ほんとはね









人通りの多い、休み時間の廊下。
少し外が騒がしい。
「い〜っぽすすんでまえならえーー…い〜っぽすすんでえらいひとーー……」
気の抜けるような歌と共に現れたのは、金髪が外側に跳ねた部活の先輩だった。
「ひっくりかえってペコリンこーー………あ!ヒヨだ」
教室の窓から身を乗り出して先輩が俺を見た。
ぶんぶんと手が取れそうになってしまうかのような、そんな振り方に苦笑する。
取っ付きにくい俺に、自ら関わるような先輩はこの人だけだ。
大物だと俺は思う。
「ヒヨーーー!!ヒヨーー!!」
俺が手を振るまで、振り続けるつもりのこの人は、とても子供っぽい。
子供かと思うと、大人びた言葉を吐くこの人は、とても不思議だ。
いつものこの姿は計算なのかと思わずにいられない。
「ヒヨーー!!!てーー!!」
思わずそんな事を考えて、自分の馬鹿さ加減に少し笑いながら手を振った。
「………………………」
その途端、芥川先輩がじっと黙ってこちらを見ている。
ジトリとした視線はいつもの先輩らしくなかった。
「芥川さん!!!」
無視されたのか何なのか理由は分からないけれど、先輩のその視線は何故か怖かった。
だから咄嗟に声が出た。自分でもそれに驚いた程。
よっぽどだったんだと思う。
「なーーにーー??ヒヨ」
ニッコリとした笑顔。
それにホッとした。
「……いえ、何でもありません」
咄嗟にそう言うと、先輩から視線を反らす。「ヒヨ!!きょういっしょにかえろ??」
先輩の声。
「…………はい」
それに応える俺の声。
「ヒヨーー!!!」
まだあるのか…と、思いながら先輩を見ると、先輩は笑った。
不敵に。







「だいすき」







たった一声。
でもそれは俺にはとても重い一言。
「ヒヨは、俺のことすき?」
咄嗟に反応出来ない。
「あいしてる?だいすき?いってよヒヨ」
こんな廊下で。
人がたくさん見ているのに。
先輩は時々俺にそんな事を言う。
だからいつも俺は、こんな言葉で返す。







「……教えません」







この台詞が今の俺を支える、たった一つの言葉。
本当は俺は貴方の事が……………










END













ヒヨが可愛い。声を大にして叫びたい。
つか……ジロちゃん腹黒上等!!!
てゆうか、ジロちゃんヤンキー説上等!!

……ヒヨ…