98年11〜12月分
1999年分
2000年分
2001年分

ついに誕生!県内最大級のコミュニティFM
 1月21日、FMチャンプラ、FMたまんに次ぐ沖縄県内3番目のコミュニティFM放送局が、“てだこのまち”浦添市に開局した。その名は“FM21”。
 このFM21を開局させたのは、浦添市の東部、前田にある建設業、丸産業の社長、石川丈浩さん(61)。石川さんは建設業を営み、主として管工事や住宅設備機器の販売・工事を中心に事業を営んできた。着実に事業を営み、自社ビルも建設した。その石川さんが、浦添市を中心にした情報発信の拠点になろうと、FM21を作り、自社ビルの7階にスタジオから送信設備までのすべての設備を設置した。
 FM21の放送区域は、浦添市のほぼ全域を中心に、那覇市、宜野湾市、西原町の一部にまで及び、区域内の人口は20万人を超える。FMチャンプラが沖縄市を中心に人口約12万、FMたまんが糸満市を中心に人口約6万ということから、沖縄県内最大級のコミュニティFM局が誕生することになる。
 コミュニティFM局は、出力が10〜20Wで、電波の届く範囲が限られているため、限られた区域できめ細かい情報を発信することができる。このため、CMの放送料金も県域局のFM沖縄よりはるかに安い料金で放送できる。5年前に開局したFMチャンプラ、FMたまんがそれを証明している。両局とも20秒スポット1回で2000円と、FM沖縄の10分の1の低料金ですむのだ。FM21も1000円の料金で放送できることから、中小や零細の企業、個人経営のお店にとっては手頃な料金で広告宣伝ができるわけだ。
 県内最大級のコミュニティFM局、FM21の開局は、沖縄県内のラジオ放送事情を変えることになる。県域局であるRBC、ROK、FM沖縄は戦々恐々だ。とりわけ、同じ浦添市に放送局がある上、FMという同じ電波を使うFM沖縄にとってFM21の開局は、那覇・浦添両市に渡る放送区域での競争である上、格安なCMの放送料金が武器となるだけにますます激しくなる競争激化にさらされることになる。このため、FM沖縄は昨年、老朽化した浦添市小湾の局舎を建て替え、将来のデジタルラジオ放送ができるような最新の設備を導入した上、昨年の秋の改編では、朝9時から10時30分まで放送していた東京からのネット番組『Open sesame!〜ひらけごま!』をやめ、16年ぶりの自社制作番組『Hello Good Day! 』を新設、パーソナリティーにはFM沖縄の“小森のおばちゃま”こと安谷屋真理子アナウンサーを起用した。そして、それまで安谷屋さんが担当していた夕方6時台には、自分探しをテーマにした『PEPOSE AFTER HOURS』を投入、FM21を迎え撃つ体制を構築したという。
 また、中波を使うRBC、ROKにとってもFM21は強敵になることはいうまでもない。長引く不況の影響で収益が減り続け、夜間の時間帯を中心にローカル番組の縮小を余儀なくされている。また、昨年4月に名護・国頭に開局したFM中継局の初期費用の負担も重い。とりわけROKはCSデジタル放送“スカイパーフェクTV”から撤退した。おまけに地上波デジタル放送の初期負担もかかり、両局にとっては“ラジオ放送事業の存亡をかけた”戦いを強いられることになるのだろうか?
 さて、肝心のFM21の番組内容だが、小規模のコミュニティFM局にふさわしく、報道、生活、タウン、観光、娯楽情報など、地域に密着した多彩な番組を用意、なかでもFM21の近くに国際協力事業団の沖縄国際センターがあることから、国際化と若者たちの社会参加による番組作りに力を入れるとか。ハワイのウチナーンチュ向けの番組と電話で会話、同時放送の実現にも取り組みたいともいう。20日までの試験放送では、クラシックや歌謡曲・懐メロなどが放送されたが、歌謡曲・懐メロの番組も用意されており、特に中高年のリスナーにとっては朗報だ。
 問題は、小泉内閣が“聖域なき構造改革”のもとに押し進めている金融機関の不良債権処理問題。20秒スポット1回で1000円の低料金に設定されているとはいえ、中小や零細の企業、個人経営のお店がこれに飛びついてくるのかが課題だ。金融機関の不良債権処理のあおりを受けて、中小や零細の企業の多くが、倒産や廃業に追い込まれているのが現状である。経済の構造改革のもとで、多くの企業が倒産や廃業に追い込まれる中で、果たしてFM21は生き残れるのだろうか。放送のデジタル化の中でのサバイバル競争の中で、開局早々正念場を迎えることになる。
 21世紀の夢を抱いて船出した“てだこのまち”浦添の新しい波“FM21”。昨年9月の米国同時多発テロ事件による経済打撃の中で、果たして、石川社長の夢は、実現できるのだろうか?前途多難の開局である。

【FM21の概要】

(2002/1/20)

新生NTTグループスタート、その先には?
