ニュースピーカーの実験−6

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(2010.12.10 新設掲載 12.13加筆)

同軸ホーンシステム 調整編

ここは、デュプレックスユニットを使った同軸型ホーンスピーカー製作記の続編です。

回り道をする

 前回、クロスポイントを下げ、SPケーブルを交換して好結果を得たので、レベルを微調整して暫く聴いていましたが、ふと思いついて、回り道ついでにもう一度デュプレックスユニット単体の音を聴いてみることにしました。もちろん、定指向性ホーンの高域下降特性を補正して鳴らすことが前提です。
この実験は、既にステップ−1でEVのXEQ−2を使って試みていますが、今回は、アキュフェーズのヴォイシングイコライザーDG−38を駆使して行います。このイコライザーはデジタル機器ですから、アナログ方式より操作が複雑で非常に多機能です。接続は、全ての入力に作用するようDF−35ディバィダーの前に挿入しました。アキュフェーズは、デジタル機器の接続にHSリンクケーブルを使うよう推奨しているので今回もこれを使いました。
作業の手順は、まず、DF−35の中高域出力をOFFにして中域の出力は高域側のフィルターをPassにします。これでラジアンとフォステクスのユニットが鳴らなくなり、デュプレックスユニットの高域部分は、630Hzから上の高域限界まで働くことになります。

 もう一度3Wayに

 始めに、低域と超低域を完全に絞って、デュプレックスユニットだけの2wayで聴いてみましたが、なんとしても低域が物足りません。そこで、アルティックのWウーファーだけは動作させることにしました。従って、これ以後の好感度テストは、デュプレックスユニットの2wayに160Hzクロスで低域を加えた3Wayシステムの評価ということになります。

イコライジング カーブ


DG−38のウィンド

 イコライジングは、最初に高域の下降特性を補正するため、4kHzから15kHzあたりにかけて14dbほど上昇させました。これが上の写真左のカーブです。この状態で聴いてみると、バリバリした力のある音に変わりましたが、まだ高域の不足が気になるので、次に100Hzから2kHzにかけて広い範囲を6db下げ、右のようなグラフにしました。写真のように、4kHz付近を更に2db下げたので、中高域から上は20KHzにかけて18db上昇させたことになります。また、このさい低域も50Hzから20Hzにかけて12dbほどブーストしました。これは、壁バッフルにマウントしたウーファーの低域を補正するためです。
結局、今回のイコライジングで補正の幅が全体で20dbになったので、普段の聴取レベルにするには、今までよりボリュームの位置を大きく上げることになりました。デジタルボリュームは、減衰量を多くするとビット落ちして音質が低下する(?)という指摘があるので、この方が良いかもしれません。

 イコライジングの効果

 イコライジング加えて聴いてみると、再生音がこれまでより鮮明で力強くなり、高域の低下は全く気になりません。補正前には霞んでいた金物系の楽器もハッキリ聴こえるようになりました。女性ボーカルに張りと艶があり、私が好きな秋元順子の声も年相応(?)にそれらしく響きます。サルバトーレ・アッカルドが弾く無伴奏バイオリンも眼前に浮かびます。やはり、アルティックのコメントにあるとおり、定指向性ホーン(このタイプのホーンをアルティックはマンタレーホーン、JBLはバイラジアルホーンと呼んでいる)にとってイコライジングは不可欠な要素のようです。
今回は好感度テストですから自分の聴感を頼りに弄っていますが、マイクを立てて周波数特性を測るとどんな結果になるでしょうか。調整作業は、この先に室内音響を含めた測定を予定していますが、聴感と特性の間にどのような関係があるか大いに興味があります。

 私の印象では、イコライジング後の音は、以前テストしたEVのTX1152システムの高域に似ていると思います。この両者は指向角が異なる(EVは60度×40度)もののホーン開口部の形状が良く似ています。EVのシステムは、ネットワークでイコライジングしているはずですから、どんなことをしているのかチャンスがあったら調べてみたいと思います。
中高域と超高域のユニットを動作させなくとも音楽が楽しめるようになった同軸ホーンスピーカーですが、このユニットの高域用ダイアフラムは3吋ですから、スーパーツィータを加えたときに感じる「楽器の倍音成分が空間に漂うような雰囲気」までは表現できません。しかし、同軸ホーン(文字通りホーンの中にホーンがある)に低域を加えた3Wayシステムは、160Hz以上の音声が殆ど一点から放射されるためか音像が小さく纏まり、ボーカルを聴くにはベストマッチで何の不満もありません。このまま何も足さずに済めばシンプルで良いのですが・・・・・。

 続く


(2010.12.13 掲載)

再び高域を加える

 最初の計画では、同軸ホーンを中心にした4Wyに、サブウーファーとスーパーツィータを加えて広帯域なSPシステムを作ろうとしたストーンテクノの実験室ですが、例によって試行錯誤し、調整の段階に入ってデュプレックスユニットのイコライジングが上手くいったため、危うく3Wayで「安心・成仏」しそうになりました。しかし、これで満足すると、オーディオマニアを卒業しなければならないので、ふたたびラジアンの高域用ユニット475Aを加えてみることにしました。しかし、今回は、イコライジングしたうえでトライします。アルティックとのクロスは2.5kHzで変えません。


