この胸を貴方は酷く揺るがす人



















『好きなんだ』と言った唇に精一杯の謝罪を込めて口付ける。
悲し気に閉じられた瞳は少し震えていた。
頭を抱え、腰を掻き抱く。
胸には彼の湿った声。
背中には、服を握りしめる彼の手がある。
いつもは強気な彼が酷く哀れだった。
さよならを告げた。

















彼は堪えていたが、不意に零れ落ちた涙は酷く透明で、綺麗だった。
見るなと彼は言う。
それでも目が離せなかった。
彼は酷く綺麗に泣いたのだった。

















思わず抱き締めてしまう。
彼の身体が震え、胸に彼の熱い息が掛かる。
背中を叩くと彼は胸に顔を寄せてきた。
まるで猫のよう。まるで恋人のような動作。
しかし酷く空しい…。

















人を好きになるのは一瞬で、終わるのはかなりのあっけなさ。
とても悲しいものだ。
そこらへんの石ころみたいな愛情は。
永遠そして永久なんてものは、この世には存在しない。
悲しいと思う。

















世界までもが…全てが儚く、呆気ない。
それが愛しさの全てであり、強さの全てである。

















自分にも彼にも夢があった。
だからこそ、別れなければならない時もある。
それを彼は分かっていたし、自分も分かっていたつもりだった…。

















毎日訪れる新しい敵。
時々新しい情報が入る。
ミホークの場所も。
彼はただ静かに見守っていた。
俺の後ろ姿を…。
船員の誰もが言わなかった事を彼は言ってのけた。

















「死ぬなよ…」

















その言葉に返事は返せなかった。
人間は死ぬ時は死ぬ。
俺はただ早かったか早くなかったかの違いだろうと思ったからだ。
だから返せなかった。
アイツの強さを俺は身を持って知っている。
彼もまた…知っている。

















俺の弱さは夢を捨ててしまってもいいかもしれない…と、思う程執着している彼だった。
彼もまた同じ様に思っていてくれる。
彼を置いて俺は死ねない。
だから切り捨てた。
弱さをなくせば勝てるかも知れない。
単純にそう思った。
だから彼を捨てた。


































だけど…。
腕の中の身体が。
熱くて。
熱くて。
熱くて。
自分のために泣いてくれている彼が。
愛しくて堪らない。
彼を失くしたらもう…。
命を繋ぎとめる事なんて在りはしない。
彼も分かっているからこそ。
形振り構わずに泣いている。
彼の涙を見たのはこれが二度目。


































だから。
本当にこれが正しいのかなんて。
考えている自分に。
考えてしまっている自分に。
涙が出た。


































ゾロサン別れ話。
すまなんだ。
いつかやろうと思っていたネタ!!
夢のためには…夢だからこそ。
別れなければならない。
でもお互いがお互いの事を一生忘れる事はないんじゃないのかな…と。
死ぬ直前まで考えてそう。
ああああぁぁぁ……自分で書いててヘコむ。

自分で首を絞めるな…アタシ