 日本最大の通信企業グループ、NTTグループが、5月1日、東西地域アウトソーシング子会社を中心とした新体制に生まれ変わった。
 21世紀を迎え、日本の通信事情は、音声だけの電話から、ビデオ映像、音楽、文字情報などのデータ通信へと、その主流が変わってきた。そして、今年4月、電話会社選択サービス“マイライン”制度のスタートにより、電話料金の値下げ競争が激しくなり、また、21世紀の通信の主役ともいうべき光ファイバー通信サービス“Bフレッツ”も、電力系事業者との競争に巻き込まれ、東京23区の一部だけとはいえ、格安なサービスの提供を迫られてきた。さらには、NTT東日本、NTT西日本は、電電公社時代の1970年代に電話の普及が進んだときに、電話の加入申し込みが急増したときに大量採用された、40代、50代の社員が多く、また、1985年の民営化以降、新規採用を絞り込み、ついに2001年以降は新卒採用を取りやめとなったため、従業員構成が片寄り、人件費の負担が重荷となっていた。
 このため、固定電話事業を担うNTT東日本、NTT西日本は収益の大幅な悪化を余儀なくされた。それだけではなく、全世界的なITバブル崩壊の影響で、長距離・国際通信を担うNTTコミュニケーションズや携帯電話事業を担うNTTドコモも、外国の出資先の株式価値が大幅に下落し、大幅な赤字に転落、この結果、2002年3月期決算はグループ全体で9000億円もの赤字に転落した。
 こうした背景で、NTTグループも東西地域会社を中心に、日本産業史上最大の大規模なグループ再編を敢行した。
 固定電話市場の縮小や料金値下げ競争などにより経営が悪化したNTT東日本、NTT西日本では、両社の業務を経営戦略の企画・立案と大企業・官公庁向けの営業に特化し、残る総務・経理部門と個人・中小企業向け営業をアウトソーシング子会社に全面外注させ、満51歳以上の社員を退職させて給料を30%カットして再雇用させることにした。NTT東日本は都道県ごとに、NTT西日本は一部複数府県を束ねて15地域ごとに、それぞれ営業系、設備系、事務系の子会社を設立(一部既存の子会社を分割して利用)した。その数、営業系32社、設備系32社、事務系33社、計97社である。
 また、4月25日付日経新聞が報じたところでは、NTTグループの設備事業会社、NTTファシリティーズも、ブロック支店の一部と県域支店を東西地域会社同様のアウトソーシング化し、現在6100人の社員のうち3300人を転籍・出向させることが発表された。会社を細分化した上で、1年以内に東西地域会社の設備系アウトソーシング子会社と統合させるか、あるいは受託先を東西地域会社の設備系アウトソーシング子会社に変更させた上で、会社を解散させる可能性もありそうだ。
 ここでは、NTT西日本について、企業再編の方式をPDF文書にして表現してみた。『ADOBE ACROBAT READER』をご利用の上ご覧いただきたい。
NTT西日本の企業再編の方式はこちら。
 昨年4月に、会社の事業の一部を切り離して新たに設立する会社や既存の会社に承継させることを容易にした“会社分割制度”が導入されたが、NTT東西地域会社の場合、「会社分割制度をそのまま適用すれば、NTT東西地域会社の個人・中小企業向けの営業権そのものを包括的に承継させることになるので会社分割制度は適用できない。」とある。また、労働契約承継法により、会社分割制度をそのまま適用した場合、50歳以下の社員を含めて、総務・経理部門および個人・中小企業向け営業に主として従事する社員全員を、本人の同意なしで転籍させることができるが、給料の引き下げなど労働条件の切り下げは認められないため、労働契約承継法も適用できない。このため、会社分割の抜け道として、アウトソーシングという手法に出てきたのである。NTT労組も「企業を守るためには、転籍・賃下げも飲まざるを得ない」と、合理化策をやむなく受け入れた。
 こうして人件費など低コストのアウトソーシング会社を発足させた後は、連結納税制度の導入である。当面、持ち株会社を頂点としたNTTグループ全体では、連結納税制度の導入は無理であるため、今回のグループ再編の対象となったNTT東日本、NTT西日本から、先行導入することになりそうだ。
