借地・借家問題



地代・賃料の増減請求をする場合

〜家賃は勝手に上げられない〜

 土地・建物についての賃料が租税や経済事情の変動、近傍同種の土地・建物の賃料に対して不相当になった時などには、将来的に賃貸人からは増額請求、賃借人からは減額請求ができます。しかし、一定期間、地代・賃料を増額しない特約がある場合にはできません。

 例えば、賃貸人が増額請求をしてきた場合、賃借人が応じる場合を除いて当然に賃料が上がる訳ではありません。賃借人が応じない場合、賃貸人が訴えを提起し、増額についての調停がまとまるか、裁判が確定して初めて賃料が上がります。
 この場合には、支払った額に不足がある場合には、不足額に年1割の割合による支払い期後の利息を支払うことになります。したがって、増額に応じない場合には、賃借人としては自分が相当と認める額の賃料を支払えばよいのです。

 しかし、賃借人が従前の賃料を持参しても賃貸人が受け取らないことがあります。
 この場合には、賃料を供託することにより、賃料債務を消滅させることができます。賃貸人は供託金を受け取ることができますが、ここでは注意が必要です。
 この供託金を何の留保もせずに、受け取ってしまうと従前の賃料を認めたことになってしまいます。かならず、賃料の一部として受け取る旨の留保をしておきましょう。しかしかといって、何もせず、供託金を受け取らないこともお奨めできません。なぜなら、供託金は取り戻しができる為、数ヶ月間そこに住んでおいて、賃借人が数ヶ月分の家賃である供託金を取り戻してそのまま行方不明になってしまうこともあるからです。この場合には、留保を付けた供託受諾をしておくことでそれを防ぐことができます。
賃貸人が賃借人の賃料不払いを理由に催告のうえ解除する場合

〜家賃を払わないなら出て行け〜


 賃借人が定められた賃料を支払わないことは債務不履行になります。賃貸人は相当の期間を定めてその履行を催告し、その期間内に履行がない場合には契約を解除することができます。
 しかし、賃料を1、2ヶ月分支払っていない程度では、信頼関係が破壊されていないと評価されるため解除は認められません。判例により賃借人は保護されているからです。

 また、催告を要せず解除できる旨の特約があっても、無催告解除は認められない場合がほとんどです。この場合には、相当の期間(7日程度)を定めて催告をし、その後で解除をするやり方と、催告の際に、履行がないときは解除する旨を合わせて通知する方法があります。後者の場合は催告期間内に履行がないことにより当然に解除の効果が発生します。前者の場合には催告の通知と解除の通知を別に出すため手間がかかることになりますので、後者のように合わせて通知するのが得策です。
賃貸人に対する敷金返還請求・賃借人に対する原状回復費用請求する場合

〜余計な費用は請求できない〜



 敷金は賃貸借契約上の賃借人の債務を担保するものですから、賃貸借が終了した場合には賃貸人はこれを賃借人に返還しなければなりません。
 しかし、賃借人は建物を明渡した後でなければ敷金の返還を請求できません。賃貸人は、賃借人に未払いの債権が残っている場合には、敷金返還債務と相殺することができます。

 また、賃借人は契約終了時に賃借物を原状に回復したうえで返還しなければなりません。しかし、原状回復とは言っても壁や畳がすり減った場合や通常の範囲内の汚れなどは、賃貸人の使用収益させる義務の範囲内といえ、賃借人が負うべき義務とはいえません。つまり、特約がある場合(著しく賃借人に不利なものは無効とされることが多い)を除いて、通常の損耗については賃借人に回復の義務はない事になります。
 賃貸人が畳み替えや壁紙の張り替え費用等を原状回復費用として敷金の中から差し引くという場合が少なくありませんが、特約がないかぎり、そのような費用を支払う必要はありません。

 内容証明郵便を送っても効果がない場合には「小額訴訟」を検討してみましょう。

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