DG−38のウィンド

 上の写真は、高域を4kHzから18kHzにかけて18dbほど上昇させた今回のイコライジングカーブです。前回のデュプレックスユニットの場合と違うのは4kHzあたりのディップの有無です。ラジアンはこの帯域を下降させるとウェットな印象になります。女性ボーカルやクラシックの弦楽器などが上品に聴こえて良いのですが、ジャズのシンバルは遠のいて聞こえるようになります。これでは面白くないので80Hzから4kHzにかけて平坦なカーブにしました。
この状態で聴くブルーベックのテイクファイブは中々楽しめます。ソニー・ロリンズの「ウェイアウト・ウエスト」も良いですね。しかし、私のラリーコースのディスク、イゴール・キプニスの「四季」は、高弦の音が少し辛口です。
ラジアン475AとH1210ホーンの組み合わせは、気になる癖のない綺麗な音がします。しかし、ツィータとして使うには、10kHz以上の波長に対してホーンが大きいようで、私の耳には超高域の伸びが不足して聴こえます。このドライバーにストーンテクノ製の超ショートホーンを組み合わせたらどんな音になるでしょうか。
ストーンテクノの商品、超ショートホーンは、あいにく全部売ってしまい、ストックがないのですぐに試せませんから他の方法を考えなければなりません。

 続く


(2010.12.15 掲載)

スーパーツィータ

 突然ですが、今回は超高域用ユニットの交換を試します。「君子は豹変す」というより、私の場合、心変わりが多いだけなんですが・・・・。
当初の計画で採用したフォステクスのT705は、古いタイプのツィータなので、ホーンが長く低い帯域から使えますが、超高域は余り伸びていないようです。このユニットをノミネートしたのは、中高域用のラジアン475Aとボイスコイル位置を合わせるためでしたが、中高域で分割するのを止めてクロスポイントを高くするなら、475Aがいらなくなり他のツィータが使えます。今度はデュプレックスユニットと組み合わせるための超高域用ユニットを探すことにしました。
ツィータは交換が簡単ですから、いろいろ買い込んで沢山ストックしています。しかし、ドーム型やハイルドライバー、RPツィータなどは高能率タイプのアルティックには馴染まないでしょう。やはり、同じホーン型が良いと思います。


T500A MKU

 ホーン型ツィータなら、私の所蔵品の第一候補は、高域の伸びと過渡特性に優れたFOSTEXのT500A MKUです。このツィータは、これまでの実験で性格を良く掴んでいます。しかし、これは些かボディーが大きい(入力端子を除く本体部分がΦ99×122.1oある)ので、現在T705がマウントしてある位置に組み込めそうもありません。これが、中低域用ホーンバッフルの中に他のホーンを組み込む同軸ホーンの泣き所です。

 T925ツィータ

 T705に換えるスーパーツィータは、思案の末、今回はFOSTEXのT925(本体部分Φ82×91o)を試すことにしました。このユニットは既に製造中止品です。今はマイナーチェンジしてT925Aという新しいモデルが売られていますが、こちらはホーンと磁気回路の径が同じ寸胴(ずんどう)スタイルですから、フランジをつけるには向いていません。
T925ツィータの音は少しクールですが、高域特性はかなり伸びています。しかし、これも据え置き型なのでフランジなど付いていません。T705と同じようにホーンバッフルの中に吊るには、一工夫必要です。
そんな訳で、老いたるオーディオマニアは、また一晩寝ながら考えて下の写真のようなパーツを作りました。

ツィータのフランジ





右側



 パーツといってもフランジだけですから大したことはありません。でも、手持ちのアングルを流用したので何かと不自由が多く、些か苦心させられました。こんなことなら、オリジナルを作ったほうが良かったかと思いましたが、ミスマッチで不要になった場合のことを考えると新たな投資は躊躇してしまいます。
写真のアングルは、今回の製作記冒頭で書いたYAMAHAのシステムから外したもので、アルミ合金製のシッカリしたものです。フランジ部分の穴(65o)よりホーンの径(60o)が小さいので、最初に12o厚の合板でピッタリサイズのフランジを作って、これをL型アングルの後から5oの皿ビスで固定しました。表側は袋ナットを使って綺麗に纏めましたが、写真では判り難いようです。ユニットと合板製フランジの間は木工ボンドで接着し、後で外せるようにしておきました。こんな所にエポキシ系の接着剤を使うと容易に解体できなくなりますからご用心。


T705


T925


 ツィータについての薀蓄

 上の写真は、二つのツィータのプロポーションの比較です。ホーン開口部からトッププレート(ボイスコイルの中心位置)までの距離が大きく違うことが判るでしょうか。その差は45oくらいあり、T705のホーン長83oはカットオフの低さを表していると思います。T925はJBLの075などと同じリング状のダイアフラムですが、T705はドーム型の振動板のようです。
因みに、往年の名器として評価の高い日立の
H-70HDは寸胴タイプで直径70o。T705のホーン部分は日立と同じ70oですが、磁気回路の直径は82oです。H-70HDHS-500システムのために開発されたツィータで、20cmウーファーとのコンビで3kHzから使われていました。

 続く


(2010.12.17 掲載)

スーパーツィータの効果

 T705ツィータに代わって登板したT925ですが、これはホーンが小さいので余り低いところから使えません。振幅歪を嫌うと5〜6kHzクロスは苦しく、8kHz以上で働かせるのが良さそうです。
しかし、デュプレックスユニットの高域はレベルが相当に下降しているはずですから、超高域でスムーズに繋ぐには、ある程度のイコライジングが必要です。というわけで、またしても幾つかイコライジングカーブを描いて聴いてみました。


