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奄美八月踊り




 奄美には旧暦の八月を「新年」ととらえる暦がある。
たぶん、収穫期の早い南国の農歴に合わせ、
収穫を終えた時期に年があらたまるという考え方だろう。
「アラセツ(新節)」「シバサシ(柴挿し)」「ドンガ(嫩芽)」
およそ1ヶ月のあいだに、いろいろな新年の行事が巡ってくる。

その折々を飾るのが、「奄美の八月踊り」。
集落によって、いろいろなスタイルがあるが、その基本は、
集落内の皆が、来年も豊かな収穫に恵まれて平穏に暮らせるよう、
神々に感謝を捧げ、祝福し合うこと。
かつては家々を1軒ずつ回り、その庭先で「祝付け」の踊りを舞ったそうだ。
集落の全員が、お互いの家に福を呼び込んで踊るということは、
言葉を換えれば、
「あなたの家に何か困ったことが起きたら、集落の皆が助けますよ」
という保証を与えて回ることにほかならない。
琉球からインドネシア・バリ島まで、南の島々に今も根強く残っている、相互扶助の精神そのものだ。

笠利町は、奄美大島の中でも八月踊りの盛んな地域として知られている。
その唄と踊りの数の多いこと。
今でも数十曲は残っていて、とても一晩で踊りきれるものではないそうだ。

太鼓(チヂン)を叩くのは、ほとんどが女性。
そのリズムに乗り、男女が唄を交互に出しながら輪になって踊る。
テンポは最初はゆっくり、だんだん早くなって、最後は手足がもつれるほどにまで盛り上がる。
踊りの合間には、各戸が持ち寄った手作りの郷土料理と酒が振る舞われる。
家の庭先やちょっとした広場、狭い裏通りなど、普段の生活の場が一晩だけ特別な輝きを放つのは、
神々に見守られた「シマ」の暮らしが、今も息づいている証拠かもしれない。

(撮影:2003年9月)



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