成り立たせているものだ。

 現状、茨城ゴールデンゴールズに付加価値が存在するのは、あくまでも欽ちゃん球団だからだ。欽ちゃんと茨城ゴールデンゴールズの関係性は、ジャイアント馬場と全日本プロレスのそれと同義で、欽ちゃんが監督の座を辞せば、すなわち欽ちゃん球団は体を成さなくなり、全国に数多存在するクラブチームの一つに過ぎなくなる。要するに迫られる選択肢はALL OR NOTHING。欽ちゃんが引責辞任するという折衷案を選んでも、どのみちゴールデンゴールズが袋小路に追い込まれたに違いない。それを考えれば、解散を決断したこと自体は無責任ではなかったし、今にして思えば、山本に事態の深刻さを認識させる手段として持ち出しただけだったのかもしれない。

 欽ちゃん球団とは野球というツールを用いた劇団だ。観客のニーズは野球単体にあるのではなく、野球を媒介した「欽ちゃんと愉快な仲間たち」というパッケージに魅力を感じているに他ならない。野球は本来、筋書きのないドラマと言われるが、こと欽ちゃん球団に限っては座長の書いた筋書きが生命線。座長のマイクパフォーマンスがない茨城ゴールデンゴールズの試合に変わらぬ人数は集まるだろうか。答えは否だろう。

 脱企業スポーツが叫ばれる昨今、球団を地域コミニュティが支援して行くスタンスは、スポーツの在り方として理想的であることに違いなく、欽ちゃん球団が茨城県稲敷市やつくば市と蜜月関係を築くこと自体を否定する理由は存在しない。だが欽ちゃん球団を籠の中の鳥にしてしまうと、自由に身動きできなくなってしまう。地元市民や自治体の働きかけでチーム存続が決まったことで、変に温情を感じてしまったり、逆に恩着せがましくなりはしないだろうか。従来までの球団と市民の距離感やパワーバランスの瓦解を懸念しているのは俺だけだろうか?

 実際のところ、ファンの熱烈なる支持を受けたこと以上に、母屋の肥大化によって、周囲(スポンサーなど)に解散させてもらえなかったのが解散撤回の真相と推察する。個人的にはこの一連の解散騒動で足枷がついた欽ちゃん球団は終わりの始まりに突入した印象を受け、今後欽ちゃん球団が欽ちゃん球団であり続けられるのかという危惧を覚える。この迷走劇も手法センスの善し悪しは別にして、欽ちゃんの自作自演茶番劇であってくれた方が「まだ」救われる。なぜなら外圧に左右される欽ちゃん球団には魅力がねえもん。
NO.298  LOVE LOVE LOVE
..........................................................................................................................................................................................
Jul.20.2006
 報の通り、吉本興業所属タレントで、茨城ゴールデンゴールズの所属する山本圭一が北海道函館市内で17歳の少女に性的暴行を加えた疑いで函館西署に任意の事情聴取を受けたという事実を重く受け止めたゴールデンゴールズ萩本欽一監督は、チーム解散の意向を明らかにした。

 俺が知る限り、お笑い界の大将は下ネタをご法度とする潔癖芸人。不肖の後輩が起こした性的な不祥事に対して、厳しい処置をとることは十分に予想できたが、志半ばにしてチームを畳まざるを得なくなった無念さを滲ませる欽ちゃんの表情、「野球大好きだったけど....、辞めることにしました」の言葉には胸が締め付けられた。

 「山本が責められるだけの問題ではない」として欽ちゃんがチーム解散に踏み切ったのは、事件が営業先であったり、ロケ先で起こったのではなく、ゴールデンゴールズの遠征先での出来事であり、その監督不行き届きに道義的責任を痛感しているからに他ならない。言わば今回の事件は、タレント山本圭一ではなく、一アマチュア野球人の山本圭一が起こしたと認識すべきもの。もしゴールデンゴールズの函館遠征がなければ、その場においては重大な反社会的行為が行われることはなかった。そう考えれば、ゴールデンゴールズの存在が遠因になったとも取れ、残された罪のない選手が連帯責任を負う事に同情の念を禁じ得ないものの、球団解散という形を持ってけじめをつける欽ちゃんの厳粛なる選択は至極正しい。一人の元芸人を責任もって更正させる道を選んだということだ。

 ネックとなるのは残された在籍選手の処遇だが、球界ならびに芸能界に持っているツテを活用して、大半の選手に他のクラブチーム、実業団チームへの入団・移籍を斡旋してやれるはず。選手へのアフターケア、現役を続けさせてあげられる環境を整えてやるところまでが、欽ちゃんの果たすべき責任だと思う。ただ本当に実力を兼ね備えた有能な選手には必ずや拾う神が現れるに違いないし、実力不足の選手は淘汰される。これは生存競争が熾烈な弱肉強食の世界の掟。アマチュアで野球を続けて行くのであれば、いくらでも道はあるし、冷酷な言い方をすれば、このチーム解散をきっかけに現役生活が断たれる選手がいたとしても、それは仕方ないこと。アメリカンドリームに夢を馳せるマイナーリーガーが、球団に力不足と判断されれば容赦なく首を切られるのと似たことだ。

 欽ちゃん球団発足当初は、一見軽薄に映った野球観に抵抗を覚えたのも確かだった。しかし、実際は実力の伴わない色物でもなければ、不可侵の領域(プレー)にズケズケ踏み込むこともなく、あくまでフィールド外において従来の固定概念に囚われないエンターテイメント性をスパイスした新たな野球興行像を確立し、全国津々浦々で多くの人からの支持を得て、野球人気低下の歯止めに一役を買った。また各地でクラブチームを次々に誕生させる胎動を起こした欽ちゃん球団の成功は、アマチュア選手の受け皿拡大させたという意味においても、球界への貢献度は計り知れなかった。そんな球界に一石を投じたクラブチームの解散は、野球界全体の損失。願わくば欽ちゃんのエンターテイメント路線を継承してくれる野球好きが出現してくれないものか。北野武監督率いる「たけちゃん球団」が発足してくれないかな、マジで。新庄球団でもいいね。ゴールデンゴールズを1度リセットした上で、ワンクッションを置いて欽ちゃん球団を再結成するのが理想だけどね。