DG−38のウィンド

 上の写真は、4kHzに3dbほどのディップを作って、7kHzから20KHzにかけて18dbくらい上昇させたイコライジングカーブです。
この状態でデュプレックスユニットを聴くと、高域の下降が補正されて好感度の高い音になりますが、やはり、倍音の再生が物足りません。そこで、今度は、T925を用いたプラス1ツィータを働かせてみました。前に書いたように、T925はT705とボイスコイルの位置が異なり、フランジの関係でマウント位置が4pほど前に移動したので、DF-35のディレイを8p下げて53pに設定しました。
始めは、デュプレックスユニットの高域側フィルターをPassにして聴きましたが、0.47μFのコンデンサーを介したT925の役割は大きく、倍音域の感じが相当に変貌します。高齢化した私の耳に超高音は聴こえないはずですが、これまで、タイトに聴こえていたバイオリンの音色が柔らかくなり、コントラバスやチェロなど低弦楽器の輪郭もハッキリしてきました。
この後、もっと透明度の高い音にしたくなり、デュプレックスユニットの高域側にフィルターをかけてみることにしました。10kHzと12.5kHzを試して、僅かに好ましく聴こえる12.5kHzに決めました。減衰スロープは、超高域側に合せて−6db/octに設定しました。
この状態で聴くと、これまでより音場が静粛な雰囲気になり、どのディスクも好ましい音にきこえます。ハイハットの実在感も漸く表現できるようになりました。
これまでは、1次フィルーターを通したT925の低域側と、デュプレックスユニットの高域が干渉していたのかもしれません。
高域側を弄って好感度が上がり、「もうこれで良いかな」と思えるシステム調整ですが、この上の音を狙って、再び中高域で分割して艶やかな雰囲気まで表現したくなりました。そのためには、どうしたら良いのか・・・・。

 続く


(2010.12.20 掲載)

再び中高域の分割を狙う

 中高域用のラジアン475Aを休ませ、デュプレックスユニットの高域にT925を繋いでシステムアップしたスピーカーですが、苦心した甲斐があって、かなりの満足度に達しています。しかし、オーディオマニアの悲しい性で、更なる野望が頭を擡げてきます。今回は、再度、中高域の分割にトライすることにしました。
といっても、これまでと同じ道を辿るのは無意味ですから、別のアプローチを試みます。

ディバィダー群


TAD-900 (上段)
DF−35(中段)
CF−380(下段)

 上の写真最上段は、オールドファンならご存知のSONY TAD-900です。これは、定評のあるCHディバィダーで、私の記憶に間違いが無ければ、MJ誌のライター新井悠一氏やStereoSound誌でお馴染みの菅野沖彦氏が使われているはずです。嘗て「音のSONY」は、「ESシリーズ」と銘打ってハイグレードなコンポーネントを続々発表しましたが、このディバィダーもその一つです。

 低域をアナログ方式で分割

 今回、ソニーのディバィダーを持ち出したのは、中高域のクロスポイントを増やすためですが、これを実際に働かせるのは低域です。低域と中低域は、これまでDF−35で分割していましたが、Tアルティック416-8B×2のハイカットをTAD-900のフィルター(スロープは−24db/Oct)で行うようにすれば、4ChあるDF−35のスロットが1Ch分空きます。これを超高域用として使うことで、デジタルディレイを働かせながら中高域と超高域に分割できます。この結果、超高域にもディレイがかけられるので、スーパーツィータのレイアウトが自由になり、5Wayマルチアンプシステムにサブウーファーを加えた装置が完成するはずです。
TAD-900はアナログ機器なので操作は簡単ですが機能も単純です。今回は、TAD-900用のクロスオーバーユニットの関係で、低域、中低域間のクロスポイントを160Hzから140Hzに変えることになりました。20Hzの差が聴いて判るでしょうか?それより二つのディバィダーの音質の違いが気になるのですが・・・・。

 
とうとう、チャンネルディバィダーが「3階建ての低層マンション」になってしまいました。こんな複雑なことをしている人が他にいるでしょうか?きっと居ますよ。もっと凄い人が・・・・・。

 続く


(2010.12.22 掲載)

中高域に1吋ドライバーを挿入

 中域を2.5kHzで分割して、ラジアンの1吋ドライバー 475Aで中高域以上を再生する実験は、前にも試みています。この時は、柔らかく綺麗な音に聴こえましたが、超高域の伸びやかさに不足を感じました。
今回は、DF−35のスロットが空いたので、これを生かしてプラス1ツィータ方式で超高域を再生してみました。デュプレックスユニットの高域側を2.5kHzでカットし、ラジアン475Aと(−24db/Octのスロープで)繋ぎますが、フォステクスT925との間は2octave上の10kHz〜12.5kHzのクロスを狙います。超高域用ユニットのディレイは、フォステクスのボイスコイルがラジアンより8p前にあるので−53pに設定します。
はじめにラジアンの高域側を−6db/Octでカットして聴きましたが、これをスルーにしても余り違いが分りません。これは、超高域で私の耳の感度が落ちているためかもしれません。
しかし、どちらの場合も、デュプレックスユニットの高域にT925を繋いだ場合に比べて、弦楽器の音が柔らかく聴こえます。でも、ジャズなどを聴くと、打楽器の再生で幾分インパクトが弱くなったようにも聴こえ、人の声は、しなやかですが少しばかりクールな表現になります。これは、ラジアンのドライバーが持っている個性なのでしょうか。
アルティックに高域まで受け持たせるのが良いか、それとも、高域を他の小口径ドライバーに受け持たせてから超高域に繋いだほうが良いか、この選択は、再生音に対する好みも絡んで悩ましいものがありますが、いま少し聴き込んで見なければ分りません。
TAD-900による低域と中低域の分割は、音質の変化を心配しましたが、いくぶん柔らかな印象になるものの気になるようなマイナス面はなくOKでした。これは、周波数帯域が低いせいかもしれません。アナログディバィダーによる帯域分割が意外に巧くいったので、低域は暫くこの状態にするつもりです。