 連結納税制度は、親会社と子会社で構成する企業グループを一つの企業のようにみなして親会社と子会社の所得を通算して法人税を課税するもので、今年4月に家電部門と産業機器部門を会社分割した大手家電メーカー・日立製作所が「社会が変わるとき、変えるのは日立でありたい。」の企業CMの言葉を具体化させるかのように、この連結納税制度を率先して導入することを決めている。また、日立製作所は連結納税制度の導入を検討している企業に、連結納税に必要なソリューションを提供するビジネスを立ち上げようとしており、NTT東西地域会社も連結納税に必要なソリューションの提供を日立製作所から受けることだろう。対象会社は、親会社と親会社が100%出資する国内子会社、その子会社が100%出資する孫会社も対象となる。しかし、税収不足をおそれて、2年間の時限措置として、連結納税制度を導入した場合、2%の連結付加税が加算されるため、産業界からは反発の声も挙がっている。必要な法案は、5月の大型連休明けに通常国会に提出され、成立すれば4月1日からさかのぼって適用され、2003年3月決算期から適用できる。
 連結納税制度の対象に照らし合わせてみれば、NTT西日本の場合、連結納税のメリットが高いとされる。今回の大規模再編にあたり、NTT西日本はテレマーケッティング子会社4社を分割して15地域ごとの営業系アウトソーシング受け皿会社に分割し、本社機能と東京支店は合併して「NTTマーケッティングアクト(以下「NTT-MA」という)」という、営業系統括会社にし、また、ME子会社6社も同様に15地域ごとの設備系アウトソーシング受け皿会社に分割し、本社機能は合併して設備系統括会社「NTTネオメイト(以下「NTT-NM」という)」となった。沖縄県は、沖縄支店の個人・中小企業向け営業をNTT-DOに統合して全国唯一の営業系・設備系一体型アウトソーシング会社となった。NTT西日本の下に営業系・設備系ごとに事実上の中間持ち株会社となる統括会社を置き、さらにその下にそれぞれ15地域ごとの設備系アウトソーシング会社がおかれる構造になる。NTT-MA、NTT-NMともにNTT西日本の100%子会社であり、両社の折半出資会社となるNTT-DOを除いて、両社の下におかれるアウトソーシング会社もその100%子会社となるため、連結納税制度を適用できる下地は整ったのだ。
 これにより、大企業・官公庁向けの営業だけになり、人員を大幅にスリム化したNTT西日本本体が今回のリストラ・合理化の結果、黒字決算になった場合、単独納税だったら、その利益に30%の法人税が課されることになるが、連結納税制度を適用すれば、アウトソーシング孫会社が赤字となった場合、その分の税負担を軽減することができる。さらに、本体が黒字であっても、本体と連結納税の対象となる子会社・孫会社の利益の合計が赤字となれば、法人税は課税されないということになる。NTT西日本の場合、多くのアウトソーシング会社が赤字になる見込みであるから、たとえ2%の連結付加税が加算されても、連結納税制度の導入メリットはあると考える。
  逆にNTT東日本の場合は、営業系はNTT東日本の100%子会社(資本金1000万円)となる見込みで、連結納税ができるが、設備系はNTT東日本と子会社のNTT-MEの共同出資となる可能性が大きいため、連結納税のメリットは薄いかも知れない。
 さらに、事務系のアウトソーシング会社は、東西地域会社と持ち株会社傘下の事務業務を担うNTTビジネスアソシエ(以下「NTT-BA」という)が共同出資して東日本と東海は各都道県ごとに、近畿以西は各支店ごとに地域BA子会社を設立する。このため、連結納税は適用できない。それどころか、すべてがNTT-BA51%、東西地域会社49%の持ち株比率となるため東西地域会社の連結対象からもはずれる。もし、NTT-BAと地域BA子会社33社が、共同で持ち株会社を作って経営を統合すれば、NTT-BAと地域BA子会社33社は持ち株会社の100%子会社となるため、連結納税ができる。
 今後、東西地域会社から切り離されたアウトソーシング会社は、東西地域会社からの業務委託費を年々切り下げられていく中で、グループ外からの受注拡大や新規事業の開拓、さらには受託業務のコストダウンを通じて、グループトータルのコスト競争力を推進していくことになる。すなわち、NTTグループを一つの会社として、グループ全体で売り上げを伸ばす連結経営を実践していくことになる。
