ニュースピーカーの実験−5

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(2010.10.2 新設掲載 12.9 加筆)

同軸ホーンシステム 製作編

ここは、アルティックのデュプレックス ユニットを使った同軸型ホーンスピーカーの製作記です。

PA用エンクロージャーを改造


 デュプレックス ユニットは、ホーンバッフルなしでは使えないので、ユニットにマッチするエンクロージャーが必要です。私は、ユニットを観察してサイズを測り、あれこれ思案した末、ストーンテクノのストックヤード(というより倉庫)に置いてあるYAMAHAのPA用スピーカー S5115HTに目をつけました。
このスピーカーシステムは、他の目的で手に入れたものですが、2ペアストックしてあったので、万一、改造に失敗しても惜しくありません。早速、システムを分解してYAMAHAのユニットを外し、アルティックのユニットを後から宛がってみると・・・・低域用ユニットがピッタリ収まるではありませんか。
次いで、前から高域用ホーンを仮に宛がってみる(ホーンとドライバーのジョイントは、ボルト締めやスクリューマウントではなく、ゴムのリングを挟んで押し付ける仕組み)と、これはマウスの部分がエンクロージャーの前縁から少し前に出るだけです。これなら何とかなりそうです。


S5115HTのエンクロージャー

 YAMAHAのエンクロージャーは、フロントロードホーン付きのバスレフタイプで、奥行が60cmありますが、私は、ショートホーンの部分を実験室の壁バッフルに取り付けたいので、バックキャビティーの部分を20cmほど切り落とすことにしました。こうすると、システムアップした際、ショートホーンにマウントするデュプレックスユニットの位置と壁バッフルに取り付けるウーファーの前後位置が合う筈です。(マルチスピーカーの構築にあたって、波形の合成を図りたいストーンテクノは、音源位置の一致に拘っています)


リアビュー


フロントビュー

 上の写真左は、曲面を持つ壁バッフルのRに合せてカットしたエンクロージャーを、後から撮影したものです。この写真では、既に補強用の側板が取り付けてあります。
右の写真は製作風景で、斜め前から撮影したものです。後ろ側のエンクロージャーは正立していますが、手前のエンクロージャーは横にしてあります。黒く見えているのがYAMAHAのエンクロージャー部分で、白木の部分が補強や穴埋めのために貼り付けた24o厚の米松系集成材です。
これらの写真は、2010年3月に工務店の作業場で撮影したもので、画面に写りこんだオヤジは、塗装を依頼した彩球オーディオ倶楽部の樫村会長です。彼は、塗料製造会社の専門家で、自ら塗装を良くする頼りになる男です。私は、今回、塗装下地作りを担当、サンディングに精を出して汗をかきました。

 続く


(2010.10.6 掲載)

エンクロージャーを実験室へ

 工務店の作業場で塗装を終えたエンクロージャーを、オーディオ仲間の手を借りて3Fに運び、暫く寝かせておきましたが、夏になって今度は実験室で作業を再開しました。エンクロージャーの裏側を壁バッフルのR面にフィットするよう加工するのは難しく、何度も手直しすることになりました。
高域用ホーンを固定するためのブリッジは、アルミの引き抜き材と檜の角棒を張り合わせて作りましたが、これも何度か作り直しました。超高域用ユニットをマウントするステンレス製のアングルは、専門の工場にオーダーして作りました。このパーツも一度で曲げ角度が決まらず、曲げ直して収めました。このほか、木部の補強を増やすなど、毎日のように作業を続けて、3ヶ月ほどで何とか形になりました。


スタンドの上のエンクロージャー

 上の写真でエンクロージャーの下にあるのは、スピーカーのスタンドを兼ねたラックです。下段にパワーアンプをレイアウトしてありますが、まだ仮の設置なので結線していません。このスタンドは、上に載せたエンクロージャーの位置を決める上で大切な役割を果たしています。両者は長い木ネジで固定されており、スタンドごと移動できるよう底面にローラーボールを取り付けてあります。スタンドの製作は工務店に依頼したので、自作のような不具合がなく満足できる仕上がりになりました。材料は、赤松の天然木と米松系の集成材を用いました。表面仕上げの塗料は、ウレタン系の無色透明なタイプを使って木地の美しさを生かしました。
スタンドの奥に覗いているのは、416-8Bウーファーを取り付ける予定のバッフルです。これは、他のページに書いたとおり、商売モノの黒御影石を刳り貫いて作ったもので、鉄骨の骨組みにしっかり固定してあります。


壁バッフルとエンクロージャーの前後位置

 ホーンバッフルを囲った形のエンクロージャーですが、奥行は、下にレイアウトするウーファーに配慮してギリギリまで詰めたので、40pになりました。天井とのクリアランスは設計どおり2o(!)に収まっています。正に神業(誰も褒めてくれないので自分で言っています)。
壁バッフルにマウントする他のウーファー群と、デュプレックスユニットの振動板位置が揃うよう苦心した結果が、写真から判るでしょうか?これだけでは無理でしょうね。

 続く


(2010.10.8 掲載)

エンクロージャーと壁バッフル

 エンクロージャーの裏側を思い切りカットしたので、下の写真のように、デュプレックスユニットは、そっくり後に飛び出しています。これは、エンクロージャーというより、後面開放のホーンバッフルと言うべきかもしれません。後面を開放すると回折効果で低域のレベルが低下してしまいますが、今回は、エンクロージャーを壁バッフルに密着させて使用するので、低音再生上の問題はないと考えています。
エンクロージャーの木口に貼り付けてあるのは、気密性を良くするための隙間テープで、防水タイプを採用しました。こんなもので音波が遮断できるとは思えませんが、発泡ウレタンは、ウーファーのエッジにも採用されていることですし、エア漏れを少しでも改善したいマニア心からしたことです。


