2009年4月5日 受難の主日(枝の主日)

主のエルサレム入城の記念

マルコによる聖福音

 一行がエルサレムに近づいて、オリーブ山のふもとにあるベトファゲとベタニアにさしかかったとき、イエスは二人の弟子を使いに出そうとして、言われた。「向こうの村へ行きなさい。 村に入るとすぐ、まだだれも乗ったことのない子ろばのつないであるのが見つかる。 それをほどいて、連れて来なさい。 もし、だれかが、『なぜ、そんなことをするのか』と言ったら、『主がお入り用なのです。 すぐここにお返しになります』と言いなさい。」 二人は、出かけて行くと、表通りの戸口に子ろばのつないであるのを見つけたので、それをほどいた。 すると、そこに居合わせたある人々が、「その子ろばをほどいてどうするのか」と言った。 二人が、イエスの言われたとおり話すと、許してくれた。 二人が子ろばを連れてイエスのところに戻って来て、その上に自分の服をかけると、イエスはそれにお乗りになった。 多くの人が自分の服を道に敷き、また、ほかの人々は野原から葉の付いた枝を切って来て道に敷いた。 そして、前を行く者も後に従う者も叫んだ。
「ホサナ。 主の名によって来られる方に、祝福があるように。 我らの父ダビデの来るべき国に、祝福があるように。 いと高きところにホサナ。」
(マルコ 11:1-10)

(3分55秒)

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ミサ

マルコによる聖福音 

 さて、過越祭と除酵祭の二日前になった。 祭司長たちや律法学者たちは、なんとか計略を用いてイエスを捕らえて殺そうと考えていた。 彼らは、「民衆が騒ぎだすといけないから、祭りの間はやめておこう」と言っていた。 イエスがベタニアでらい病の人シモンの家にいて、食事の席に着いておられたとき、一人の女が、純粋で非常に高価なナルドの香油の入った石膏の壺を持って来て、それを壊し、香油をイエスの頭に注ぎかけた。 そこにいた人の何人かが、憤慨して互いに言った。 「なぜ、こんなに香油を無駄使いしたのか。 この香油は三百デナリオン以上に売って、貧しい人々に施すことができたのに。」 そして、彼女を厳しくとがめた。 イエスは言われた。「するままにさせておきなさい。 なぜ、この人を困らせるのか。 わたしに良いことをしてくれたのだ。 貧しい人々はいつもあなたがたと一緒にいるから、したいときに良いことをしてやれる。 しかし、わたしはいつも一緒にいるわけではない。 この人はできるかぎりのことをした。 つまり、前もってわたしの体に香油を注ぎ、埋葬の準備をしてくれた。 はっきり言っておく。 世界中どこでも、福音が宣べ伝えられる所では、この人のしたことも記念として語り伝えられるだろう。」

 十二人の一人イスカリオテのユダは、イエスを引き渡そうとして、祭司長たちのところへ出かけて行った。  彼らはそれを聞いて喜び、金を与える約束をした。そこでユダは、どうすれば折よくイエスを引き渡せるかとねらっていた。 除酵祭の第一日、すなわち過越の小羊を屠る日、弟子たちがイエスに、「過越の食事をなさるのに、どこへ行って用意いたしましょうか」と言った。 そこで、イエスは次のように言って、二人の弟子を使いに出された。 「都へ行きなさい。 すると、水がめを運んでいる男に出会う。 その人について行きなさい。 その人が入って行く家の主人にはこう言いなさい。 『先生が、「弟子たちと一緒に過越の食事をするわたしの部屋はどこか」と言っています。』 すると、席が整って用意のできた二階の広間を見せてくれるから、そこにわたしたちのために準備をしておきなさい。」 弟子たちは出かけて都に行ってみると、イエスが言われたとおりだったので、過越の食事を準備した。

 夕方になると、イエスは十二人と一緒にそこへ行かれた。 一同が席に着いて食事をしているとき、イエスは言われた。 「はっきり言っておくが、あなたがたのうちの一人で、わたしと一緒に食事をしている者が、わたしを裏切ろうとしている。」 弟子たちは心を痛めて、「まさかわたしのことでは」と代わる代わる言い始めた。 イエスは言われた。「十二人のうちの一人で、わたしと一緒に鉢に食べ物を浸している者がそれだ。 人の子は、聖書に書いてあるとおりに、去って行く。 だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。 生まれなかった方が、その者のためによかった。」 一同が食事をしているとき、イエスはパンを取り、賛美の祈りを唱えて、それを裂き、弟子たちに与えて言われた。 「取りなさい。これはわたしの体である。」 また、杯を取り、感謝の祈りを唱えて、彼らにお渡しになった。 彼らは皆その杯から飲んだ。 そして、イエスは言われた。 「これは、多くの人のために流されるわたしの血、契約の血である。 はっきり言っておく。 神の国で新たに飲むその日まで、ぶどうの実から作ったものを飲むことはもう決してあるまい。」