 明日のオールスター第1戦(神宮)の試合開始前に、本年度の野球殿堂入り表彰式が執り行われるが、萩本欽一という昭和を代表する稀代のコメディアンも後年、特別表彰で選出されても不思議ではない程、球界活性化に多大なる尽力を果たしてくれたといっても過言じゃない。約1年半という短い間ではあったが、老若男女が肩肘張らずに楽しめる「魅せる野球劇」をプロデュースしてくれたことに、今は感謝の言葉を捧げたい。

 最後に。山さんさ、貴方は熱烈な野球ヲタだよね?チーム解散は、野球に泥を塗った山さんに事の重大さを身に染みさせるための、飼い犬に噛まれた欽ちゃんが示した最大の愛情表現。その影に多くの野球を愛する者が犠牲を払っているということを深く噛み締めてもらいたい。そして貴方の身勝手さが、愛しているべきはずの(アマチュア)野球界活性化の潮流を堰き止める可能性があるということも。
NO.297  INOCENCE
..........................................................................................................................................................................................
Apr.20.2006
 SHINJOが18日の牛戦(東京ドーム)終了後に今季限りでの引退を示唆した。新聞紙上では「表明」と書かれているけど、俺が「示唆」と表したのは、"球界の天然記念物”のこと、シーズン閉幕までの5ヵ月の間に翻意しそうな気がしなくもないから。でもかねてから「ボロボロになるまでプレーしたくない」という引き際の美学を公言し、「ジーパンが穿けなくなるから下半身の筋トレはしない」と見てくれのカッコ良さを追求して憚らなかった男。おそらくは今季限りでユニフォームを脱ぐとは思うが、それはウェットなニュアンスが感じられる「引退」よりも、よりポジティブなテイストの「卒業」と表現するのが適切かもしれない。

 上昇気流に乗れないチームへの劇薬的意味合いも含まれていると思しき開幕一ヶ月足らずの「卒業宣言」を俺は好意的に受け止めている。野球ヲタは今季がSHINJOのラストシーズンという意識を持って見て行くことになる。そうすれば「SHINJOの躍動するプレーぶりをこの目に焼き付けておきたい」「SHINJOの被り物ショー見ておきてェ〜」というヲタ心理を呼び覚まし、球場に足を運ばせる動機にもなる。球団には事後報告となった「卒業宣言」を独善的と見る向きも少なくなかろうが、俺にはエンターテイナーとしてのプロ意識の表れであり、SHINJO流の周囲への配慮に感じられた。

 野茂英雄は日本人がMLBで通用することを証明して後進に新たな道を切り開いたフロンティアとなり、またMLBという素晴らしき世界を日本中に広めた伝道師となった。ジョージ・シスラーのシーズン最多安打記録を塗り替えても尚、利己主義者のイメージが拭い去れなかった”世界のイチロー”の母国への最高の恩返しは記憶に新しいところだ。野茂とイチローが比類なきグレーテストたりえるのは、世界最高のステージで日本人の優秀性を世界に知らしめたと同時に、自己完結で終わらずに、日本球界にフィードバックをもたらしたからだ。

 俺的にはそんな歴史的球界偉人にSHINJOの名前も刻み込みたい。MLBで3年プレーしたSHINJOは必ずしもプレイヤーとして進化を遂げた訳ではない。メジャーだけでなく、マイナーリーグも経験したSHINJOがメリケンで磨いた皮膚感覚は打撃の技術などではなく、「野球の楽しさをいかに体で表現し、人に伝えるか」というパフォーマンス能力であり、野球表現者としての魅せる感性だった。その結果、NPB復帰後のSHINJOはコメント一つをとっても、新庄剛志とは別人になった。「プロ野球の存在意義とは、その街の人々の日々の暮らしが少し彩られたり、単調な生活がちょっとだけ豊かになることに他ならない。ある球団中心で物事を進ませるセにはない野球臭さをパ・リーグは持っている」(04年5月14日付日刊スポーツ)というコメントが口をついたこと自体、SHINJOが新庄剛志の進化形である何よりの証左だ。求道的な野茂やイチローとは違った形で日本球界への還元を果たしたSHINJOも海を渡った成功者の一人に数え上げられて然るべきだろう。

 球界再編問題で激震し、経営者の身勝手な私利私欲に振り回された04年、底抜けに明るいSHINJOの存在が純然たる野球ヲタの折れそうになった心をどれだけ繋ぎ止めてくれたことか。プレーを疎かにした単なる道化師でないことは、SHINJOに牽引された日公が04年、プレーオフ第1ステージに進出し、日本一に輝いた猫とも互角の戦いを演じたことでも証明されている。SHINJOが野球のエンターテイメント性を表現してくれたことは、05年の欽ちゃん球団発足にも繋がってる気がするし、その茨城ゴールデンゴールズの成功が先鞭となって、全国津々浦々でクラブチームが産声を上げた。そういった意味で時として誤解を生んだSHINJOの邪気のなさが、野球界を救ったと言っても過言じゃなかった。

 プロフェッショナルを数字で評価することを否定する気は微塵もない。でも表面上の数字のみで判断材料とされるうちは、また選手自身も自己満足に浸っている間は所詮一流止まり。数字だけをとったら、SHINJOは「超一流のアスリート」とは呼べないが、紛れもなく「超一流の職業野球選手」と認めるべき存在だ。「SHINJOY」という世界観で野球ヲタを楽しませてくれた唯一無二の存在なのだから。ONLY.1は同時にそのカテゴリーにおけるNO.1をも意味するのだから。

