| ■「石の花」愛蔵版 講談社KCデラックス bk1投稿書評 |
潮出版社希望コミックスと今回で4度目の出版となる坂口尚の代表作ともいえる「石の花」。
中には、すでに新潮社のハードカバー版をもっているから今回出版された石の花愛蔵版はちょっとという方もいるかもしれないし、潮出版社版があるからという方も中にはいるかもしれない。
その為、それぞれの違いを簡単に紹介しておきたい。
1.潮版→新潮社版
1400頁加筆改稿 全面リライト ページ数も増えている。
2.新潮社版→講談社漫画文庫
基本的には新潮社版を元に再編集された文庫版。
新潮社版との違いは、新潮社版でページ順が入れ替わってしまっていた部分が潮版と同じに編集修正?されている。
つまり、ページ順が違っていた部分の修正、また白黒反転指定などの印刷製版時の逆版指定等細部にわたり、おそらくは著者が意図した形に訂正された。
3.今回の石の花「愛蔵版」
改稿後の原画から、訂正された形での出版としては、今回の出版がはじめての大きな版での出版となる。
講談社漫画文庫版「石の花」全5巻は、手軽に読める点、坂口尚の知名度をいっきにひろめた点で大いに評価したいが、今回の愛蔵版は、A5サイズに加え、印刷画面を広くとっているため、絵の細部がはっきりと確認できる。
絵から受ける印象はかなり違う。
4.装丁やどのあたりが「愛蔵版」なのか?という点について
今回の愛蔵版は、表紙に単行本の中のコマの絵が使われている。
では、一体これまでの表紙のイラストはどこに?と思った方もいるかもしれないが、本の中にちゃんとカラーで収録されており、文字などのかぶりもない。
愛蔵版は全4巻なので、4枚分のこれまでの表紙イラストになってしまうが、文庫版では使われてない潮出版社版第6巻の表紙イラストが第2巻に入っているなど、これまでの本をすでにもっている読者にもアピールする本になっている。
また、第2巻には、これまでモノクロで収録されてきた2頁分がカラーで収録されている。
第4巻巻末には坂口尚さん御本人の手による「石の花」構想ノートの一部も紹介されており、資料的部分にも配慮されている。
5.内容に関して
「石の花」については、文庫版の書評などである程度語り尽くされているような気もする。ただ、誤解がたまにあるので、書いておきたいのは、ユーゴスラビア内戦の時期に便乗してこの作品が生まれた訳では無く、石の花の連載は、1983年3月−1986年9月。
ユーゴスラビア内戦が世界的に問題になる以前の作品という事になる。
今世界では戦争が起こっている。著者である坂口尚さんは「石の花」を「戦争物」ではないと口にしていた事もあるとご家族から聞いているが、民族対立、宗教対立、幸福の追求の為の対立といった諸問題を提起した本であるがゆえに、今の時代にこそもっと読まれるべき本だと思っている。
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