エンクロージャーの裏側



デュプレックスユニットの後ろ側


スロート部分

 上左の写真、デュプレックスユニットの磁気回路部分を覆う黒いバンド、その後ろ側のカバーの中に高域用ダイアフラムがあります。299系ドライバーの場合、この2倍くらい奥行がありますが、それはスロートが内蔵されているためです。デュプレックスユニットのスロートは、右の写真のように、低域用振動板の根元より前に設けられている(トピックニュース−15の10.1付、DTSシステム概念図を参照)ので、後ろ側の奥行が短くなっています。


壁バッフルの穴


壁の穴とユニット

 上左の写真、壁バッフルの穴は、これまで色々なユニットを試したバッフルがマウントされていた跡です。今回は、この空間にデュプレックスユニットのサブバッフルが収まります。クリアランスが殆ど無いので、エンクロージャーと壁バッフルの上下・前後位置の調整に苦労しました。
クローズドタイプのエンクロージャーを用いたフリースタンディングなら簡単ですが、ボクシーな(箱臭い)こもった音が嫌いなストーンテクノは、どうしてもウォールマウントにしたくて面倒なことにトライしたのです。
右の写真は、壁バッフルとエンクロージャーを離した状態で撮影したものです。右側に見えているエンクロージャーを左の壁まで移動すると、デュプレックスユニットがバッフルの中にそっくり入る仕組みになっています。

 続く


(2010.10.15 掲載 10.18 一部加筆)

高域用ホーンとその周辺

 今回は、デュプレックスユニットの高域用ホーンとエンクロージャーへのマウントの方法などについて書きます。


 上の写真は、高域用ホーンを支える2本のブリッジです。これは、右の写真のように、低域用ホーンバッフルのマウス前端に、埋め込みナットを挿入して皿ビスでしっかり固定してあります。このブリッジの奥行サイズと位置は、スロートと高域用ホーンの接触圧に影響を与えるので、締め付けた際バイアスが掛かるよう工夫しました。他に固定する方法がないのですから、多分、アルティック社も同じように作ったはずです。
ホーンのフランジを固定する部分は、凹面にしてフェルトを貼り、振動の伝播を少しでも緩和するよう対策しました。組み上げて叩いてみると、この太さですから「コツコツ」というわけには行きませんが、共振性の嫌な音はしません。このあたりは、PA用システムの場合あまり問題にならないでしょうが、ホームユースでは聴取位置が近いため、ノイズが出ると気になるので細かい配慮が必要です。


 上の写真は、高域用ホーンのアップです。カメラのフラッシュを発光させるとドライバー部分の奥まで光が届き、防塵メッシュに隠れて肉眼では見えなかったフェーズフラグが写りました。これで、このユニットは同心円タイプではなく、タンジェリンフェーズプラグが採用されていることが判りました。因みに、タンジェリンフェーズプラグはアルティックの考案とされていますが、すでにWEの時代に発案があったという説もあります。
この定指向性ホーンの開口角は縦40度、横90度のようです。このホーンは全長が42pほどあり、スロートの部分がとても長く拡がりが緩やかなことが特徴です。開口サイズが275o×275oと小さいのに、見かけよりカットオフ周波数が低いのではないでしょうか。
ALTEC社のDTSシステムはPAシステムなので、安全のためか高・低のクロスオーバーを1kHzとしていますが、私は、ホームユースなので800Hzに下げて使うつもりです。急峻なフィルターを使えば600Hzから使えるかもしれません。
このホーンを手に持ってみると軽量ですから、スロート部分の材質はアルミ合金で、フレア部分はFRP製のようです。開口部のホーン壁が薄いので鳴きを心配しましたが、材質や形状が上手くコントロールされているのか、変な音はせず、実用上、問題ないようです。

 続く


(2010.10.18 掲載)

システム・コンセプト

 この辺で、新しいスピーカーシステムを構成するユニットと、帯域分割のプランについて書くことにします。これは、言い換えれば、システム・ビルドアップのコンセプトでもあります。
アルティックのDTSシステムはPA用のシステムですが、私は、3Fの実験室で音楽を楽しむためのスピーカーを作ろうとしています。ですから、今回、システムの中心に据えたデュプレックスユニットは素材の一つでしかありません。
私がめざしているのは、過渡特性重視型のバリバリした音や、再生帯域が狭く密度感の濃い音ではなく、広帯域で解像度が高くフックラした音です。ストーンテクノは、ホーンスピーカーを使いながら、コンデンサー型のスピーカーが聴かせる世界をも目指しているのです。

 ウーファーとサブウーファー

 システム構成については、幾つかのバリエーションを考えましたが、どのプランにも共通しているのは、ウーファーとサブウーファーを働かせることです。
デュプレックスユニットをマウントしたホーンバッフルは、中低域の指向性を狭めて放射効率を上げる効果があります。このため、ホーンロードがかからない、より低い帯域との間でレベル差ができます。つまり、ホーンバッフルを備えたシステムは低域のレベルが下がって聞こえることになります。メーカーは、製品化にあたって低域を補うためバスレフ方式を併用しており、アルティックのシステムもバスレフポートを供えています。
しかし、ストーンテクノの場合はホーンバッフルを壁にマウントして使うので、バスレフ動作に頼らない低域の補強方法を考える必要があります。これが、ウーファーを必要とする理由です。
DTSシステムを使う際のサブウーファーの併用については、アルティック社も推奨機種を挙げていましたから、あながち間違いではないでしょう。加えて、私は低音フェチなので、超低域の限界まで再生したいという願望があり、サブウーファーなしのオーディオは考えられません。というわけで、全ての計画にサブウーファーが加えられています。