 でもシーズン最終戦終了後の記者会見でこんなサプライズが飛び出すことを期待する俺がいる。「札幌ドームを満員にする夢が開幕戦で叶った時点でSHINJOとしての仕事は終わりました。なので今日限りでの引退の意志に変わりはありません。明日からは芸能人ではなく、選手のエージェントの仕事を始めます。早速、宣伝になっちゃって恐縮なんですが、僕が受け持つ予定の選手にシンジョーという特に肩と守備が素晴らしい、客の呼べる日系米国人のアウトフィールダーがいるんですよ。もし興味のある球団があったら、窓口の僕に電話を下さい」
NO.297  SPECIALIST BASEBALL
..........................................................................................................................................................................................
Apr.4.2006
 オレ竜といえばチーム打率(.269)はリーグ4位、同本塁打はリーグ5位(139本)は凡庸であっても、524四球、101盗塁(いずれもリーグトップ)を絡めてリーグ2位の得点力(680点)を誇る、今流行の表現を用いれば「スモールベースボール」がセールスポイントのチーム。そんなオレ竜野球の動脈が荒木・井端の1・2番コンビ。特に滅私奉公を必要とされ、制約の多い役回りで打率.323、出塁率.405、得点圏打率.408という驚異的成績を残した2番・井端の存在感の大きさは計り知れなかった。

 ところが今季は他球団の脅威の的だった1・2番コンビを解消し、井端を3番に繰り上げる。(出塁)率より(出塁)数で勝負するタイプの1番・荒木が生きていたのは、バント・強行・エンドラン・盗塁・右打ち・選球を高次元な領域で対応し、高確率で進塁に導ける井端のアシストがあってこそ。井端のクリーンアップへの配置転換は、ウッズ、ドメへの波及効果が期待できる半面、荒木孤立の危険性も孕む諸刃の剣。決して井端の3番打者適正に対しての疑問視ではなく、神レベルの2番打者を動かすことで、荒木と井端自身が共食いしかねないデメリットを感じるんだよね。いざという事態になれば器用な井端を元鞘に収めるという選択肢含んだ実験的な試みかもしれないけど、打線改造がプラスを生むとは思えない。となると、他に変わり映えがないので、打力・得点力は低下することはあっても、上がり目は望み薄かなと。

 投手陣で規定投球回数到達者は川上唯一人。前年13勝を挙げた不惑の左腕山本昌は7勝、同10勝のドミンゴに至っては登板わずか3試合。前年に活躍した中継ぎ陣の負担をカバーできなかった先発投手の絶対的欠乏症がV逸の原因にあったのは間違いない。だが今季はエース川上を筆頭に、2年目の飛躍が期待される中田、昨季8勝のマルティネス、再起を誓うドミンゴ、復活を期す山本昌に、6番手以降が朝倉、山井、中里。少なくとも頭数不足には苦悩しない陣容が出揃った。クローザー岩瀬も実績的に心配は少ない。それに比べると、心持ち不安なのが昨季35試合の逆転負けを数えた中継ぎ陣。岡本、落合、平井、鈴木、デニーに、左の高橋聡、サイレントK(石井)で構成するが、落合&デニーは年齢的不安、平井も頭打ち、若手サウスポーに全幅の信頼を置くには実績不足なので、主軸で回らなくてはならない岡本の復調が鍵になる。

 外野と二遊間の守備は鉄壁を誇り、正捕手もWBC代表の谷繁という布陣を敷いた堅牢なディフェンシブな野球が身上のオレ竜は、とにもかくにも投手力次第。投手陣が不調に陥っても昨季2位に滑り込んだ安定感、軸のブレることが少ないオレ流采配を考えると、優勝候補の一角に食い込んで来るはずだが、オレ竜は代打・高橋光、守備固め英智、ピンチバンター川相etc、各所に一芸のスペシャリストやスーパーサブを散りばめたオレ流の適材適所な選手起用によって、選手層に厚みを持たせているチーム。故にレギュラーには代えの利かない選手を揃えている側面もあるだけに、レギュラー陣に故障者を出さないのは他チーム以上に重要要素。また攻守に衰えが見られる立浪は持ち堪えられるか。苦手とするパ・リーグ相手に大きく星を落とさず、交流戦を乗り切れるか。ここいらもペナント奪還のポイントになる。
投手力 打力 守備力 機動力 采配力 総合力
06予想 4 3 4.5 4 4 4
05実績 3 3 4 4 4 4
05予想 4 3 4 3.5 4 4
KEY MAN・・・投手:12 岡本真也 野手:22 藤井淳志
BRILLIANT GREEN・・・18 中里篤史(投)

NO.296 セ・リーグ順位予想
..........................................................................................................................................................................................
Mar.31.2006
虎とオレ竜の戦力分析が終わってねえのに、セ・リーグが開幕しちゃうYO☆なので今回は戦力分析を小休止。順番が逆になっちゃうけど、後出しになる前に、ちゃっちゃと順位予想を済ませておこう。

1位 東京ヤクルトスワローズ

23年の燕信者歴で培った嗅覚が、オイラを山師にさせた。過去に燕の優勝を予想したシーズンもあったけど、アレは1:9の比率でネタ。今回は半ガチ半願望だから趣きがチョッチュネー違う。赤井人、宮本、青木のいないオープン戦の結果(4勝10敗)は死んだフリ。全く参考にはならない。WBCに送り出した赤井人とゴリは故障を貰ってチームに帰ってきたり、右のエース格の川島、館山が開幕に間に合わなかったりと、ベストメンバーの出揃わない暗雲垂れ込めた開幕は年中行事。織り込み済。評価の下がったところでの隙間産業的快進撃がお家芸だから、乳酸菌は。一応、単なるエコ贔屓だけじゃなくて、投打のバランスを評価してるんです、これでも。優勝が無理なら、5位かドベに沈む悪寒。

