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今、リサイクルについて

数日前のニュースで、官公庁から排出されるゴミの量が、今年の目標値である約10万トンを大幅に上回り、約16万トンになる試算であることが報道されていた。省エネルギー、リサイクル、など、環境問題がクローズアップされて久しいのに、なんとも残念なニュースを聞いた思いだった。

とはいっても現実問題として、省エネルギー、リサイクルを実践するということは、簡単そうに見えて実はとても難しいことだな、と感じる。
分別収集を行う自治体の数はここ何年かで増えてきたようだ。多くの自治体が、資源ごみとして、ペットボトルやビン、カンなどを、通常のごみと分けて集めている。平成10年度のデータでは、スチール缶、アルミ缶のリサイクル率はそれぞれ82.5%、74.4%と、かなり高い値になっている(日刊工業新聞より。日付は忘れた)。資源の再利用、という概念はかなり一般的になってきたなあ、と感じる。でも、分別収集さえすれば、どんどん捨ててもいいのか、というとそうではないだろう。

ちょっと前になるが、某衛生陶器メーカーの研究所長の講演を聴く機会があった。まとめれば、企業における環境問題への取り組みについての内容だった。大まかな内容は次のようである。

企業では近年、排出物をできる限り自社内で再利用し、廃棄物を限りなくゼロに近づける、いわゆる「ゼロ・エミッション」への取り組みが重要になってきている。なるべく環境に負荷をかけないモノづくりというのが企業にとって大きな課題である。しかし、環境に優しい製品だからといって、消費者に受け入れられなければそれは企業の自己満足に過ぎない。企業としては、環境への配慮と消費者が買ってくれることの両方を考えて商品を作らなければならない。

以上のような事をふまえた上で、実際にどのような製品開発を行っているか、という紹介がなされた。
講演の中で紹介された開発品は、採石廃土を主原料とし、従来よりはるかに低い温度で製造可能な、あるセラミックス建材だった。しかも多孔質なので調温・調湿機能があり、室内に利用すれば冷暖房のエネルギーをかなり節約できるという。講師自身の自宅で、そのタイルを敷き詰めてテストしている様子も発表資料で紹介された。実際の施工では公園や老人保養施設の中庭など、屋外で使用されているようだ。残念ながらまだ実物を見たことはないが、一度、見てみたい気がする。

講演の中で興味深かったのは、「排出物を再資源として利用する」だけで満足してはいけない、ということだ。人間は、自然界の資源やエネルギーを利用して生活し、その結果廃棄物が発生する。そこで、廃棄物を再び資源化し、再利用するのももちろん大事だが、リサイクルのためにに、自然界から資源やエネルギーを大量に搾取してしまうのでは意味がない、自然界に存在する資源は有限であることを忘れてはならない、ということだ。

考えてみればごく当たり前のことなのだろうが、私自身、「リサイクル」ということだけで満足して、「省エネ・省資源」をつい忘れかけていた気がした。正直言って非常に反省させられた。自然界からの搾取を減らすことができて、はじめてリサイクルの意味がある。実際、資源ごみとして収集されているものの中には、再資源化の際に大量にエネルギーを消費するものもある。企業で環境問題に取り組んでいる人の言葉だけに、非常に説得力があった。理想的には、工場内で発生する排熱等をもっと有効利用する、というようなことになるのだろうが、まだ課題は多そうだ。

自分を振り返ってみると、例えば缶やペットボトル飲料に関しては、「どうせ分けて捨てればいいから」という甘えが生じ、何も考えずに消費することが多かった。特に小型のペットボトルが出回ってからは手軽なこともあってついつい買っている。といってもビンのジュースやビールなどは店頭にほとんど並んでいないが・・・・。ビールビンなどは、約10年くらいは繰り返し同じビンを使うことができるいう、リユースの優等生なのに、業務用として以外は、ほとんど使用されていないのではないだろうか。しかしどうしても、モノを買う場面では「少しでも便利なものを」という意識が、私自身、なかなか拭えない。でも葛藤はあるにせよ、なるべく環境のことを配慮して商品を選ぶ、という意識は常に持っておきたい、と思った。

上記の講演で講師の方が言われた「いくら環境に優しくても消費者がその製品を受け入れなければ企業の自己満足に過ぎない」というのは企業としての立場の話だが、裏を返せば、買う消費者の側の意識が変われば、企業の商品開発の方向性も変わってくるということにもなる。企業努力にも限界はある。最近では多くの企業がISOの取得を目指していると聞くが、環境に関するISO-14000と品質管理のISO-9000を両立するのは並大抵のことではないと思う。一昔前は、環境汚染といえばまず最初に、工場から出る産業廃棄物がやり玉に挙げられていたが、最近では家庭から出る一般廃棄物の割合がかなり高くなっているとも聞く。これからは、一人一人が考えなければいけない時代なのだな、とつくづく感じる。

最後にもう一つ、講演の中で興味深かった話がある。それは、講師の方の研究所で、所員が通勤に自家用車ではなく、なるべく公共の交通機関を使うようにしたということだ。そして研究所の正面にあったアスファルトの広い駐車場を緑の庭にした。すると夏場には、アスファルトの照り返しが無くなったおかげで研究所でのエアコン代が格段に安くなった、という話だ。植物の力は大きい。
「資源は有限」
このことを忘れず、常に自らを反省しつつ、身の回りから、少しずつでも環境への負荷を減らすにはどうしたらいいのか、を考えていきたいと思う。

1999.12.5記


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