フレッチャー・マンソン氏曲線


等ラウドネスレベル曲線

フィロソフィー18から再掲

 ラウドネスコントロール

 人の耳の感度は周波数によって異なり、聴取レベルが低くなると低域と高域で極端に感度が下がることが分っています。このことについて、古くはフレッチャー・マンソン氏が発表した「フレッチャー・マンソン氏曲線」が知られていますが、その後、ロビンソン・ダッドソン氏の発表があり、より新しいものに、我が国の「産総研」が研究の成果として発表した、新規格の「等ラウドネスレベル曲線」があります。
これを見ると、超低域では、100phonの場合、30dbも感度が低下しており、聴取レベルが下がると更に顕著な差があります。
私たちが一般家庭で音楽を聴く場合の音圧レベルは、高くても90phon程度ですから、より自然な再生のためには、耳の感度に合わせた補正、ラウドネスコントロールが必要だと思います。
ラウドネスの補正は、コントロールアンプに補償回路を組みこむ方法が一般的ですが、オーディオマニアは、この種の方法を、音が悪くなる要因として嫌うようです。なるほど、ネットワークで組んだスピーカーシステムを1台のアンプで駆動する方法では、ラウドネスコントロールは殆ど無理です。そのうえ、アンプやユニットに負担がかかり歪が増すなど弊害があります。
しかし、低域と超低域、超高域を独立したアンプとユニットで再生するマルチアンプシステムなら、ラウドネスコントロールが容易で害がありません。そのうえ、補正は理に適っているのですから大いに実行すべきです。ストーンテクノが帯域分割数を増やすのは、リスナーにとって自然に聴こえる聴感補正が、簡単にできるからでもあります。

 続く


(2010.10.20 掲載)

ユニットの構成と帯域分割のプラン その1

 システム・ビルドアップは簡単な構成から進める予定ですが、予備実験として、デュプレックスユニットのみで聴いて見たいと思います。これは、最初の段階でユニットの基本的な性格を掴んでおくためです。

ステップ−1 2WAY+SubWoofer×2

超低域 TAD 1601a改×4 〜50Hz
低域 ALTEC 416-8B×2 〜200Hz
中低域 ALTEC 9894A 低域部 〜800Hz
中高域 ALTEC 9894A 高域部 800Hz〜

 このプランは、2way動作するデュプレックスユニット9894Aに低域と超低域を加えるものです。9894Aの低域はカットせず、416-8B、1601の低域と超低域にダブらせて使う計画です。これは低域側にウェイトが掛かっているので下半身肥大型になるかもしれません。しかし、この辺までなら聴感だけでも何とかまとめられそうです。

ステップ−2 3WAY+SubWoofer

超低域 TAD 1601a改×4 〜50Hz
低域 ALTEC 416-8B×2 〜200Hz
中低域 ALTEC 9894A 低域部 200Hz〜800Hz
中高域 ALTEC 9894A 高域部 800Hz〜

 このプランは、2way動作するデュプレックスユニットの低域をカットして416-8Bとクロスさせ、3wayにして更にサブウーファーを加える計画です。アルティック社が推奨しているように、専用のディバィダーを用いて高域をイコライジングすれば、シンプルにまとめられそうです。この辺で満足すれば安心して成仏(?)できるのですが・・・・。


XEQ−2


機能説明のイラスト

 上左の写真は、EV社のXEQ−2です。このエレクトロニック・クロスオーバー/イコライザーは、交換式のモジュールとコントローラーを組み合わせて低域と高域のイコライジングができます。アルティック社の製品は一部をEV社が作っていた時期があり、このモデルもその一つだと思います。フロントパネルにプリントされたロゴはEVですが、アルティック社の資料を見ると、以前から同じような製品(1631A)がリストアップされています。
右の写真は、トップパネルを撮影したもので、このイラストを見ると、クロスオーバー周波数の設定だけでなく高域特性を補正をする機能を持っていることがわかります。他にタイムディレイや低域のブースト機能も備えており、これは、フロントパネルのツマミで操作する仕組みです。指向特性は良いものの、高域特性がドライバーのエネルギー特性どおりダラ下がりになる定指向性ホーンは、イコライジングが欠かせないので、このディバィダーはDTSシステムをコントロールするには好適なアイテムだと思います。

 続く


(2010.10.22 掲載)

ユニットの構成と帯域分割のプラン その2

 ユニットの構成と帯域分割のプランその1に続いて、システム・ビルドアップについて書きます。

ステップー3 3WAY+SubWoofer+SuperTweeter

超低域 TAD 1601a改×4 〜50Hz
低域 ALTEC 416-8B×2 〜200Hz
中低域 ALTEC 9894A 低域部 200Hz〜800Hz
中高域 ALTEC 9894A 高域部 800Hz〜
超高域 FOSTEX T705 12,500Hz〜

 このプランは、デュプレックスユニットを中心とした3wayに、サブウーファーとスーパーツィータを加える計画ですが、9894Aの高域はカットせず、プラス1ツィータ方式で超高域を加える計画です。

FOSTEX T705

 このプランには、超高域用ユニットとしてフォステクスのツィータT705が登場しているので、ここで簡単に説明しておきます。とはいえ、このユニットは非常に珍しく、私の手元には何のデータもないので良くわかりません。下右の写真のように、このユニットは磁気回路がスクリューマウントになっており、ドライバーのようなスタイルをしています。正面からスロートの中を覗くと、奥にフェーズプラグらしきものが見えます。もしかすると、エクスクルーシブのET703と同じようにバックプレッシャータイプかも知れません。何方か、詳細をご存じないでしょうか?
最近、ネットでT705をキーワードに検索していたら、ハイファイ堂さんの商品説明で、(Laboratoryシリーズ 2,000〜40,000Hz クロスオーバー 5KHz 50W 101dB 8オーム )という一文が見つかりました。いずれ、周波数特性くらいは測定してみたいと思います。
今回、この珍品のツィータを使う理由は、他のユニット比べて振動板の位置が遥かに後にあるからです。何故こんなことに拘るのか?その訳は、他の項で述べるつもりです。


FOSTEX T705 ツィータ


ドライバー部分


後姿


ドライバーの正面
 T705ツィータのマウントには、日立のHS-500に用いられたツィータ H-70HDのアダプターと特注品のステンレス製アングルを使いました。これらのアッセンブリーをホーンバッフルの中、高域用ホーンの上に取り付けたので、スペースが狭くて大いに苦労しました。上左の写真から、ギリギリに収まっていることが判るでしょうか。