 しかし、料金の下落で光ファイバーサービスの大衆化が進めば、インターネットを活用したIP電話が登場し、動く映像と一緒に安い料金で通話ができるようになれば、長年に渡って構築されてきた固定電話のネットワークは無用の長物となるため、切り離されたアウトソーシング会社の未来には不透明さもある。また、市場では今回の東西地域会社の合理化で、NTTグループの収益向上に果たしてつながるかという疑問も出ている。このため、今後、市場環境に変化が起これば、東西地域会社のアウトソーシング子会社間はもとより、NTTグループ間、あるいはグループ内外で、合併や会社分割などの企業再編を行うだろう。具体的には、設備系または営業系同士が合併し、広域化を図ったり、沖縄県のNTT-DOのように同一地域内で営業系と設備系が合併したり、NTTドコモ四国の子会社であるドコモサービス四国が営業部門と事務部門に分割した上で、営業部門をNTT-MA四国に、事務部門をNTT-BA四国にそれぞれ統合、同じくドコモエンジニアリング四国をNTT-NM四国に吸収合併(ただしこの場合、NTTドコモ四国にもMA四国とNM四国の株が割り当てられるため、NTT西日本の連結納税の対象からはずれることとなる。)、前述のNTT-BAと地域BA子会社33社が共同で持ち株会社を作って経営を統合した上で、北海道・北陸・四国・沖縄を除く地域BA子会社29社を7社に統合するなど、細分化を生かした機動的な再編が行われることになるだろう。
  また、小泉政権の下で不良債権の処理を急いでいる金融機関も、「あの会社はNTT東西の不良債権的なものだ」と、事業資金の融資を拒否したり、融資に応じても金額を制限したり、通常より高い金利を設定すると思う。これにより、比較的資本金の少ない営業系アウトソーシング子会社を中心に、経営破たんに追い込まれることになるだろう。その場合、会社を細分化しているため東西地域会社の痛みは少なくてすみ、逆に破たんしたアウトソーシング子会社に押し込まれた人間は全員が職を失うという激痛を食らう。
 こうして東西とファシリティーズを中心に、アウトソーシングに名を借りた“事実上の会社分割”をやっても、グループ総人員は東西地域会社が事前に行った希望退職者募集により、約19万5千人となる。しかしこれでは、株主の間から「中高年の雇用確保に名を借りたリストラで、料金値下げなど競争激化に対応するにはグループ全体での人減らしが必要だ。」との声も上がりつつある。そのため、東西地域会社およびNTTファシリティーズでは、会社分割制度や労働契約承継法の適用ができなかった上、また予算面の関係からも出向の取り扱いとした、3社のアウトソーシング子会社に出向中の50歳以下の社員約5万人についても、本体へ戻す予定はまずないものとして全員を転籍とさせることを考えるだろう。また、営業系、設備系、事務系、ファシリティーズエンジニアリング、都道府県・地域別というふうに細分化したことから、次回、人員削減計画が策定されれば、NTTグループ総ぐるみの大規模なものになるだろう。その際、東西地域会社およびNTTファシリティーズの業務アウトソーシング子会社が、大幅な人員削減の対象(その場合、整理解雇が行われることになる。)になることは言うまでもない。中でもNTT西日本傘下のNTT-MA地域会社は、既存のテレマーケッティング子会社4社を分割したために、NTT西日本からの人員押し込めによって、派遣・パート従業員が大量に切り捨てられることも懸念される。(首都圏の番号案内業務を請け負う沖縄県のNTT-DOのテレマーケッティング部門も同様)
 商法の会社分割制度や労働契約承継法を逸脱し、アウトソーシングに名を借りた“事実上の会社分割”、不良債権の細分化によって日本産業史に残る過去最大級の大規模な企業再編により生まれ変わったNTTグループ。その大規模な企業再編は、アウトソーシングに名を借りた、会社分割制度によらない再編手法として、“NTT東西方式”と名付けられ、今後、業績不振や過剰雇用に悩む多くの企業が、不良事業部門等の人員ごとの分割・整理に利用されることだろう。6月下旬の株主総会で、持ち株会社制導入から東西地域会社の合理化まで、一応の経営効率化のめどをつけた持ち株会社の宮津純一郎社長は相談役に退き、代わりに和田紀夫副社長が持ち株会社の社長に就任、新生・NTTグループが7月にスタートする。果たして、新しい社長・新体制のもとで、本格的なブロードバンド競争時代の中、どのような事業戦略を展開するのか、「チェンジをチャンスに」することができるのか、そして最大30%もの賃金を引き下げられた上でアウトソーシング会社に押し込められた社員の運命はいかに?新生・NTTグループの新たな展開に乞うご期待!?