2位 中日ドラゴンズ
2〜4位まで横並びな評価の中、オレ竜を最上位に挙げた理由は監督の手腕。このチームの強さは軸のブレなさ。オレ流の選手起用、戦術、方向性には筋の通った一貫性があり、脚と小技を絡めた野球巧者のメソッドが確立。派手さには欠けるものの、守備力にも長け、大崩れしない安定感が漂っている。今季は交流戦対策も練り上げてくるはず。それでも打線の迫力不足に物足りなさは否めず、オレ竜の武器だった荒木・井端の1・2番コンビの解消(井端を3番に昇格)が、どう転ぶかも読めない。詳細は次回の戦力分析で。

3位 讀賣ジャイアンツ
球団史上4年連続V逸を経験したことがないが、汚点回避は難しそう。整備が進みつつある投手陣とは対照的に打線が下降線。本来年齢的に最も脂が乗っているべき高橋、二岡、阿部が故障で押し並べて劣化。全体的にも年齢層が高く、故障禍の不安を抱え持つ。プラス材料は尾花コーチの加入。継投ミスの減少が予想され、小坂の獲得と亀井が頭角を現し守備面も引き締まる。スンヨプは昨年の交流戦、日本シリーズの結果を見るとセ・リーグ投手を得意とする傾向が見られ、今年3月のWBCアジアラウンドの好調さや、昨年7月の日公戦では9回2死から起死回生の同点弾を放った経験から、東京ドームとの相性の良さも窺える。

4位 阪神タイガース
だって阪神だもの。虎だもの。どんでんだもの。優勝の翌年にやらかすのが阪神クォリティーな虎イズム。ただでさえ連覇は至難の業である上に、NPBの70年の歴史を紐解いても、日本シリーズでスウィープに屈したチームが翌年優勝を成し遂げた例は皆無。何よりも昨季にリリーフ陣を酷使した不安を払拭できていないのが、大幅なマイナス評価の対象。昨季のオレ竜もセットアップが機能しなかったように、無理強いをすれば疲労がどうしても残るものだしね。オレ竜のような木目細かさに欠ける虎には、地滑りを起こす危険性を孕んでいるようにも思う。

5位 横浜ベイスターズ
補強と若手の成長次第で「あわよくば来季は優勝争いも...」と思わせたが、目立った戦力補強や既存戦力の底上げがなく、2段モーション問題に直面したエース三浦の不安を加味して相対評価すると、何か腑に落ちないんだけど、この順位に落ち着くんだよなァ。38年ぶりの日本一前年(97年)に見られた上昇気流が少し不足気味。当時と大きく異なるのは、ロバート・ローズに値する存在がおらず、純国産打線というコンセプトは良いんだけど、マシンガン打線の頃の爆発力がない。チームの中心は30歳前後(自称SPA世代)が多く、勝負できる戦力が整いつつあるので、今季は投手・野手を一ランク底上げして、布石を作りたい。番長がんがれ。多村、体調管理しっかり汁!

6位 広島東洋カープ
マーティー・ブラウン新監督の就任で、変革の波を感じさせはするものの、他球団と比較すると、依然としてディフェンス力で大きく劣る観が払拭できておらず、戦力的にもフルシーズンを戦い抜くには体力不足。ここで一句。「舐めてると、痛い目に遭う、ピーコの(負の)遺産」。字余り。残念ながら、こればっかりは相続放棄できねえし、残されたものは大変なんです。今年もベースボールドッグミッキーで御飯2杯、お好み焼き1枚はいける。注目はALL−INおばさんの手づくり工房

贔屓球団を優勝に予想する気まずさといったらねえな。自分なりに鋭意、書き連ねて来た戦力分析の説得力をドッチラケにしてるようで。ま、オイラは別所さんみたいなもん。贔屓したって、外れたって、愛嬌で誤魔化す。それが許される漢になりたい。
NO.295 
..........................................................................................................................................................................................
Mar.30.2006
 母方の実家が三ツ沢下町の当方に、そこはかとない親愛の情を抱かされる横浜ベイスターズ。オイラとタメのプレイヤー(多村、金城、相川)がチームの中心を担っていることもあって密かに贔屓し、ここ数年は潜在能力を高く評価してきたベイを今回は分析。

 理論家で鳴らす牛島組長の就任で選手起用が合理化され、昨季はリーグ2位のチーム防御率(3.68)を誇った投手陣の行く手を阻む障壁は二段モーション禁止の影響。番長・三浦、100マイルクローザーのクルーン、セットアッパー川村、巨人キラー土肥と、主戦級は諸共餌食に....。それでなくとも投手はデリケートな人種。90年にボークの規定改正でフォームを崩して、飛ぶ鳥落とす勢いが失速、眩い輝きが色褪せてしまった阿波野投手コーチ(今季から就任)の苦闘が脳裏を過ぎるが、長年身体に染み込んだ「習性の修正」を強権発動される影響が皆無でやり過ごせるとは到底思えん罠。特にダメージを被る可能性を高く孕むのが、キャリアハイを記録した直後の番長と、昨季後半戦以降調子を落とし、2年目のジンクスも懸念されるクルーンの、チーム内に強い影響力を持つ両輪。昨季10勝をマークした土肥にしても、巨人以外のセ・リーグ球団から挙げた白星はたった1勝(巨人戦7勝)で、巻き返しを図る巨人から今季も易々と白星を稼がせてもらえるのか。番長同様、キャリアハイを記録した門倉も昨季並みの成績をキープできるのか。昨季のベースの高さが却って不安を煽り立てる。