 続く


(2010.12.24 掲載)

中高域と高域の間

 アルティックの中域を2.5kHzで分割して、ラジアンの 475Aで中高域以上を再生、フォステクスのT925で超高域を受け持たせたシステムについて、前回、インパクトが弱く感じると書きましたが、今回は、アルティックとラジアンのクロスポイントを2.5kHzから5kHzに変えてみました。
ラジアンの高域側はスルーにしてもカットしても余り変わらないので、はじめは、より単純なスルーにしました。フォステクスのユニットにはSPケーブルの途中に0.47μFのコンデンサーが直列に入れてあるので、ディバィダーはフィルターをかけず、スルーにしてみました。これこそ正にプラス1ツィータシステムです。
この状態でジャズのディスクを回してみると、2.5kHzクロスの場合より力強い感じになり、シンバルなど打楽器のインパクトが強く聴こえます。これは、優しく大人しい音色のラジアンの支配力が弱まり、5kHzまで受け持ち帯域を延ばしたアルティックの影響が強くなったためでしょうか。
この後、アルティックの高域側を5kHz(−6d/boct)でカットし、ラジアンの低域側は5kHz(−6d/boct)以下をカット、高域側は10kHz(−6db/oct)以上をカットしました。フォステクスの低域側にも5kHz(−6db/oct)のフィルターを設定してみましたが、これは、ある程度ブレンド量を増やして繋がりを良くしたかったからです。
この結果、滑らかさが増して前の状態より静かに聴こえるようです。このあたりは、「良くなる筈」という、「プラシーボ効果」が働くので余りあてになりませんが、再生音の好感度が上がったのは確かです。

 
現在は、このままの状態で終日アンプに火を入れて鳴らしていますが、今回作ったシステムも、音出しから3ヶ月を要して漸く私好みの音に変化・成長して(?)きたようです。
オーディオマニアは、誰でも自分の理想とする音を頭の中に描いています。それは、好きな女性(とは限らないかな)と聴きに行ったコンサートの楽しい思い出、或いは、他のマニアの装置から流れた美音の記憶でしょう。私にも生音のイメージがあり、これをオーディオ装置で再現することを目指して、50数年に渉って日々精進(?)していますが、現実には容易でありません。
オーディオマニアの性で、好い加減に止めれば良いと知りつつ、この後も、あちこち弄ります。


 続く


(2011.1.3 掲載 1.27 写真を追加)

オーラム カンタスのリボンツィータ

 昨年末、私は、暫く前から気にしていたAurum Cantus(オーラム カンタス)のリボンツィータを手に入れました。このユニットについては、既に、四国の大森先生がマルチアンプシステムに採りいれて実験し、ご自身のウェブサイト(http://katyan4.exblog.jp/i5)にリポートを掲載されていますので、興味のある方は覗いて下さい。


サイトの写真を借用


ウェブ発表のサイズ

 ストーンテクノは、このツィータがリボン型としては異例の低域特性を持っていることに注目し、一度自分で試したいものと思っていました。下にAurum Cantus社が発表しているデータの一部を掲載しましたが、このツィータは、リボン型でありながら中高域の2.5kHzから実用になるようです。
現在、マルチアンプ方式によるスピーカーシステムを作っている私ですが、このユニットを上手く使えば、中高域用ユニットを省いて4Wayの部分を何とか3Wayでまとめられそうです。何かと気が多いストーンテクノとしては、ここでトライしない手はありません。
とは言え、ホーンシステムにリボン型のユニットを加えるのですから、「木に竹を繋ぐ」、「音色の不一致」という不安がない訳ではありません。でも、「クロスポイントやスロープを上手く選べば意外に好結果が得られるかも・・・」と、持って生まれた楽天性(?)を発揮して、年末多忙の折ではありましたが、早速ネットオークションで落札、香港から送られる品物の到着を待ちました。

Aurum Cantus G2 リボンツィータ

● 振動板:70mmリボン

● 再生周波数 :1.7kHz〜40kHz

● 推奨カットオフ周波数:2500Hz以上(3rd〜)

● インピーダンス:8Ω

● 音圧レベル :97dB

● 許可入力(通常):40W

● サイズ :74W×120H×85D

● 重量 :1.13kg

 「ヤフオク」に出品されているオーラム カンタス社(http://www.aurumcantus.com/)のリボン型ツィータは2機種あります。振動板や磁気回路が大きいModel G3タイプの方が低域に余裕があり、当然、変換効率も高いので、こちらを採用したいところですが、同軸ホーンの中にマウントするには些かオーバーサイズで使えません。思案の末、今回は、より小型のModel G2を選択しました。このモデルは縦長の物と正方形のタイプがありますが、リボンとマグネットアッセンブリーは同一と判断して良いでしょう。
中国からの郵便物は発送から5日ほどで我が家に届きましたので、早速、取り付け穴のサイズを測りました。
ホーン壁へのマウントに必要なフランジは、予め近くの工場に作製を依頼しておいたので、年末なのに直ぐに作ってもらえました。感謝、感謝。
フランジの材料は、わざわざ高品位なステンレスを使ってもらいましたが、実物を確認すると、このツィータは防磁対策が万全らしく、鉄製のビスを全く曳きつけません。オリジナルのフランジ作りは、これで3種目になりましたが、これから幾つ作ることになるやら・・・。
ユニットを特注フランジにマウントして同軸ホーンの壁面に取り付けたのが下の写真です。ユニットの後に写っているのはケーブル コネクターで、これは、ユニットが決まった後は必要がなくなるので取り除く予定です。



