「体積」と「容積」。似ているようで少し意味合いが違います。「体積」とは、ある物体が三次元空間の中に占める領域の大きさのことを指します。「容積」とは、主に容器の大きさに用いられ、液体などがその容器の中にどれくらい入るかを表した量のことです。つまり、容器の厚みを除いた内側の空間の体積のことを容積と呼ぶわけですね。また、容器に入れる液体そのものの量に対して使われることもあります。
SI単位系では通常「容積」という呼び方はせず、「体積」で統一されています。しかし歴史的にみれば、洋の東西を問わず水や酒、農作物等を計量するために用いられてきた単位なので、尺貫法やヤード/ポンド法の体積単位はどちらかといえば「容積」としての意味合いが強いといえます。
尺貫法
1升瓶など現在でも馴染みのある「升」のルーツは人の両手ですくうことのできる量であるといわれ、最初の「升」は現在よりもずっと小さな量だったと考えられます。「升」を10倍、100倍したものがそれぞれ「斗」「石」です。一方、古代の中国において「黄鐘管」という笛の内容積の2倍にあたる量が「1合」と決められ、その10倍が「升」、10分の1が「勺」とされました。時代が変わるにつれ「黄鐘管」の大きさは様々に変化し、その大きさをもとにした「合」も時代によって変わっていきますが、各単位間の関係がすべて10倍とか10分の1になっているので、非常にわかり易いです。現在私たちが日本で使用している大きさ・・・一升=1.804dm3というのは、明治時代に制定された尺貫法に基づきます。
単位の名称 読み 大きさの関係 SI単位との換算 石 こく 1石=10斗 1石=180.4dm3 斗 と 1斗=10升 1斗=18.04dm3 升 しょう 1升=10合 1升=1.804dm3 合 ごう 1合=1/10升 1合=180.4cm3 勺 しゃく 1勺=1/10合 1勺=18.04cm3
ヤード/ポンド法
体積/容積単位は、西洋においても穀物や飲み物を計量する必要性から生まれたようです。麦の生産が盛んでビールの醸造も行われていたというメソポタミアのシュメール都市文明の時代にも、既に小麦や液体をはかる容器が存在していました。その後、古代オリエント、中世ヨーロッパの時代を通じて様々な容積単位が各地域で用いられるようになり、やがてイギリスにおいて体系化されたのがヤード/ポンド法です。
表にあるように、立方ヤード、立方インチなど長さ単位を3乗して体積単位とする方法もありますが、最も基本的な単位は「ガロン」です。「ガロン」をもとにして、ブッシェル(=8ガロン)、パイント(=1/8ガロン)など、他の単位も決まっていきます。しかし「ガロン」という単位は以前は一定ではなく、ワインガロン、ビールガロンなど、いくつかのガロンが混在していたため、不便な面もあったようです。20世紀になってイギリスでガロンの統一がはかられ、1ガロン=420立方インチ、つまり4.546dm3と定義されました。ところが、アメリカ大陸においては古い単位が使い続けられたため、下の表にも示すように英国単位と米国単位が共存した状態になっており、なかなか複雑です。唯一、石油の取引に関しては米ガロンが国際的に認められていて、42米ガロンが良く耳にする「バレル」に相当します。
なお、小さな液量を量る単位に「液用オンス」(1/160ガロン、28.41cm3)があります。オンスというのは重さの単位にもあるので、これらを区別するために「液用」という言葉がつけられています。
単位の名称 記号 大きさの関係 SI単位との換算 立方ヤード yd3 1yd3=27ft3 1yd3=0.7646m3 立方フート ft3 1ft3=1,728in3 1ft3=0.02832m3 立方インチ in3 1in3=16.30cm3 英ブッシェル bushel(uk) 1bushel=8gal(uk) 1bushel=36.37dm3 英ガロン gal(uk) 1gal(uk)=420in3
1gal(uk)=1.201gal(us)1gal(uk)=4.546dm3
1m3=220gal(uk)英パイント pt(uk) 1pt(uk)=1/8gal(uk) 1pt(uk)=568.3cm3 英液用オンス fl oz(uk) 1fl oz(uk)=1/20pt(uk)=1/160gal(uk) 1fl oz(uk)=28.41cm3 米バレル barrel(us) 1barrel(us)=42gal(us) 1barrel(us)=0.159m3 米ブッシェル bushel(us) 1bushel(us)=9.309gal(us) 1bushel(us)=36.37dm3 米ガロン gal(us) 1gal(us)=231in3=0.8327gal(uk) 1gal(us)=3.785dm3
1m3=264.2gal(us)米パイント pt(us) 1pt(us)=1/8gal 1pt(us)=473.2cm3 米液用オンス fl oz(us) 1fl oz(us)=1/16pt(us)=1/128gal 1fl oz(us)=29.57cm3
メートル法由来の単位
下の表に挙げた3つの単位は日常の生活には極めて馴染みの深いものばかりです。
リットルに関しては、もともとは、メートル法で1,000cm3の体積に1リットルという名前が与えられ、この1リットルの蒸留水の質量がキログラム原器の基準に用いられたという経緯があります。SI単位系での基本的な体積単位である立方メートルよりも、日常的に何かを計量するのに適した大きさで、非常に使いやすい単位であるといえます。そのため、正式なSI単位ではありませんが、リットルはSI単位との併用が認められています。SI単位系では1dm3(立方デシメートル)と表記しますが、やはり一般的にはリットルといった方がわかりやすいですね。
リットルに1/1,000をあらわす接頭語、ミリをつけたのがミリリットル(ml)です。市販の缶飲料、ボトル飲料などをはじめ、飲み物の量をあらわすのに最も一般的に使用されている単位です。シーシー(cc)は、cm3を英語読みしたときのキュービックセンチメートル(cubic centimeter)の頭文字を合わせて作られた呼び名で、液量をあらわすのにmlと並んでよく用いられます。ccもまた、SI単位系では正式には認められていませんが、ml同様まだまだ生活の中に残っています。cm3、ml、ccはどれもほぼ同じ大きさなので統一することによる混乱はほとんどないと予想されますが、同じ大きさであるがゆえに、ばらばらの単位を使っていても特に不都合が生じず、却ってなかなか統一されないということでしょうか。
単位の名称 記号 大きさの関係 備考 リットル L 1L=1dm3 ミリリットル ml 1ml=1cm3 リットルに1/1,000の接頭語、ミリがついたもの。 シーシー cc 1cc=1cm3 ccはキュービックセンチメートル(センチメートルの3乗)の意味。