 一同は賛美の歌をうたってから、オリーブ山へ出かけた。 イエスは弟子たちに言われた。 「あなたがたは皆わたしにつまずく。 『わたしは羊飼いを打つ。すると、羊は散ってしまう』と書いてあるからだ。 しかし、わたしは復活した後、あなたがたより先にガリラヤへ行く。」 するとペトロが、「たとえ、みんながつまずいても、わたしはつまずきません」と言った。 イエスは言われた。 「はっきり言っておくが、あなたは、今日、今夜、鶏が二度鳴く前に、三度わたしのことを知らないと言うだろう。」 ペトロは力を込めて言い張った。「たとえ、御一緒に死なねばならなくなっても、あなたのことを知らないなどとは決して申しません。」 皆の者も同じように言った。 一同がゲツセマネという所に来ると、イエスは弟子たちに、「わたしが祈っている間、ここに座っていなさい」と言われた。 そして、ペトロ、ヤコブ、ヨハネを伴われたが、イエスはひどく恐れてもだえ始め、 彼らに言われた。「わたしは死ぬばかりに悲しい。ここを離れず、目を覚ましていなさい。」 少し進んで行って地面にひれ伏し、できることなら、この苦しみの時が自分から過ぎ去るようにと祈り、 こう言われた。 「アッバ、父よ、あなたは何でもおできになります。 この杯をわたしから取りのけてください。 しかし、わたしが願うことではなく、御心に適うことが行われますように。」 それから、戻って御覧になると、弟子たちは眠っていたので、ペトロに言われた。 「シモン、眠っているのか。わずか一時も目を覚ましていられなかったのか。 誘惑に陥らぬよう、目を覚まして祈っていなさい。 心は燃えても、肉体は弱い。」  更に、向こうへ行って、同じ言葉で祈られた。 再び戻って御覧になると、弟子たちは眠っていた。 ひどく眠かったのである。 彼らは、イエスにどう言えばよいのか、分からなかった。  イエスは三度目に戻って来て言われた。 「あなたがたはまだ眠っている。 休んでいる。 もうこれでいい。 時が来た。 人の子は罪人たちの手に引き渡される。 立て、行こう。見よ、わたしを裏切る者が来た。」

 さて、イエスがまだ話しておられると、十二人の一人であるユダが進み寄って来た。 祭司長、律法学者、長老たちの遣わした群衆も、剣や棒を持って一緒に来た。  イエスを裏切ろうとしていたユダは、「わたしが接吻するのが、その人だ。 捕まえて、逃がさないように連れて行け」と、前もって合図を決めていた。 ユダはやって来るとすぐに、イエスに近寄り、「先生」と言って接吻した。 人々は、イエスに手をかけて捕らえた。  居合わせた人々のうちのある者が、剣を抜いて大祭司の手下に打ってかかり、片方の耳を切り落とした。 そこで、イエスは彼らに言われた。 「まるで強盗にでも向かうように、剣や棒を持って捕らえに来たのか。 わたしは毎日、神殿の境内で一緒にいて教えていたのに、あなたたちはわたしを捕らえなかった。 しかし、これは聖書の言葉が実現するためである。」  弟子たちは皆、イエスを見捨てて逃げてしまった。 一人の若者が、素肌に亜麻布をまとってイエスについて来ていた。 人々が捕らえようとすると、 亜麻布を捨てて裸で逃げてしまった。