特性データ


時間軸のF特性


インパルス特性


水平 周波数特性


垂直 周波数特性

 上のデータは何れも製造元のサイトから借用したものですが、このユニットの優秀な電気/音響特性を示していると思います。インパルス特性は余り発表されていませんが、波形の立ち上がり、収束ともに早く、こんな良い特性を持つツィータユニットはざらにありません。
周波数特性で、高域に向かってレベルが凡そ10dbも上昇するのは何故でしょうか。コンデンサー型やハイルドライバーも同じように高域上昇型の傾向を示しますが、これらの超軽量振動板を採用したユニットには「共通する何か」がありそうです。

 続く


(2011.1.7 掲載)

リボンツィータを試す

 大振幅に弱いリボン型のユニットでありながら、2.5kHzから使えると標榜しているオーラム カンタス社のツィータですが、果たしてホーンスピーカーと巧く繋がってくれるでしょうか。
わたしは、いきなり限界に挑戦して壊したくないので、はじめは大人しく5kHz以上で使うことにしました。しかし、いずれ、2.5kHzクロスを試すつもりなので、大きな容量のコンデンサーをシリーズに入れておくことにしました。パーツのトレイを掻きまわすと、オーダインキャップのコンデンサー22μFが見つかりました。ユニットのインピーダンスが8Ωなので、この値なら2.5kHzクロスのハイパス特性に影響を与えないでしょう。
という訳で、コンデンサーを介した試聴の第一印象ですが、これは使えそうです。
何よりリボン型の弱点であるヘラヘラした感じがありません。このツィータは、ラリーコースとして使っているディスクを回しても音を上げません。何と言っても高域の伸びが自然で倍音域の再現がスムーズです。人の声も子音がささくれず、高弦がきつくなりません。ジャズのディスクをかけると幾分細身になりますが、拙宅の場合、ホーン型のツィータでも同じような傾向に調整してしまうので、余り気になりません。これまで高域をイコライジングしていましたが、このツィータに換えてからスルーにしてしまいました。これは、超高域に向かって上昇する周波数特性の成せる業かもしれません。
クロスポイントは、5kHzで聴いたあと、2.5kHzに変えて試しましたが、1octave下げてもボーカルが激変するようなことは無く、私にとって、どちらも好感度の高い音です。これなら、中高域用ユニットが省けるかもしれません。オーラム カンタスの変換効率は97dB/W/1mで、108db/W/1mのアルティックと11dbの差があるわけですが、これはDF−35ディバィダーとアンプのボリュームでレベルを調整すれば済むことです。この状態で暫く聴いてみることにしましょう。

 続く


(2011.1.10 掲載)

Aurum Cantus G2 ツィータの特性

 前々回、ウェブサイトから転載したG2ツィータのデータの中に歪率特性が欠けていたので、ここに掲載します。
ツィータの選定で注意しなければならないのは、他のユニットとの繋がりや音色だけでなく周波数/歪率特性です。ダイナミック型の場合は余り問題にされていないようですが、静電型やリボン型のユニットは、構造上、振幅歪が発生しやすいので、これがネックになって低い周波数からの使用を厳しく制限します。
これまで、ストーンテクノが試したリボン型のツィータは、どれも低い周波数の信号に弱い傾向がありました。これらのユニットは、少しでも低い周波数の信号が入ると忽ち歪み臭くなり、「シャラシャラ・ピリピリ」した音を出したものです。今回も、このあたりに特に注目(というより耳を欹てて)して聴きましたが、嬉しいことに、このツィータは2.5kHzから使用しても嫌な音を出さず、力強く綺麗な音で鳴ってくれました。


周波数/歪率特性


インピーダンス特性

 上のグラフは、メーカーサイドがウェブに発表しているG2ツィータの特性です。右のグラフのように、インピーダンス特性が平坦なのはコイルを持たないリボン型の特徴ですが、注目に値するのは、周波数に対する歪み率の特性です。左のグラフを見ると2kHzあたりまでは0.7%以下の見事な低歪率を示しています。それ以下の周波数で急激に歪が増えますが、これは振幅歪と考えられます。といっても1kHzで5%台ですから、急峻なフィルターを通して使えば、メーカーのコメント通り2.5kHzから働かせて問題は起きないでしょう。
ストーンテクノの実験室(面積約80u)では−24db/Octのフィルターを通して2.5kHz以上の信号を入れ、ジャズの生演奏と同じ程度の音量でディスクを聴きましたが、このツィータが破綻することはありませんでした。
ウェブサイトを覗くと、Aurum Cantus社は、G2の他にG1,G3というモデルも作っています。これらは、Model G2よりダイアフラムの面積が大きく設計されており、当然、磁気回路も大型で変換効率が高いようです。今回のテストで同社の技術に感心した私は、こちらも試してみたくなりました。

 続く


(2011.1.12 掲載 1.14 加筆)

