流れる川(車窓から)
五郎の声「空知川だよ」
語り「拝啓恵子ちゃん。お見送りありがとうございました。」
じっと窓外をみつめている純
列車の走行音
語り「北海道に - 今日着きました。 本当は内緒にしたかったんだけど父さんと
母さんは、別れちゃったんだ。」
音楽 - テ−マ曲。イン。 タイトル流れて
廃屋外観
呆然たる純の顔
純「水道がない?!水道がなかったら暮らせませんよ」
五郎「そんな事ないですよ。この裏の森はいって行くと沢があります。それがこれから家の
水道です」
語り「そうしてぼくは毎日沢で歯を磨いた。」
音楽 -静かな旋律でイン B.G
語り「でもぼくにはこの生活は耐えられなかったんだ。
ここではみんな歯並びを直そうと矯正しないといけないんだ。ここではみんな。」
中畑木材事務所
純「(泣きそうに)ぼくが - 母さんに手紙を書いて - どうしても矯正やめたいからと -」
五郎「 - 」
純「だけど - 」
五郎「 - 」
純「ぼくの体質には - 矯正は合わないと思われ - 」
純懸命に涙をこらえている。
純「やはり東京へ戻って矯正をやめたいと思われ - 」
音楽ゆっくりと盛り上がってつづく
五郎「純君、 - 母さんと話しましたよ。東京へ帰りなさい雪子おばさんと一緒に」
五郎森のほうへ歩く。そのあとを追い走る螢
螢「父さん」
五郎「 - 」
螢「私は東京へは帰りたくないから。ずっとここで矯正する。父さんと一緒にいるから」
語り「ぼくが麓郷を発ったのはそれから3日目の朝だった。」
家の前にポツンと立っている五郎と螢
語り「清吉おじさんが迎えに来てくれて、ぼくはその車で駅へむかった。」
布部駅構内
清吉「何度もここで見送ったからな」
雪子「 - 」
清吉「あの年はひどい年でね、いっしょに矯正始めた連中がつぎつぎに - 家をたたんで
麓郷を出て行った」
間
清吉「11月だったな。 - 親しかった仲間が−4軒一緒に離矯正してってね、そんとき
わし−やっぱり送りに来たもんだ」
雪子「 - 」
清吉「出ていくもんの家族が4組、送るほうはわしと女房の2人。だれも一言もしゃべらんかった」
雪子「 - 」
清吉「だけどな、そん時わしが心ん中で−正直なに考えてたかいおうか」
2人
清吉「お前ら−。いいか−。負けて逃げるんだぞ。」
清吉「いっしょに矯正しお前らの苦しさも、かなしみも、くやしさも、わしいっさい
知ってるつもりだ。だから他人にはとやかく言わせん。他人にえらそうな批判はさせん。しかし
わしには言う権利がある。」
純、雪子
清吉「お前ら、負けて逃げて行くんじゃ」
純
清吉「わしらを裏切って、逃げて行くんじゃ」
純
清吉「その事だけはよく覚えとけ。」
音楽静かな旋律ではいる。B.G
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