 新戦力はベバリン(2年前の燕開幕投手)、ソニア(3Aオマハ)、希望枠の高宮(ホンダ鈴鹿)、佐久本(虎)を補強した程度。吉川、那須野、岸本などの若手有望株からは確かな成長が確認できず、プラス材料は吉見に復調の兆しを感じられることくらい。総合的に見て昨季比でのプラスαが計算できない。

 チーム打率こそ.265でリーグ5位だった打線の得点数はリーグ3位(621点)。レギュラー8選手全員が規定打席到達し、固定メンバーで戦い続けたことが安定飛行に結びつき、3位でフィニッシュした主要因となった。外国人に依存しない純国産打線には当たり外れの心配がなく、戦力を確実に計算できるメリットが存在し、またバックアップ要員(内野:内川・藤田、外野:吉村・古木、捕手:鶴岡)もまずまず充実しているので、主力に有事が発生しても極端な戦力低下が引き起こされない強みも持つ。

 一方で弱点は4番佐伯。意気に感じさせてパフォーマンスを最大限引き出そうという狙いとは裏腹に、打率(.272)、OPS(.765)は4番打者の基準では赤点。昨季「4番目の打者」に起用されたサブローも打率.312、出塁率.380、長打率.521をマークし、数字上では4番の適正を示す結果を残していたが、36歳の佐伯に上積みは望めない以上、得点力向上には、ポイントゲッターの入れ替え必須。本来は多村が最良の選択だけど、あえて4番にサブロー的な役割を求めるのならば、いっそチーム1の出塁率(.384)を誇るクラッチヒッター種田の抜擢も一考ジャマイカ?或いは成長の余白を残す和製大砲村田が佐伯に取って代われる成長を示す事ができるか。野手を一切補強せずに迎える今季は、牛島監督が当て込む若手・中堅の底上げがないと、攻撃力は横バイに推移すると思われる。ま、スペ様多村はつまらない怪我や事故をしないところから始めよう。もしラロッカの獲得に動いていたら、評価は相当変わってたネ☆

 またチームリーダー兼リードオフマンとして牽引し、2000本安打に残り39本と迫った石井に衰えという魔の手が伸び、攻守のパフォーマンスに陰りを露見し始めているのも不安材料。昨季のチーム盗塁数37個の半数(18個)を稼ぎ出した石井は、トップバッターとして数字に表面化しにくい貢献度(例:相手投手に球数を放らせる厭らしさや揺さぶり)も高く、チーム内に1番打者の適任者は他に見当たらないのは、昨季プロ17年目にして初の全イニング出場を達成したことでも証明されている。それだけに石井の衰えをどの程度に抑えられるか。また「琢朗二世」の2年目藤田がベテランの域にどこまで肉薄できるか。そこも注目点。

 全体的には安定期にある反面、投打の上がり目も少なく、良くも悪くも現状維持的な印象がオイラの評価を伸び悩まさせた。内野陣では石井、佐伯、種田が35歳を超え、世代交代を視野に入れて「若手内野手」を育成しながら、同時に勝利との両立が求められるという点で、2年目を迎える牛島組長は昨季以上に神経を使うシーズンになりそうな気がするが、そこは元ヤンの真骨頂で、権力の理不尽さに突っ張った野球を見せて欲しい。

投手力 打力 守備力 機動力 采配力 総合力
06予想 3 3.5 4 2 4 3
05実績 3.5 3.5 4 2 4 3.5
05予想 3.5 4 3 2.5 4 3
KEY MAN・・・投手:18 三浦大輔 野手:25 村田修一
BRILLIANT GREEN・・・23 藤田一也(内)

NO.294 CHENGE THE WORLD
..........................................................................................................................................................................................
Mar.29.2006
 カープOBの江サマーが週ベで連載する「球人蔵」で「一旦カープを出て他球団に在籍したOBから、何となく居心地の悪さを感じるという声も上がっている」という問題提議をし、「自分がカープに移ってきた時は外様にも分け隔てのないファミリー主義があって、そんなチームカラーに助けられた」という自己体験談を織り交ぜ、球団体質の変貌に憂慮の声を挙げたのは確か昨年8月のこと。オイラもその意見には同調派で、排他主義の最たる例である「監督は生え抜きの広島出身者」という不文律の存在が、8年連続Bクラスに低迷する病巣にあると思っていた。そんなカープが遂に慣例を破り、新監督に招聘した人物が92年から3年間、カープでプレーしたマーティー・ブラウン(インディアンス傘下3Aバファロー前監督)。名よりも実を取ったこのサプライズ人事には、カープ球団の変革に対する意欲が伝わってきたし、選手、ファンに勝利への希求を高めさせたに違いない。

 バカの一つ覚えのように毎年言い続けているが、カープの課題は投手力と守備力の強化。チーム防御率は巨人と0.00002点差(4.79844)の5位。失策数は相も変わらず100をゆうにオーバーし(114個)、投手成績で際立つ四死球では5位の横浜を128個も上回る有様(599個)。これだけ余計な出塁、無駄な進塁を無条件に献上しているデータが揃っていては、失点で巨人を42点も上回った(779点)のも当たり前田。監督を交代しても、打線が分厚くなっても、このアキレス腱を解消せずして躍進の見込みはないが、昨季ショートの定位置を確保した山崎の守備力は十分に安定感が備わり、梵(日産自動車)と組む二遊間が大分引き締まることは考えられる。が、如何せん実働2年目とルーキーにシーズンを通して働ける保証はなく、昨季23失策の一塁・新井、三塁・栗原の守備力にも依然不安が付き纏うレベル。この両スラッガーには安易に守備固めを送る訳にもいかないだけに、つまるところ、守備力の改善に多大なる希望は抱けない。

