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小学校から家までの、20分ほどの距離の大半を占める坂を下りながら、正樹は一人思い返していた。 何時から、っていわれても。 幼稚園に入る前のことはおぼろげだが、確かに、湊太と二人、きかん気のいたずら坊主同士でやりたい放題やっていたし、一人でも冒険してしまう方だったとは、思う。 夏、ホタルを山のように捕まえて、こっそり部屋に持ち込んでひとしきり堪能したはいいが、朝になったらホタルの死骸だらけで母親から雷をおとされたこと。 冬、降り積もった雪で雪だるまを作って冷凍庫に入れておいたのに、次の日にはなんだか訳が分からない物になってしまって、しかも泥混じりだったので冷凍庫の中がべしゃべしゃになってしまい、これまた母親からこっぴどく叱られたこと。 数え上げてみると多分キリがない。 小学校に入学した時はどうだったろうか。幼稚園の時とは違う友達がたくさん出来て、楽しかった。最初の頃は友達の父親に引率されて何人かで釣りに行ったり、キャンプにも連れて行ってもらったり。 クラスの友達は、それぞれゲームを貸しあったり、マンガやカードゲームを交換しているけれども、自分に声が掛かることは、あまりない。 ―――それでも良いよ。 正樹の足が自然に止まった。なにか、違和感があった。 ―――友達なんて、いらないんだし。 ふと浮かんだ考えを、そのまま鵜呑みにしかかって、慌てて心の中で否定する。 ―――湊太は面倒だ。なんだかずいぶん自分を気にしているけれど、湊太は他にも友達がいるんだからほおっておいてくれればいいのに。 「…なんで?」 自分のことについて、こんなに考えたことは無かった。 立ち止まったまま動けないでいる正樹の脇を、子供が二人、楽しげに自転車ですり抜けて行った。何を話しているのか、歓声をあげながらスピードを上げながら坂をすべりおりていく。 湊太がサッカークラブに入る時、正樹も一緒に入れよと誘われた。が、断った。 友達を作らないような、何かに興味をもたないような、そんな気持ちが自分の中にあることに、はじめて正樹は気付いた。 |
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