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「有田の名宝」展
2001年7月19日〜10月14日まで九州陶磁文化館で開催されている「有田の名宝展」を観にいった。日本磁器発祥の地・有田には、九州陶磁文化館はもとより有田陶磁美術館、歴史民俗資料館、さらに数多くの私設の美術館、博物館など、有田の歴史とやきものに関する計15の施設が存在する。この展覧会は、これら町内のミュージアムの所蔵品および町内に住んでおられる個人の所蔵品あわせて264件(595点)の肥前磁器が九州陶磁文化館に一堂に会したものである。通常の九州陶磁文化館の特別展と異なり、15の施設が集まって作られた「有田ミュージアム連絡会」が主体となって開催されれている。また今年は世界炎の博覧会の開催からちょうど5周年を迎えているので、その記念の展覧会という意味もあったそうだ。
初期古伊万里の時代から、近代、現代まで肥前地区で作られた陶磁器が、これでもかというくらいにふんだんに展示されていた。江戸時代の古伊万里を目にする機会はけっこうあるのだが、今回は普段はあまり注目したことのない明治以降の有田磁器をあらためて数多く眺めてみることができた。時代の変遷に伴うデザインや色合いの変化がすごく分かりやすかった。
個人蔵の展示物で驚かされたのは、1840〜1870年代に作られたとされる薄手の色絵茶碗だろうか。高台裏には「蔵春亭/三保造」との銘がある。ガラスケースの中にあるからもちろん手にとって確かめることはできないけれど、これまでに見たことのあるどんな有田磁器よりも薄手の作品だった。景徳鎮辺りで作られる薄胎磁器とまでは行かないまでも、文様の透け具合からしてとにかく極端に薄い。素地の色は真っ白で、とにかくきれい。泉山や天草の陶石だけでこれが作られたとは考えにくいが・・・それでも江戸時代末期から明治初期の有田でこんな繊細な薄手の品物が出来ていたなんて・・・すごい。
また、陶磁器の展示だけではなく、中島浩氣氏直筆の「肥前陶磁史」原稿(歴史民俗資料館所蔵)や、歴史的に価値のある、酒井田喜三右衛門(初代柿右衛門)の赤絵初めの覚書(柿右衛門古陶磁参考館所蔵)など、興味深い資料の数々も展示されていた。尤も、中島氏の原稿が昭和の時代のものだけに読みやすく内容も理解できたのに対し、初代柿右衛門の資料の方は説明文が傍に書かれてなかったらとてもじゃ無いけど読めそうな文章(字そのものも・・・)ではなかったな・・・。
それにしても今回、展覧会を見終わって、よくもまあこの狭い町内だけでこんなにたくさんの所蔵物があるもんだなと感心した。400年近い陶磁器の歴史をもつ町だから、当然と言えば当然なのだろうけれど。でもこの展覧会の期間中は、他の美術館などを観にいっても目玉商品はあまり置かれていないのだろうな。逆にいえば今回の展示物の多くは展覧会終了後でも町内のどこかの施設で見ることができるのだ(個人蔵は別として)。そう考えれば、もうすぐ展覧会は終わるけれど九州陶磁文化館の通常の秋の企画展と比べてそれほど寂しい気持ちにはならないで済みそうだ。
最後にはまた柴田コレクションの部屋を覗いた。訪れるたびに展示方法が少しずつ変わっていて楽しい。今は、絵柄として用いられている動物ごとにコーナーを設けた展示ケースが中央の並びに集められているのが楽しかった。鶉・・・鹿・・・兎・・・など躍動感に溢れた動物たち・・・。昔の人々の観察眼の鋭さと細かいタッチはいつ見ても感心させられる。今回、私が好きな海老の絵柄の皿が出てなかったのがちょっと残念だったが。さて、10月の中旬から秋の特別展として「柴田コレクションパート7」が始まる。今行われている「有田の名宝展」と合わせて今年は秋の特別展が2本立て続けにあるようなもの。次もまた楽しみな展覧会になりそうだ。
2001.9.30記
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