ステップ−4 4WAY+SubWoofer

超低域 TAD 1601a改×4 〜50Hz
低域 ALTEC 416-8B×2 〜200Hz
中低域 ALTEC 9894A 低域部 200Hz〜800Hz
中高域 ALTEC 9894A 高域部 800Hz〜12,500Hz
超高域 FOSTEX T705 12,500Hz〜

 このプランは、9894Aの低域と高域をカットして4way動作としてサブウーファーを加える計画です。この辺までなら経験があるので余り難しくありませんが、当然、測定が必要になると思います。

 続く


(2010.10.25 掲載)

ユニットの構成と帯域分割のプラン その3

 ユニットの構成と帯域分割のプランその2に続いて、中高域用ユニットを加えた4wayシステムについて書きます。

ステップ−5 4AY+SubWoofer+SuperTweeter

超低域 TAD 1601a改×4 〜50Hz
低域 ALTEC 416-8B×2 〜200Hz
中低域 ALTEC 9894A 低域部 200Hz〜800Hz
中域 ALTEC 9894A 高域部 800Hz〜3,200Hz
中高域 RADIAN 475A+H1210ホーン 3,200Hz〜
超高域 FOSTEX T705 12,500Hz〜

 このプランは、ラジアンの475Aを加えた4way動作として、これにプラス1ツィータ方式の超高域とサブウーファーを加える計画です。これは、見方によっては6wayになるかもしれませんが、電気的なクロスポイントは3ヵ所なので、基本はあくまで4wayです。ここまでやると調整は容易ではなく、測定なしでは到底まとまらないはずです。


ユニットのレイアウト


H1210ホーンとT705

 上左の写真で、バッフル最上段に取り付けてあるのはラジアンのH1210ホーンです。このホーンは、右の写真のように、直付けでなく12o厚のサブバッフルを介してマウントしてありますが、これは、ラジアンの475AドライバーとT705のダイアフラム位置をあわせるためです。ラジアンのホーンを直付けしT705を後ろに下げた場合、超高域の音波が下の中域用ホーンに反射するのを嫌っています。T705ツィータの奥行の長さと、ラジアン475A+H1210ホーンの短さを組み合わせて、何とか1ボックスに纏めました。
スピーカーシステムが大型化しユニットの数が増えると、音像が大きくなりボーカルやソロ演奏の再生などが不自然になりがちです。マルチスピーカーの弱点を減らすため、今回も低域から超高域まで全てのユニットを密集させ、インラインにレイアウトしました。

 ストーンテクノは、このシステムの先にもっとクレージーな計画を用意していますが、音を出して実践しないうちに大風呂敷を広げると、皆さんから顰蹙を買いそうなので秘密にしておきます。

 続く


(2010.10.27 掲載)

ウーファーの音源位置を揃える

 マルチスピーカーで波形の合成を図るには、ユニットそれぞれの音源位置を揃えなければなりません。今回は、ウーファーのレイアウトについて書きます。


壁のウーファー群


低域ユニット用バッフル
 上左の写真から、ウーファー群の音源位置を揃えたことが分るでしょうか。右側のエンクロージャーから磁気回路が覗いているデュプレックスユニットも、完成後は壁バッフルの中に収まって、他のユニットと聴取位置までの距離が同じになるよう工夫しました。マルチスピーカーにおける波形の合成は、スピーカーシステムにとって重要なテーマだと思いますが、位相の問題に単純化されて論じられることが多く未解決なテーマです。私の場合、可能な限りユニットの物理的な音源位置を揃えるところから始めようとしています。
右の写真は、低域用416-8Bウーファーをマウントした黒御影石製バッフルです。この前にエンクロージャーを載せたスタンドを置くので、天板下側からの反射を心配しましたが、奥行は40p程度、横は開放されているので、低域の波長が長いこともあって無視することにしました。限られたスペースでは何事にも制約があり、多少の妥協はやむを得ません。

 続く


(2010.10.29 掲載)

L,Rのパワーアンプ群

 今回に限らず、私のスピーカーシステムはユニットを数多く使うので、パワーアンプも自然に増えてしまいます。この項では、新しいスピーカーシステムを駆動するアンプ群について書きます。


2Chアンプ×5台 LCh分

 上の写真は、左チャンネルのスピーカーをドライブする5台のアンプ群です。下の2台は、低域用の416-8BをBTL駆動するマランツの SM-17SAVer.2で、ユニット1本ごとに1台使います。右側2段目はデュプレックスユニットの低域部分をBTL駆動するブライストンの2B-LP、左の2段目はプラス1ツィータを駆動するためのデノン PMA-390W プリメインアンプ(ゲインを上げるために必要)です。ラックの上、エンクロージャーとの間に入っているのはクラウンのD-45で、これは、デュプレックスユニットの高域部分とラジアンの中高域用ユニット475Aを駆動するために使います。
いずれのアンプも新しいモデルではありませんが、私自身が、これまでの実験で素性を確かめており、リーズナブルな価格帯の製品ながら信頼できるものです。もちろん、右チャンネルも同じ構成で、パワーアンプとスピーカーが接近しているためスピーカーケーブルを短くすることができます。
アンプに拘るマニアは、より高級な(?)パワーアンプをお使いのようですが、高能率スピーカーを使うストーンテクノの場合は、必要にして十分であれば良いので、高価なハイパワーアンプには手を出しません。消費電力が少ないことも重要なテーマで、A級動作の電熱器のようなアンプは最初から除外しています。「彩球オーディオ倶楽部」のメンバーなのに管球式アンプを使わないのも、このタイプは大型で発熱が多く積み重ねが困難だからです。


スライダック
 4種のパワーアンプは、ここ1〜2年火を入れていないので、トラブルを心配しましたが、いずれも異常なく動作してくれました。
私は、これまで、長期間使わないアンプに急に通電してヒューズだけでなくトランジスタを飛ばし、少なからぬ出費を迫られた経験があります。今回は、いきなり定格電圧をかけず、スライダックで徐々に昇圧、ソフトランディングしたのが良かったようです。この方法はメジャグランの稲田氏に教わったものですが、皆さんも安全のためにスライダックを備えると良いでしょう。
写真のスライダックは、昨年、妙高のオーディオクラブのイベントで求めた中古品です。定格は、入力100Vで出力は0から130Vまで連続的に変えられます。最大10A流せるようです。