クラウン D-75を試す

 Aurum CantusのModel G2ツィータを高域に採りいれて、好感度が上昇した実験室のシステムですが、今回は、パワーアンプの一部交換を試みました。
ネットワークでまとめたスピーカーと異なり、マルチアンプシステムでは、一般にアンプの占める役割は低いと考えられていますが、私も、この意見に概ね賛成です。しかし、「それなら何でも良いのか?」と問われると簡単に肯けないものがあります。何故なら、私は、パワーアンプの交換による微妙な音の変化を何度も経験しているからです。もっと正確に言うと、機械振動系を持つスピーカーと、これをドライブするパワーアンプの間には、マッチングの問題があり、より良い組み合わせがあるということです。
これまで実験室で高域用ユニットのドライブに使ってきたのは、デノンの廉価版プリメインアンプですが、このアンプは売れ筋のモデルで、マイナーチェンジを繰り返しながら永年に渉って作りつづけられています。しかし、このベストバイなアンプも他の高価格帯のアンプに比べると、表現が少しばかり細めに聴こえるようです。しかし、これは無いもの強請りで、製造コストの制約が厳しい3・9・8の製品ですから止むを得ない事かもしれません。

CROWN D-75


ウーファーの前が少しスッキリ

 今回、試したのはCROWN(クラウン)のD-75です。クラウンのアンプは我が国ではヒビノさんがインポーターで、AMCRON(アムクロン)のブランドネームで知られています。
私は、これまで、このアンプをD-45とともに2台使っていましたが、昨年、1台が不調になり、修理にある程度の費用と時間が掛かりそうなので、1年ほどお蔵入りさせていました。しかし、最近ふと思いつき、正常動作の1台をサブウーファーのドライブ用として(BTL接続で)使ってみました。
この結果は驚きに値するものでした。クラウン D-75は、1Uサイズで5sの小型軽量にも関わらず、TAD1601a×4構成のサブウーファーを十分コントロールしてみせた(というより聴かせた)のです。このアンプは、現用のオンキョー M509とは懐の深さや音色で違いがあるものの、ガッシリとウーファーをグリップして駆動しました。

 なぜ旧機種を

 クラウンD-75は既にディスコンになっており、現行製品はD-75Aというモデルです。この機種はD-75のバックパネルについているDUAL/MONO切り替えスイッチとフォーンジャック入力端子が省かれているほか、出力端子が、いま主流のバインディングポストから、ケーブルの着脱に時間が掛かるネジ留め(接続は確実)に変わっています。ボリュームはクリック付きに変わりました。これらは、コストダウンが目的かもしれませんが、少々使い勝手が悪く残念なことです。
蛇足ですが、私の場合、クラウンのアンプにSPケーブルを繋ぐ際、テストの場合はバナナプラグを使い、長期に使用する場合は、バインディングポストをボックスレンチで締め付けてケーブルを固定しています。ただし、余り強く締めたり、接点復活剤など薬品を塗りすぎると端子のプラスチック部分が壊れるのでご用心。

 ストーンテクノの実験室では、通常、パワーアンプを2台用意して左右に使うので、手持ちの1台と同じ旧モデルが欲しくて探したところ、昨年末、ネットオークションに出品があり、少々高かったのですが即決で手に入れました。

 ツィータのドライブ用に

 お調子者のストーンテクノは、D-75によるサブウーファーのドライブで好結果を得たので、気をよくして他の帯域でも使って見ました。リボンツィータのドライブ用に使ったのです。結果は、これも上手く行きました。ホーン型の中域用ユニットとは11dbもレベル差があるリボン型のツィータを駆動するので、アンプのゲイン不足を心配しましたが、D-75をフルボリュームで動作させ、他の帯域のレベルを下げて解決しました。
高域用のアンプをクラウンに換えると、デノンのアンプで鳴らしたときに比べて再生音の温度感が上がり、一方、湿り気は減ってカラッとした音に聞こえます。D-45で駆動しているアルティックとのクロスを2.5kHzにすると、アンプの影響がいっそう大きくなるようですが、この状態は私にとって好ましいものですから正式に(?)採用したくなりました。

 続く


(2011.1.17 掲載)

サブウーファーを増やす

 余りにもクレージーなので暫く躊躇していましたが、正月の休みの間に、とうとうサブウーファーを追加する作業をしてしまいました。昨年の夏、3F実験室の正面壁バッフルに設けおいた四つの丸穴に、4年前から隠し持っていた(?)ALTECの46cmウーファーをマウントしたのです。

ALTEC 3184


フロント


リア
 上の写真は、ALTEC 3184ウーファーの姿です。この個体は、オークションで4本一緒に手に入れたうちの1本で、断線したボイスコイルをボビンごと換装してあります。この際、これまでのロングボイスコイルタイプではなく、515用のサービスパーツに換えたので、オリジナルの3184ウーファーよりボイスコイルの巻き幅が狭くなっている筈です。(修理改造の経過についてはトピックニュース−9に書きました
私の知る範囲では、アルッティック社が46pウーファーを発表したのは、1990年代に同社がEVに吸収されてからだと思います。これを裏付けるのは、エレボイスタイルとでも言うべきフレームの形状、8本スポークです。
アルティック社のウェブサイトによると、3184ウーファーの変換効率は98db/W/mで質量は11.6sとなっています。JBLの46pユニットより磁気回路が小振り(マグネットの質量は107oz)に作られていますが、ALTECの殆どのユニットは、コーン紙が他社の重い振動系に比べて遥かに軽いので、これでバランスが取れているのかもしれません。このユニットのFoは24Hzと発表されていますから、46pウーファーとしてはやや高めです。因みに同じシリーズの46pユニット 3182は、磁気回路が小さくサスペンションにロールエッジが使われており、Foは17Hzと低めです。
わたしは、嘗て、このユニットを試したことがありますが、このウーファーは、いかにもアルティックらしい音で、柔らかく豊な低音を聴かせてくれました。 3182は、現在、彩球オーディオ倶楽部 会長の樫村さんのリスニングルームで、サブウーファーとして元気に働いています。