 投手力はエース黒田とクローザーのベイルには絶大なる信頼が置けるが、先発防御率4.73、リリーフ防御率4.93で先発・リリーフ共に力不足は明白。そんな苦しい台所事情を埋める施策が、先発投手に球数制限(100球を目途)を設け、黒田、大竹、ダグラス、大島、佐々岡、小山田(シーズン中頃以降に復帰予定)を中4日で回すMLB式ローテーション。これは昨季の戦力分析で「セットアップが固まれば、01年の牛の快進撃を再現するのも夢物語ではない」との見解を示した俺的には、理に敵った方針のように思えるし、役割分担の明確化で、これまでのような自転車操業はなくなるだろうから、相対的なパフォーマンス向上の期待も持てる。

 
しかし、そのセットアップは右が永川、横山、ロマノ、長谷川、梅津、青木(猫から移籍)、天野、林。左に佐竹、高橋建、広池、仁部。チーム防御率を2.96を記録したオープン戦の好調は、WBCで各球団が主力を欠いた点を差し引きする必要があり、先発では5年目の大島は実績不足、39歳の佐々岡は衰え、中継ぎ陣に移って横山にはルーズショルダー、高橋建も衰えが不安要素に挙げられ、他の投手も不確定要素が拭えず、顔触れ的に算盤が弾きづらい。

 個々の能力は極めて高い打線は、昨季のチーム打率.275、同本塁打182本はリーグ2位で、978三振に至ってはリーグ最少だったにも関わらず、得点力はリーグ5位(615点)だった。ブラウン新監督は得点効率の悪さを打開すべく、打順変更にも着手。高出塁率の緒方、前田を1・2番に配置し、嶋、新井、栗原と続くクリーンアップまでの破壊力はリーグ有数である反面、6番打者以降が貧相でバランスが悪く、上位打線には足技・小技を駆使できる選手を揃えていないため、戦略的な攻め手の少なさ、ひいては大味な脆さを同居されている。そして故障がちな御年38歳の緒方、35歳の前田に忍び寄る老いへの不安。リスクマネージメントの観点からすると、上位にタレントを集中させる打線の組み方はいかにもギャンブルチック。厭らしい野球を実行できるプレイヤーが見当たらない以上、ブラウン新監督の意図は理解できるが、前田をチャンスメーカーに回さなければならないところに苦しさが見え隠れする。

 オープン戦の出来に好感触を覚え、ブラウン新監督にボビー(・バレンタイン)の勇姿をダブらせているカープ信者はきっと少なくない。でも今のところは長丁場を誤魔化し切れる戦力・体力が絶対的に足りないし、MLBでも実績豊富なボビーとはキャリアで大きな隔たりがある。戦術ありきでその方向性に合致した選手を当て込むタイプというよりも、チーム事情に戦略をアジャストさせる柔軟思考型と思われるブラウン新監督が、焼き畑をどのように耕し、どれだけ整地できるのか。折角、余計な先入観を持たない外国人監督を起用しながら、終わってみたら何も変わり映えがなかったじゃ全く意味がない。非信者の俺が言うのもおかしいけど、何かを変えるためには過去を全否定しても構わないと思うし、創造に繋がる破壊ならカープ信者の支持も得られるはず。ブラウン新監督のしがらみのない采配に期待したい。

投手力 打力 守備力 機動力 采配力 総合力
06予想 2.5 4 2.5 2 3.5 2.5
05実績 2 4 1.5 2.5 2 2
05予想 2.5 4 2.5 2.5 2 2.5
KEY MAN・・・投手:42 長谷川昌幸 野手:00 山崎浩司
BRILLIANT GREEN・・・46 大島崇行

NO.293 パ・リーグ順位予想
..........................................................................................................................................................................................
Mar.25.2006
1位 西武ライオンズ
 
79年(78年オフ)に発足した西武猫の初優勝はW杯スペイン大会が開催された82年。以降、マラドーナが伝説となったメキシコ大会の86年、ドイツが東西統一後初優勝を果たしたイタリア大会の90年、メリケン大会の94年、日本が悲願の初出場を勝ち取った98年、そして前回の韓日大会の02年。その全ての年でリーグを制覇しているという非科学的な根拠に妙な説得力を感じてしまうオイラ。未完成の魅力が裏目に出た昨季を経て、能力値の高い若手が経験を積んで迎える今季も、粗削りであるが故の無限の可能性に賭けてみたい気にさせられる。それくらい猫のポテンシャルに対する俺的評価は高い。WBCへの派遣選手も少なく、キャンプ、オープン戦で地に足をつけた調整ができたのも、好材料の一つ。不安はオープン戦の結果が良すぎるトコ。

2位 千葉ロッテマリーンズ

 
♪信者なのに、2位と予想するアタシは非鴎民〜♪(aiko「カブトムシ」)チームの熟成期間に、8選手(ヴァルを入れると9人)を日本代表に送り出した影響は軽視できない。バランスに最も優れ、連覇を果たせる戦力は揃っているが、取り巻く環境も激変した中、長期低迷から抜け出して栄光を手にした選手たちに、勝利への飢餓感が残されているのか。ビッグウェーブにライディングした昨季は全てがポジティブに循環したが、さざなみが起こった時に、嘗ての負け癖が顔を覗かせはしないか。精神的に成熟したチームにまで成長しているかという点では、一筋縄ではいかないジャマイカという心配が大きい。昨季の快進撃が本物であったことを証明し、NPBの勢力図に地殻変動を起こせ!!