 続く


(2010.11.3 掲載 11.5 加筆)

ただいま準備中

 パワーアンプに続いてイコライザーやチャンネルディバィダーなどの通電チェックをしました。これらの機器も、暫く使わなかったので、スライダックを介して低圧から動作させたことは言うまでもありません。途中、50V程度でイコライザーのリレーが異様な音を出しましたが、更に電圧を上げ、電源を入れなおすと落ち着きました。
全ての機器に定格電圧で3日ほど通電して様子を見ましたが、ノントラブルで動作したようです。


 上左の写真は、左チャンネルのパワーアンプ群を後ろ側から撮影したものです。右の写真は、ソフトランディング中のChディバィダー アキュフェーズDF−35とオンキョーのパワーアンプM509などです。
下の写真は、これらを前から撮影したものですが、右の写真の上段にあるのはVICTORのCF−380という3Dディバィダーで、サブウーファー用の超低域信号を取り出すために使います。このディバィダーは、かなり古いものですが、ローパスのカットオフ(−24db/Oct)周波数を20Hzから無段階に変えられるほか、出力レベルを連続的に変えられるので便利です。この種のアイテムはFOSTEX他から、より新しい製品が出ていますが、特に不満がないので古い物を使い続けています。


下段がオンキョー M509


上段がCF−380


 サブウーファー用パワーアンプ

 オンキョーのM509パワーアンプ(200W/8Ω)は、サブウーファーを駆動するために使います。
TAD 1601a改×4で構成されるサブウーファーは、1Chにつき2本ずつパラレルで動作させるので、アンプの負荷が重くなりますが、このアンプは、4Ω負荷にも対応しているので問題ないと思います。
M509は、古いものですが電源部が強力で、質量が31sもありマッキントッシュに似た力強い音を出します。やはり、Chごとに搭載した2個の大きな電源トランスが役立っているのでしょうか。

この後は、ようやくケーブルの結線ですが、散らかっているので、少し片付けや掃除をしないと作業できません。

 続く


(2010.11.8 掲載)

ようやく音出し

 7日の日曜日、新しいシステムから、ようやく音を出しました。と言っても本格的なものではなく、デュプレックスユニット単独の予備実験です。
これまでの準備で既にスピーカーケーブルは繋いであったので、この日は、シールドケーブル選びから始めました。山ほどあるケーブルの中から適当な長さの物を選び、コントロールアンプDC−330のアナログ出力からEVのXEQ−2ディバィダーへ信号を送り、高/低を分割してブライストン2B-LPとクラウンD-45でデュプレックスユニットを駆動しました。

 ファーストインプレッション

 ディバィダーのクロスオーバーモジュールは、800Hzタイプを選び、ホーンのイコライザー もプラグインしましたが、取りあえずフラットポジションで鳴らしてみました。大まかにレベルを設定して最初に出た音は、ぼんやりした柔らかめの音です。これは評価するレベルではないので、午前中から夕方まで数時間鳴らし続けました。
その後、イコライザーモジュールを1605Aに換え、高域のレベルや低域と高域のブースト量を変化させるなど調整を繰り返し、夜になってから同じディスクを聴いてみると、次第にハッキリした音に変わってきました。しかし、中低域から中高域はカバーしているものの、低域はもちろん高域も余り伸びがなく帯域は狭く聴こえます。とにかく全体に柔らかな感じで、カチッとしたところがありません。
ディバィダーのフェーズ切り替えスイッチも操作してみましたが、正相と逆相で顕著な違いは聞き取れませんでした。これは、フィルターのスロープ(−18db/Oct)のためかもしれません。
アルティックの同じ同軸型でも、604-8Gなどは時に金属的な響きを強調する傾向がありますが、このユニットは硬質感を伴った嫌な音を出しません。これがデュプレックスユニットの個性、特徴なのでしょうか。古いオーディオマニアの私は、PA用として開発されたはずのスピーカーが聴かせる、ソフトな響き、第一印象に少しばかり戸惑っています。
今日はお天気が良いので、昼休みに陽のあたる部屋で秋元順子の歌を聴いていたら、うとうと眠くなりました。
これで満足してしまうとオーディオマニア失格ですから、しばらく鳴らしたあと次のステップに進みたいと思います。

 続く


(2010.11.10 掲載)

音出し ステップ−1へ

 前回の予備実験で、デュプレックスユニットの大よその性格が判ったので、今回はステップ1の実験をすることにしました。EVのXEQ−2ディバィダーを使わず、アキュフェーズのデジタルディバィダーDF−35で帯域分割を行います。当然、コントロールアンプDC−330からの送り出しはHSリンクを使ったデジタル伝送です。パワーアンプの構成は予備実験と同じですが、高域用のバランスケーブルをRCAピンケーブルに換えました。これは余り影響しないでしょう。
EVとアキュフェーズの機能の違いはイコライザーの有無で、EVはアナログ方式のアルティック専用タイプ、アキュフェーズはデジタル方式の汎用タイプです。これは変化の要因になりそうです。


ピンケーブル


 やはり違う

 ディバィダーのクロスオーバーを800Hz(−24db/Oct)に設定し、大まかにレベルを決めて同じディスクを聴いてみると、やはり前回と違った音がします。予備実験では、低域、高域ともにイコライジングして鳴らしたのですが、今回は、ボーカルなどを聴く限りイコライジングなしでも何とか聴ける音です。
このデュプレックスユニットは、トピックニュース15で書いたように、バスレフポート付きのホーン型エンクロージャーに入れて、尚且つ低域と高域をイコライジングして使うよう設計されています。ですから、ホーンバッフルだけを用いて、ノンイコライゼーションの状態で使うと、低域、高域ともに再生帯域が狭まりカマボコ状の特性になるはずです。まだ周波数特性を測定していませんが、恐らく同じレベルで再生できるのは150Hzから7KHz程度まででしょう。それなのに、聴感上、強い違和感がないのは、狭帯域ながら辛うじて高低のバランスが取れているからでしょうか。この状態で暫く聴いてみることにします。