【関連リンク】

NTT持ち株会社のホームページ
NTT東日本のホームページ
NTT西日本のホームページ
(2002/5/1)

視聴率最下位なので、「トルネードスピン」!?
 小生がよく見る数少ない民放の番組の一つ、『タイムショック21』(TV-ASAHI系=毎週月曜日午後8時、沖縄はQABが放送)が、6月17日限りで廃止となった。1分間に12問のクイズを立て続けに出題する往年の人気クイズ番組をリメイクした番組だったが、結局この番組自体が“トルネードスピン”を食らってしまったものだった。廃止の原因を私なりに考察してみた。
 まず、結論から言えば、『タイムショック21』という、“21世紀仕様のクイズタイムショック”という意味合いのタイトルにふさわしくなかった番組だったというわけだ。
 第1には、月曜夜8時の視聴率激戦区で、他局に大きく水をあけられた。この時間帯では、NIHON-TV系列の『世界まるみえ!テレビ特捜部』(沖縄ではOTVで毎週日曜日午後2時放送)、TBS系列の『水戸黄門』、FUJI-TV系列の『HEY!HEY!HEY!』、TV-TOKYO系列の『徳光和夫の情報スピリッツ』がひしめく中で、5局中最下位に低迷したことだった。『世界まるみえ!…』が常に視聴率トップを行く中で、今年1月以降、7%前後に低迷していた上、『徳光和夫の情報スピリッツ』にまで抜かれるという、情けない状況になっていた。(しかもこの徳光さんの番組は、QABで毎週土曜日の午前9時30分に放送されていることから、QABの編成担当者にとってはこの上もないショックとなっただろう。)しかし、大阪・名古屋地区では2ケタをとる週も多かったが、東京の視聴率には勝てなかったのだ。
 第2には、メインスポンサーの大正製薬以外に、これといった提供スポンサーが付きにくくなっていたことだ。TV-ASAHIの場合、大手スポンサーが付きにくい構造となっていたため、中堅・中小企業の小口の提供が多かった。ところが、1998年の長野冬季五輪以降、中堅・中小企業が金融機関の貸し渋りにあって倒産する企業が続出し、またその影響で提供中のスポンサー企業の倒産が続出、また大手企業もリストラで放送広告を減らすなど、厳しい経営環境にあった。その中で制作費の捻出が困難になったという。今年3月期のTV-ASAHIの決算では、7月の『第9回世界水泳選手権福岡大会』独占放送関連の売り上げが大きく貢献したものの、小泉政権の“聖域なき経済構造改革”の影響で番組提供・スポットとも売り上げが落ち込み、経常利益が前年比の半分にとどまった。来年3月期も『W杯サッカー』の効果はあるものの売り上げの伸びは期待できず、業績の低迷はさけられないという。
  第3には、過剰な演出、他局番組をまねたサブタイトルが多かったことだ。画面の左上のサイドスーパーや不要なナレーションはもとより、クイズの合間のトークが多く、また、芸能人の部のコーナーで司会の中山秀征さんや新山千春さんと芸能人出場者とのふざけたやりとりが多かったなど、“おそまつ極まりない”普通のバラエティ番組と変わらぬ制作手法となり、視聴者から敬遠されるのも仕方がない。また、タイムショックのセットを積んだトラックが全国各地(といっても関東周辺のみ)を回ってクイズをやる“出張タイムショック”や、“○○○クイズ王選手権”というような、TV-TOKYOの番組をまねた企画が多く、田宮二郎さんや山口崇さんが司会をしていたときとはかけ離れてしまい、小生をはじめファンを興ざめさせてしまった。“時の迷宮”に象徴されるSFタッチの演出も制作費高騰につながってしまった。昔と変わらぬ矢島正明さんの出題ナレーションによる1分間12問のタイムショッククイズだけならまだよかったが。
