このわがままな僕達を










中学生とはいえ、楽なもんじゃねぇ。
それは決まって必ずこういう時に思い知る事になる。
そう………・・・・・・。
期末考査だ。
氷帝では、『文武両道』らしい。
期末や中間で赤点やそれに近い点数を取った者には罰則が科せられる。
赤点を取った本人には大量の課題。
更に、部での連帯で…だ。
当然その部活は活動停止。
そいつが追試をクリアするまでそれは続けられる。
だからこの時期になると、皆必死だ。
一年なんかは、ほとんど一ヶ月前から始めるらしい。
ご苦労なこった。
テニス部員は、それぞれ学年で集まったり学年を超えて集まったりするのが常だ。
まぁ、俺もその一人で。
今、長太郎のバカデケェ家に集まってやっている。
当然ながら、跡部は来ない。
萩も来ねぇ。
樺地は来てない。
「宍戸ー…熱帯雨林地域の豪雨による焼畑の土壌浸食を防ぐ最良の手段って何なんだよ・・・」
テーブルの上に突っ伏しながら岳人が聞いてきた。
お前バカだろ……。
「混作に決まってんだろ?」
「じゃあその効果は?」
「あぁ?自分で調べろよそんぐらい」
キレ気味に言い放つと岳人の顔がニヤー…っと歪んだ。
……………ライジング当ててぇ。
「…分かんねぇんだろ!!」
………つーかテメェだろ?
分かんねぇのはよ…。
俺は今、医療やってんだっつの。
「侑士!!宍戸分かんねぇんだって!!地理得意なクセによー!!」
忍足の返事はない。
ただの屍のようだ。
てゆうかよ――…ダブルスならほっとくなよ。
「向日先輩、忍足さんなら寝てます」
ボソリと、教科書から目を上げずに日吉が言った。
少し心拍数が上がる。
日吉がここにいるなんて思わなかった。
嬉しい誤算だ。
「あー?んだよ…侑士の奴…。宍戸!!答え!!」
「…ったく、しゃーねぇな。雑草と病害虫を防ぐんだよ!そんぐらい調べろ!」
「やっぱ分かってたんじゃねぇかよ!クソクソ宍戸!英語聞いてきても教えてやんねー!!」
ウルセェ。
余計なお世話だ。
つーか、礼ぐらい言えよ。
煩く喚く岳人を放っといて教科書に視線を落とす。
大体、中学三年で医療が必修なんておかし過ぎる。
脊椎動物の歴史なんて振り返らなくて良くねぇか?
中枢神経は脊椎から発生したものである事が分かってるらしいぜ?
原始の型を留めてんのはナメクジウオなんだってな…。
つーか…ナメクジウオって何だ?
忍足辺りなら分かりそうだけどな……寝てるし。
しゃーねぇ、調べるか……。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・てゆーかそんなもん今更だよな。
・・・何かの生物じゃねぇか・・・・・・・。
止めよ。
そんなんやるぐらいなら脊髄神経でも覚えた方が身のためだ。
脛骨神経……総腓骨神経…坐骨神経……閉鎖神経………大腿神経…………
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
……ヤベェ……今回激ヤベェ……。
サッパリ分かんねぇ…。
こりゃ徹夜でもしなきゃ覚えらんねぇよ…。
溜息を吐いていると、長太郎が間延びした声を出した。
「若――…徳川斉昭の18男って誰?」
あ?
有名じゃねぇか…最後の水戸藩主だろ?
日吉もそう思ったらしい。
「鳳……そんぐらい分かれ」
「分かんないよ!!だって日吉は歴史得意だからいいけどさ…俺が得意なのは美術と音楽だし…」
・・・・・・・・・日吉って歴史が得意なんだな…。
初めて知った……。
つーかよ・・・・・・おんなじじゃねぇか…。
ヤベェ……嬉しい……。
「じゃあこれ教えろよ」
日吉が教科書を長太郎に突き出す。
「ん?どれ…?」
あ……日吉が見てた教科書って音楽じゃねぇか…。
アイツ……さては音楽が苦手だな。
「コイツ誰?」
指を指して日吉が鳳に教科書を見せる。
つーかよ……お前等くっ付き過ぎじゃねぇか?
俺の気のせいか?
「あぁ…Antonio Vivaldiだよ。バロック期の作曲家でBachに多くの影響を与えた人だよ」
「『四季』って?」
お前等顔近ぇよ!!!!!
「えっと……この前授業で聞いてたのがそうだよ」
長太郎の言葉に日吉が頷く。
・・・・・・・・・日吉のこんな仕草初めて見た。
こんな時に一年の差が恨めしく感じる。
「・・・・・・・宍戸・……カオ…こわい…・・…」
ボソリと下から声がした。
ジローが起きた。
「うるせぇ。元からだ」
お前は寝てろ。
床に頭を押し付ける。
ジローは三秒間で静かになった。
・・・・・・・・・寝たな。コイツ。
「あ!若、この答えは?」
長太郎が身を乗り出す。
だからくっ付くなって!!!
「あぁ…『徳川 昭武だ』」
同じタイミング。
同じ答え。
………思わず大声で答えを言っちまった。
日吉も長太郎も俺を見ている。
・・・・・・・・・・・・・・・・悪かったよ…。
邪魔してよ……。
「ありがとうございます宍戸さん!!若もありがとう!」
ニコニコと笑いながら言う長太郎に罪悪感が芽生えた。













でも、テニス以外で必死になるもん見つけちまったんだよ。
・・・・・・・・・・・・悪リィな長太郎。
許せよな?

















END













この文書くのにあたって一番苦労したのは資料。
分野の違う教科書を本棚から探して適当な所を書くみたいな。
日吉が音楽を苦手としてたら燃えるのはアタシです。
ヴィヴァルディは協奏曲、特に独奏協奏曲の形式を大成、Bach(バッハ)に影響を与えました。
ヴァイオリン協奏曲集の『和声と創意の試み』(四季を含む)などを出してます。
ヴァイオリンつー事で、しかも得意だし…長太郎を。
宍戸さんは得意なのは地理と歴史なので資料を探す。
歴史は色々とあったんですが…地理が・・・。
しかも分かりやすいのを選びました。だから混作。
医療は三年生の授業にあるんですよね…。許斐3によると!
忍足は余裕です。だって実家がそうですし…。
岳人もそれなりに…。←忍足のノートがありますから!
彼はとても聡い子です。忍足のノートを自分以外の他の奴に貸そうとはしません。
貸して平均点を上げて自分の首を絞める事は絶対にしません。
ジロたんは睡眠学習。氷帝7不思議の一つ。
だから宍戸は必死なのです。
私も必死でした…。医療ってどこまでの範囲なんだ!!!
精神とかココロとかは入るのか??
それとももうそれさえも入っているのか??症状説明とかか??
ドイツ語もやんのか??と思って青くなったりもしました…。
そんなたかが数行なのに…。
精神医学の構造力動的基礎とか人のカラダなんつー本を見たのはこの女です。
なんつーかこの二人は・・・まだまだ遠い小さな恋のメロディみたいな。そんなノリ。
…バーカ!バーカ!!…