HOMEに戻る / BOOKS INDEXに戻る
◇ レイチェル・カーソン ◇
「海辺〜生命のふるさと」 上遠恵子訳(平凡社)
岩礁、砂浜、サンゴ礁など、様々な表情を見せる海辺の生物たちの世界が、実に的確に、生き生きと綴られています。見るからにきれいなものだけでなく、一見して「奇妙な」形の生物たちも、カーソンさんの筆にかかるととても愛着が感じられます。写実的な挿絵もすばらしいもので、一冊丸ごと、海の世界の魅力に満ち溢れています。
「われらをめぐる海」 日下実男訳(宝島社文庫)
20億年の昔から地球上に存在する海。その成り立ちや、現在の海の姿・・・表面近くの姿、浅瀬の姿、深海の姿・・・などなど、尽きない海の魅力についてとうとうと語られた本。別の言い方をすればそのような事柄について丁寧に「解説した」本ともいえるのですが、一見堅苦しくなりそうな海の情景の説明も、カーソンさんの手にかかると不思議なほど引き込まれる文章になってしまいます。また、そうでありながら書かれている内容はしっかりした科学的視点に基づいており、必要以上に感動的に仕上げているわけではない・・・。他にはあまり見られない、何ともいえない魅力が彼女の文章からは溢れています。
「レイチェル・カーソン」ジンジャー・ワズワース著、上遠恵子訳(偕成社)
この本はカーソンさんの伝記であり彼女自身の著書ではありませんが、一応このページに入れることにしました。小学校高学年くらいを対象に書かれた本で、内容がとてもコンパクトにまとまっていて分かりやすく、あっという間に読み終えました。カーソンさんが子供の頃のこと、ベストセラー作家になるまでのこと。そして「沈黙の春」の出版〜晩年・・・。この本を読んでいると、自然に対する彼女の愛情と洞察力がいかに優れたものか、そしてそのことに最も影響を与えたのはやはり彼女の母親だったのだろうというのがひしひしと感じられます(・・・これは別のページで紹介しているジェーン・グドールさんにもいえることですが・・・・)。そういったことからも、これから生まれくる子供たち、現在育ちゆく子供たちには「センス・オブ・ワンダー」〜自然の不思議に目をみはる感性〜を、ぜひ育んでいって欲しい、と心から思います。
「潮風の下で」 上遠恵子訳(宝島社文庫)
海洋生物学者であるカーソンさんのデビュー作で、海に暮らす生き物の姿を綴った物語。難解な表現は一切使わず、それでいて詳細で生き生きとした描写は、鋭い観察眼と綿密な資料調査、そして溢れる想像力の賜物だと思います。彼女がいかに海の生物に対して愛情をもって接しているかが伝わってきます。愛情といっても、人間社会の身勝手な同情心を自然界に持ち込むような感情的な表現は全く見られません。自然界の掟はとても厳しいもの。食うものもいれば食われるものもあり、その連鎖は連綿と続いている。そういった様々な生き物各々の視点で淡々と綴られる物語は、取り立ててドラマティックな表現は無くとも十分美しいと感じさせられるのです。そして人間もまた自然の摂理の中にいるのだということを、あらためて思わずにはいられませんでした。
「沈黙の春」 青木簗一訳(新潮文庫)
人々がまだ、合成化学物質の危険性について無頓着だった1960年代、DDTをはじめとする合成殺虫剤が人類にとってどれほどの危険をもたらすかということについて詳細に述べられた、重大な警告書。原題の「Silent Spring」がそのまま訳された「沈黙の春」というタイトルには、全ての生物が死に絶え、音もない死の世界を表した、非常に深い意味合いが感じられます。出版された当時の社会にはこの本はなかなか受け入れられず、カーソン女史はその2年後、57歳で亡くなられています。しかしながらその後、この本によってなされた警告が再認識されるようになり、各国の政府や科学者に大きな影響を与えることになりました。
「センス・オブ・ワンダー」 上遠恵子訳 (新潮社)
カーソンさんの死後、友人たち有志によって出版された本です。60ページにも満たない、手軽に読める本ではありますが、その内容は非常に深く、心に染みてゆきました。
現代社会では大人も子供も自然界とは切り離された中で生活し、日々の忙しさの中であらゆる自然現象に対して鈍感になっているように思います。ふと見上げた空の色、庭の草木、土の中の生き物・・・そういった身近な自然の営みや美しさを不思議と感じ、目をみはる感性の大切さをこの本は教えてくれます。世界には本当にワクワクする不思議がいっぱい・・・。そして自然に対する畏敬の念を、いつまでも失わないでいたい・・・・と、強く思います。またこれからの世代の子供たちが、そういった純粋な感性を育んでいってくれたら素晴らしいな・・・と感じました。
HOMEに戻る / BOOKS INDEXに戻る