 特にひどかったのが、昨年8月から9月にかけて、“夏休み特別企画”と称して大磯ロングビーチで行った公開放送の時だった。このときはグラビアアイドルを迎えての“グラビアアイドル大会”(ちなみに優勝は佐藤江梨子さんで10問正解80万円獲得)と、過去にタイムショックで6問正解できずにトルネードスピンを食らった男性タレント7名に、高さ7mの飛び込み台を使ってタイムショッククイズを出題し、6問正解できなかったら大きな風船に圧迫されて飛び込み台から真っ逆様にプールへ“トルネードダイブ”という“クイズ特訓”を施した。出場したタレントの中には、7問正解したのに“トルネードダイブ”されたり、クイズの途中なのに風船がふくらんで“トルネードダイブ”されたケースもあった。これでは、「果たしてこの番組が“青少年に推薦したい番組”なのか疑問だ」という声がTV-ASAHIの視聴者センターに寄せられたのも当然だった。2週とも8%台の視聴率になったのも当然だった。この『タイムショック21』に喝を入れたのが、翌週の放送の「芸能人の部」に出場した柴田光太郎さん。柴田さんは1969年から1978年まで、10年近くに渡り『クイズタイムショック』の司会を務めた、今はなき70年代の名優だった田宮二郎さんの息子で、島崎和歌子さんなどを相手に9問正解してその日のトップ賞に輝いた。また、あの当時の「現代は時間との戦いです。さあ、あなたの心臓に挑戦します。Time is money.1分間で100万円のチャンスです。果たして超人的なあなたはこのチャンスをどう生かすか。クイズタイムショック。」という、TV-ASAHIの歴史にさんぜんと輝く田宮二郎さんのオープニングの映像も紹介された。TV-ASAHIの視聴者センターには、「柴田さんの「ターイムショック!」の一言ですっきり番組を見終えることができた」「柴田さんに司会をさせろ、中山はだめだ」などの声が寄せられた。柴田さんの司会起用もないまま番組終了となってしまった。
  第4に、ころころ変わるルール。以前の5人1組で、2組がCGによるビジュアルタイムショッククイズで3問先取したチームが賞金積立方式のファイナルタイムショックで3人クリアしたら賞金を持ち帰られるルールが一番よかったが、その後、5人全員クリアしなければならなくなったり(ただし、3人クリアした場合、100万円は保障される。)、以前のトーナメント方式に戻したりと、ルールがころころ変わってしまい、これが視聴率低迷の要因となった。4月29日に“個人戦”がスタートし、ようやく本来のタイムショックならではのおもしろさが出てきた矢先に番組打ち切りの決定が下った。田宮二郎さんや山口崇さんが司会をしていたときは17年間ずっと同じルールでやってきた(おりに触れて“親子大会”とか“芸能人大会”などの特集企画もやったが)のに。
 以上にあげた4つの要因が、『タイムショック21』打ち切りの要因となった。BSデジタル放送も始まり、来年暮れには東京・名古屋・大阪地区で地上波デジタル放送も始まるなど、高画質・高音質のコンテンツが求められる中で、“21世紀仕様のクイズタイムショック”にふさわしくなかった番組だった。
 TV-ASAHIは2000年10月、民放キー局5局中4位という定位置、今にもTV-TOKYOにも抜かれるという中、往年の人気番組だった『クイズタイムショック』を21世紀仕様に仕立て、“時の迷宮”というSFタッチに仕立てた『タイムショック21』で巻き返しをはかろうとした。しかし、視聴率は伸び悩み、その時間帯の民放5局中最下位に陥り、放送時間の変更なども検討したが、ついに打ち切りを決断してしまった。そして、後番組として『ダーク・エンジェル1』という、海外から購入したテレビドラマ(7月8日からスタート。その前日の7日の『日曜洋画劇場』枠で2時間スペシャルとして制作された第1話を放送するため、8日の放送は第2話となる。)を編成する。また、水曜日夜に放送していた『目撃!ドキュン』『せきらら白書』も打ち切り、代わりに常設スペシャル番組『水曜スペシャル』を復活させるという。久米宏の『NEWS STATION』でしか食っていけなくなったTV-ASAHI、事業の柱ともいうべき広告収入が年々落ち込んでいく中で、社運をかけたともいうべきかつての名クイズ番組復活に失敗したTV-ASAHIは今後、どこへ行くのだろうか。おそらく系列局のどこかが経営破綻することも考えられるのか?