サブウーファーシステム


ラックケースに入れたAMCRON

 上左の写真は、サブウーファーシステムの全景です。前列中央がディバィダー群、その下と両側がドライブ用アンプで、壁のTAD1601aウーファー×4本の両側にALTECの3184ウーファーが2本ずつマウントしてあります。これまで、そこそこ大きいと思っていた40pユニットも隣に46cmウーファーが並ぶと小さく見えます。これで、40Hz以下の超低音域を受け持つサブウーファーが8本、ドライブ用アンプは3台になりましたが、壁一杯にウーファーが見えるのは景色が良くないので、いずれ何かで隠してしまうつもりです。


AMCRON D-150AU

 3184ウーファーをドライブするのはAMCRONのD-150AUで、何時ものとおりブリッジ・モノ動作にして左右に1台ずつ使用しています。このアンプはプロ機の常でラックマウントタイプですから足など付いていません。直接床に置くのは少々具合が悪いので、無い知恵を絞って考えた末、3Uサイズの移動用ラックケースに収めて使うことにしました。このケースは側面にハンドルやゴム足が付いているうえ、アルミとプラスチックでできているので何やらメカニックな感じになりましたが、男性的な風貌のアムクロンの佇まいには合っているようです。サイズは、結線がしやすいよう奥行の短いハーフタイプを選んだので、アンプのお尻が少々後に出ていますが、放熱はこの方が良いと思います。

 
後になって、「L型金具でブラケットを作って下のラックにマウントすれば良かったのに」と思いましたが、これは「後の祭り」というものです。何方か、この2本のラックケースを買い取って下さいませんか?

 続く


(2011.1.19 掲載)

またしても中高域の分割を試す

 Aurum CantusのModel G2ツィータを高域に採りいれて、クロスポイントを2.5kHzに下げられたため、中高域の分割が不要になりそうなニューシステムですが、性懲りも無く、またして帯域分割にチャレンジしました。今回は、始めにラジアンの1吋ドライバー 475Aを外してFOSTEXのD252ドライバーを中高域に使ってみました。これは、ドライバーによる違いを確認するためです。
この1吋スロートのドライバーは、FOSTEXがかなり前に発表した製品で、現在は何回かモデルチェンジを繰り返しながら作り続けられています。古いMJ誌の特集によると、このドライバーは、JBLのLE175ドライバーと同じくらいの小振りなドライバーで、アルニコマグネットの磁気回路を持ち、極薄いアルミ系の素材に、セラミック系の物質をコーティングしたダイアフラムを備えているようです。このモデルは、1吋ドライバーの中でも小型なタイプなので、低域側のクロスを500Hzなどと欲張らず1kHz以上で使うのが良いと思います。

 FOSTEX D252ドライバー

 ストーンテクノは、このD252ドライバーを発表当時から使っていたので、音質の傾向や性格を良く掴んでいます。私は、このドライバーを手放したり再購入したりしましたが、現在、2ペアをストックしています。
このモデルは、JBL、ALTECなどの海外製品のように個性的な輝かしさを強調することがありません。その音は、あくまで癖が無く慎ましやかで、ホームユースに都合の良い中庸を得た傾向です。一部のマニアは、これが飽き足らず他の個性的な製品を好まれるようですが、この評価は当を得ていないと思います。FOSTEXに限らず、今は無きコーラルなど日本製品の多くは真面目に作られており、信頼性が高く、上手く使えば素晴らしいパフォーマンスを示してくれます。

ラジアンのホーンにマウントしたD252


フロントビュー


リアスタイル
 FOSTEXのD252ドライバーにラジアンの1210ホーンをマウントして中高域に使ってみると、どうやらラジアンより上手くいきそうです。
このドライバーは暫く使っていなかったので、調子が整うよう丸一日動作させ、翌日になってから改めて本格的な評価をしましたが、FOSTEXのドライバーからは、ラジアンの475Aとは一味違う音が聴けました。その差を私の貧弱なボキャブラリーで表現するのは難しいのですが、音の粒立ちが微妙に異なるのです。癖の無いサラッとした傾向は似ているものの、こちらのほうが、より滲みの少ないクッキリした感じに聴こえます。
中高域に特に注意して聴くと、オーラムカンタスのリボン型との違いは、このクッキリした実在感にあり、やはり1吋ドライバーの存在理由はあるようです。
しかし、リボン型より振動板が大きくて重い1吋ドライバーですから、高域側のフィルターをスルーにしても高域の伸びに不足を感じます。ワイドレンジの音が好きな私は、倍音域が十分再生されないと満足できません。早速、10kHzから12.5kHz辺りでリボンツィータに繋いでみました。これなら倍音域が自然な感じに聴こえるので好感が持てます。

 この状態で、また一日動作させて聴いていましたが、私は、またしても他のユニットを試したくなり、トライしてみました。


 続く


(2011.1.21 掲載)

JBLの075ツィータ登場

 FOSTEXのD252ドライバーに次いで、古の名器(というより未だ現役というべきか?)として知られるJBLの075ツィータを、中高域用として(2.5kHzから上の帯域に)使ってみました。。
私は、始めのうち、ツィータを中高域に使うことを考えず、専ら1吋ドライバーを使ってきました。ツィータを低い帯域から使うのは不安ですが、何事も自分で試してみなければ気がすまない性質ですから、今回は発想を変えて実行してみることにしました。もちろん、安全のため、SPケーブルの途中に15μFのフィルムコンデンサーを入れておきましたが・・・。
下の写真は、サブバッフルを介してエンクロージャーにツィータをマウントした様子です。このサブバッフルは、12o厚の、いわゆるコンパネと呼ばれる合板2枚と13o厚の硬質樹脂を重ねて作りました。材料のカットや刳り抜きはビバホームの中野氏に依頼しました。その後、これも例によって塗装の名人(?)樫村氏に(艶消しの黒色で)仕上げてもらったので素晴らしい仕上がりです。