 続く


(2010.11.12 掲載)

音出し ステップ−2へ

 音出し後、しばらくデュプレックスユニットの音を聴いていましたが、何としても低域が寂しいので始めに低域を補強することにしました。
ステップ−1では、9894Aの低域をカットせず低域と超低域にダブらせて使う計画でした。しかし、実際に試してみると、低域が厚くなり過ぎて不明瞭に聴こえるので直ぐにやめました。どうやら、このあたりは普通にクロスさせたほうが良さそうです。
超低域は、高域が整ってから手をつけることにして、このステップでは、低域用の416-8Bだけを加えることにしました。デュプレックスユニットの2wayと合せて3way構成になるわけですが、取りあえず、低域と中低域のクロスは200Hzにしました。
クロスポイントを変えたり、帯域ごとのレベルを上下させたり、弄るところが多いマルチアンプシステムですが、これがオーディオの楽しみでもあるので、めげずに頑張るしかありません。
聴き慣れたディスクで試聴を繰り返すうち、次第に自分が目指す音に近づいていきます。これまでの経験で生音のイメージが決まっているので、聴感で調整する場合は、好ましく聴こえる方向、結果の良いほうを選択して進めてゆきます。すると、今度は中高域から高域を延ばしたくなりました。そうしないと聴感上バランスが取れないからです。やはり、このユニットは定指向性ホーンを使っているので、イコライジングしないと倍音域が十分再生できないようです。次回は、高域を再生するユニットを増やして4wayにしてみましょう。

 続く


(2010.11.15 掲載)

中高域から上を1吋ドライバーに

 ステップ−3では、9894Aの高域をカットしないで、超高域用として12,500HzでローカットしたT705ツィータを加えるはずでした。
しかし、デュプレックスユニットの高域下降が気になったので、ツィータではなく中高域用として用意したラジアン475Aを加えることにしました。クロスは、下側のクロスポイント800Hzの2オクターブ上付近の3,150Hzにしましたが、これは、アルティックの資料に「定指向性ホーンはドライバーのエネルギー特性がそのまま現れるので、2〜3kHzを頂点にして山なりの特性になる」というコメントを参考にしたものです。1吋ドライバーのラジアン475Aは、H1210ホーンとの組み合わせで1,200Hz程度から使えるので余裕十分です。
中域とのクロスポイントは、更に1オクターブ上の6,300Hzも試してみましたが、人の声の爽やかさで3,150Hzクロスのほうが好ましく聴こえました。このあたりは耳の感度が良いところですから、何かと問題が発生しやすいとされていますが、特に支障はないようです。


ラジアン475ドライバー


インポーターが発表している475のF特性

 今回は、ラジアン475Aの高域側をスルーにしてドライバーとホーンの能力に任せています。これまでの私の測定で、ストーンテクノ実験室の場合、この組み合わせで平坦に再生できるのは10KHz、下降しながら15kHz程度まで再生できることが判っています。ですから、音楽を楽しむには、このままでも十分でしょう。
上のグラフは、コージースタジオさんがウェブに発表している475ドライバーの周波数特性ですが、高域特性が伸びています。これは、拙宅と測定条件が異なるからでしょう。

 中高域から上の帯域を1吋ドライバーが受け持つ4wayシステムは、再生音の艶やかさが増して「音の数」が多くなり、これまでより鮮明な音になりました。器楽は演奏者の数が増えたように聴こえます。これまで後方で微かに鳴っていた金物系の楽器も前に出てきました。やはり、音楽にとって倍音域の再現は欠かせない要素のようです。

 余談ですが、いまや高齢に達した私は、残念ながら15kHzのサインウェーブを聞き取ることが出来ません。しばらく前、娘に20KHzの信号を聞いてもらったら、ハッキリ聴こえると言われました。私には何も聴こえないのに・・・・です。年寄りにはスーパーツィータなど必要ないのでしょうか?
次回は、超高域用ユニットを加えた場合の変化について書きたいと思います。

 続く


(2010.11.17 掲載)

プラス1ツィータ

 前回、デュプレックスユニットに中高域用ユニットを加えた4wayが好結果を得たので、今回は超高域用ユニットを加えてプラス1ツィータを試みました。
1吋ドライバーを高域用に用いたシステムは、ウエストレークやジェネレックに例がありますが、これらは、いずれも大音量が要求されるプロユースのスタジオモニターです。ホームユースとしては、より細やかな音の再現を狙って超高域まで再生したくなります。
この方法は簡単です。まず、ディバィダーの中高域出力からパラレルに信号を取り出し、プリメインアンプのCD入力に繋ぎ、スピーカー端子にローカット回路を介在させてT705ツィータを鳴らせば良いのです。
ネットワークは、始めに、1μFのコンデンサーと0.15mHのコイルを組み合わせた2次フィルターを使いました。これで、8Ω負荷の場合、12〜13KHz/−12db/octでローカットできるはずです。ラジアン475Aの高域はスルーにして自然に減衰するのに任せました。ラジアンの変換効率が109db/1W、フォステクスのツィータは101db/1Wですから8db低いわけですが、ツィータへの信号は、プリメインアンプでゲインを上げるので問題ありません。

