■「石の花」講談社漫画文庫 投稿書評より

坂口尚 石の花 講談社漫画文庫

石の花」全5巻講談社漫画文庫 著者名: 坂口尚/著

コメント: 坂口尚という作家と触れるにはまずこの本が一番よい入門書になっているように思える。歴史大河ロマンといえば簡単だが、坂口尚の真骨頂である、ファンタジーを私は、主人公の少年クリロ達の対独パルチザン戦の描写の中にもついついみてしまう。

例えば、銃撃され疲れ切った兵士たちの上を、低空から大空へと舞い上がっていく鳥が描かれていたりする。時折現実からはなれた幻想的な場面があり第1話にしか実際には登場しないフンベルバルディング先生が姿をあらわす。

それは草原であったりする。広い草原に先生とクリロは2人だけで会話している。「広い草原だねェ…」「広すぎる…」。

これらは、短編作品でみせたファンタジーを“戦争もの”であっても描いている坂口尚を感じさせる場面のひとつなのだと私は思う。短編の名手とよばれた坂口尚短編作品を思い出す。坂口尚短編集とあわせてすすめたい。

5巻巻末には、坂口尚さん御本人による「石の花」についての文が掲載されている。すでに他の版の「石の花」をもっている方にもこの文庫版をすすめたい。

2005.03.27

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