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市立大和高校は、春日市と大和市が合併して春日大和市になる前からある、歴史の古い高校だ。校風は他の高校よりも自由度が高く、かといってそこそこ成績がよくないと入れないので(ちなみに県立高校は春日大和市には無い)市内でもトップクラスのレベルを誇る。 1ヶ月半ぶりにいつもの通学路を自転車で走り抜け、生徒でごったがえす校門をくぐり、自転車置き場に自転車を置いて、ロックをかける。 「よ、ひっさしぶり!」 にひ、と笑った顔で、歯だけが白い。 「結構、合同練習とか合宿とか、内容濃くてさ。も、俺の夏休みはどこって。カノジョも欲しいのに、なんで俺はボール追いかけてるのって。追いかける対象ちがうんでないって」 祐介は大げさに溜息をついてみせた。 「俺なんてさぁ、170ないからさ。もう、歓声あびまくりなのは、背が高い奴らばかりなのだよ。いいよなぁ、手作り弁当、俺も一度食ってみてぇ」 たしかに。 生徒であふれる校内を二人は歩き、階段にさしかかった時、後ろから順に頭を何かで叩かれた。 「おっは!元気だった?」 司は屈託無く笑い、正樹もおはようと笑って答えた。三人で連れ立って、階段を上がる。三人の教室は二階の奥にある。 「ところでさ、さっき職員室で見たんだけど、すっげ最新情報、アリなんだ」 司は言いたくて言いたくてたまらないというふうに、話し始めた。 「外人!外人来たんだよ。なんか、お父さんみたいなデカい男の人と、パツキンのオレたち位の年齢の」 なーんだ、とあからさまに残念がって、祐介が溜息をついた。 「ヨッシーと話していたから、多分オレたちのクラスに入ると思うよ。日本語、ちゃんと話していたから、仕事で来たのかも」 ヨッシーとは担任の吉塚のことである。今年で45になるらしい、メガネの奥の目が狡猾に見える、男性教員だ。 「ヨッシー、一応英語教えてるじゃん?でもなんかオドオドしちゃってさぁ、ちょっとばかり見物だったぜ」 そうしているうちに、三人は教室につき、久しぶりに級友たちと挨拶を交わした。 外人が編入してくるという話は、あっという間にクラスに広まった。とりあえず英語圏であるらしい、男だ(男子からはブーイングの嵐が起こった。女子からはブーイングではなく歓声があがった)、日本語も簡単なら話せるらしいという情報だけで、おおよそ10分は盛り上がっていたかもしれない。 と、教室の前のドアが開き、吉塚が入ってきた。 「ええと、今日は、転入生を紹介する。入ってきたまえ」 廊下で待っていたらしく、再びドアが開き、一人の少年が入ってきた。 特徴的なのは、銀色がかったくせのあるブロンド、そして青い目、整った顔立ち。切れ目がちの二重は、一瞬で女生徒達の心を虜にしたのではないかと思われた。 「チャールズ・アレン君だ、君たちと同じ16歳。イギリスから、お父さんの仕事の都合でこちらに越してきた」 黒板に、白墨で綴られたスペルは「Charles Allen」。挨拶を、と言われて、少年は口元に笑みを浮かべた。 |
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