FOSTEX T705


自作のネットワーク

 この状態で聴いてみると、明らかに繊細感が増しました。ツィータを加えると音場の雰囲気が再現されるようになるのです。しかし、レベルを上げるとシリシリした感じが耳に付きます。どうやら繋がりが良くないようです。
次に、以前に成功した小容量のコンデンサー1個による1次フィルターを試してみました。このタイプは減衰が緩やかで、ユニットを繋いだ実特性を見ると、どこにfcがあるのか判らないくらいです。ですから、超高域信号だけを通したい場合、コンデンサーの容量を思い切って小さくする必要があります。今回は、0.47μFのフィルムコンデンサーを使いました。このコンデンサーは信号が通るので、銘柄による音の変化に拘る方が多いようですが、私は、そこそこ高価なオーダインキャップ(錫箔巻きタイプ)を使っています。
8Ωの負荷に0.47μFを繋いだ場合のfcは、計算上40KHzになり殆ど音は出ない筈です。しかし、レベルを上げてツィータに耳を付けると、「シンシン」とかなりの音量で音楽が聞こえます。フィルターの減衰が緩やかなので、ある程度低い音が出ているようです。2次フィルターの時に聴こえた「シリついた感じ」はなくなりました。これでボーカルの子音が耳に付くことはありません。ツィータの存在も意識されません。

 続く

 
所用のため1週間ほど実験を休みます。


(2010.11.24 掲載)

サブウーファー

 前回、超高域を再生するプラス1ツィータが成功したので、今度はサブウーファーを動作させることにしました。
超低域は、最初に、DF-35ディバィダーの低域出力からCF−380に信号を送り、ローパスを50Hz付近に選びましたが、ディバィダーがシリーズに重なるのが気になり、CF−380をコントロールアンプのアナログ出力に直接繋ぎました。こうするとDF-35の機能が超低域に及ばなくなりますが、パラレル接続の場合は、それぞれ別にコントロールできるメリットもあります。双方の音質を聴き比べてみましたが、違いは判りませんでした。
その後、超低域と低域のフェーズを合わせるため何度も試聴を繰り返し、量感の多いほうに決めましたが、予想に反して超低域側を逆相にした方が好結果を得ました。この理由は判りません。

 サブウーファーの目的

 多くの場合、楽器の音に聴低域成分は含まれておらず、音楽を楽しむのにサブウーファーがなくとも困りません。今回のシステムは、低域に40pウーファーを2本/Ch使用しており、これだけでもかなり低い帯域まで再生できます。しかし、バスレフなどと異なり、壁にマウントしたウーファーの特性は、低域に向かってダラ下がりになりますから、中低域とのクロスポイント200Hzあたりに比べてかなりレベルが低い筈です。サブウーファーの追加は、超低域を補い自由にコントロールすることが目的です。


3D方式のサブウーファー


 サブウーファーの効果

 超低域成分の多いディスクを聴きながらパワーアンプのメーターを見ると、針は僅かしか振れていません。他の帯域をOFFにしてみるとサブウーファーは殆ど鳴っていません。しかし、再生音には大きな違いがあります。超低域の信号を加えると、臨場感が出て音場が広がったように聴こえるのです。
超低域をモノラルにした3D方式は定位を悪くすると言う方がいますが、50Hz以上をシャープにカット(−24db/Oct)したサブウーファーの存在は全く意識できず、何処で鳴っているのか判りません。試しに、全ての帯域を再生してサブウーファーに耳を近づけても、他のユニットの音が聴こえるだけです。

 続く


(2010.11.26 掲載)

ユニットのレイアウト

 シャープな音像を狙ってインラインに密集配置したユニットですが、中域と中高域用ユニットの中心距離は41pあります。これで音像の最少の大きさが決まってしまいます。超高域用のユニットを両者の間に配置したのも音像を小さくまとめるためです。



 デジタルディレイ

 マルチスピーカーで波形の合成を図るには音源の位置を合わせる必要がありますが、そのためには波形の観測をしなければなりません。本格的に取り組むには、隣接する帯域のユニットからクロスオーバー領域の音を出し、オシログラフの波形が一つになるよう調整する必要があるのです。しかし、現在のところ私にはそのスキルがありませんので、取りあえず、アルティック社が推奨しているボイスコイル位置を合わせることにしました。この方法は、各ユニットの立ち上がり速度を計算に入れていませんから、完璧な方法ではないと思いますが、次善の策と考えています。
聴取位置からのボイスコイル位置の調整ですが、ウーファーとスコーカーはサイズが近いので何とかなります。しかし、中高域用と超高域用のユニットは、はるかに小さく奥行きが短いので、低域や中域など他のユニットと振動板の位置を合わせることが出来ません。そこで、予め、中高域と超高域用ユニットのボイスコイル位置を合わせておき、他のユニットとの距離差を、デジタルディレイで電気的に調整することにしました。こうすれば、音像位置を合わせながら波形の合成を図れるはずです。
スケールでボイスコイルの位置を測ると、中低域は中域より4p前にあり、中高域は45p前なので、この値をDF−35のディレイで設定しました。今後の調整はこの状態で進めたいと思います。

 続く


(2010.11.29 掲載)

発振器を使う


 レスポンステスタ


 私が首を突っ込んでいる彩球オーディオ倶楽部は、イベントで不要品を処分するコーナーを設けていますが、ここには、真空管やスピーカーユニット、小物など古のパーツがたくさん出品されます。下の写真は、私が暫く前に購入した測定器です。
この計器は、三和電気計器株式会社製のFMR−1000という発振器・レベル計で、これ一台で室内の伝送周波数特性やオーディオ機器のテストをすることができます。特徴は、FM送信機を内蔵しているためワイアレスでも使えることですが、今回はワイアレス伝送ではなくピンケーブルを使いました。
テスト信号は25〜20KHzの30バンドで、サインウェーブだけでなく1/3オクターブ幅のワーブルトーンを発生させられますから、スピーカーを作るには殆どの場合これで十分です。


sanwa FMR−1000


 測定の意味

 発振器とレベル計はスピーカーの自作に欠かせないものだと思いますが、殆どのマニアは聴感だけでシステムを組み上げているようです。その理由は、自分の耳に自信があるせいかも知れません。しかし、実際に測定してみると、とんでもない特性になっていることが多いものです。
民生用のスピーカーは、ユーザーが耳で聞いて楽しむものですから、測定を不要と考えるのは自由です。しかし、人の耳は意外に騙されやすいものなので、より良い再生を望むなら客観的なデータを手に入れる必要があり、最低限の測定を行うべきだと思います。
今回のスピーカー作りも漸く音出しに漕ぎ着けたので、測定と、これに基ずく調整の段階に入りました。
実験室には、日本オーディオのレスポンスチェッカー(自動記録測定器)RC−2があるので、これを用いるのが便利ですが、その前に、FMR−1000の発振器としての機能を使って各ユニットの音を聴いてみました。