中低域以上のユニット レイアウト


075(上)とリボンツィータ(下)のアップ

 075ツィータは、余りにも有名なのでオーディオマニアなら知らない方はいないでしょう。
このユニットは、ホーン型ツィータの中でも極めて独創的なもので、開発当時、JBLの技術陣は、直径44oもあるリング状のダイアフラムを考案して、「リングラジエーター」と名付け、2吋スロートのドライバー 375に負けない強力なエネルギーを発揮する、高域用ユニットを作りました。これが歴史的名器と賞賛される075ツィータです。
075が発表されたあと、他社から同じようなタイプのツィータが続々発表されましたが、これらは、何れも高音域の力強い表現とモノとしての造形的な魅力で075に及ばないと思います。

 魅力再発見

 ツィータはマルチスピーカーの重要なアイテムですから、何より音が良くなければ認知されませんが、シンバルなど金物系の楽器の再生において、このツィータの右に出るものは稀で、075は開発時期の古い製品なのに、ジャズを好んで聴くリスナーが未だに愛用するユニットです。技術革新が進んだいま改めて他のユニットと比較してみると、さすがに超高域の伸びやかさが不足するのは否めませんが、5kHzから10kHz付近の音色はまことに力強く素晴らしいものがあります。今回は、スピーカーにとって大切なトータルバランスですが、下降気味の超高域(12.5kHzから上の帯域)を、リボンツィータに任せて再生したので上手く繋がったようです。
075は、中高域用として限界の2.5kHzから使ったので、振幅歪の増加によるザラザラした感じを心配しましたが、−24db/octaveのフィルターを通して動作させたので、かなりの大音量で再生したにもかかわらず問題はありませんでした。
075の中高域は、1吋ドライバーの表現に負けないどころか、高音楽器のクッキリした描写に長けています。これなら、このシステムに組み込んで使えそうです。私は、これまでまともに鳴らしたことの無い075ツィータを改めて見直してしまいました。

 続く


(2011.1.26 掲載)

超高域にT90Aを試す

 前回、075を中高域に使って好結果を得たので、今回は、「同じホーン型のユニットで統一したらどうか」という興味から、超高域にFOSTEXのスーパーツィータT90Aを使ってみました。
このツィータの前身はT90Hだと思いますが、T925がT925Aにモデルチェンジしたように、このモデルも、Aタイプになってホーン部分がアルミ合金から黄銅系の合金に変わり、凹凸の無い寸胴スタイルになりました。このシリーズは据え置きを基本にしているらしく、可愛い置き台が売られていますが、私のようにエンクロージャーにマウントして使う人は、些か使い難いのでバッフルマウント用のフランジを別売りして欲しいものです。
私は、例によって12o厚のコンパネの端材を正確に刳り貫いてフランジにしました。径の小さい(今回はΦ60)穴抜きは難しいものですが、ホールソーや自在錐を使うと上手くいきます。この作業は、板厚があるので
垂直に開けるためハンドドリルでなくボール盤を用います。
ユニットとフランジの間には、僅かにあるガタを無くすために木工ボンドを充填しました。これは後で分解を容易にするためです。ここにゴム系やエポキシ系の接着剤を使うと外せなくなりますが、水性ボンドは金属に付かないので、暫く水につけおくと軟化して簡単に外せるようになります。


木製のフランジ


ホーン壁にマウント

 T90Aを超高域に使うと、リボン型のツィータと異なり高域に芯があるような感じに聞こえます。オーラム カンタスのG2は、高域の爽やかさが特徴で、柔らかく伸びやかな音がしますが、ハードなジャズを聴くとホーン型に比べてハイハットの「コチン・カツーン」という感じが少しだけ後退します。クラシックの弦楽アンサンブルやバロックのチェンバロの再生ではリボン型に分がありますが、金物系の打撃音の再現はホーン型の方が得意で、幾分リアルな感じがします。
柔らかい音と硬い音の両方を上手く表現してくれるのは、ゴトウユニットやエール音響のハイグレードなツィータです。これらは、巨大な磁気回路を作るのに多くの費用が掛かっているためか、とても高価です。比較的リーズナブル(といっても1ペア15万円)なモデルで優れているのは、FOSTEXのT500A MKUです。
私の経験では、ツィータは磁気回路の強化に伴い再生音が静かになる傾向があります。これは、過渡特性が改善されるために余計な音を出さなくなるのかもしれません。良いツィータを使うと、倍音が豊になって高域が柔らかくなり、演奏会場の雰囲気が上手く再現されるだけでなく、低音楽器の歯切れが良くなったように聴こえることも分っています。FOSTEXのT500Aはストックがあるので、後で試すかもしれません。このユニットは、ボディーが大きく重いうえ寸胴型なので、バッフルマウントするには一工夫必要ですが・・・。

 続く


(2011.2.23 掲載)

またしても同軸ホーンにトライ

 このページを書き続けて1ヶ月近くも更新を休みましたが、漸く再開します。
システムの調整段階に入りながら、この間、書き込みを怠ったのは、中域用ホーンの中に高域用ユニットをマウントする工夫と作業に没頭していたからです。
この作業が一段楽したので、今日から新たなページを設けて、再製作編として書き込むことにします。興味のある方は、下の青い文字をクリックしてください。

 
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