小さな数については、分、厘、毛、くらいまでなら聞いたことのある人も多いでしょう。しかし、こちらも大きな数同様、ずっと小さな値にまで名前が付けられています。最小の「浄」が10-23。SI接頭語では、さらに一桁小さい10-24に、y(ヨクト)という接頭語が与えられています。和名の出典は「塵劫記」ですが、出版年によって多少、呼称の異なる場合があるようで、例えば10-20以下の数で、「虚空」「清浄」という二文字ずつの名前として紹介されていることもあるようです。今回参考にした書籍の中でも表記の異なる例が見られました。下の表では、寛永11年版の値が掲載された「単位の歴史辞典」(小泉袈裟勝編著、柏書房)の表記を採用しました。
ところで、10-1を表すのに「分」という名前になっていますが、割合を表す時に用いる「○割△分□厘」、という表記と一桁違っていることに疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
残念ながら手持ちの参考書籍の中にはこのことに関する記述を見つけることは出来ませんでした。ただ、以前にどこかで、「割・分・厘」というのは、金利を表す単位として、江戸時代の商人が使い始めたのが最初で、その後、お金以外でも割合を表す言葉として転用された・・・というのを聞いた覚えがあります。情報源が定かではないので、正しいかどうかはわかりませんが、いずれにしても「分・厘・毛」と「割・分・厘」という2種類の表記が世の中に混在していることは事実です。
古いのは「分・厘・毛」の方でも、むしろ日常的には「割・分・厘」の方が馴染み深いです。だから例えば「九分九厘間違いない」というような慣用句で「九分九厘」というのはたった9.9%のことじゃないかとツッコミを入れたくなったりするのですが、実際は99%のことで、しごくまっとうな慣用句なのですよね。
数の名前 読み 指数表記 SI単位接頭語 分 ぶ 10-1 d(デシ) 厘 りん 10-2 c(センチ) 毛 もう 10-3 m(ミリ) 糸 し 10-4 忽 こつ 10-5 微 び 10-6 m(マイクロ) 繊 せん 10-7 沙 しゃ 10-8 塵 じん 10-9 n(ナノ) 埃 あい 10-10 渺 びょう 10-11 漠 ばく 10-12 p(ピコ) 模糊 もこ 10-13 逡巡 しゅんじゅん 10-14 須臾 しゅゆ 10-15 f(フェムト) 瞬息 しゅんそく 10-16 弾指 だんし 10-17 刹那 せつな 10-18 a(アト) 六徳 りっとく 10-19 虚 きょ 10-20 空 くう 10-21 z(ゼプト) 清 せい 10-22 浄 じょう 10-23 10-24 y(ヨクト)