 続く


(2010.12.6 掲載)

ユニットの音

 今回は、ワーブルトーンを入れて各ユニットの裸の音を聴いてみました。超高域用は安全のためにコンデンサーを介在させていますが、他の帯域はディバィダーのフィルターをパスに設定しています。レベルは普段の聴取音量と同じ程度に決めました。
 416−8B×2の低域 25Hzは振動板が盛大に振れているだけで聴こえません。32Hzはレベルが低いものの聴き取れます。40Hzから50Hzになるとハッキリ聴こえます。64Hz、80Hzくらいからレベルが上がり、125Hzは十分音圧があります。200Hz〜800Hzは同じくらいのレベルで聴こえます(中低域は、このユニットの得意な帯域で、A7システムは800Hzクロスの2way)。特徴は、ウーファーでありながら4kHz程度までレスポンスがあることです。さすがに6.4kHz以上になるとレベルが下がって聴こえますが、帯域の広さは驚異的です。
 515相当デュプレックスユニットの低域部分 80Hzから聴こえはじめ、100Hz〜125Hzでレベルが上がり、160Hzではホーンロードが効きはじめるのか、十分な音圧になります。200Hzから800Hzにかけては音圧が高く、それ以上になるとレベルが下がるものの、4kHz付近まで、かなりの音圧で聴こえます。
 299相当デュプレックスユニットの高域部分 安全のため500Hzから鳴らしはじめましたが、この帯域でも音圧があります。640Hzで十分なレベルになり、1kHzから3.2kHz程度の音圧が高く聴こえます。4、5、6.4、8kHzと周波数が高くなるにつれてレベルが下がり、10kHzを越して12.5kHzになると殆ど聴こえません。
 475Aの中高域 これも安全のため1kHzから始めましたが、インポーターの推奨どおり、1.25kHzで十分な音圧があります。以後、発振周波数を上げても特に音圧の凸凹は感じられず、10kHzまでキチンと聴こえましたが、12.5kHzになるとレベルが下がって聴こえます。このあたりは私の耳の感度が低下しており、16kHzは全く聴こえません。
 T705の超高域 これは、最初から0.47μFのコンデンサーを介しているので裸の音ではありません。プリメインアンプでゲインを上げてあるためか、8kHzからレスポンスがあり10kHzが十分聴こえます。やはり、1 次フィルターは減衰が緩やかなようです。12.5kHzは耳を近づけないと聴こえません。これは私の耳のせいだと思います。

 ユニットそれぞれの音は、ざっと以上の通りですが、聴感はあくまで主観的なものであり、正確なこと客観的なことは測定してみなければ判りません。いずれ周波数特性を測ってみたいと思います。

 続く


(2010.12.8 掲載)

クロスポイントを下げる

 これまで、DF−35ディバィダーのクロスオーバー周波数を、200、800、3,150Hzの3ポイントに固定してきましたが、ワーブルトーンを聴いた結果、もっと低い周波数に変えても問題なさそうなので、1/3オクターブ下げてみることにしました。最も自由度が低いのはデュプレックスユニットの高域部分ですから、まず、中低域と中域のクロスポイントを、このホーンの下限と考えられる630Hzに選び、これを中心にして2オクターブ付近で分割すると、低域と中低域の間が160Hz、中域と中高域の間は2,500Hzになります。従って超低域のローパスは40Hz以下にセットしました。スロープはどの帯域も−24db/Octです。

SPケーブルの交換


低域用と中低域用


超低域用

 クロスポイントを下げて聴いてみると、これまでより解像度が上がったように感じます。しかし、まだ中低域に膨らみがあり、中域が引っ込んで聴こえ鮮明さに欠けるのが気になります。そこで、少し横道に逸れるのですが、今度はスピーカーケーブルを換えてみることにしました。今まで中低域と中域に用いていたモニターPCのコブラ(導体がシルバーコートの極細線で柔らかく本数が極端に多いタイプ)を、WEの16GAに交換しました。このケーブルと、芯線が少し太いタイプの14GAについて、音の印象を実験・テストリポートの「WE製SPケーブルを試す」に書きましたが、両者は程ほどの太さで、外被が綿糸で巻かれており硬めに仕上がっています。


16GA


14GA

 この16GAは、リーズナブルな価格(1,000円/m)で売られていたので、余分に買いストックがありましから、中低域や中域だけでなく中高域にも使うことにしました。この選択はWEのブランドイメージに惹かれたものではありません。ストーンテクノは、専ら自分で確かめた結果を基にして決めています。
実験室のスピーカーはモノーラルのマルチアンプ駆動なので、SPケーブルは長くても1.2mほどです。しかし、それでも交換による変化は顕著で、これまで余りケーブルに興味を持たなかった私も、音の差を認めざるを得ません。今まで膨らんでいた中低域が引き締まって、中域がカチッとした芯のある感じになり、中高域は艶やかに聴こえるようになったのです。
どうやら、ケーブルの質感と音質傾向の間には微妙な関係がありそうです。導体が太く硬いものは音も引き締まった傾向になり、逆の場合は軟調になるようです。ケーブルが音を変える理由は他にもあると思いますが、私の場合は、これまでの経験から、質感を重要なファクターの一つと考えています。
調子に乗って、中低域から上だけでなく、低域と超低域のケーブルも他のもの(ストック品でメーカー・型番不明)に換えてみましたが、こちらは元から極端に短い(約30〜40cm.)ためか違いが判りません。今後のテストは、このままの状態で進めたいと思います。

 同軸ホーンシステム 調整編に続く


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