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プレゼンテーション

秋は、さまざまな学会や講演会が多く催される時期である。ここ何年間か、感じることは、プレゼンテーションの方法が次第に変化しつつあるなあ・・・ということ。しかし、他の分野ではどうなのか良く知らないけれど化学系に関してはまだまだOHPが主流である。学会等で、いかに自分のやっていることをアピールするか・・・・。それは、いかに分かりやすいOHPを作り、いかに分かりやすい発表を行うかにかかっている。

一昔前は、スライドプロジェクタが多かったらしいが、現在ではほとんど見ることはない。但し医学系はスライドの比率が高いと聞いたこともあるが参加したことがないので本当のところは知らない。十数年前は、手書きやロットリングのOHPというのもまだまだ健在だったように思う。そしてワープロが一般的になってくると、次第にプレゼンテーション用OHPを、誰でも手軽に作れるようになった。それでも、企業の方が発表に使うOHPと、大学や公設試が発表に使うOHPでは、まだ格段の差があった。これは、オーラル発表だけではなく、ポスターセッションにもいえることで、カラーをふんだんに使った分かりやすい企業のポスターに対し、大学や公設試が使用するポスターは、色も白黒だけで地味だし、明朝体の細い字だけで、どことなく垢抜けないものが多かった。

しかし、そのような状況も、ここ数年で大きく変わってしまった。それはもちろん、パソコンと、多種多様なアプリケーションソフトの普及、そして、高画質カラープリンタの普及によるところが大きい。こういった環境の変化により、学生が発表するOHPもしくはポスターと、企業のそれとの差はほとんど無くなったといえるだろう。また、最近では、少しずつではあるが、プレゼンテーション用ソフトを使い、パソコンを操作しながらプロジェクタで発表を行う例も見かけるようになってきた。発表のやり方もだんだん変わっていくものだなあ・・・・とつくづく感じる。

どの発表者もいろいろ工夫してOHPを作っておられるようで、中には多色刷りのかなり凝ったのもある。
しかし時として、あれ? ちょっと何かがおかしいんじゃないか・・・・? これでいいのか? と思う場面がないでもない。まあ、もちろん、凝ったプレゼンテーションを否定するつもりは毛頭ない。しかし、凝りすぎてかえって見づらくなってしまう場合や、飾りが多すぎて内容の理解に支障をきたす場合がないとはいえない。プレゼンテーション用の資料というのはあくまで脇役で、主役は研究内容のはずだ。いかに研究内容を分かりやすくするか、というのが、資料の役割ではないのか。どんなに凝った資料を作っていても、中身が伴わないと寂しい。発表者同士、原稿をどんなソフトで作ったかということを語り合うのも良いが、そればかりを熱心に語るのは何か違うと思う。

持論としては、プレゼンテーションの資料作りだけのために、必要以上に時間をかけたくないというのがある。プレゼン資料は、あくまで道具に過ぎない。それより、少しでもデータを充実させることに時間を割きたいのが本音である。個人的には今でも、カラーOHPは最小限度の枚数しか使用しない方だ。もう少しカラーを増やした方が見やすいかも・・・と思うこともあるが、印刷時、デフォルトで選択されているプリンタがモノクロレーザーだし、しかも常に電源が入っていて手早くできるので、どうしても楽な方に走ってしまう(カラープリンタは滅多に出番がないため、使用する時に電源を入れている)。

見やすいOHPを作ることは、学会で発表する際、基本中の基本だろう。ある大学の先生が言っていた。「後部の席から字が読めないようなOHPを出したら、その時点で失敗。」当たり前といえば当たり前のことだ。実際、前方の席に座っていても、数字や言葉がびっしり詰まった表を出されると、見る気がしなくなるのは確かである。「ちょっと字が小さくて、見えにくくて申し訳ありませんが・・・・」と発表時に言われたりすると、「なら最初から出すなよ」と言いたくなる。やはり、「なるべく大きな文字で、少ない文字数で簡潔に」が一番大事なことだろう。個人的には、OHPの場合は太目の角ゴシック、ポスターの場合は明朝体(英文の場合はTimesなど)を使用することにしている。

と、なんだか偉そうなことをたくさん書いてしまった。でも、自分自身を振り返ると、それほど御大層な仕事をしているわけではない。何度学会に参加しても、発表の場に立つのはやはり怖いと思う時もある。特に同じセッションに、その道の大家といわれる先生方の発表が組まれていると、非常に緊張するし、何を叩かれるだろうかと不安である。しかし当然の事ながら、発表を行う意義の一つは、多くの方々の意見を聞き、今後の仕事に生かすことなので、叩かれるのを恐れていては何も始まらない。

様々な研究者の発表を聴いていると、うまいなあ・・・・と感心させられる発表者もよくいる。それは年齢に関係なく、企業の中堅の研究者であろうが研究歴の浅い学生であろうが、発表のうまい人はものすごくうまい(逆にそうでない人もいる。これも年齢に関係ない。)。OHPの構成をはじめ、言葉の流れ、時間配分等、完璧にこなされたら本当に感心してしまう。次回の自分の発表のために非常に参考になる。もちろん中身が第一であることに変わりはないが・・・・。

今後は、パワーポイントのようなプレゼンテーション用ソフトを使って直接パソコンを操作するタイプの発表もだんだん増えてくるかもしれない。それによって、より「凝った」発表が簡単にできるようになるだろう。しかしそうなった時も、やはり、「一番大事なのは中身である」ことを常に心がけていたい、と思う、今日この頃であった。

1999.11.18記


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