 そのTV-ASAHIは、『クイズタイムショック』をはじめ同局の黄金時代を彩った数々の名番組を制作していた旧六本木センターの跡地に新社屋を建設中だ。2000年12月に全線が開通した東京都営地下鉄大江戸線の開業にあわせて進められている“六本木6丁目再開発計画”の一環として進められており、来年の秋に完成する。地上波デジタル放送やデジタルハイビジョン放送に完全対応した設備を備えたこの新しい局舎が完成したあかつきには、新社屋の落成と地上波デジタル放送の開始を記念しての特別番組として、ハイビジョンのきれいな映像と迫力あるステレオサウンド、そしてかつての名優・田宮二郎さんの息子・柴田光太郎さんの司会による、今度こそ本当の“21世紀仕様のクイズタイムショック”、その名も『ハイビジョン・クイズタイムショック』を見たいものだ。その時まで、出題ナレーターの矢島正明さん、お達者で。
(2002/6/17)

 
経済構造改革の波に飲み込まれた『東芝日曜劇場』

 約46年間に渡って日曜夜のお茶の間に定着してきた、TBS系列全国31局ネットで日曜日午後9時から(秋田県、福井県、徳島県は1週遅れの日曜日午後に放送)放送されてきた、『東芝日曜劇場』が、提供スポンサーの東芝の撤退により今年9月をもって46年間の歴史に終止符を打つことになった。
  『東芝日曜劇場』はTBSがラジオ東京テレビとして放送開始した翌年の1956年12月にスタート、当初は舞台中継としてスタートしたが、後に1発勝負のホームドラマ番組となった。橋田寿賀子作、石井ふく子制作、鴨下信一演出による『女と味噌汁』シリーズは、ホームドラマ番組の王道を行く番組となり、『東芝日曜劇場』の人気シリーズとして日曜夜のお茶の間に親しまれた。その精神は、現在木曜午後9時から放送されている『渡る世間は鬼ばかり』に引き継がれている。
 また、『東芝日曜劇場』は、北海道HBC、愛知CBC、大阪MBS(1975年までABC)、福岡RKBも制作に参加し、その土地に根ざした単発ドラマを制作、放送してきた。中でも、HBC制作の『うちのホンカン』シリーズは、北海道の大自然を舞台に、主演の大滝秀治さんのキャラクターがかみ合っていて、視聴者の間に好評だった。
 1993年からは、これまでの単発ドラマから、3ヶ月単位での連続ドラマ形式にフルモデルチェンジした。『丘の上の向日葵』をはじめ『カミさんの悪口』『理想の上司』などの作品が放送され、最近では木村拓哉さんと常盤貴子さんの主演で障害者と美容師を目指す青年の恋を描き、最終回の視聴率が50%近くにも達した『ビューティフルライフ』(2000年第1期)や、高橋秀典さんの主演で同名の漫画本を原作とした『サラリーマン金太郎』(過去にPART3まで放送されシリーズ化)、中居正広さんと竹内結子さんの主演で過去に田宮二郎さん主演で制作したものをリメイクした『白い影』(2001年第1期)などが話題となった。
 しかし、バブル崩壊による長期不況の上、昨年9月の米国同時多発テロ事件による全世界的な不況の打撃を受けた東芝が、リストラを理由に長らく続けてきた番組提供から撤退することとなった。7月から放送している石原慎太郎原作、滝沢秀明さん主演の『太陽の季節』が、『東芝日曜劇場』としての最後の作品となる。10月以降は、複数企業の共同提供で、引き続き連続ドラマ番組を放送していくと言うが、46年間提供を続けていた東芝が撤退する上に、経済構造改革の中で、スポンサーの確保は難しい。
 今回の東芝の撤退劇は、2つの背景がある。
 1つは、家電製品の花形商品の変化にある。かつては、カラーテレビ、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジといったものが花形商品となり、豊かな国民生活の必需品として国民の間に定着してきた。それが、デジタル時代の今では、デジタルハイビジョンテレビ(それも薄型のプラズマタイプ)、携帯電話、パソコン、PDA、DVDプレーヤーといった情報関連機器へと変わっていった。逆に、かつての花形商品だった家庭用商品の売り上げは落ち込み、人件費の安い中国に生産拠点を移すなどして、値崩れしているという。
 もう1つは、家電業界の未曾有の業績悪化だ。東芝をはじめ、総合電機メーカー各社は、米国におけるITバブルの崩壊、これに昨年9月の米国同時多発テロ事件が追い打ちをかけられ、各社とも大幅な赤字決算を余儀なくされた。このため、各社とも大幅な人員削減や会社分割などを伴った大リストラに走ったのだ。それどころか、小泉純一郎首相の“聖域なき構造改革”のかけ声の下に、電機業界だけでなく、すべての産業でも大規模なリストラを敢行しており、NTT東日本・西日本の10万人規模の大規模なリストラはその代表的なものだった。リストラはスポンサー東芝、放送局TBS、それにTBSの別の番組を1社提供している松下電器産業、日立製作所も例外ではなかった。