 人々は、イエスを大祭司のところへ連れて行った。 祭司長、長老、律法学者たちが皆、集まって来た。 ペトロは遠く離れてイエスに従い、大祭司の屋敷の中庭まで入って、下役たちと一緒に座って、火にあたっていた。 祭司長たちと最高法院の全員は、死刑にするためイエスにとって不利な証言を求めたが、得られなかった。 多くの者がイエスに不利な偽証をしたが、その証言は食い違っていたからである。 すると、数人の者が立ち上がって、イエスに不利な偽証をした。  「この男が、『わたしは人間の手で造ったこの神殿を打ち倒し、三日あれば、手で造らない別の神殿を建ててみせる』と言うのを、わたしたちは聞きました。」  しかし、この場合も、彼らの証言は食い違った。  そこで、大祭司は立ち上がり、真ん中に進み出て、イエスに尋ねた。 「何も答えないのか、この者たちがお前に不利な証言をしているが、どうなのか。」 しかし、イエスは黙り続け何もお答えにならなかった。 そこで、重ねて大祭司は尋ね、「お前はほむべき方の子、メシアなのか」と言った。  イエスは言われた。 「そうです。あなたたちは、人の子が全能の神の右に座り、天の雲に囲まれて来るのを見る。」 大祭司は、衣を引き裂きながら言った。 「これでもまだ証人が必要だろうか。 諸君は冒涜の言葉を聞いた。どう考えるか。」 一同は、死刑にすべきだと決議した。 それから、ある者はイエスに唾を吐きかけ、目隠しをしてこぶしで殴りつけ、「言い当ててみろ」と言い始めた。 また、下役たちは、イエスを平手で打った。

 ペトロが下の中庭にいたとき、大祭司に仕える女中の一人が来て、 ペトロが火にあたっているのを目にすると、じっと見つめて言った。 「あなたも、あのナザレのイエスと一緒にいた。」 しかし、ペトロは打ち消して、「あなたが何のことを言っているのか、わたしには分からないし、見当もつかない」と言った。 そして、出口の方へ出て行くと、鶏が鳴いた。 女中はペトロを見て、周りの人々に、「この人は、あの人たちの仲間です」とまた言いだした。  ペトロは、再び打ち消した。 しばらくして、今度は、居合わせた人々がペトロに言った。 「確かに、お前はあの連中の仲間だ。 ガリラヤの者だから。」 すると、ペトロは呪いの言葉さえ口にしながら、「あなたがたの言っているそんな人は知らない」と誓い始めた。 するとすぐ、鶏が再び鳴いた。 ペトロは、「鶏が二度鳴く前に、あなたは三度わたしを知らないと言うだろう」とイエスが言われた言葉を思い出して、いきなり泣きだした。

 夜が明けるとすぐ、祭司長たちは、長老や律法学者たちと共に、つまり最高法院全体で相談した後、イエスを縛って引いて行き、ピラトに渡した。 ピラトがイエスに、「お前がユダヤ人の王なのか」と尋問すると、イエスは、「それは、あなたが言っていることです」と答えられた。 そこで祭司長たちが、いろいろとイエスを訴えた。 ピラトが再び尋問した。 「何も答えないのか。彼らがあのようにお前を訴えているのに。」 しかし、イエスがもはや何もお答えにならなかったので、ピラトは不思議に思った。  ところで、祭りの度ごとに、ピラトは人々が願い出る囚人を一人釈放していた。 さて、暴動のとき人殺しをして投獄されていた暴徒たちの中に、バラバという男がいた。  群衆が押しかけて来て、いつものようにしてほしいと要求し始めた。  そこで、ピラトは、「あのユダヤ人の王を釈放してほしいのか」と言った。 祭司長たちがイエスを引き渡したのは、ねたみのためだと分かっていたからである。  祭司長たちは、バラバの方を釈放してもらうように群衆を扇動した。 そこで、ピラトは改めて、「それでは、ユダヤ人の王とお前たちが言っているあの者は、どうしてほしいのか」と言った。  群衆はまた叫んだ。 「十字架につけろ。」  ピラトは言った。 「いったいどんな悪事を働いたというのか。」 群衆はますます激しく、「十字架につけろ」と叫び立てた。 ピラトは群衆を満足させようと思って、バラバを釈放した。

 そして、イエスを鞭打ってから、十字架につけるために引き渡した。  兵士たちは、官邸、すなわち総督官邸の中に、イエスを引いて行き、部隊の全員を呼び集めた。 そして、イエスに紫の服を着せ、茨の冠を編んでかぶらせ、  「ユダヤ人の王、万歳」と言って敬礼し始めた。 また何度も、葦の棒で頭をたたき、唾を吐きかけ、ひざまずいて拝んだりした。 このようにイエスを侮辱したあげく、紫の服を脱がせて元の服を着せた。 そして、十字架につけるために外へ引き出した。 そこへ、アレクサンドロとルフォスとの父でシモンというキレネ人が、田舎から出て来て通りかかったので、兵士たちはイエスの十字架を無理に担がせた。 そして、イエスをゴルゴタという所 ----その意味は「されこうべの場所」---- に連れて行った。  没薬を混ぜたぶどう酒を飲ませようとしたが、イエスはお受けにならなかった。  それから、兵士たちはイエスを十字架につけて、その服を分け合った、だれが何を取るかをくじ引きで決めてから。