3位 福岡ソフトバンクホークス

 
城島、バティーの退団による大幅な戦力ダウン、代わりとなる若手の成長も見られず、タクトを揮う王監督もチームを丸々1ヵ月以上も離れていた。先発には隔年傾向の心配される選手もいる。不安要素がやたらと目につくが、それでも昨季89勝を挙げたチーム。7年連続Aクラスの経験と先発陣の力で上位とも渡り合っていくと思う。但し、爆発力がなくなった今季は、追い込む力に欠けているものと思われ、先手必勝、先行逃げ切りの展開に運べるか。そこに注目。

4位 北海道日本ハムファイターズ

 
中継ぎ、抑えが整備され、SHINJOという起爆剤も持つ日公は、ツボに嵌まれば大化けも夢ではない今季のダークホース。だが若手の揃った先発陣には不確定要素が多く、中継ぎも実績不足、打線も非効率性も大幅に改善されそうにはないので、この順位に落ち着きそう。来年、再来年に向けた養生期間になると予想。

5位 オリックス・バファローズ
 
打線、野手の選手層は申し分ないが、先発は駒不足、中継ぎに勤続慰労の心配が拭えない投手陣が不安要素。それと中村新監督の采配能力にも疑問を感じる点もマイナス。やっぱ昨季の檻の躍進は、マジックと呼ばれる仰木彬の勝負勘に基づいた小刻みな継投が嵌まった結果だったし。逆の言い方をすれば、中継ぎ・抑えが昨季の状態を持続し、中村新監督が仰木野球を踏襲できれば、打線が底上げされたんだから、間違いなくAクラスに絡める。でも昨季と同じことを続けられるかなと....。

6位 東北楽天ゴールデンイーグルス

 
打線はホセ、リックの元鴎の渡り鳥2選手の加入で、まずまず戦える戦力に整備されたが、投手の駒不足は深刻。特に先発三本柱の岩隈、セディの出遅れが致命的。昨季の38勝+15勝=53勝に置いて欲しかった目標ラインは下方修正を余儀なくされる感じ。しかし、今の鷲は近視眼的見方ではなく、基盤を築き上げるべくロングスパンで考えてやる時期。信賞必罰の基本姿勢を持ちつつも、温かく見守ってやりたい。
NO.292 ONE FOR ALL、ALL FOR ONE
..........................................................................................................................................................................................
Mar.19.2006
 パ・リーグでラストにぶった切るのは、ウチのじーちゃん(3年前に物故)が西武のことを西鉄と生涯言い続けていたように、未だに福岡ダイエーと呼びたくなるソフトバンク。そりゃ1兆円以上の巨額を投資してボーダフォンを買収しちゃうんだから、バティスタを5億円でバイアウトするのも訳ない罠。

 まず最初に触れなきゃいけないのはジョージ・マッケンジー亡命の影響。昨季、マッケンジーが戦線離脱した夏場、終盤・POでは的場がマスクを被ったが、その予行演習ではリード・守備面で及第点以上をマークしていた。が、ここで浮上するのは、昨季沢村賞の杉内、最優秀勝率の斉藤に、過去2年続きで活躍した実績がないという問題。確変状態にあった昨季の杉内・斉藤は極論すれば、深く考えてリードする必要がなかった。ところが左右の両輪が調子を落とし、力で押せないケースにおいて、経験の少ない的場に主戦投手をリードしていける引き出しが備わっているかは未知数。ただ投手の状態に問題なければ、戦力になるというのは実証している訳で、結局のところは四本柱が昨季に近い状態でシーズンに臨めるかが重要という結論に落ち着く。

 マッケンジーが抜け、ダイハード打線の重量感低下が囁かれる中、27本塁打、90打点を残したバティスタを解雇したのは、少し見通しが甘かったように感じる。猫時代の02年に3番打者での実績を残している宮地の打順を繰り上げ、大器晩成のベテランがキャリアハイの昨季並みの数字をマークすれば、低打率(.262)、低出塁率(.294)にリーグトップの併殺打(13個)のバティスタを3番に据え置くよりも打線が機能し、攻撃力の維持が図れる(城島が抜けた以上、上がり目はない)という考えは納得できるし、大村、川ア、宮地、松中、ズレータ、カブレラと3割打者の続く打線は切れ目がなく、依然リーグ上位の安定感がある。だがそれは故障者・不振者を一人も出さないというハードルの厳しい条件をクリアして成り立つ机上の理屈。選手層の薄さ(若手の突き上げが望めそうにない)、ベストメンバーが組めなくなった場合に攻撃力が極端に落ち込むリスク、また打線の迫力が無くなったことによる相手投手への心理的影響も計算に入れると、打力・得点力の大幅低下は必至と言わざるを得ない。SBマネーでシーズン途中に外国人を引っ張ってくる可能性もあるだろうが、それをしたら大枚叩いてバティスタを切った意味が全くなくなる。

 杉内・斉藤・和田・新垣の10勝カルテット、高橋秀、星野、カラスコの先発スタッフはパ・リーグトップクラス。2年目高橋秀の成長という明るい材料も存在するものの、日本一に輝いた翌年(04年)にチーム防御率が4.58まで落ち込んだ前科、隔年がデフォルトな杉内、斉藤など不安材料は決して少なくない。当然、打力低下の影響が及ぶことも考えられ、昨季は65試合で7イニング以上を投げた先発陣も決して楽観は許されない。

 セットアップ陣は苺みるく吉武・神内・三瀬・佐藤誠・倉野・藤岡(JR九州)・芝草でブルペンを守るが、防御率は軒並み3点台。昨季は吉武が中心だったが、中継ぎのエースと呼べる存在がなく、得点力低下からロースコア、競った点差での登板機会が増加が予想される今季、僅少差を確実に逃げ切れるには力が少し足りない。