 東芝は松下電器産業と共同で液晶表示装置製造事業会社を設立、両社の事業を会社分割という形で事業統合した。また、富士通と半導体事業で包括提携を結ぶなど、合従連衡を加速している。2004年3月までに、東芝自体だけでなく、国内の子会社を含めて17,000人の従業員を削減する大規模な人員削減を実施、すでにこのうち8200人が早期退職優遇制度により、東芝グループを去った。広告費も年間200億円をかけており、このうちの1割に相当する20億円を当てていた『東芝日曜劇場』提供撤退もリストラの一環である。
 『水戸黄門』(現在休止中で新シーズンは10月から開始)を提供している松下電器産業は、今まで家庭的な経営で、過去の不況でも従業員の雇用も生活も守ってきていた。ところが昨年度、4310億円という大幅な赤字に転落したため、13,000人という大量の希望退職者を出した。松下電器が大規模な雇用調整を実施したのはこれが初めてだ。さらに、社用車の運転士やパンフレット印刷などの関連業務を、松下ビジネスサービス(関連会社2社も吸収合併)へアウトソーシングし、55歳以上の200人を転籍、54歳以下の1000人を出向させるという、NTT10万人リストラのまねごとをやったのだ。転籍制度は今回が初めてで、今後も不採算部門の会社分割・従業員の転籍も噂される。
 『世界・ふしぎ発見!』を提供している日立製作所では、今年4月、家電部門と産業機器部門を会社分割制度によって切り離し、すでに切り離した製造子会社などと統合した。今後も残った本体の事業グループも会社分割・再編した上で、最終的にはシステム・ソリューション部門が残る事業持ち株会社に移行しようという。今年度から連結納税制度も導入する。
 そしてTBS。2000年4月にドラマ・バラエティー制作部門とスポーツ部門、ラジオ部門を切り離し、関東地区で唯一のラジオ・テレビ兼営に終止符を打ち、テレビ放送に特化した。それに続き、2001年4月には、情報系番組制作部門も切り離した。今年7月、一連の分社リストラを取り仕切ったそれまでの砂原幸雄社長に代わって就任した井上弘新社長のもとで、今後も制作・技術支援子会社・TBSビジョンの制作部門のTBSライブへの統合や、制作部門分離・統合で技術支援部門が残ったTBSビジョンへのTBSテレビ技術部門の統合など、部門の分離・統合・再編で、最終的にはTBSをテレビ放送部門を残した事業持ち株会社とするのか、あるいはテレビ放送部門まで切り離して純粋持ち株会社とするかのどちらかにするようだ。今回、東芝がドラマ番組の1社提供から撤退したことや、最近のテレビスポット売り上げ低迷(これはどこのキー局も同じ)による業績低迷を乗り切るため、今後、制作現場では制作コストの徹底的な削減を求められ、そのしわ寄せは下請け業者が真っ先にかぶることとなる。
 東芝・松下・日立・TBS、それだけではなく、多くの企業が国際的な競争の中で生き残りをかけるべく、人員削減、分社化、転籍、労働条件切り下げといった形で大規模なリストラが進められている。とりわけ、昨年4月の商法改正による会社分割制度の導入、小泉政権による金融機関の不良債権処理は、不採算部門を容易に分離したり、複数企業間での特定事業の統合、従業員の転籍、労働条件切り下げなどを加速化させている。おまけに、若年労働者のフリーター化や医療保険制度改革によるサラリーマン医療費負担の引き上げ、法人事業税の外形標準課税導入など、“小泉改革”は、産業界全体、国民生活に甚大な影響を及ぼすことになるだろう。
 『東芝日曜劇場』の終焉は、東芝という1つの大手総合電機メーカー、あるいは東芝グループという一企業グループだけではなく、電機業界、ひいては日本の産業界全体が、長引く不況や経済のグローバル化などを背景にした会社分割、合併、持ち株会社方式による経営統合などの企業再編やリストラなどといった、産業界再編の波をもろにかぶった、いわゆる“産業構造激変の縮図”を描き出しているのかも知れない。
 不況長期化と経済のグローバル化による国際的な競争激化、それに金融機関の経営の足かせとなった不良債権の増大を背景に、小泉政権が打ち出した“痛みを伴う産業構造改革”。その波は、否応もなく、46年間に渡って多くの視聴者に愛された日曜日夜の茶の間の楽しみをも飲み込んでしまった。

 (2002/8/11)


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