 イエスを十字架につけたのは、午前九時であった。 罪状書きには、「ユダヤ人の王」と書いてあった。  また、イエスと一緒に二人の強盗を、一人は右にもう一人は左に、十字架につけた。  こうして、「その人は犯罪人の一人に数えられた」という聖書の言葉が実現した。 そこを通りかかった人々は、頭を振りながらイエスをののしって言った。 「おやおや、神殿を打ち倒し、三日で建てる者、 十字架から降りて自分を救ってみろ。」  同じように、祭司長たちも律法学者たちと一緒になって、代わる代わるイエスを侮辱して言った。 「他人は救ったのに、自分は救えない。 メシア、イスラエルの王、今すぐ十字架から降りるがいい。 それを見たら、信じてやろう。」 一緒に十字架につけられた者たちも、イエスをののしった。  昼の十二時になると、全地は暗くなり、それが三時まで続いた。  三時にイエスは大声で叫ばれた。 「エロイ、エロイ、レマ、サバクタニ。」 これは、「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」という意味である。 そばに居合わせた人々のうちには、これを聞いて、「そら、エリヤを呼んでいる」と言う者がいた。 ある者が走り寄り、海綿に酸いぶどう酒を含ませて葦の棒に付け、「待て、エリヤが彼を降ろしに来るかどうか、見ていよう」と言いながら、イエスに飲ませようとした。 しかし、イエスは大声を出して息を引き取られた。 すると、神殿の垂れ幕が上から下まで真っ二つに裂けた。  百人隊長がイエスの方を向いて、そばに立っていた。そして、イエスがこのように息を引き取られたのを見て、「本当に、この人は神の子だった」と言った。 また、婦人たちも遠くから見守っていた。 その中には、マグダラのマリア、小ヤコブとヨセの母マリア、そしてサロメがいた。 この婦人たちは、イエスがガリラヤにおられたとき、イエスに従って来て世話をしていた人々である。 なおそのほかにも、イエスと共にエルサレムへ上って来た婦人たちが大勢いた。

 既に夕方になった。その日は準備の日、すなわち安息日の前日であったので、 アリマタヤ出身で身分の高い議員ヨセフが来て、勇気を出してピラトのところへ行き、イエスの遺体を渡してくれるようにと願い出た。 この人も神の国を待ち望んでいたのである。  ピラトは、イエスがもう死んでしまったのかと不思議に思い、百人隊長を呼び寄せて、既に死んだかどうかを尋ねた。  そして、百人隊長に確かめたうえ、遺体をヨセフに下げ渡した。  ヨセフは亜麻布を買い、イエスを十字架から降ろしてその布で巻き、岩を掘って作った墓の中に納め、墓の入り口には石を転がしておいた。 マグダラのマリアとヨセの母マリアとは、イエスの遺体を納めた場所を見つめていた。
(マルコ 14:1-15:47)

 

(6分28秒 m4a)
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第1朗読

 主なる神は、弟子としての舌をわたしに与え
疲れた人を励ますように
言葉を呼び覚ましてくださる。 朝ごとにわたしの耳を呼び覚まし
弟子として聞き従うようにしてくださる。
 主なる神はわたしの耳を開かれた。 わたしは逆らわず、退かなかった。
打とうとする者には背中をまかせ
ひげを抜こうとする者には頬をまかせた。 顔を隠さずに、嘲りと唾を受けた。
 主なる神が助けてくださるから
わたしはそれを嘲りとは思わない。 わたしは顔を硬い石のようにする。 わたしは知っている
わたしが辱められることはない、と。
(イザヤ 50:4-7)

 

第2朗読

 イエス・キリストは、神の身分でありながら、神と等しい者であることに固執しようとは思わず、かえって自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられました。 人間の姿で現れ、へりくだって、死に至るまで、それも十字架の死に至るまで従順でした。 このため、神はキリストを高く上げ、あらゆる名にまさる名をお与えになりました。 こうして、天上のもの、地上のもの、地下のものがすべて、イエスの御名にひざまずき、すべての舌が、「イエス・キリストは主である」と公に宣べて、父である神をたたえるのです。
(フィリピ 2:6-11)

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