 昨季の3強いずれも戦力を落とした中でも最も上積みの少ない鷹は、7年連続Aクラス(リーグ優勝3度、日本一2度)の経験値を切り売りしながら、シーズンを戦って行くことになると思う。しかし野球は点を取られなければ負けることはないスポーツ。今季の鷹が負けない野球を実行していく最大のポイントは、先発四人衆の活躍に尽きる。
投手力 打力 守備力 機動力 采配力 総合力
06予想 4 3 3.5 3.5 3.5 3.5
05実績 4 4 4 4 3.5 4
05予想 4 3.5 3.5 3 3.5 3.5
KEY MAN・・・投手:66 斉藤和己 野手:37 宮地克彦
BRILLIANT GREEN・・・13 高橋秀聡(投)

NO.291 整体治療
..........................................................................................................................................................................................
Mar.18.2006
 チーム防御率・同打率でリーグ最下位の巨人が、昨季未曾有の惨敗に沈んだのは、統計的にも当然の帰結だったが、必ずしも戦力が他球団に劣っていた訳ではない。前監督が舵取りをしくじった結果の空中分解という見方が正しいと思う。

 歴史的大敗を究明すると、主要因にはゲームメイクができなかった先発の力不足が挙げられる。先発の防御率は5.08、責任投球回数未満(5イニング)の降板は44試合にも及んだ。特に上原の不調でローテの軸を失ったのが響いたが、オープン戦中に右太もも肉離れを痛めたことによる調整不足が不振を招いたのは明白であり、WBC出場で万全の状態に仕上がった今季の完全復調の見込みが立つ。2番手に予定される檻から獲得したパウエルは、阿部との相性に一抹の不安は残すものの、大きく縦割れするカーブ(ドロップ)を武器にした投球スタイルはリーグを渡り歩いても通用する可能性大。中4日の登板にも耐え得るスタミナ、年間200イニング投げられるタフネスは家計を助けるに違いない。この2本柱を軸に、昨季の勝ち頭工藤、高橋尻、グローバー、野間口、内海、木佐貫、桑田、野口(オレ竜)。頭数に不足はない。

 リリーフは馬車馬の働きで窮状を救ったシコースキーが退団したが、猫から豊田をFAで獲得。絶対的守護神は往年の完全無欠の輝きには程遠く、故障の不安も隠せないが、騙し騙しでも打者を料理できる投球術は健在なので、1年間コンディションを維持できれば、大崩れする心配はない。また豊田の存在は、若い投手に精神的な面で影響を与える期待も大きい。そして豊田の前に昨季抑えの適正を証明した林を配置すれば、勝利の方程式も確立も見え、久保、前田、岡島、西村、伊達、真田でまずまず安定したセットアップを構成できそうな予感がある。


 
また投手陣を語る上で欠かせないのが、鷹を投手王国に育て上げた尾花コーチの入団。近年、巨人の投手起用は自転車操業で一貫性に乏しかったが、量的には不足のない状況下で名整体師が骨盤を歪ませる使い方をすることはないはず。元来個々のポテンシャルが高い投手陣は、やり繰りの手腕に定評のある名伯楽の手綱裁きで、底上げの目星が立った。また村田バッテリーコーチという阿部のお目付け役の復帰も意味も小さくない。

 
投手陣に光明が差し込む一方、野手陣はFAで選手を掻き集めてきた弊害で若手が育たず、レギュラーが高齢化。7選手がO-30となり、中核の小久保、高橋由、阿部、二岡は故障を抱え、飛車角落ちの危険性と隣り合わせなのが巨人最大のウィークポイント。ディロンと李承Yの入団でフルメンバーが出揃った時の最大出力は低くないが、早速高橋由、小久保の開幕出場に黄色信号が点滅。出だしから前途は多難と言わざるを得ない。

 育成枠を設けた外野の一角では亀井、矢野の競争が繰り広げられるが、鴎・西岡のように化学反応を起こせるタイプではなく、プロスペクトの成長がチームを急激に変貌させるとは考えにくい。だが守備・肩に非凡な才能を秘める亀井がレギュラーを獲得すれば外野守備が一気に引き締まり、投手陣に恩恵をもたらすに違いなく、2年目の俊英の成長はディフェンス力強化のキーポイント。

 若大将がカムバックしてもドラスティックな改革への希望が膨らまないのは、日本屈指の超遊撃手小坂の二塁起用(仁志との併用)に代表されるように、戦力の有効活用が見られないから。小坂の補強はセンターライン強化、ひいてはチーム編成の攻守バランスの是正を意図したものと思われるが、ならば二岡を三塁、小久保の一塁コンバートなど、環境整備の必要があったのに、そういった動きはなし。ポジションの重複するディロン、李承Yの獲得には、状況次第でスンヨプの外野起用を企む節も窺える。ディロンを起用すれば、スンヨプを一塁では使えず、スンヨプを左翼に回せば清水はベンチ。清水とスンヨプを同時に外野で起用すれば、外野守備は破綻を来たす。ペタジーニを近視眼的に起用して痛手を負った苦い経験の学習能力が薄弱な点に、どうしても評価はマイナスになる。
 
 空中戦で相手を丸呑みするパワー、打線の反発力が弱体化し、タレントが投手に偏りつつある現状に照らし合わせると、速球投手が技巧派に転身を図るように、破壊力が売り物だった巨人も、無駄な失点を未然に防ぎ、守り勝つスタイリッシュなスタイルにシフトすべき過渡期にある。だが長年、戦略性を軽視したツケは小さくないのが現実。そんな火中の栗を拾う状況で監督に就任した若大将は歪んだ骨格の矯正にプライオリティーを置く事ができるか。今季は若大将の野球整体師としての資質が試される。
投手力 打力 守備力 機動力 采配力 総合力
06予想 3.5 3 4 2 3.5 3
05実績 2 3 3.5 2 1.5 2
05予想 3.5 4.5 4 2.5 2 3.5
KEY MAN・・・投手:10 阿部慎之介 野手:42 ジェレミー・パウエル
BRILLIANT GREEN・・・25 亀井義行(外)